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偽善者と攻城戦イベント 二十三月目
偽善者と攻城戦後篇 その18
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連続更新となります(12/12)
……ほんの一瞬ですが、なろうに追いつきました
===============================
「魔導解放──“満天広がる眸子の夜空”」
隕石が降り注ぐ中、魔導を起動する。
空に広がる無数の星、それらは眼球のように蠢きカナと俺を補足していく。
その情報はすべて俺にフィードバックし、情報として取り入れられた。
脳の処理が追い付かないほどだが……そこはスキルでカバーして戦闘を続行する。
「焼き切れろ──“煌明刃”!」
「っ……! ふ、“乱旋打”!」
剣が光熱を帯びてカナを襲うが、彼女もまた武技を使ってそれを防ぐ。
効果はたしか、打った相手を一定確率で混乱させるんだっけ?
「なら受けよう。そして──」
武技を受けつつ思考詠唱で“夢現反転”を起動する。
混乱するはずだった思考は、逆に正常となり処理能力も増大した。
今の俺はとあるスキルでバフ・デバフも自在なのだが、こうして相手から受けた状態異常を反転させた方が燃費がいいのだ。
そんな増えた処理能力で、“空間断絶”を無数に発動。
触れたら切断ということで、カナの動きを制限して剣を振るう。
「きゃっ!」
「ちょうどよい──“目印・常駐/極大”」
「ハークさん! ケイコクさんも!」
「むっ……面妖だな」
剣で押し飛ばしたところでマーキングを済ませ、さらに畳みかけようとしたが、さすがに冷静さを取り戻したみたいで。
ハークが魔法陣で隕石と俺を迎撃。
その間に十二枚の翼が背中から生えて、カナの体をより遠くへ向かわせた。
カナと従魔は一方的な主従の関係というものを持たず、それぞれが好意や厚意によって結ばれた縁で繋がれている。
その結果が、表面的に現われていた。
具体的にはハークが魔法陣を代理で起動、ケイコクが翼の操作をするなど……本人は本人で、先ほどのように従魔の力を扱える。
同じことをできる者が二人いるのだ。
単純な計算でも二倍の戦力、希少かつ強力な能力ともなればそれ以上だろう。
「は、“幅叩き”!“火炎渦”!」
「翼闘術、それに炎魔法か……“水鉄砲”、加えて“封熱尖塔”」
十二枚の羽の内、十枚を使って発動させてきた武技。
広範囲に翼を打ち付け、打撃ダメージを与えるというものだ。
おまけに炎で焼き払おうとしてくるものだから、羽の風に煽られてよりいっそう範囲が広がってさあ大変。
なので俺は圧縮した水を放出し、先にカナ本体を空高く押し返す。
その後熱を吸収する、煙突のような形をしたオブジェを生み出す魔法で炎を封印した。
氷魔法なので、魔力を込めればそれなりに頑丈となる。
はばたきの風は魔法ではなく物理現象、そう簡単に崩れることはなかった。
「──“天駆”、“統率”、“影分身”」
空を自在に渡れるようにした状態で、自らの分身を影から生み出す。
それらは統率スキルをアクティブ化させることで、指令通りに動いていく。
先ほど向上した処理能力分を注ぎ、影分身たちを操らせる。
ついでに<千思万考>も使って、思考詠唱で大量の魔法を降り注いでおく。
「ッ!? は、ハークさん!」
当然、魔法への対応はハークが担う。
一つや二つならまだしも、今回は相殺できる数を狙って五百だ。
低威力だが魔力感知には高威力だと思わせる、そんな詐欺みたいな魔法ばかりセットしておいたので、避けるという選択肢を選ばずに対処してくれる。
その間、影分身たちは俺が指示した通りの場所へ向かう。
そこでさまざまな方法で、『術』を起動する影分身たち。
印、符、妖気など……魔法と違ってさほどイメージを必要としない、まさに分身でもできるような攻撃が可能──それが『術』だ。
「スラ君、お願い!」
しかし、カナが従えているのは蛇龍と天魔と狐だけではない。
彼女が掌を前に突き出したかと思えば、それがドロリと粘液のように動き出した。
そして、それは『術』に命中し──何事もなかったかのようにすべてを呑み込む。
名前と能力からして、魔粘体系の従魔を配下にしていたようだ。
彼女の魔力量が回復し、魔法陣が二枚展開される。
一枚は彼女の足元、もう一つは──俺のすぐ近く!
