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偽善者と還る理 十七月目

偽善者と自己紹介 その30

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 夢現空間 居間


「どうしようかねぇ……まったく」


 火は結局真っ黒で、少しもクリーンでホワイトな輝きを放ってはくれなかった。
 とても虚しくなったが、それでも眷属たちの研究に期待しよう。


「さて、訊いておこう。何かいい方法は浮かばないか?」

「うーん、結局のところ真っ黒でも問題ないと思うよ。黒色の主人公キャラだって多いんだし、カッコイイじゃん」

「方法でもなんでもないな……まあ、黒から白になりたかったけど、そこはいいか」

「たしかに白い火も見てみたいけどね」


 この先フレイ君がどういった成長を遂げるかは謎だが、少なくとも赤も含めて三色の火が扱えるのはたしかだ。

 白色は彼のハーレムから生みだされた絆の火であり、黒色は彼を憎む者たちが生成した憎悪の火……赤は調査中だから不明。

 ──両方同時とか、三色同時は面白いな。


「さてさてさーて、そろそろ始めていっちゃいましょーか! 第三十回クエッションターイムのお時間です!」

「やんややんやー!」

「今回のゲストはこの方──転生少女であらせられるアイリスちゃんです!」

「はいはい、どうもどうも」


 ノリがいいので、こっちのテンション上がるものだな。
 やっぱり、知っているかいないかで反応も態度も違う。


「いやー、それにしても転生ですかー。異世界をこよなく愛するマニアからすれば、貴女はきっと憧れの的ですよ」

「あはは、わたしもそうは思うけど……実際死ぬ前って、辛いものだからね」

「俺はまだ死んでないけど……肉体、腐ってなきゃいいよ」

「た、たぶん大丈夫……だよ?」


 レイやリオンに確認したうえで、大丈夫だと言われたので安心だが……それでも、実際に確かめてみないと心配なんだよな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「問01:あなたの名前は?」

「アイリス=タピュ=ウータだよ」


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

「女の子で、ウータ王国、生年月日は建和7年3月31日だよ」

「なお、建和とはアイリスとカナタの世界での元号のことです。予め、ご了承ください。逃げ込む前は何歳だったんだ?」

「10歳だったね」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

「アッシュブロンドの髪に金色の瞳、あとは背中から生えた小さめの翼だよ。それに……キャラクリした人形っぽい顔?」

「何かモデルとかあるのか?」

「特に無いけど……ラノベの絵かな?」


「問04:あなたの職業は?」

「(異界技師)だね。あと、いちおう元第四王女だったよ」


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

「明るくて、前向き……かな」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

「機械弄りと読書だよ」


「問07:座右の銘は?」

「奔放不羈。前世みたいに病気とかで縛られないで、自由に生きてみたい」


「問08:自分の長所・短所は?」

「長所は転生者なことで、短所はその知識が偏ってること」

「……まあ、ほとんどラノベだしな」


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

「好きなのは本で、嫌いなのは病気かな」


「問10:ストレスの解消法は?」

「フィレルと話すことだと思う」


「問11:尊敬している人は?」

「メルスもだけど……やっぱり、フィレルだよ。わたしをずっと守ってくれていたし」


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

「そうだなー健康管理だと思う」


「問13:この世で一番大切なものは?」

「この世、でも家族だな。パパとママにはもう会えないから……大切にするよ」


「問14:あなたの信念は?」

「前世より長生き! みんなにも、長く生きてほしいよ」


「問15:癖があったら教えてください」

「フィレルは翼が動くことがあるって教えてくれたな」


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

「当然、ツッコミだよ!」


「問17:一番嬉しかったことは?」

「もうお別れしちゃったと思ったフィレルとまた再会できたことかな?」


「問18:一番困ったことは?」

「そんなわたしたちを助けてくれたハーレム主人公が、いろいろと問題を抱え込んだ人ってことだよ」

「…………」


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

「飲めないな……」


「問20:自分を動物に例えると?」

「特に浮かばないし……黄色系の人間でいいよね」


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

「あだ名だったら、たしか『天賢の王女』とかそんなのがあったかな? そのあとすぐに襲われちゃったけど……」


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

「さっきのヤツの原因だね。勝手に空飛ぶ島だからって動かしたから、あそこはああなったんだよ。みんな、わたしは悪くないって伝えてくれたけど……うん、反省しないといけないよね」


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

「いつかあの島をまた、空に浮かばせたい」


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

「神様に与えられたものだけど、神様のためのものじゃないもの。だって、わたしはわたしなんだし」


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

「さっきのアレ。戻れるなら引っ叩いてでも止めているかな」


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

「いっそ、メルスの力で神様に戦争でも吹っ掛けちゃう?」

「アイリスが望むならるぞ?」

「うーん……少し考えておく」


「問27:何か悩み事はありますか?」

「まだ島を浮かす方法がないんだよね。浮かばせても、またアレの二の舞だし……」


「問28:死にたいと思ったことはありますか?」

「そう思わないように、時間を止めて待っていたんだよ」


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

「もう生まれ変わってるから、これ以上は望まないよ」


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

「老衰」


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

「フィレル、いつもありがとう! わたし、フィレルのこと大好き!」


「問32:最後に何か一言」

「もちろん、メルスもね」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はい、カット──おまけかよ」

「そんなことないよ。女の子の友情の中で一番好きなのはフィレル、まだよく分からないけど……男の子の中だとメルスが一番気になる人なのは本当だし」

「まあ、アイリスと接点を持っている男が少ししかいないからな」

「そうじゃなくても……こういう出会い方があれば、ヒロインみたいにコロって堕ちちゃうものだよ」


 二つの精神年齢を足せば充分に大人なアイリスだけど、その二つはどちらも大人になっていない。
 ……フィレルといっしょに、両親の気分で見守っていかないと。


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