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傘
第325話 あなたの知らない世界
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鎖が霊峰の山々の間をうねる雲海のように部屋中にうねり、鎖鎖の接合部がキンキンと擦れて触れて当たって鳴り響いていく。
鎖の中心にいるのは鎖府。
彼女はいつもの傲慢さが抜けた清廉な巫女のような顔付きになって舞を舞って鎖を操る。
鎖から解放されたはずの支配人だが逃げようともせず、その場にへたり込みただ鎖府の舞いに魅入られている。
チリチリ、鎖の旋律が天上に漂う雲が溜めていく力を表現していく。
ピリピリ、ゴロゴロ、天に力なく漂っているように見える雲だが、その力は昔より天の力を示す。
金属音が峻烈な嶺の上から響く今にも墜ちそうな雷鳴を表してくる。
雷鳴とは神の意志、雷が落ちるとは神が降臨すること。
降臨する神を前にして人が出来ることはただ一つ
頭を垂れて屈服するのみ。
まさしく支配人は恐れおののいている。
ついに天に満ちた力が落雷する。
「魔よ天に調伏されるべし」
鎖府が静かに淡々と告げると部屋の中が黄金にスパークした。
部屋が瞬き元に戻った時、支配人は全身を鎖によってくまなく縛られていた。
亀甲縛りより細かくそれこそ指の一本一本に到るまで鎖で拘束され、もはや自分の意思で自由に動かせる部位は神を崇める目と許しを請う口のみである。
「さあ、これからが楽しい時間よ。
心を折って隷属してあげる」」
鎖府は獲物を前にした雌豹のように舌舐めずりしてニッコリと笑う。
「じゃあ、最初の質問ね。
会員名簿は何処にあるのかしら?」
鎖府が支配人に尋ねる。
「誰が・・ぐぎゃあああああああああああああああああああああああ」
支配人が鎖府に反逆の意を持った途端その意に比例して鎖が締まって苦痛を与える。本来ならコンクリートなど簡単に握り潰せるが、一流の拷問師のよいうに急所を避けて苦痛を最大限に与える。
「いい声。
私の意に屈服しない限りその鎖は永遠にあなたを拘束して罰を与え続けるわよ」
得意気に笑う鎖府を転がる支配人が理解が追い付かない目で見上げる。
「理解出来ないって目ね。
あなた闇社会の人間だと世界を理解した気になって粋がっていたようだけど、この世にはねあなたが知らない世界なんて幾らでもあるのよ」
良く不良とかチンピラとかが真面目に働く人間より闇を知っているぞと得意気になっているが、この世界はその程度で知れるほど浅くは無い。
「これでも私、魔から世界を守る正義の味方旋律士だったのよ。
私の旋律は魔を屈服させ服従させて調伏する旋律。
本来はこの世界の理から外れた魔を屈服させて調律するんだけど、人間相手に使うのは初めてなの、意外かしら?」
鎖府は無垢な少女のように小首を傾げて笑いかける。
旋律の力は魔を調律するためにある、人間に絶望して闇に墜ちた鎖府 泉璃澄だがその一線だけは守っていた。
だがあの男はいとも簡単にその一線を飛び越えろと囁いた。
人の心こそ魔だと。
怖いけどその先にある甘美の果実を囓りたい処女を誘惑するように、甘くするっと心の隙間に囁く。
そして泉璃澄はその甘美な囁きに乗ってしまった、まさしくイブを堕落させた蛇。
「うふ、これはもう責任とって貰わないとね」
鎖府は恋に恋して結婚に夢見る少女のように笑うのであった。
鎖の中心にいるのは鎖府。
彼女はいつもの傲慢さが抜けた清廉な巫女のような顔付きになって舞を舞って鎖を操る。
鎖から解放されたはずの支配人だが逃げようともせず、その場にへたり込みただ鎖府の舞いに魅入られている。
チリチリ、鎖の旋律が天上に漂う雲が溜めていく力を表現していく。
ピリピリ、ゴロゴロ、天に力なく漂っているように見える雲だが、その力は昔より天の力を示す。
金属音が峻烈な嶺の上から響く今にも墜ちそうな雷鳴を表してくる。
雷鳴とは神の意志、雷が落ちるとは神が降臨すること。
降臨する神を前にして人が出来ることはただ一つ
頭を垂れて屈服するのみ。
まさしく支配人は恐れおののいている。
ついに天に満ちた力が落雷する。
「魔よ天に調伏されるべし」
鎖府が静かに淡々と告げると部屋の中が黄金にスパークした。
部屋が瞬き元に戻った時、支配人は全身を鎖によってくまなく縛られていた。
亀甲縛りより細かくそれこそ指の一本一本に到るまで鎖で拘束され、もはや自分の意思で自由に動かせる部位は神を崇める目と許しを請う口のみである。
「さあ、これからが楽しい時間よ。
心を折って隷属してあげる」」
鎖府は獲物を前にした雌豹のように舌舐めずりしてニッコリと笑う。
「じゃあ、最初の質問ね。
会員名簿は何処にあるのかしら?」
鎖府が支配人に尋ねる。
「誰が・・ぐぎゃあああああああああああああああああああああああ」
支配人が鎖府に反逆の意を持った途端その意に比例して鎖が締まって苦痛を与える。本来ならコンクリートなど簡単に握り潰せるが、一流の拷問師のよいうに急所を避けて苦痛を最大限に与える。
「いい声。
私の意に屈服しない限りその鎖は永遠にあなたを拘束して罰を与え続けるわよ」
得意気に笑う鎖府を転がる支配人が理解が追い付かない目で見上げる。
「理解出来ないって目ね。
あなた闇社会の人間だと世界を理解した気になって粋がっていたようだけど、この世にはねあなたが知らない世界なんて幾らでもあるのよ」
良く不良とかチンピラとかが真面目に働く人間より闇を知っているぞと得意気になっているが、この世界はその程度で知れるほど浅くは無い。
「これでも私、魔から世界を守る正義の味方旋律士だったのよ。
私の旋律は魔を屈服させ服従させて調伏する旋律。
本来はこの世界の理から外れた魔を屈服させて調律するんだけど、人間相手に使うのは初めてなの、意外かしら?」
鎖府は無垢な少女のように小首を傾げて笑いかける。
旋律の力は魔を調律するためにある、人間に絶望して闇に墜ちた鎖府 泉璃澄だがその一線だけは守っていた。
だがあの男はいとも簡単にその一線を飛び越えろと囁いた。
人の心こそ魔だと。
怖いけどその先にある甘美の果実を囓りたい処女を誘惑するように、甘くするっと心の隙間に囁く。
そして泉璃澄はその甘美な囁きに乗ってしまった、まさしくイブを堕落させた蛇。
「うふ、これはもう責任とって貰わないとね」
鎖府は恋に恋して結婚に夢見る少女のように笑うのであった。
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