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第七話 査問
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次の日、出勤すると同時に一室に連行された。連行された薄暗い部屋の中、中央にぽつんと置かれた折りたたみ椅子に座らされ、眼前には見たことも無い連中が机を前にして座りこちらにプレッシャーを掛けてくる。
押し寄せる鉄壁の城壁に囲まれた気分だ。
「早速だが、犬鉄警部。君には公安の作戦の妨害をした嫌疑が掛けられている」
真ん中に座った偉そうな小太りの男がもったいぶって言ってくる。相手は3人、正式に査問委員会を開くかどうかの事前調査と言ったところだろうか。
それにしても、やっぱりこうなったか。昨日の作戦の失敗、俺に責任を押しつけて幕引きするつもりか。
「そこでまず質問だが、なぜ昨夜あそこにいた」
「デリヘル嬢謎の焼死事件のことで有力情報が入りまして、その事前調査に向かいました」
俺には査問を受けるに際して素直な態度で言う。ここで、反感を持ってふて腐れた対応をしたとしても、心証が悪くなるだけ。根性無しと陰口を言われたっていい、俺にはやるべき事が多いんだ、無駄に敵を作っている暇は無い。
「ほうっ。君にはその件から外れるように命令されたはずだが。重大な命令違反を犯したことになるぞ」
「そうでしょうか? 確かに命令されましたが、それは後日公安に引き継ぎをした時からということでしたが。なんでしたら嶺署長に確認をお願いします」
「そんな子供の理屈が通用するとでも思っているのかね」
左端に座っていた眼鏡の男が嫌みな口調で問い詰めてくる。
「屁理屈ではありません。事実、私は何ら命令違反はしていません」
「そこは大人なら察するべき事だろ」
「そうでしょうか、引き継ぎまで事件究明の為動くのが刑事だと、私は心得ていますが」
「一見立派だが、その実一人で事件を解決して、公安の鼻を明かしてやろうとゲスなことを考えていたんだろがっ」
右端に座っていた厳つい男が声を荒立てて言う。鍛え上げられた体に角刈り、威圧感は凄まじい。気が弱い被告ならあること無いこと自白させられそうだな。
「私一人が頑張ったところで事件解決が出来るなんて思い上がってはいません」
「ふんっどうだか」
「出し抜かれることを危惧するとは、もしかして一刑事が頑張ったくらいで簡単に解決できる程度の事件にわざわざ公安が出張ってきたのですか?」
「貴様ほざいたな」
角刈りは額に青筋が浮いてきている。俺の軽口にここまで反応するところを見ると、こいつは公安に関係しているメンバーだな。
「郷本君、少し落ち着きなさい」
「すいません。五津府さん」
「では話しを元に戻そう。なるほど君は事件解決の為尽力を尽くしていたと」
「はい」
「公安とバッティングしたのはあくまで偶然というのだね」
「そうです。別にあそこのビルに近寄るなと命令もありませんでしたし、不可抗力を主張します」
「では君はその偶然を生かして公安に仕返しをしたというのかね」
「おっしゃる意味が分かりませんが」
「君は偶然公安が強制捜査することを知り、妨害を企てたと言っているのだよ」
「それだと時間的に不可能です。私が現場に到着したときには、公安は既に集結を終え突入する寸前でした。私がコンビニに途中で寄った時間を確認してください。逆算的に現場に到着した時間が割り出せるはずです」
「都合良くコンビニに寄ったものだな。アリバイ工作か」
嫌みな眼鏡が追求してくる。穏やか、威圧、冷静の3種を揃えての攻撃か。
「事実ですよ」
「語るに落ちたな」
「はい?」
五津府がしたり顔で言ってきたが、今のどこに失言があった?