「──“後宙返脚”!」
「スラ君──“物理反射”!」
「なっ……ぐっ!」
現れたカナに向けて、蹴りを叩き込みながら後退をする……そこまではよかった。
しかし、カナのスライムはただの魔力を喰えるだけのスライムではなかったらしい。
蹴りがスライムに命中すると、その衝撃が俺に逆流してきた。
どれだけ押し込んでも跳ね返ってきそうなので、即座に空歩スキルで宙を蹴って離脱。
改めて魔力を弾丸にして飛ばすが、それは吸収するだけで何もしてこない。
ブラフかもしれないが、おそらくは物理攻撃のみをカウンターできる能力なんだろう。
「物理だけではダメ、か……ならば、魔法も付けさせてもらおう──“疑聖装備”」
煌魔法に存在する、一時的に装備に聖性を与えるこの魔法。
これなら魔力もセットで付いてくるので、確かめるのにちょうどいい。
ついでに、空に浮かべている大量の魔眼。
そちらにも少々細工を加えておく……一つぐらい色が変わっても、気づける者はそうはおるまいよ。
「スラ君、それにミロちゃんも頑張って」
「悪いが、俺は聴覚も良いぞ。物語のように都合の悪い部分が聞こえないとは思うな」
流れからして、魔法反射もできるのか。
先ほど使わなかったのは……威力が弱いとか、向こうなりに事情があるのだろう。
さて、まだまだ楽しめる。
邪魔者は誰もいない……ふっふっふ、さっきのアレでやる気スイッチが点いたな。
……ほんの一瞬ですが、なろうに追いつきました
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「魔導解放──“満天広がる眸子の夜空”」
隕石が降り注ぐ中、魔導を起動する。
空に広がる無数の星、それらは眼球のように蠢きカナと俺を補足していく。
その情報はすべて俺にフィードバックし、情報として取り入れられた。
脳の処理が追い付かないほどだが……そこはスキルでカバーして戦闘を続行する。
「焼き切れろ──“煌明刃”!」
「っ……! ふ、“乱旋打”!」
剣が光熱を帯びてカナを襲うが、彼女もまた武技を使ってそれを防ぐ。
効果はたしか、打った相手を一定確率で混乱させるんだっけ?
「なら受けよう。そして──」
武技を受けつつ思考詠唱で“夢現反転”を起動する。
混乱するはずだった思考は、逆に正常となり処理能力も増大した。
今の俺はとあるスキルでバフ・デバフも自在なのだが、こうして相手から受けた状態異常を反転させた方が燃費がいいのだ。
そんな増えた処理能力で、“空間断絶”を無数に発動。
触れたら切断ということで、カナの動きを制限して剣を振るう。
「きゃっ!」
「ちょうどよい──“目印・常駐/極大”」
「ハークさん! ケイコクさんも!」
「むっ……面妖だな」
剣で押し飛ばしたところでマーキングを済ませ、さらに畳みかけようとしたが、さすがに冷静さを取り戻したみたいで。
ハークが魔法陣で隕石と俺を迎撃。
その間に十二枚の翼が背中から生えて、カナの体をより遠くへ向かわせた。
カナと従魔は一方的な主従の関係というものを持たず、それぞれが好意や厚意によって結ばれた縁で繋がれている。
その結果が、表面的に現われていた。
具体的にはハークが魔法陣を代理で起動、ケイコクが翼の操作をするなど……本人は本人で、先ほどのように従魔の力を扱える。
同じことをできる者が二人いるのだ。
単純な計算でも二倍の戦力、希少かつ強力な能力ともなればそれ以上だろう。
「は、“幅叩き”!“火炎渦”!」
「翼闘術、それに炎魔法か……“水鉄砲”、加えて“封熱尖塔”」
