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偽善者とキャンペーン 十一月目

偽善者と自己紹介 その17

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 夢現空間 居間


 長かったキャンペーン期間も、そろそろ終了する。

 途中から放置していたクラーレたちの方にも後半ぐらいから顔を出し、教えられる限りの隠蔽系のスキルを教えた。

 ユウが協力してくれたこともあって、どうにかキャンペーン期間内にある程度の出来になったので満足だ。


「さて、今回は第十七回自己紹介タイムのお時間となりますが。ゲストはこの人──」

「どうも、アンでございます」

「できる限り仕事を抱えていない限り、眷属として活動を始めた順にやりたかったんですが……そもそもプレイヤーに関してはプライバシーの侵害に当たるなどの観点から中止となりました。待ち侘びていた方、いないとは思いますが申し訳ありません」

「いきなり飛びましたからね。わたしが出るなど、メルス様が島に飛ばされた以降の登場ですよ」

「ここから、俺の異世界ライフが始まったんだよなー。今までよりも肌のキメ細やかさが感じ取れちゃったり、体の部位に視線が誘導されたり、大変だったんだぞ」


 そんな恥ずかしい思いは、思考の奥深くへ封じ込めていたが、語らないだけで体は息子マイサン以外正直に動いていました。


「よし、そろそろ始めちゃうか」

「はい、よろしくお願いします」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「問01:あなたの名前は?」

「アンです、レンではなくアンです」

「……いや、だからレンもだったけど一々それ言うの」

「似た名前が出た際のお約束ですから」


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

「女性、終焉の島、善歴元年」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

「アルビノです。それに、機人らしく死んだ魚のような目です」

「それは種族としての特徴じゃない」


「問04:あなたの職業は?」

「【賢者】です」

「魔術師から魔法使いをすっ飛ばして、もうそこかよ。魔導使えるのか?」

「はい、まだ未熟ですが」


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

「熱願冷諦。熱意を持って真剣に願い、冷静に本質を見極められます」

「……まあ、強ち間違ってないか」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

「観察です」

「…………」

「観察です」


「問07:座右の銘は?」

「比翼連理、まさにわたしとメルス様のような関係ではありませんか」

「ハーレム全員と、そうだと言いたいんだけどな」

「まあ! このタイミングで別の女性の話ですか! メルス様、あとでお仕置きです」

「全部淡々と言われても、全然心に響いてこないな」


「問08:自分の長所・短所は?」

「長所はメルス様の感覚を自在に共有できること、短所はあまり戦闘面でのサポートができないことでしょうか」


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

「好きなのは観察、嫌いなのは妻に秘密を持つ夫、ですね」

「…………」

「はい、さすがに冗談です」


「問10:ストレスの解消法は?」

「観察です」


「問11:尊敬している人は?」

「メルス様、それにわたし以外の眷属の皆様全員でしょうか」

「おお、初めてそんな大人数をチョイスしてくれたな。で、その理由は?」

「わたしという人格だけでは支えられないメルス様を、手と手を取り合い、支えることができているからです」


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

「スキルや魔法の最適化ですね。たまに内緒で弄ってます」

「いや、言ってくれよ。言われるまでたまにしか気づけなかった」

「メルス様はもともと保有するエネルギーの量が尋常ではありませんので、効率化を図ってもあまり意味が無いんですよね」


「問13:この世で一番大切なものは?」

「メルス様です」

「そういえばアン……というより[不明]って種族を創った大神がいたけど、そっちは大切じゃないのか?」

「あとで洗脳されるならともかく、今はメルス様が大切です」

「そうなったら書き換えをやってみるわ」


「問14:あなたの信念は?」

「そうですね……メルス様が望む未来を築く補助を、でしょうか」


「問15:癖があったら教えてください」

「目が死んでますね」

「……いや、もうそれでいいか」


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

「ボケ兼ツッコミです」


「問17:一番嬉しかったことは?」

「突然現れたわたしを、あっさりと了承してくれた最初の頃でしょうか」


「問18:一番困ったことは?」

「魔法の特訓だと言って、大量出血をしながら魔法を行使していたときですね」


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

「飲めますが、特にこれといったものは決めていません」

「機械なのに、飲めてます」


「問20:自分を動物に例えると?」

「賢い動物ということで、人ということで」

「それなら梟じゃないか」

「森には関係ありませんので」


「問21:あだ名、もしくは「陰で自分はこう呼ばれてるらしい」というのがあればどうぞ」

「メルス様専用GPSですかね? たまに位置情報を教えています」

「バレると思ったらアンがやってたのか」

「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

「まだまだメルス様のスキルが完璧ではないことです。夢現シリーズは最高傑作ですが、すべてがそれに比肩する程のスキルになっていませんので」


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

「メルス様にいついかなるときでも寄り添える存在になりたいです」


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

「メルス様に捧げるものかと」


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

「いいえ、ありません」


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

「世界から脱出する方法でも考えましょう」


「問27:何か悩み事はありますか?」

「魔導が上手く使えないことですね」


「問28:死にたいと思ったことはありますか?


「ありません」


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

「……今の関係で、充分です」


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

「願わくば、メルス様とともに」


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

「メルス様、この後の予定は?」

「……特に決めてないな」


「問32:最後に何か一言」

「では、魔導について手取り足取り腰取りご教授を……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「カット~、しません。情報ならいっぱいあるだろう」

「そんな、殺生な!」


 まあ結局、この後アンと魔導の練習をした結果、かなり俺にとっても有益な技術を掴めたんだけどな。


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