深林の弓撃手~神様何故俺だけなんですか~

眼鏡羊

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第1章 何故森なんですか!

第1話~何故思い出すのに痛みがともなうんですか~

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ぺたっ  ぺたっ・・・・

「うう~んなんだよ仁」

ぺたっ・・パシッパシッ・・

「いたいって・・仁」

パシッ・・・バシッバシッバシッバシッバシッ

「痛いっつってんだろ!・・・・・あれ?」

しつこく起こしてくる仁に苛立ち、何故か強烈に痛む頭を
抱えながらも体を起こしてみるとそこには見知った顔はなかった

 あれっ仁は?

 軽く辺りを見渡してみてもその姿はない不意に重みを感じ少し視線を下げてみると

「キキッ」

「うわっなんだよお前!」

 何故かそこには変な猿?のような生き物がいた。焦ったわたわたしながら飛び起きる。それに驚いたのか変な猿?のような生き物は木の上に逃げて行った

「な、なんだったんだ今の!?」

 変な生き物との遭遇に鼓動が早くなるのを感じる。数度の深呼吸で早くなる鼓動を抑え、辺りを観察してみる

「ここは・・・・何処だ?」

どうやら俺は森の中で寝ていたらしい

「なんで俺・・・こんなところで寝てるんだ?」

不意に軽い頭痛と共に記憶が蘇ってくる

「そうだ、確か朝のホームルームが始まって・・・」


~~~~~~~~~


「えっ?」

「どうした幸人?」

仁が不思議そうに聞いてくる

「いや仁、なんか床が光ってないか?」

「はぁ何言ってんだおま・・・え?」

次第にその光りは幾何学的模様を作りながら教室に広がっていく
 
「お、おい仁なんだよこれ!」

「し、知らねーよ俺に聞くなよ!」

 日常ではありえない光景にクラスメイトも気づきそこかしこで悲鳴に近い声が上がっている

「さ、早苗ちゃん何これ?」

 クラスの女子に質問を投げかけられた早苗先生だったが理解が追いついていないのか女子の質問を返すことなく呆然としている

 突然の事に何人かのクラスメイトが教室のドアを開けて外に出ようとするもののドアはまったく開く気配がないようでそちらの方からも焦りの声が聞こえてくる

「み、皆、落ち着け!」

 呆然としていた早苗先生がはっ!となりパニックになっているクラスメイト達を落ち着けようとしているがそこかしこから上がる悲鳴に似た叫び声にかき消され早苗先生の声はみんなに届いていないようだった

 教室中がパニックになり、誰もが慌てふためく中俺は不意に心配になりとなりの席の藤堂さんの方を振り向く。そしてその横顔を見て俺は自分の体が固まったように動かなくなっていた



なんで?・・藤・・堂さん・・笑っ・・てる・・ん・・・


次の瞬間教室を眩い光が包んだ

~~~~~~~~~~~

「そうだそこまでの記憶ははっきりしてるんだ!でも俺達はそのあと・・何処かに・・うぅっ」

軽い頭痛ですんでいた痛みは次第に強さを増していく

「くっ・・その後、思い出せ・・・・・」

・・・そうだ・・・その後俺達は真っ暗な空間で・・・
誰かと・・話して・・・・だめだこれ以上は思い出せない

「待て、藤堂さんは、仁は、先生やクラスメイトのみんなは何処に行ったんだ!」

 多少の記憶が戻ったことにより不安になった俺は周りを見渡してみる。が、俺の周りには誰もいない。どうしようもない不安と苛立ちが胸に押し寄せる。

 仁は?藤堂さんは?先生やクラスメイト達はどこだ?

 不安に駆られ辺りを見ていた俺の視線に不意に左手の中指にはまった無機質な銀色の指輪が目に入った

「なんだよ・・これ・・・・うっ!」

また頭痛が強さを増す。するとふと頭に言葉が浮び呟いた

『オー・・プン』

すると目の前に何かが表示された


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

砂霧 幸人(さぎり ゆきと)

AGE  16

SEX   MALE

Lv.1  (0/20)

HP  100/100

ST  25/80

MP 30/30

STR  30

VIT   10

DEX   45

INT35

LUK50

スキル【なし】  保有SP100

称号
・世界を超えし者(経験値+5%)

天職
【???】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「俺の名前・・・これは俺のステータスなのか?」

 何故か直感的にこれが自分のステータスだと理解できた
だが理解は出来るのだか分からない事もある

スキル?称号?天職? 
それに称号にある世界を超えし者ってどういう事だ?

色々考えを巡らせるが当然の如く答えは浮かんでこない。 しかし、考えを巡らせるていく内に先程まで感じていた頭痛が少しずつ引いてきていくのがわかった。5分も経つと身体のダルさはあるものの多少ずつ思考がクリアになった

「なんとか、頭痛も治まってきたか・・・しかしここは何処なんだ?」

再び周りを観察していると何かが右手に触れた

「これは、おれのカバンか?」

 それは俺がいつも通学に使っている茶色の肩掛けカバンであった。高校入学のお祝いに兄がプレゼントしてくれた物で、見た目に反して物が結構物が入る所が気に入って愛用していた。

 (でもなんでこんところに?)

