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偽善者と三つの旅路 十五月目
偽善者と自己紹介 その26
しおりを挟む夢現空間 居間
魔剣との旅を終えて早数日、今回の問題点すべてを洗い直して眷属に報告した。
前に使った『具纏』もそうだが、魔力を魔力として運用する技術をもう少し高めておいた方がよさそうだ。
パクリと罵られそうだが、参考資料はほぼ無限に存在する。
その中から最適なアイデアを頂き、実用できるものを取り入れればいいのだから楽だ。
「ふーん、メルスも大変なんだねー」
「いや、これは眷属……の解析班が大変なだけだ。俺はアニメでも見ながら、どれをやりたいか考えるだけなんだしさ」
「それはいつも通りだと思う気が……なんでこっちを見て解析班だけにしたの?」
似たようなやり取りをしたばかりだが、気にせず会話を続ける。
実際俺の立場なんて、外部に発注をしたけど詳細を曖昧に伝えている奴ぐらい気分は適当だった。
というか、何もしない方が性能がよくなる気がしてな……本当に言いたいことがあるなら伝えるが、基本的にそっとしておいた方がいい仕事ができるからな。
「けどさぁ、具体的などういうことがそれに当て嵌まるの? 魔力の運用って、魔法でもしているよね?」
「早い話、魔法のプロセスすべてを手動で行えば該当する。スキルの再現とかもできるから、やればやりがいがあるんだぞ」
「ふーん、あんまり面白くなさそう」
ここら辺は男女の違いだろうか?
俺は楽しいと思うんだが……まあ、それは別の機会に。
「さぁ、では始めましょうか! 第二十六回質問ターイム! 今回のゲストはこのお方、格上殺しな凄腕ゲーマーアリィさんです!」
「よろしくねー」
「はい、可愛いお返事をありがとうございます。この映像を見ている皆さんも、きっとアリィさんのお顔に頬を赤らめてますよ」
「そうかな?」
まあ、全眷属がそんな感じだけどな。
俺は耐性が付いた、というか慣れたというか……慣れなければヤられていたと言うべきか……いろいろとあったんだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「問01:あなたの名前は?」
「アリィ、苗字は無いよ」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「女性で、出身は……うんうん、ネストとかいう町で、5月27日よ。もちろん、生まれた年は内緒」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「髪はストロベリーブロンド、瞳は青、好きでよく着ている服には、いろんなトランプの模様が入っている……背は人並み」
「それじゃあ分からないだろ、アリィはだいたい日本人の中学生ぐらいだな」
「問04:あなたの職業は?」
「【札姫】だけど」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「天真爛漫に決まってるよ……えっ? 誰が偏狭頑固よ!」
「いや、何も言ってないぞ」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「趣味も特技もゲームに決まってる!」
「問07:座右の銘は?」
「初志貫徹!」
「問08:自分の長所・短所は?」
「短所なんてないことが長所かな? ……だから、そこまで抜けてないよ」
「ああもう、アリスも表層に出て答えてやってくれよ──そっちの中だけで話してたら、観ている人が分からないだろ」
『そう? アリィの別人格アリスよ。短所は少し傲慢だったところね』
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「好きなのはゲーム、嫌いなのは……『お勉強よね?』なんで言うのさ!」
「問10:ストレスの解消法は?」
「もちろん、ゲームに決まってるじゃない」
「問11:尊敬している人は?」
「『クーなんかが凄いわよね』このメルスをアリィに勝たせるんだから!」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「ゲームのポリシーかな」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「うーん、今はみんなかな?」
「問14:あなたの信念は?」
「どんなに強い相手でも、みんなの役に立とうってことかな?」
「問15:癖があったら教えてください」
「癖なんて無い……『アリィは負けるとむくれるわね』そ、そんなことないもん!」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「ツッコミ!『ボケよ』」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「みんなが友達になってくれたことかな?」
「問18:一番困ったことは?」
「クーがセットのメルスには、まだ一度も勝ててないこと」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「飲みたい!『ダメよ』」
「問20:自分を動物に例えると?」
「自由気儘な猫!」
「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
「別に無いよ『これは同意ね』」
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「反省……無い!」
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「いつかクーとセットのメルスに勝つ!」
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「ゲームを楽しむためのものだと思う」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「メルスとの最後の勝負でアッチを引いていれば……って、ちょっと思う」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「うーん……メルスならどうにかするし、アリィはのんびりゲームでもしているよ」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「未だに勝ち方が分からないこと」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?」
「ない!」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「アリィはアリィのままがいい……けど、アリスと双子ってのも面白いかもね?『……もう、アリィったら……』」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「クー付きのメルスに勝って燃え尽きる!」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「アリス、いつもありがとう。アリィはアリスがいなきゃダメなときがあった。でも、それを支えてくれたのはアリス……だから今、こうしてゲームができる」
「問32:最後に何か一言」
「『こっちの台詞よ……アリスを生んでくれてありがとう、アリィ。メルス、こんな私たちだけど貰ってくれるかしら?』えっ……アリス!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はい、カット! ……貰う気でいるから、ここで暮らしてもらっているんだがな」
「そそ、そうなの? そうだったの?」
「まあ、別に返事は待ってるよ。俺は家族が欲しいのであって、それから先はお前たち次第だしな」
「メルスって……。ヘタレよね」
う、うるさい! そんなこと、俺が一番分かっているわい!
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