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第一話 オジサン魔法少女になる

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 ボクと契約して魔法少女になってよ

「俺、30代のオッサンなんだけど」
 30代独身サラリーマンそれが俺。
 夏のある日、ボロアパートで電気代をケチって窓を開けてカップラーメンを啜っているとなんか昔見たアニメで魔法少女のマスコットに出てくるようなフェイレットをデフォルメしたような白い生物に話し掛けられた。

 近年魔法少女になれるような純粋で清らかな乙女はもう絶滅危惧種並みなんだよ。
 だから妥協したんだ。

「いやいや、そこは妥協しちゃ駄目でしょ。
 俺オッサンだよ。
 このビジュアルで魔法少女もクソも無いでしょ」

 言いたいことは分かるよ。
 でもこの間TVでやっているのを聞いたんだ。
 人間中身が大事って、それ言葉を聞いてボク悟りが開けたよ。

「いやいや、そんなの建前だって。
 ビジュアルビジュアルは大事だよ」

 外見がどうあれ中身がピュアならもういいかなって。
 ぶっちゃけ外観なんて魔法でどうにでも成るしね。

「いやいや、それでも妥協し過ぎ。
 第一それで俺が魔法少女になる理由にならないし」

 君が望む理想の女性なんていないよ。

「えっ」

 いないって。幾ら待っても会えないよ。

「いやそんな・・・」

 君が一昔前の乙女みたいに、いつか空から純情尾が乙女が降ってくるのをまっているみたいだけど。
 ないから。

「そっそんなことはない。
 自分を磨いていればいつか出会える」

 いやいや、存在しない者と出会える確率はゼロだよ。

「・・・・・・」

 ならじぶんでなっちゃいなよ。

「自分で成る?」

 特別サービスだよ。本来なら魔法をそんな己の欲を満たすために使っちゃ駄目なんだけど、使っていいよ。
 自分の夢叶えちゃわない?

「・・・・」

 ふふっ契約成立だね。
 さあ、心に浮かんだ魔法の呪文を唱えるんだ。

「マジックプリンセスナイト イデアアップ」
 その瞬間俺の体は光に包まれ、契約は成立した。
 俺は魔法少女になるということがどういう意味なのか、全くの説明が無いままに魔法少女になったのである。
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