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『日の出』

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 寒い。足が動かない。この調子では日の出までに山頂に着けない。
「平気か」
「うん」
 彼の手を掴んで進む。
「あっ」
 地平線から日が昇った。
「ごめん。私のせいで。山頂で見たいと言っていたのに」
「山頂で見たかったんじゃない。君と見たかったんだ」
 彼が私に唇を重ね、光に包まれる。
 もう寒くなかった。
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