「今自白したでは無いか。偶然では時間的に間に合わない。要するに君は事前に公安の作戦を知り、その情報を敵組織に流したという訳だ」
何でそうなるんだよ理屈が分からない。いや分かる。此奴等俺が犯人だということは確定事項で、その上で筋を組み立てていやがる。
これは魔女裁判だ。
「なぜ私がそのようなことをしないといけないのでしょうか? 動機がありません」
「公安への意趣返し」
「私が公安に引き継ぐように言われたのはその日の昼ですよ。時間的に逆転してます」
公安に仕事を取られたことを言っていると思った俺は矛盾を指摘する。
「いやいや、君は我々の情報網を甘く見ているな。連続強姦殺人事件のことだよ。あの時点で君が公安と揉めたのは知っているのだよ」
そっちを今更持ち出すのか。この綿密な事前調査、どうあっても俺を戦犯にしたい強い意思を感じる。
呑まれたら終わりだ。俺は口を開く。
「それを根に持って公安の動きを調べ、犯罪組織に情報を流した。それこそ語るに落ちましたね」
「どこがだね。筋は通っているだろ」
「その筋で行きますと、公安は一介の警部の私如きに動きを探られるような脇の甘い組織だということになりますね。私が嗅ぎ回っていたのを、今の今まで気付けなかったと。
公安はエリートだと認識していましたが、
・
・
・
とんだ無能集団ですね」
「きっきさま」
郷本が青筋を切れそうになるほど浮かべていきり立った。間に机が無かったら、俺に掴み掛かってきたらん勢いだ。そのまま机を乗り越え、俺に殴りかかってくれればいいのに、未だ少しばかり理性があるようだ。もう一押し必要か。
悪に勝つ為己を悪と化す。俺は言ってはならない台詞だろうとも言う。善人では己すら守れない。
「挑発にも乗りやすい。そんな組織さっさと解散して、私に事件を任せた方がいいのでは、少なくても無駄死にはさせませんよ」
「きっ」
「座れっ。私に恥を掻かせる気か」
郷本が激高する寸前、いままで真綿で首を絞めるような言い方だった五津府が一喝した。
「すっすいません」
郷本も頭が冷えたのか大人しく席に座り直した。
「犬鉄警部、君も少し言い過ぎだ」
五津府が窘めるように言ってきた。
ちっ此奴が一番の狸か伊達に偉そうじゃ無いか。郷本に殴られて、この査問を有耶無耶にしようとした作戦は失敗か。
「すいませんでした」
「よろしい。公安が無能なのでは無い、君が優秀すぎるのだよ」
「それは買い被りすぎでは」
「いや私は君を高く評価しているよ。未成年射殺事件」
「それを持ち出しますか」
俺の一生を決定した事件。未だ悪夢に魘される事件。人が善意で無く悪意で出来ていると俺が自覚した事件。俺の原罪。俺はこの罪を背負って一生を終えるのだろう。
「本来ならそれで君のキャリアは終わりだった、例えそれが正当な行為だとしてもだ。それが村社会日本という国だ。だが君は潰されること無く、見事警部まで上り詰めた」
罪を背負って闇に落ちたからこそ俺は光を見つけられた。悪と成って光を目指すしたたかさも手に入れた。
しかしこの男、この話を出す以上ここで決着を付ける気だな。どうでる、これを元に俺を貶めて屈服させる気でいる程度の男なら、与し易し。
「そんな男だ、公安を手玉に取るくらい朝飯前だろ」
褒め殺しかよ。
「現に君は敵対する者は容赦なく潰して、その地位まで昇ってきている。警察内は言うまでもなく、厚生省、国土交通省、経済産業省、防衛省。君は現場より政治の方が向いているのでは無いかね。すまん、話が逸れたな。つまり君はそれだけの力を有していると言うことだ」
「私が公安を罠に羽目て全滅するまでやると、本当にお思いですか?」
「そうしても可笑しくないと思わせる危うさが君にはある」
「なら白黒を付けるしか無いですね」