十二枚の羽の内、十枚を使って発動させてきた武技。
広範囲に翼を打ち付け、打撃ダメージを与えるというものだ。
おまけに炎で焼き払おうとしてくるものだから、羽の風に煽られてよりいっそう範囲が広がってさあ大変。
なので俺は圧縮した水を放出し、先にカナ本体を空高く押し返す。
その後熱を吸収する、煙突のような形をしたオブジェを生み出す魔法で炎を封印した。
氷魔法なので、魔力を込めればそれなりに頑丈となる。
はばたきの風は魔法ではなく物理現象、そう簡単に崩れることはなかった。
「──“天駆”、“統率”、“影分身”」
空を自在に渡れるようにした状態で、自らの分身を影から生み出す。
それらは統率スキルをアクティブ化させることで、指令通りに動いていく。
先ほど向上した処理能力分を注ぎ、影分身たちを操らせる。
ついでに<千思万考>も使って、思考詠唱で大量の魔法を降り注いでおく。
「ッ!? は、ハークさん!」
当然、魔法への対応はハークが担う。
一つや二つならまだしも、今回は相殺できる数を狙って五百だ。
低威力だが魔力感知には高威力だと思わせる、そんな詐欺みたいな魔法ばかりセットしておいたので、避けるという選択肢を選ばずに対処してくれる。
その間、影分身たちは俺が指示した通りの場所へ向かう。
そこでさまざまな方法で、『術』を起動する影分身たち。
印、符、妖気など……魔法と違ってさほどイメージを必要としない、まさに分身でもできるような攻撃が可能──それが『術』だ。
「スラ君、お願い!」
しかし、カナが従えているのは蛇龍と天魔と狐だけではない。
彼女が掌を前に突き出したかと思えば、それがドロリと粘液のように動き出した。
そして、それは『術』に命中し──何事もなかったかのようにすべてを呑み込む。
名前と能力からして、魔粘体系の従魔を配下にしていたようだ。
彼女の魔力量が回復し、魔法陣が二枚展開される。
一枚は彼女の足元、もう一つは──俺のすぐ近く!
「──“後宙返脚”!」
「スラ君──“物理反射”!」
「なっ……ぐっ!」
現れたカナに向けて、蹴りを叩き込みながら後退をする……そこまではよかった。
しかし、カナのスライムはただの魔力を喰えるだけのスライムではなかったらしい。
蹴りがスライムに命中すると、その衝撃が俺に逆流してきた。
どれだけ押し込んでも跳ね返ってきそうなので、即座に空歩スキルで宙を蹴って離脱。
改めて魔力を弾丸にして飛ばすが、それは吸収するだけで何もしてこない。
ブラフかもしれないが、おそらくは物理攻撃のみをカウンターできる能力なんだろう。
「物理だけではダメ、か……ならば、魔法も付けさせてもらおう──“疑聖装備”」
煌魔法に存在する、一時的に装備に聖性を与えるこの魔法。
これなら魔力もセットで付いてくるので、確かめるのにちょうどいい。
ついでに、空に浮かべている大量の魔眼。
そちらにも少々細工を加えておく……一つぐらい色が変わっても、気づける者はそうはおるまいよ。
「スラ君、それにミロちゃんも頑張って」
「悪いが、俺は聴覚も良いぞ。物語のように都合の悪い部分が聞こえないとは思うな」
流れからして、魔法反射もできるのか。
先ほど使わなかったのは……威力が弱いとか、向こうなりに事情があるのだろう。
さて、まだまだ楽しめる。
邪魔者は誰もいない……ふっふっふ、さっきのアレでやる気スイッチが点いたな。
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