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偽善者と攻城戦イベント 二十三月目
偽善者と自己紹介 その42
しおりを挟む夢現空間 居間
そういえば、あれってギルドイベントだったなぁと今さら思う。
完全にワンマン(+α)プレイだったし、ギルドとして活躍したこと……あったかな?
思い出せるのは、ニィナや眷属たちが張り切って頑張っていたことばかり。
あとは……そうだ、GMとこれで全員と出会ったことになることだな。
成績はギルドで山分けというし、うちには優秀な奴らばっかり所属しているので、間違いなく好成績を叩き出す。
「リーダーとサブリーダーはアイツらに任せてあるから、俺が気づかれることはない。詳細を調べるならまだしも、一つひとつ調べるようなこともないだろう」
「そ、そうなのかな?」
「運営神って、あの世界すべてに手を伸ばしているみたいだし。細かい部分まで見ている暇がないんじゃないか? 昔ならともかく、今はリオンの分の仕事もやらないとダメなんだから大変だろう」
邪神にブラック企業顔負けの作業を押し付けていたツケを、彼らは支払っている。
前にやっていたことを聞いたんだが……内容よりも、その量にビックリしたっけ?
祈念者と眷属であるアマルたちによって、少しずつ見つけていた大陸の数々。
眷属の住んでいた大陸も少しずつ確認しており、現在は情報を把握してもらっている。
「そのうち、里帰りのために大陸を巡ることになるんだろうな……先に、橙色の世界を解放しておきたいな」
「け、けど……まだ、見つかってないんじゃなかったの?」
「全部の島を巡らないといけないんだよな。赤色は全部巡らなくても、とりあえず見つけられたからよかったけど」
選ばれし者の証は、血族に継承される。
そんな橙色の世界の法則性によって、種族ごとに選ばれし者が生まれるようになった。
……まあ逆に言えば、時間を惜しまずにすべて巡れば確実に見つかるからいいんだが。
「ではそろそろ始めよう──第四十二回クエスチョンタイム! 本日のゲストは彼女──ちょっぴりシャイなフーちゃんです!」
「よよ、よろしくお願いします!」
「はい、よくできました。質問は予め把握していると思いますので、突然な質問はそこまでありません。気楽にやってみてください」
「わ、分かりました……あぅ」
ちょっぴりどころではないので、最悪逃亡する可能性が高い。
というわけで、事前に覚えてきてもらった質問に答えてもらう形で。
──これまで四十一回も撮っているのだ、把握していて当然とも言えるけどさ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「問01:あなたの名前は?」
「ふ、フーでしゅ! ……あぅぅ」
「とりあえず落ち着こう……“再心調整”、“冷静沈着”、“精神安定”」
「──ありがとうございます」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「女性、出身が存在と肉体どちらなのか分からないので、生年月日は解答できません」
「……キャラ崩壊してるな。もう少し調整するぞ──“再心調整”」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「りゅ、竜人族なので、皮膚に鱗が付いている部分があります。い、色は虹色です!」
「……もう、大丈夫か?」
「は、はい……スー、ハー。たぶん、ですけど大丈夫です」
「問04:あなたの職業は?」
「<不殺聖女>です。なので、わたしは誰かを殺すことができません」
「その分、回復に絶大な補正が入るらしい。デメリットの分、メリットがあるんだな。ちなみに殺そうとすると『みねうち』になる」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「……臆病で恥ずかしがり屋で、みんなの足ばかり引っ張っています」
「そんなことないぞ。一歩引いた考え方ができているし、違ったアイデアを提供してくれるじゃないか……って、俺が客観的な説明をしているな」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「と、特技は治療です。だ、誰にも負けないですから!」
「ああ、期待しているぞ。うちのヤツ、王とか賢者とか支配者は目指しているのに、聖女になった武具っ娘はフーとクロワだけだからな……あっちは異端者殲滅って感じだけど」
「問07:座右の銘は?」
「陰徳陽報。善いことは必ず報われる……といいなぁと思っています」
「問08:自分の長所・短所は?」
「長所は人を生かせることが上手いことで、短所はさっきの性格です」
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「好きなものはみんな、嫌いなものは……そのぉ、知らない人です」
「問10:ストレスの解消法は?」
「えぇっと……………………な、殴る?」
「ちなみに、どんな感じだ? ちょうどここに、サンドバッグがあるけど」
「これぐらい……かな?」
[※威力は弱かったけど、的確に穴を空けていました]
「問11:尊敬している人は?」
「みんな。わたしにはないものを、みんなは持っているから」
「逆にアイツらが持っていないものを、フーが持っていることも忘れるなよ」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「な、治すときは絶対に傷が残らないようにしているよ」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「家族のみんなだよ」
「問14:あなたの信念は?」
「みんなを守るためなら、死なない程度に誰も殴り倒します!」
「……おぉう」
「問15:癖があったら教えてください」
「ひ、人前に出ると、舌が上手く回らなくなること……かな?」
「まあ、完全にとは言わずとも、平時は普通に話せた方が便利だよな。念話もあるし、そうじゃない話し方もできるようにしようか」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「ツッコミ、だと思う」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「あなたが……わたしを使ってくれたとき。武具としても、人材としても。どっちでも、わたしは嬉しかったです」
「問18:一番困ったことは?」
「この性格……かな? あなたが望んでくれたものだけど、やっぱり恥ずかしい……」
「あの頃は性格を模索していたからな。そのまま【憤怒】のイメージで激高されるより、今の性格の方が可愛らしいと思ったんだ。実際、可愛いからな」
「うぅ……」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「呑める……けど、すぐに酔っちゃうよ? だからまだ、味わったことないよ」
「問20:自分を動物に例えると?」
「は、ハムスター?」
「……まあ、竜とは言いづらいか」
「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
「せ、聖女様って呼ばれてるよ。けど、なんだか含みがあるような……」
(『逆鱗聖女』って呼ばれてます。通常時はシャイだけど、条件を満たすと……なぁ?)
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「……ちょっと怒っちゃったとき、みんなが驚いちゃってたから、それだよ」
(ちなみにそれです。あと、大衆からするとかなりの好印象だったらしいぞ)
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「ふ、普通に話せるようになって、みんなといっしょにあなたの役に立つこと」
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「あなたのために」
「……いいのか、それで?」
「あなたがそれでいいと言うのであれば」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「ううん、何も。わたしは、みんなよりも後悔することが無かったから」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「ど、どうしよう……できることを、できるだけやると思うかな?」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「どうすれば、今のわたしから脱却できるか分からない……こと」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?」
「無いよ。む、むしろ、わたしはそうならないようにする方だと思う」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「内気じゃないわたし!」
「……なんか、ごめんな」
「あ、あなたは悪くないから!」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「聖女らしく、誰かのために……なんてことがない、老衰かな?」
「やっぱりそれが一番だよな。まあ、眷属は現状、不老スキルを使っているから、このままだと一生叶わない気がするけど」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「み、みんな! こんなわたしだけど、よ、よろしくお願いします!」
「問32:最後に何か一言」
「あっ、こっちもあった……えっと、お、お願いしましゅ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はい、カット! ……うん、噛んじゃったみたいだな」
「あぅぅ……」
「お疲れさまでした。可愛かったから、みんな文句はないと思うぞ」
そもそも、文句を言う奴がいないからな。
今なお、顔を真っ赤にするフーの姿は、間違いなく人々の癒しを感じさせるものだ。
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