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偽善者と公害対策 二十五月目
偽善者と東の北奥 その16
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連続更新となります(02/12)
===============================
「──『水柱』」
触媒の水は用意せず、属性魔法士や精霊しか習得できない水魔法を発動する。
……理論上、術式を自前で用意すれば発動できるのだ。
至る所で吹き上がる膨大な水。
それらはイナゴたちを阻む壁のようにも、有志たちを守る盾のようにも思える。
しかし、正解はどちらでもない。
その答えはすぐに、俺が発動する魔法が証明することになる。
「──“激流”、“送水道路”」
今度は水の柱を触媒にして、二つの魔法を発動した。
一つ目の魔法はただの水を溢れさせ、強引に激流と化す魔法。
それによって勢いが増し、イナゴたちを呑み込み始めた水流に二つ目の魔法を使う。
これは“氷路”に似た魔法なのだが、触媒が水な点と同種魔法の上位版な点が違いである。
水から道を生みだし、それをさまざまな水源と繋げることができる“送水道路”。
それによって俺の足元まで、水の柱まで向かう道が生成された。
「──“水上歩”、“水進”」
水の上を歩ける魔法、そして水を踵から噴射して加速する魔法で準備は万端。
無数の“水尾”で生やした尻尾が揺れ動く中、俺は水の上を駆け抜ける。
「武器も調達しないと──“水剣”」
こちらはオリジナルの魔法。
尾の水を触媒に、二本の剣を生みだして握り締める。
そのどちらも聖水で生みだされており、呪力をエネルギー源とするイナゴ『呪殖蝗』にはとても有効的だ。
「なんちゃって武技──『双刻回斬』」
武技の動きを再現した、不完全な動き。
剣、もしくは体自体を回転させて周囲の者に斬撃を刻み込む。
イナゴたちは聖水の剣を体に受け、呪力が払われ絶命する。
……呪力で歪に生かされているみたいで、その元を断つとこうなるのだ。
「──“水刃”」
水を刃にして飛ばす魔法。
水の剣を触媒にすれば、振るうたびに斬撃が飛ぶようにできる。
その分聖水が減ってしまうが、減った分だけ補っているので使いたい放題だ。
舞うように剣を振り、イナゴたちを屠りながら突き進み……辿り着く。
「[コウジュコウ]。お前を潰せば、アイツらだけでもどうにかなりそうだ。さぁ、俺のために死んでくれ──“氷柱針”」
足元の水が一部氷へ、[コウジュコウ]に向けて飛んでいく。
ただの水なので攻撃にはならないが、それでも目晦ましぐらいにはなる。
氷の飛沫が飛び散る中、新たな魔法を構築していく。
それは“送水道路”で描く道を、すべて触媒とした大規模な魔法。
「──“氷結世界”」
水路は[コウジュコウ]を包み込む球体の形をしており、それらが凍っていく。
つまりは、俺と[コウジュコウ]だけを閉じ込める密閉空間が生まれたわけだ。
「正々堂々、勝負しようぜ」
『──!』
「開幕早々厄介だな──“水盾《ウォーターシールド》”」
呪力の塊が飛んでくるので、尾の一部を触媒にしてそれを防ぐ。
まだ使っていなかった『純水』、その性質は他を受け入れやすい親和性。
呪力の塊を呑み込んだ純水は、その色を黒く禍々しいモノへ変質させていく。
その結果に一満足し、『収納袋《マジックバック》』に仕舞いこんで奪われないように確保した。
だが[コウジュコウ]としては、いつ同じ方法を取られるのか警戒するはずだ。
遠距離から呪力を放つ選択は封印され、奴は呪力を武具のように体へ纏っていく。
「──“滑氷”、“破氷槌”」
氷の舞台用に新たな魔法を準備しつつ、辺りの氷から生みだした破城槌で殴りつける。
至る所から現れたそれらだが、呪力の壁はそれでも砕けない。
しかし、再び布石が蓄積される。
氷の飛沫が砕けたことで生まれ、少しずつ[コウジュコウ]の足元で蓄積されていく。
まだ足りない。
ネロ(ドッペルゲンガー)の“聖域”もそう長く持たないので、蹴りを付けたい……使うしかないか。
「──“凍結鏡地”、“氷操作”」
氷の性質が書き換わり、スケートリンクのように滑らかなものとなる。
しかし、それだけではなく氷の上に広がる無数の氷でできた剣山。
「『水払い』、『氷断ち』」
水が引き起こす現象を破壊する武技と、その氷版となる武技を再現する。
剣山はキラキラと光り輝き、辺り一面に降り注いでいく。
当然、[コウジュコウ]の周りにもそれは集まっており……準備ができた。
「凍れ──“永劫凍土《エターナルブリザード》”」
武技を使っていたのは水の剣、そしてそれは聖水によって創られたもの。
氷の飛沫にはその成分も混ざっており……[コウジュコウ]の周りが一気に凍てつく。
これまでのような抵抗は、聖水の力が激しく拒絶する。
時間を掛ければ突破してくるかもしれないが、そんな時間を用意する気はない。
「これで終わりだ──“停滞氷獄”」
すべてのエネルギー運動が停止する。
俺の保有魔力をごっそり持っていく対価として、そんな異常な事象を起こすこの魔法。
