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二章「動国の花」
第八話「桜ふふむ ーさくらふふむー」②
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「月国の巫子さまでございますね。お初にお目にかかります。従者として蛍姫さまにお仕えしている、李々と申します」
一目見て、愛くるしい少女だと思った。
花のような笑顔を携え、静かにたたずむその姿は一見優しげだが、愛らしさが極まって小悪魔のようにすら見える。
桜さんと同じ女性の従者みたいだし、平安女性の旅装束のような着物も同じだけど、その印象は大きく異なった。
桃色の着物は控えめながらも女性らしく華やかな花柄で、彩雲君並みに明るい栗毛を少し複雑に結っていて、お洒落に気を使っているのが窺える。桜さんは身だしなみに気を使うけど、どこまでも機能的だ。
服装だけじゃない。顔つきも、顔立ちも、桜さんとは実に対照的だった。
「李が二つで『李々』でございます。以後、お見知りおきを。葉月さま」
「あ、はい……」
愛らしい容姿に見合う、綿菓子のようにふわふわした甘い声だ。甘すぎて、ずっと聞いていたら眩暈がしてきそうだ。
「あなたが噂の『夜長もどき』ですよね。本当にまぁ……あの人の皮でも剥いで、被っておられるかのようですねぇ」
「あはは……」
愛らしい猫なで声とは裏腹に、なんとも物騒な言葉を投げかけられた。前にも聞いた言葉を前に、苦笑するよりほかない。
「それなのに、雰囲気はまるで別人ですねぇ。髪が短いからでしょうか?」
「言葉を慎みなさい」
甘い音色を、桜さんの凛とした声が断ち切る。
だけど、どこか違和感があった。鋭いながらも、その声には親しみが含まれていたのだ。威嚇するというよりは、窘めるような。
「だったら頭を撫でて!」
「お断りよ」
(ん……?)
「じゃ、じゃあせめて抱きしめさせて!」
「まずはその口を閉じなさい。巫子の手前よ」
「うぅ……」
「全く、大した度胸ね。新顔とはいえ、巫子相手だというのに」
「大したことはしてないよ。李々はただ、桜ちゃんの手に触れた腹いせにちょっと小馬鹿にして差し上げただけだもの」
「聞かなかったことにするわ。不敬罪だから」
李々さんの妖しい雰囲気が、一瞬にしてかしましい少女へとなり下がった。悪魔から人間というくらいの、凄まじい変化ぶりだ。
桜さんも従者の仮面を外している。
言葉には毒が混じっているのに、表情はいつもより豊かで柔らかい。楽しそうだ。気心の知れた相手なのだろう。
「あの……」
このまま空気になるのは寂しいので、とりあえず声をかけた。
「お二人は知り合いなんですか?」
「えぇ。侍女だった頃の同期よ」
「えっ!」
「そんなに驚くことじゃないでしょ。他国に転職するなんてよくあることよ」
(よくあることなんだ……)
多分、平和条約が結ばれているからだろう。
古代から中世の日本を思わせる世界だけど、国同士の距離感は現代に近い気がする。国というより、都道府県のような感覚かもしれない。
ただ、僕が驚いているのはそこではない。
「いや、そうじゃなくて。その、口調が……」
「あぁ、そういうこと。大丈夫。この子の前で取り繕う必要ないから」
「そうですか」
「お望みなら敬語にするけど」
「そのままでお願いします!」
常時敬語の僕がいうのもおかしな話だけど、桜さんに敬語で話されるのはどうも気が引ける。そういう意味では李々さんに少し感謝だ。
「侍女というのは、夜長姫のですか?」
話を脱線させてしまったので、戻す形で李々さんに話を振った。
「はい。最近まで桜ちゃんと共に、夜長さまの侍女としてお仕えしておりました。今は紆余曲折を経て、蛍さまの従者になりましたが」
李々さんが、再び愛らしい笑顔を見せた。どうやらこれは営業スマイルらしい。
「……夜長姫のことも、知ってるんですよね」
李々さんが目を丸める。そりゃそうだろという顔だ。自分でもそう思う。夜長姫の直接的な関係者だと聞いて、少し緊張してしまった。
「えぇ。仕事上のお付き合いしかなかったので、死んだところで痛くも痒くもありませんけど。むしろ、桜ちゃんにまとわりつく羽虫が消えてせいせいしました」
(不敬罪ですよ!?)