疑問に思いながらも一応気になりカバンの中身を確認してみる

中には

・水1本
・エネルギーバー2本
・愛用の音楽プレイヤー
・週刊誌

ここまではわかる俺がいつもカバンに入れている物だ

・四角い動物の皮のような物
・見た事もない硬貨が数枚
・刃渡20cm程の柄に不思議な模様が入ったナイフ

(何故こんなものが入ってるんだ?)

疑問に思いながらもカバンを探っていると
不意に手に当たる紙の感触があった

「手紙?」

不思議に思いながら手紙を開けてみるそこには 

《あなたの為すべき事を為しこの世界を
    生き抜いて下さい》

「なんだこれ?俺の為すべき事?」

手紙にはそれ以上なにも書かれていない

訳がわからないままカバンをさぐってみるがこれ以上は
何も入っていないようだ

「これ以上は何もないか・・・これからどうすればいいんだ」

今の自分の置かれている状況から楽観的にはなれないが
何故か悲愴感も生まれてこない
どうしようかと考えていると不意に電子音が鳴る

「ん?」

開きっぱなしになっていたステータス表示の方を
見てみるとそこに

『 スキルを選択してください』

と表示されている
スキルを選択する?疑問に思いながらも先程の文字の
下のボタンを押してみる
するといくつかの項目が表示された

「・・・なんか、少なくないか」

そこには

【戦闘スキル】
・弓士術    必要SP20

【補助スキル】
・即席鑑定(仮)    必要SP10
・解体術  初級    必要SP15
・造形  初級        必要SP20

【常時発動スキル】
・狩人の感覚       必要SP25  

しか表示されていない

「これ、選択肢なくないか・・・」

さっきは頭が混乱していて思いつかなかったが
確か前に仁から借りたゲームにスキルを自分で選択してプレーしていくやつがあった
俺の記憶が正しければゲームでの最初に選択出来る
スキルは少なくみても50個はあり始める時にすごく
悩んだ記憶がある

そこから考えてみても5個と言うのは少なすぎる

「まぁ逆に悩まなくていいんだろうけどなんか納得できねぇよなぁ」

そういいながらも俺は表示された全てを選択する

選択し終えると自分のステータスのスキルの欄に表示された 


弓士術・・・ってことは弓が使えるって事だろ
即席鑑定の後ろの(仮)ってなんなんだ?
まぁ解体術と木工はそのままそれができるようになるって
ことか?



「・・・・・弓、か・・藤堂さん大丈夫かな」

不意に光に包まれる直前の彼女の笑っている横顔が思い浮かぶ
なんであの時藤堂さんは笑ってたんだろう?
俺も、仁も、クラスの皆や先生までパニックになっていた
というのに・・・

彼女は何かしっているのだろうか?・・・

いくら考えてみても何故あの時彼女が笑っていたのか
わからなない

「あぁ~わからん!」

頭を掻きながら、落ち着こうと水を飲む

「はぁ~しかし、いったいここは何処なんだ?」

俺達が住んでいた街にこんな森はなかったはずだ
それにさっきの変な生き物はなんなんだ?
そもそも俺は何故こんな所で寝ていた?
考えれば考えるほどわからなくなってくる

「ああーー!とりあえず悩んだって仕方ない、分かんないことは分かんないんだしとりあえず適当に歩いてみるか」

俺は立ち上がり周りをみる

「と、言ってみたはいいものの周り全部森なんだよな」
 
森か・・・確か前にTVで森や山で遭難したらとりあえず高い方に向かって行って救助を待てって言ってたっけ

それを思い出した俺は軽く傾斜のついた地面を歩き出した



「はぁ、はぁ、はぁ、しかしほんとここは何処なんだ」

歩いている方向を見てみても周りは森で変わらないが
地面に生えている植物は見た事もない、変な形をしていたり色が蛍光色だったりする

30分も歩いただろうか、だんだんと視界が広くなっていく 

「ん?森を抜けたのか?」

なんだ以外と小さい森だったんだなと思いつつ目の前の
小高い丘の頂上に登る

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、ようやく頂上か」

俺は軽い疲労感を感じつつも丘の上に登り遠くに街でも見えるだろうと遠くを眺めた

「たくっほんとここは何処なんだ・・・・・
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・へっ?」

俺がそこから見た景色は期待していた街などではなく
どこまでも果てしなく続く深い森であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おはこんばんにちは眼鏡羊です

自分はアルファポリスのアプリを使ってこの小説を
書いているんですが、昨日仕事の休憩中に携帯を見ると
この小説をお気に入り登録されましたと表示されて
いるのを見てうれしさ半分、恥ずかしさ半分でニヤニヤしてました。

あの時の俺は気持ち悪かった今思い返すと悶死しそうです。

次回予告
幸人は眼前に広がる森に希望を失いながらも行動を開始する。突然降りかかる命の危機、そしてそれに立ち向かうため初めての武器製作にとりかかる!

次回第2話
~何故あいつは、こんなにしつこいんですか~

閃け アイデア!!  成長しろ文章力!!
眼鏡羊でした
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