呪力も、[コウジュコウ]の命の鼓動すらゆっくりと動きを遅めていき……眠るように[コウジュコウ]は生命の活動を止めた。
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「──『水柱』」
触媒の水は用意せず、属性魔法士や精霊しか習得できない水魔法を発動する。
……理論上、術式を自前で用意すれば発動できるのだ。
至る所で吹き上がる膨大な水。
それらはイナゴたちを阻む壁のようにも、有志たちを守る盾のようにも思える。
しかし、正解はどちらでもない。
その答えはすぐに、俺が発動する魔法が証明することになる。
「──“激流”、“送水道路”」
今度は水の柱を触媒にして、二つの魔法を発動した。
一つ目の魔法はただの水を溢れさせ、強引に激流と化す魔法。
それによって勢いが増し、イナゴたちを呑み込み始めた水流に二つ目の魔法を使う。
これは“氷路”に似た魔法なのだが、触媒が水な点と同種魔法の上位版な点が違いである。
水から道を生みだし、それをさまざまな水源と繋げることができる“送水道路”。
それによって俺の足元まで、水の柱まで向かう道が生成された。
「──“水上歩”、“水進”」
水の上を歩ける魔法、そして水を踵から噴射して加速する魔法で準備は万端。
無数の“水尾”で生やした尻尾が揺れ動く中、俺は水の上を駆け抜ける。
「武器も調達しないと──“水剣”」
こちらはオリジナルの魔法。
尾の水を触媒に、二本の剣を生みだして握り締める。
そのどちらも聖水で生みだされており、呪力をエネルギー源とするイナゴ『呪殖蝗』にはとても有効的だ。
「なんちゃって武技──『双刻回斬』」
武技の動きを再現した、不完全な動き。
剣、もしくは体自体を回転させて周囲の者に斬撃を刻み込む。
イナゴたちは聖水の剣を体に受け、呪力が払われ絶命する。
……呪力で歪に生かされているみたいで、その元を断つとこうなるのだ。
「──“水刃”」
水を刃にして飛ばす魔法。
水の剣を触媒にすれば、振るうたびに斬撃が飛ぶようにできる。
その分聖水が減ってしまうが、減った分だけ補っているので使いたい放題だ。
舞うように剣を振り、イナゴたちを屠りながら突き進み……辿り着く。
「[コウジュコウ]。お前を潰せば、アイツらだけでもどうにかなりそうだ。さぁ、俺のために死んでくれ──“氷柱針”」
足元の水が一部氷へ、[コウジュコウ]に向けて飛んでいく。
ただの水なので攻撃にはならないが、それでも目晦ましぐらいにはなる。
氷の飛沫が飛び散る中、新たな魔法を構築していく。
それは“送水道路”で描く道を、すべて触媒とした大規模な魔法。
「──“氷結世界”」
水路は[コウジュコウ]を包み込む球体の形をしており、それらが凍っていく。
つまりは、俺と[コウジュコウ]だけを閉じ込める密閉空間が生まれたわけだ。
「正々堂々、勝負しようぜ」
『──!』
「開幕早々厄介だな──“水盾《ウォーターシールド》”」
呪力の塊が飛んでくるので、尾の一部を触媒にしてそれを防ぐ。
まだ使っていなかった『純水』、その性質は他を受け入れやすい親和性。
呪力の塊を呑み込んだ純水は、その色を黒く禍々しいモノへ変質させていく。
その結果に一満足し、『収納袋《マジックバック》』に仕舞いこんで奪われないように確保した。
だが[コウジュコウ]としては、いつ同じ方法を取られるのか警戒するはずだ。
遠距離から呪力を放つ選択は封印され、奴は呪力を武具のように体へ纏っていく。
「──“滑氷”、“破氷槌”」
氷の舞台用に新たな魔法を準備しつつ、辺りの氷から生みだした破城槌で殴りつける。
至る所から現れたそれらだが、呪力の壁はそれでも砕けない。
しかし、再び布石が蓄積される。
氷の飛沫が砕けたことで生まれ、少しずつ[コウジュコウ]の足元で蓄積されていく。
まだ足りない。
ネロ(ドッペルゲンガー)の“聖域”もそう長く持たないので、蹴りを付けたい……使うしかないか。
「──“凍結鏡地”、“氷操作”」
氷の性質が書き換わり、スケートリンクのように滑らかなものとなる。
しかし、それだけではなく氷の上に広がる無数の氷でできた剣山。
「『水払い』、『氷断ち』」
水が引き起こす現象を破壊する武技と、その氷版となる武技を再現する。
剣山はキラキラと光り輝き、辺り一面に降り注いでいく。
当然、[コウジュコウ]の周りにもそれは集まっており……準備ができた。
「凍れ──“永劫凍土《エターナルブリザード》”」
武技を使っていたのは水の剣、そしてそれは聖水によって創られたもの。
氷の飛沫にはその成分も混ざっており……[コウジュコウ]の周りが一気に凍てつく。
これまでのような抵抗は、聖水の力が激しく拒絶する。
時間を掛ければ突破してくるかもしれないが、そんな時間を用意する気はない。
「これで終わりだ──“停滞氷獄”」
すべてのエネルギー運動が停止する。
俺の保有魔力をごっそり持っていく対価として、そんな異常な事象を起こすこの魔法。
呪力も、[コウジュコウ]の命の鼓動すらゆっくりと動きを遅めていき……眠るように[コウジュコウ]は生命の活動を止めた。
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