まとわりついたら羽虫ということは、僕も間違いなくそこに含まれている。ちょっと自分が可哀想になった。
もっとも、夜長姫が巫女ではなくなり、鬼女と呼ばれるようになった今だからこそ、堂々と罵詈雑言を吐けるのだろうけど。
「それで、なんの用? ただ雑談しにきたわけじゃないでしょう?」
「むしろわたしは、桜ちゃんと二人っきりで雑談したかったんだけどねー」
李々さんが、さらりと僕への嫌味を吐きながら溜め息をつく。とりあえず、僕が邪魔者なのは痛いほど分かりました。
「花鶯さまから、葉月さまをお呼びするように仰せつかったの」
「菜飯はまだ戻ってないそうね」
「そうなの。それで仕方なく、李々がお出迎えにきたっていうわけ」
(仕方なくですか……)
営業スマイルでも、毒を盛り込むのは変わらないらしい。羽虫だからだろうか。
「ところで葉月さま」
「はい?」
「もう少し桜ちゃんから距離を取ってくださいませ。そのままでは、腕を伸ばせば爪が触れてしまいますから」
(えぇ……)
爪が触れるのも駄目らしい。
爪なんか、これまでにもう何回も触れている。僕、羽虫確定じゃん。
「無視していいわよ、葉月。なんなら、巫女の権限で縛り上げても構わないわ」
「あ、それはいいです」
「えー。どうせ縛り上げられるなら、桜ちゃんにされる方が良いなぁ」
「私にはそんな権限も趣味もないから。いいから早く案内しなさい」
「はぁ……仕方ないなぁ。こちらでこざいます」
李々さんは溜め息をつくも、すぐさま愛らしい笑顔に切り替えて歩き始めた。とりあえず、僕も彼女の後に続くことに――――
「あ、いたいたー!」
背後から聞こえた声に、僕たちは足を止めた。
鹿男君が手をぶんぶん振りながら、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「はぁ……はぁ……」
あちこち走り回ったのか、立ち止まるなり息を整え始めた。よく動き回る彼だが、今日はいつもに増して慌ただしい。
「どうしたの? そんな汗だくになって」
そんな彼を前に、桜さんは特に顔色をかえることなく口を開いた。
「それが、彩雲確保に手こずっちゃって」
「はぁ……懲りずにまた逃げ出したのね」
桜さんが眉間に皺を寄せて、溜め息をついた。
「そうなんだよ。用意した肉はもう平らげちゃったし、三郎さんがますます怖くなるしで、もうてんてこ舞いだよ」
「全く……あの餌代のせいでこっちは切り詰めないといけないのに」
「もういっそ毒でも混入させたら?」
「さすがに殺処分は駄目だよ李々ちゃん!」
「まぁ殺処分はないにしても、いざとなれば薬を盛るくらいはするつもりよ」
「さすが桜ちゃん! ていうかわたしに盛って!! めちゃくちゃにして!!」
「あ、そっか。桜ちゃんって薬師だよね……って、李々ちゃん?」
そして彩雲君は、もはや当たり前のように獣扱いされていた。しかも薬を盛る方向に話が進んでいる。まぁ、無理もないかもしれない。
「それで桜ちゃん、今、大丈夫?」
「えぇ。お館様をお送りしているだけだし、李々もいるから問題ないわ」
「ありがとう! 助かるよ!」
「え、待って! 李々も――」
「あんたは駄目よ」
桜さんの一言で、李々さんの愛らしい顔が絶望に染まった。
「そんなぁ! 李々だって従者なんだよ!?」
「あんたの仕事は、葉月様を花鶯様の所までご案内することでしょう?」
「うぅ……じゃあ、案内が終わったら速攻でそっちに行くから!!」
「はいはい」
桜さんがぽんぽんと、今にも泣きそうな李々さんの頭を撫でる。
なぜか今生の別れみたいな雰囲気だ。桜さんは慣れているのかもしれないけど、僕と鹿男君は二人して困惑するほかなかった。
とりわけ、桜さんを引っこ抜いた鹿男君が困り果てていた。
「李々ちゃん、なんかごめんね」
「絶対に許さない」
「えぇっ?」
「お前なんか、胃が引っ繰り返るまでのたうち回って死ねばいい……」
仕舞いには呪詛を吐き出した李々さんを前に、鹿男君は素直におろおろしていた。彼には少し毒が強すぎるんじゃないだろうか。
「気にしなくていいから行くわよ」
「あ、うん!」
桜さんが真顔で歩き出す。瘴気を放つ李々さんには慣れっこなのだろう。
それに続こうとした鹿男君が、チラリとこちらを振り返った。
瘴気を放つ李々さんが気になっている様子だけど、彩雲君の確保を優先したのだろう。すぐに前を向いて桜さんの背を追った。
桜さんの背中が遠ざかっていく。仕事だと分かっていても、ちょっと寂しい。
「…………」
「…………」
しかも、瘴気を放っている人と二人きりというオマケ付きだ。