敵はキッチリ潰しておかないとな。でないと後々ネチネチちょっかいを出されて、鬱陶しいことこの上ないし、捜査の妨げになる。くだらない政治ごっこは好きじゃ無いが、職務を果たす為には、政治闘争に勝たなくては成らないのが社会の不合理。
「このままなら正式な査問委員会が開かれ、結論が出るまで君の職務は停止されるだろう」
くそっ最低でも一ヶ月は現場から離れることになるか、くだらねえ。一ヶ月も職務を遂行できない、クソのような人生を歩むのか。だがその一ヶ月を潰して、残り十数年の時間を買うと思えば耐えられる。
「だが、先の作戦失敗で公安は多くのメンバーを失った。暫くは機能すまい。だが、廻率いる組織を野放しにすることは暫くとはいえ看過できない」
ん? なんだこの流れは。
「そこでだ、君に条件付きで機会を与えたい」
「なんですかそれは」
「君には公安九十九課如月警視の監視下に入り、本事件の捜査に加わって貰いたい。その働き次第では、君の疑惑も払拭されるだろう」
「チャンスを下さりありがとうございますっとでも言うと思っているのか?」
「思っているよ。君は事件究明の為動くのが刑事だと言ったではないか。くだらない政治闘争は君も望むまい」
ちっ、全てはこのためのお膳立てかよ。本気で狸だな。此奴相手に権力闘争は骨が折れそうだ。逆に交渉が出来る相手なら、馴れ合うのも悪くない。
「ちょっと待ってください五津府さん。こんな奴にチャンスを与えるんですか。未成年を撃ち殺すような奴ですよ、自分の出世の為に情報を流したに決まっている」
「見事疑惑を晴らした暁には、そいつの査問委員会を開いてくれますかね?」
俺は郷本を指差して言った。五津府が交渉できる相手か見極める。その駄賃で郷本が潰せるのならよし。潰せないのなら、自分の手で潰すまでだ。
「いいだろう。この五津府が約束する」
「五津府さんっ」
「君が言うことが真実なら何の問題もならろう」
「しっしかし」
「君の要望通り査問はした。これ以上は力に成れんよ」
「ぐっ。くそっ」
「では犬鉄君、署長室に向かい給え。これで終了する」
こうして一つの茶番劇は終わった。
押し寄せる鉄壁の城壁に囲まれた気分だ。
「早速だが、犬鉄警部。君には公安の作戦の妨害をした嫌疑が掛けられている」
真ん中に座った偉そうな小太りの男がもったいぶって言ってくる。相手は3人、正式に査問委員会を開くかどうかの事前調査と言ったところだろうか。
それにしても、やっぱりこうなったか。昨日の作戦の失敗、俺に責任を押しつけて幕引きするつもりか。
「そこでまず質問だが、なぜ昨夜あそこにいた」
「デリヘル嬢謎の焼死事件のことで有力情報が入りまして、その事前調査に向かいました」
俺には査問を受けるに際して素直な態度で言う。ここで、反感を持ってふて腐れた対応をしたとしても、心証が悪くなるだけ。根性無しと陰口を言われたっていい、俺にはやるべき事が多いんだ、無駄に敵を作っている暇は無い。
「ほうっ。君にはその件から外れるように命令されたはずだが。重大な命令違反を犯したことになるぞ」
「そうでしょうか? 確かに命令されましたが、それは後日公安に引き継ぎをした時からということでしたが。なんでしたら嶺署長に確認をお願いします」
「そんな子供の理屈が通用するとでも思っているのかね」
左端に座っていた眼鏡の男が嫌みな口調で問い詰めてくる。
「屁理屈ではありません。事実、私は何ら命令違反はしていません」
「そこは大人なら察するべき事だろ」
「そうでしょうか、引き継ぎまで事件究明の為動くのが刑事だと、私は心得ていますが」
「一見立派だが、その実一人で事件を解決して、公安の鼻を明かしてやろうとゲスなことを考えていたんだろがっ」
右端に座っていた厳つい男が声を荒立てて言う。鍛え上げられた体に角刈り、威圧感は凄まじい。気が弱い被告ならあること無いこと自白させられそうだな。
