691 / 2,518
偽善者とキャンペーン 十一月目
偽善者と自己紹介 その17
しおりを挟む夢現空間 居間
長かったキャンペーン期間も、そろそろ終了する。
途中から放置していたクラーレたちの方にも後半ぐらいから顔を出し、教えられる限りの隠蔽系のスキルを教えた。
ユウが協力してくれたこともあって、どうにかキャンペーン期間内にある程度の出来になったので満足だ。
「さて、今回は第十七回自己紹介タイムのお時間となりますが。ゲストはこの人──」
「どうも、アンでございます」
「できる限り仕事を抱えていない限り、眷属として活動を始めた順にやりたかったんですが……そもそもプレイヤーに関してはプライバシーの侵害に当たるなどの観点から中止となりました。待ち侘びていた方、いないとは思いますが申し訳ありません」
「いきなり飛びましたからね。わたしが出るなど、メルス様が島に飛ばされた以降の登場ですよ」
「ここから、俺の異世界ライフが始まったんだよなー。今までよりも肌のキメ細やかさが感じ取れちゃったり、体の部位に視線が誘導されたり、大変だったんだぞ」
そんな恥ずかしい思いは、思考の奥深くへ封じ込めていたが、語らないだけで体は息子以外正直に動いていました。
「よし、そろそろ始めちゃうか」
「はい、よろしくお願いします」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「問01:あなたの名前は?」
「アンです、レンではなくアンです」
「……いや、だからレンもだったけど一々それ言うの」
「似た名前が出た際のお約束ですから」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「女性、終焉の島、善歴元年」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「アルビノです。それに、機人らしく死んだ魚のような目です」
「それは種族としての特徴じゃない」
「問04:あなたの職業は?」
「【賢者】です」
「魔術師から魔法使いをすっ飛ばして、もうそこかよ。魔導使えるのか?」
「はい、まだ未熟ですが」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「熱願冷諦。熱意を持って真剣に願い、冷静に本質を見極められます」
「……まあ、強ち間違ってないか」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「観察です」
「…………」
「観察です」
「問07:座右の銘は?」
「比翼連理、まさにわたしとメルス様のような関係ではありませんか」
「ハーレム全員と、そうだと言いたいんだけどな」
「まあ! このタイミングで別の女性の話ですか! メルス様、あとでお仕置きです」
「全部淡々と言われても、全然心に響いてこないな」
「問08:自分の長所・短所は?」
「長所はメルス様の感覚を自在に共有できること、短所はあまり戦闘面でのサポートができないことでしょうか」
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「好きなのは観察、嫌いなのは妻に秘密を持つ夫、ですね」
「…………」
「はい、さすがに冗談です」
「問10:ストレスの解消法は?」
「観察です」
「問11:尊敬している人は?」
「メルス様、それにわたし以外の眷属の皆様全員でしょうか」
「おお、初めてそんな大人数をチョイスしてくれたな。で、その理由は?」
「わたしという人格だけでは支えられないメルス様を、手と手を取り合い、支えることができているからです」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「スキルや魔法の最適化ですね。たまに内緒で弄ってます」
「いや、言ってくれよ。言われるまでたまにしか気づけなかった」
「メルス様はもともと保有するエネルギーの量が尋常ではありませんので、効率化を図ってもあまり意味が無いんですよね」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「メルス様です」
「そういえばアン……というより[不明]って種族を創った大神がいたけど、そっちは大切じゃないのか?」
「あとで洗脳されるならともかく、今はメルス様が大切です」
「そうなったら書き換えをやってみるわ」
「問14:あなたの信念は?」
「そうですね……メルス様が望む未来を築く補助を、でしょうか」
「問15:癖があったら教えてください」
「目が死んでますね」
「……いや、もうそれでいいか」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「ボケ兼ツッコミです」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「突然現れたわたしを、あっさりと了承してくれた最初の頃でしょうか」
「問18:一番困ったことは?」
「魔法の特訓だと言って、大量出血をしながら魔法を行使していたときですね」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「飲めますが、特にこれといったものは決めていません」
「機械なのに、飲めてます」
「問20:自分を動物に例えると?」
「賢い動物ということで、人ということで」
「それなら梟じゃないか」
「森には関係ありませんので」
「問21:あだ名、もしくは「陰で自分はこう呼ばれてるらしい」というのがあればどうぞ」
「メルス様専用GPSですかね? たまに位置情報を教えています」
「バレると思ったらアンがやってたのか」
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「まだまだメルス様のスキルが完璧ではないことです。夢現シリーズは最高傑作ですが、すべてがそれに比肩する程のスキルになっていませんので」
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「メルス様にいついかなるときでも寄り添える存在になりたいです」
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「メルス様に捧げるものかと」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「いいえ、ありません」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「世界から脱出する方法でも考えましょう」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「魔導が上手く使えないことですね」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?
」
「ありません」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「……今の関係で、充分です」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「願わくば、メルス様とともに」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「メルス様、この後の予定は?」
「……特に決めてないな」
「問32:最後に何か一言」
「では、魔導について手取り足取り腰取りご教授を……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「カット~、しません。情報ならいっぱいあるだろう」
「そんな、殺生な!」
まあ結局、この後アンと魔導の練習をした結果、かなり俺にとっても有益な技術を掴めたんだけどな。
0
お気に入りに追加
510
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
DPO~拳士は不遇職だけど武術の心得があれば問題ないよね?
破滅
ファンタジー
2180年1月14日DPOドリームポッシビリティーオンラインという完全没入型VRMMORPGが発売された。
そのゲームは五感を完全に再現し広大なフィールドと高度なグラフィック現実としか思えないほどリアルを追求したゲームであった。
無限に存在する職業やスキルそれはキャラクター1人1人が自分に合ったものを選んで始めることができる
そんな中、神崎翔は不遇職と言われる拳士を選んでDPOを始めた…
表紙のイラストを書いてくれたそらはさんと
イラストのurlになります
作品へのリンク(https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=43088028)
虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
俺と異世界とチャットアプリ
山田 武
ファンタジー
異世界召喚された主人公──朝政は与えられるチートとして異世界でのチャットアプリの使用許可を得た。
右も左も分からない異世界を、友人たち(異世界経験者)の助言を元に乗り越えていく。
頼れるモノはチートなスマホ(チャットアプリ限定)、そして友人から習った技術や知恵のみ。
レベルアップ不可、通常方法でのスキル習得・成長不可、異世界語翻訳スキル剥奪などなど……襲い掛かるはデメリットの数々(ほとんど無自覚)。
絶対不変な業を背負う少年が送る、それ故に異常な異世界ライフの始まりです。
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる