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偽善者と乞い求める日々 十六月目
偽善者と自己紹介 その27
しおりを挟む夢現空間 居間
眷属の大半と話を行った。
それぞれ悩みなどもあったが、溜め込む前に少しは解放できたと思う。
まあ、細かい部分は男ではなく女同士での会話が一番だと考えている。
俺がとやかく尋ねるよりも、自分から話せる状況を用意しておくべきだろうか?
「なんだよ、ここでやるのか? やっぱりここじゃなくて修練場にしないか?」
「なんでだよ。これまでやって来た全員がここでやったんだ。こればかりは、絶対に譲らないからな」
「……ハァ。ったく、仕方ないか。まったくもう。アンタ、こっちが譲歩したってことを忘れんなよ」
「だから、どうしてそうなる」
自分だってぬくぬくとコタツで温まっているのに……。
載っているミカンを一つ手に取り、皮を剥いてから口に抛る。
「むぐむぐっ。それで、炉の方はしっかりと機能しているか?」
「ああ、バッチリバッチリ。そのうちもう一つの方も試してみようかね」
「危なくない時に、必ず結界か封印が使える眷属が居る状態でやるんだぞ」
「はいはい、分かってるよ」
会話も一段落着いたのでゴホンと咳払いをしてから──
「さぁさぁそれじゃあ始めましょう! 第二十七回質問タイムを! 今回のゲストはこの方、戦闘狂いな格闘家──チャルさん!」
「よろしく頼むよ」
「はい、ありがとうございます。それじゃあどんどんやっていきますか!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「問01:あなたの名前は?」
「『S100-charfaojru』。略式名がチャルだ」
「ちなみに意味は?」
「──さあ」
「さあって……」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「女性型。出身地、製造日は共にロックが掛けられていて分からないね」
「強引に調べるとエラーが出るかもしれないから、調べてないだけだがな」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「グラスファイバーで作られた髪と、特殊な水晶でできた瞳。体の所々に歯車みたいな模様があるよ」
「普段は隠しているぞ」
「問04:あなたの職業は?」
「(剛魔拳師)だよ」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「戦が好きで、やらずにはいられない……って感じかね?」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「どっちも闘いだ」
「問07:座右の銘は?」
「一意奮闘、闘いにすべてを賭けること」
「問08:自分の長所・短所は?」
「長所は勘がいい、短所は考えないこと!」
「自慢げに言うことか?」
「うだうだ考えているよりは、愚直な方が楽じゃないかい」
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「好きなものは闘い、嫌いなものは闘いに関係ないこと」
「問10:ストレスの解消法は?」
「これ(拳を突きだす)」
「問11:尊敬している人は?」
「シュリュだね。アイツは覇者だ、その力があることを尊敬するよ」
「たとえ本人がそれを望んでなくとも?」
「力に貴賤なんてないさね。周りのことはともかく、持っているだけなら得さ」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「闘いはこれだね(先に同じ)」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「闘える相手。これがいなきゃ、死んだも同然になっちまうよ」
「問14:あなたの信念は?」
「高みを目指して、いつかはアンタだろうがワンパンで倒せるぐらいに強くなること」
「問15:癖があったら教えてください」
「特に無いねぇ」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「ツッコミだと思っているよ」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「眷属になって、強者との戦闘に明け暮れるようになったことだね」
「問18:一番困ったことは?」
「アンタが本気の本気、全身全霊を賭けた闘いをしてくれないことだね」
「……死ぬもん」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「酒は飲まないよ。いついかなる時でも、戦いに備えておかないとね」
「問20:自分を動物に例えると?」
「動物ねー……カンガルーじゃないかい? ほら、格闘しているし」
「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
「戦闘狂、ぐらいしかないね。こっちからすればそれは褒め言葉でしかないけどね」
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「よく覚えてないんだけど、封印されたことが反省することだと思うよ。そのせいで、長い間戦えてなかったんだからね」
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「製作者をボコる」
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「闘いのための人生」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「封印した奴をボコりたい」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「闘う」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「眷属以外と闘いづらくなった」
「なんでだ?」
「あんまり強く感じられなくなったんだよ」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?」
「ないね。むしろ、死ぬって気持ちで戦った方が強くなれるんだよ」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「最弱の普人になって、そこから最強でも目指してみたいね」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「最強の相手と闘って相打ちで死亡」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「メルス。アンタのお蔭で、私は昔よりも強くなれたと思う。それに、誰かのためじゃなく人のために闘うなんてことも知れた」
「問32:最後に何か一言」
「切り込み隊長、とか言ってたね。いいさ、アンタと居ればきっと闘いも面白くなる。大将、私を連れてってくれよ。どこよりも楽しい戦場へ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はいカット! 戦場って言われても……無限に魔物が出てくる迷宮しか知らないぞ」
「いつの間にそんなものを! もう、あるならあるって先に言ってくれよ」
「……それを言うと、チャルがそこに引き籠もると思ったから言ってなかったんだよ」
後日、本当にそこへチャルが引き籠もったので、救出班が結成され──魔物と脱出することを拒むチャルと闘うことになるとは……そのときの俺は、知らないがすでに予想が付いていてため息を吐くのだった。
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