「私一人が頑張ったところで事件解決が出来るなんて思い上がってはいません」
「ふんっどうだか」
「出し抜かれることを危惧するとは、もしかして一刑事が頑張ったくらいで簡単に解決できる程度の事件にわざわざ公安が出張ってきたのですか?」
「貴様ほざいたな」
角刈りは額に青筋が浮いてきている。俺の軽口にここまで反応するところを見ると、こいつは公安に関係しているメンバーだな。
「郷本君、少し落ち着きなさい」
「すいません。五津府さん」
「では話しを元に戻そう。なるほど君は事件解決の為尽力を尽くしていたと」
「はい」
「公安とバッティングしたのはあくまで偶然というのだね」
「そうです。別にあそこのビルに近寄るなと命令もありませんでしたし、不可抗力を主張します」
「では君はその偶然を生かして公安に仕返しをしたというのかね」
「おっしゃる意味が分かりませんが」
「君は偶然公安が強制捜査することを知り、妨害を企てたと言っているのだよ」
「それだと時間的に不可能です。私が現場に到着したときには、公安は既に集結を終え突入する寸前でした。私がコンビニに途中で寄った時間を確認してください。逆算的に現場に到着した時間が割り出せるはずです」
「都合良くコンビニに寄ったものだな。アリバイ工作か」
嫌みな眼鏡が追求してくる。穏やか、威圧、冷静の3種を揃えての攻撃か。
「事実ですよ」
「語るに落ちたな」
「はい?」
五津府がしたり顔で言ってきたが、今のどこに失言があった?
「今自白したでは無いか。偶然では時間的に間に合わない。要するに君は事前に公安の作戦を知り、その情報を敵組織に流したという訳だ」
何でそうなるんだよ理屈が分からない。いや分かる。此奴等俺が犯人だということは確定事項で、その上で筋を組み立てていやがる。
これは魔女裁判だ。
「なぜ私がそのようなことをしないといけないのでしょうか? 動機がありません」
「公安への意趣返し」
「私が公安に引き継ぐように言われたのはその日の昼ですよ。時間的に逆転してます」
公安に仕事を取られたことを言っていると思った俺は矛盾を指摘する。
「いやいや、君は我々の情報網を甘く見ているな。連続強姦殺人事件のことだよ。あの時点で君が公安と揉めたのは知っているのだよ」
そっちを今更持ち出すのか。この綿密な事前調査、どうあっても俺を戦犯にしたい強い意思を感じる。
呑まれたら終わりだ。俺は口を開く。
「それを根に持って公安の動きを調べ、犯罪組織に情報を流した。それこそ語るに落ちましたね」
「どこがだね。筋は通っているだろ」
「その筋で行きますと、公安は一介の警部の私如きに動きを探られるような脇の甘い組織だということになりますね。私が嗅ぎ回っていたのを、今の今まで気付けなかったと。
公安はエリートだと認識していましたが、
・
・
・
とんだ無能集団ですね」
「きっきさま」
郷本が青筋を切れそうになるほど浮かべていきり立った。間に机が無かったら、俺に掴み掛かってきたらん勢いだ。そのまま机を乗り越え、俺に殴りかかってくれればいいのに、未だ少しばかり理性があるようだ。もう一押し必要か。
悪に勝つ為己を悪と化す。俺は言ってはならない台詞だろうとも言う。善人では己すら守れない。
「挑発にも乗りやすい。そんな組織さっさと解散して、私に事件を任せた方がいいのでは、少なくても無駄死にはさせませんよ」
「きっ」
「座れっ。私に恥を掻かせる気か」
郷本が激高する寸前、いままで真綿で首を絞めるような言い方だった五津府が一喝した。
「すっすいません」
郷本も頭が冷えたのか大人しく席に座り直した。
「犬鉄警部、君も少し言い過ぎだ」
五津府が窘めるように言ってきた。
