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偽善者とお祭り騒ぎ 二十六月目
偽善者と夢現祭り二日目 その05
しおりを挟むイベントエリア バザーフィールド
ポイント稼ぎとスキル習得を目指すため、体自体はそのままフーラたちと共にある。
初日にやっていたように、現在は眷属の視界を借りて別の場所を眺めていた。
《……[メカルテス]、もう見つけたのか》
「とても速いですね。[ネクロエム]はギリギリだったそうですが、難易度は変更していないはずですよね?」
《ああ、何にも。けど、前回[ネクロエム]の情報が出たことで、探す奴が増えたのが理由かもしれない。というか、たぶんこれが理由だ。人間、目に見える物はどんどん欲しくなるからな》
「なるほど、さすがご主人様です!」
パタパタと揺れ動く背中の白い羽が、本心でそれを言っていると証明している。
……『さすご主』だけども、これはバカでも分かることだからな。
「ごしゅじんさま、美味しいご飯があったんだよ! セイからちゃんと見てて!」
《それはいいんだが……前にも言ったが、それは『飯テロ』って言うんだぞ》
「グラ! ご主人様はお食事もとられず、このイベントを成功させるために励んでいるというのに……僕たちだけが食事をする、それが許されると思っているの!?」
「えー、ごしゅじんさま……ダメ、なの?」
ここでダメと言える奴は、間違いなく腐れ外道か話半分で聞いていた奴ぐらいだ。
食事は取る必要が無いから食べてないだけなので、セイを宥めて食べてもらうことに。
いっただーきまーす! と叫ぶグラ。
彼女の周りに並べられた無数の料理が、物凄い勢いで減っていく。
ついでに食レポまでしているので、周囲の人々がそれに注目している。
俺とセイはその様子を見ながら、同時に中継映像に関する話を行う。
「[メカルテス]には、大規模なレイドパーティーが挑んでいますが……ご主人様は、あれで勝てるとお思いですか?」
《さてな。俺は勝ってもらいたい、ギリギリ勝てるって感じのレベルに調整しておいたはずなんだけどな……見ての通り、あれは男たちのロマンの結晶だ》
その名は『超鋼機帝[メカルテス]』!
名前からなんとなく分かると思うが──その見た目は超巨大なロボットである。
ヒーローたちが合体して生みだすような代物が、命を持って挑戦者たちを屠っていた。
もともとはただの機械だったのだが……いろいろ弄ったら、ユニーク種になったのだ。
圧倒的な火力に加え、機械特有の無数の仕掛けを持っている。
体のパーツは分離するし、それぞれが異なる生命体として活動することも可能だ。
「えっと、リアさんもいっしょに創っていましたよね?」
《……まあ、一部の女子受けもあるな。ちなみにアレは部品ごとに強化したせいか、アイテム化もその部品ごとにあるらしいぞ。つまり完全に使うなら、一パーティーでやるか、毎度そのメンバーを集めないとダメだ》
「それって、つまり……」
《地獄級の難易度でやるか、本当に仲のいいメンバーでやるか選ばないといけないんだ。まあ、大量のメンバーを集めても、一定人数以下で挑んでもダメなんだけど》
ヒーロー……いや、戦隊モノのロボと言えばという考えが基になっているユニーク種。
だからか、完成した後に登録されていた能力にもそれっぽいモノがあった。
相手の数が十三人以上、もしくは三人未満の時は性能が超強化されるのだ。
ロボの合体数的に、おそらくそんな制限が課せられたんだろな。
「ごしゅじんさま!」
《ん、どうしたんだ? ……ああ、もう無くなったのか》
「うん、美味しかったよ!」
「グラ、今のご主人様はここにはいないんだから……あんまり大きな声で言わないこと。ご主人様、それではいかがなさいますか?」
グラの食事は最初から制限を設けていたので、辺りの屋台もどうにか営業できている。
どうせこの後、グラの食レポに釣られた客が集まってすぐに終わるだろうけど。
セイの言う通り、あんまり言うと俺が居ることがバレる可能性もあるか……とりあえずは、ここから移動しよう。
スキルでいろいろと隠しているモノの、分かる人が見れば分かってしまう。
特に、俺を知っている人から見れば……居場所を特定するヒントになるからな。
《そうだなぁ……とりあえず、俺は元の場所に戻るよ。グラとセイは引き続き、何かあったら報告して。グラ、口直しだからってあんまり食べ過ぎない方がいいぞ》
「はーい……」
《セイも頼むぞ。ローテーションでやっているとはいえ、そもそも調べることができる人材が少ないからな。セイに頼りっぱなしなのも、全部俺が悪い》
「そんな! ご主人様、僕は平気です! lご主人様のため、グラといっしょに頑張って見つけます!」
二人が何をしているかというと、誰かがやらかさないかの調査である。
どうやら[ロウシャジャル]もだいぶ忙しいようなので、急遽担ってもらった役だ。
セイが調べて警告し、逆らうようならグラによる制裁が行われる。
……結構食べているようなのだが、不味いからなぁ──業値がマイナスな奴らは。
《じゃあ、二人とも頼んだぞ》
「はい、お任せください!」
「うん、ぼくも頑張るよ!」
ちょっとした休憩を終え、俺は再びフーラとフーリの下へ意識を戻す。
そして、そこで見たのは──まさかの出会いの光景だった。
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