ちっ此奴が一番の狸か伊達に偉そうじゃ無いか。郷本に殴られて、この査問を有耶無耶にしようとした作戦は失敗か。
「すいませんでした」
「よろしい。公安が無能なのでは無い、君が優秀すぎるのだよ」
「それは買い被りすぎでは」
「いや私は君を高く評価しているよ。未成年射殺事件」
「それを持ち出しますか」
俺の一生を決定した事件。未だ悪夢に魘される事件。人が善意で無く悪意で出来ていると俺が自覚した事件。俺の原罪。俺はこの罪を背負って一生を終えるのだろう。
「本来ならそれで君のキャリアは終わりだった、例えそれが正当な行為だとしてもだ。それが村社会日本という国だ。だが君は潰されること無く、見事警部まで上り詰めた」
罪を背負って闇に落ちたからこそ俺は光を見つけられた。悪と成って光を目指すしたたかさも手に入れた。
しかしこの男、この話を出す以上ここで決着を付ける気だな。どうでる、これを元に俺を貶めて屈服させる気でいる程度の男なら、与し易し。
「そんな男だ、公安を手玉に取るくらい朝飯前だろ」
褒め殺しかよ。
「現に君は敵対する者は容赦なく潰して、その地位まで昇ってきている。警察内は言うまでもなく、厚生省、国土交通省、経済産業省、防衛省。君は現場より政治の方が向いているのでは無いかね。すまん、話が逸れたな。つまり君はそれだけの力を有していると言うことだ」
「私が公安を罠に羽目て全滅するまでやると、本当にお思いですか?」
「そうしても可笑しくないと思わせる危うさが君にはある」
「なら白黒を付けるしか無いですね」
敵はキッチリ潰しておかないとな。でないと後々ネチネチちょっかいを出されて、鬱陶しいことこの上ないし、捜査の妨げになる。くだらない政治ごっこは好きじゃ無いが、職務を果たす為には、政治闘争に勝たなくては成らないのが社会の不合理。
「このままなら正式な査問委員会が開かれ、結論が出るまで君の職務は停止されるだろう」
くそっ最低でも一ヶ月は現場から離れることになるか、くだらねえ。一ヶ月も職務を遂行できない、クソのような人生を歩むのか。だがその一ヶ月を潰して、残り十数年の時間を買うと思えば耐えられる。
「だが、先の作戦失敗で公安は多くのメンバーを失った。暫くは機能すまい。だが、廻率いる組織を野放しにすることは暫くとはいえ看過できない」
ん? なんだこの流れは。
「そこでだ、君に条件付きで機会を与えたい」
「なんですかそれは」
「君には公安九十九課如月警視の監視下に入り、本事件の捜査に加わって貰いたい。その働き次第では、君の疑惑も払拭されるだろう」
「チャンスを下さりありがとうございますっとでも言うと思っているのか?」
「思っているよ。君は事件究明の為動くのが刑事だと言ったではないか。くだらない政治闘争は君も望むまい」
ちっ、全てはこのためのお膳立てかよ。本気で狸だな。此奴相手に権力闘争は骨が折れそうだ。逆に交渉が出来る相手なら、馴れ合うのも悪くない。
「ちょっと待ってください五津府さん。こんな奴にチャンスを与えるんですか。未成年を撃ち殺すような奴ですよ、自分の出世の為に情報を流したに決まっている」
「見事疑惑を晴らした暁には、そいつの査問委員会を開いてくれますかね?」
俺は郷本を指差して言った。五津府が交渉できる相手か見極める。その駄賃で郷本が潰せるのならよし。潰せないのなら、自分の手で潰すまでだ。
「いいだろう。この五津府が約束する」
「五津府さんっ」
「君が言うことが真実なら何の問題もならろう」
「しっしかし」
「君の要望通り査問はした。これ以上は力に成れんよ」
「ぐっ。くそっ」
「では犬鉄君、署長室に向かい給え。これで終了する」
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