「あの……」
「では、ご案内致します」
「へ?」
思わず変な声を出してしまった。
何事もなかったかのように、李々さんが微笑みを携えていたのだ。
「こちらです」
「あ、はい」
(早く終わらせたいんだろうな……)
これ以上怨念を募らせたくないので、ひとまず黙ってついていくことにした。
一目見て、愛くるしい少女だと思った。
花のような笑顔を携え、静かにたたずむその姿は一見優しげだが、愛らしさが極まって小悪魔のようにすら見える。
桜さんと同じ女性の従者みたいだし、平安女性の旅装束のような着物も同じだけど、その印象は大きく異なった。
桃色の着物は控えめながらも女性らしく華やかな花柄で、彩雲君並みに明るい栗毛を少し複雑に結っていて、お洒落に気を使っているのが窺える。桜さんは身だしなみに気を使うけど、どこまでも機能的だ。
服装だけじゃない。顔つきも、顔立ちも、桜さんとは実に対照的だった。
「李が二つで『李々』でございます。以後、お見知りおきを。葉月さま」
「あ、はい……」
愛らしい容姿に見合う、綿菓子のようにふわふわした甘い声だ。甘すぎて、ずっと聞いていたら眩暈がしてきそうだ。
「あなたが噂の『夜長もどき』ですよね。本当にまぁ……あの人の皮でも剥いで、被っておられるかのようですねぇ」
「あはは……」
愛らしい猫なで声とは裏腹に、なんとも物騒な言葉を投げかけられた。前にも聞いた言葉を前に、苦笑するよりほかない。
「それなのに、雰囲気はまるで別人ですねぇ。髪が短いからでしょうか?」
「言葉を慎みなさい」
甘い音色を、桜さんの凛とした声が断ち切る。
だけど、どこか違和感があった。鋭いながらも、その声には親しみが含まれていたのだ。威嚇するというよりは、窘めるような。
「だったら頭を撫でて!」
「お断りよ」
(ん……?)
「じゃ、じゃあせめて抱きしめさせて!」
「まずはその口を閉じなさい。巫子の手前よ」
「うぅ……」
「全く、大した度胸ね。新顔とはいえ、巫子相手だというのに」
「大したことはしてないよ。李々はただ、桜ちゃんの手に触れた腹いせにちょっと小馬鹿にして差し上げただけだもの」
「聞かなかったことにするわ。不敬罪だから」
李々さんの妖しい雰囲気が、一瞬にしてかしましい少女へとなり下がった。悪魔から人間というくらいの、凄まじい変化ぶりだ。
桜さんも従者の仮面を外している。
言葉には毒が混じっているのに、表情はいつもより豊かで柔らかい。楽しそうだ。気心の知れた相手なのだろう。
「あの……」
このまま空気になるのは寂しいので、とりあえず声をかけた。
「お二人は知り合いなんですか?」
「えぇ。侍女だった頃の同期よ」
「えっ!」
「そんなに驚くことじゃないでしょ。他国に転職するなんてよくあることよ」
(よくあることなんだ……)
多分、平和条約が結ばれているからだろう。
古代から中世の日本を思わせる世界だけど、国同士の距離感は現代に近い気がする。国というより、都道府県のような感覚かもしれない。
ただ、僕が驚いているのはそこではない。
「いや、そうじゃなくて。その、口調が……」
「あぁ、そういうこと。大丈夫。この子の前で取り繕う必要ないから」
「そうですか」
「お望みなら敬語にするけど」
「そのままでお願いします!」
常時敬語の僕がいうのもおかしな話だけど、桜さんに敬語で話されるのはどうも気が引ける。そういう意味では李々さんに少し感謝だ。
「侍女というのは、夜長姫のですか?」
話を脱線させてしまったので、戻す形で李々さんに話を振った。
「はい。最近まで桜ちゃんと共に、夜長さまの侍女としてお仕えしておりました。今は紆余曲折を経て、蛍さまの従者になりましたが」
李々さんが、再び愛らしい笑顔を見せた。どうやらこれは営業スマイルらしい。
「……夜長姫のことも、知ってるんですよね」
李々さんが目を丸める。そりゃそうだろという顔だ。自分でもそう思う。夜長姫の直接的な関係者だと聞いて、少し緊張してしまった。
「えぇ。仕事上のお付き合いしかなかったので、死んだところで痛くも痒くもありませんけど。むしろ、桜ちゃんにまとわりつく羽虫が消えてせいせいしました」
(不敬罪ですよ!?)
まとわりついたら羽虫ということは、僕も間違いなくそこに含まれている。ちょっと自分が可哀想になった。
もっとも、夜長姫が巫女ではなくなり、鬼女と呼ばれるようになった今だからこそ、堂々と罵詈雑言を吐けるのだろうけど。
「それで、なんの用? ただ雑談しにきたわけじゃないでしょう?」
「むしろわたしは、桜ちゃんと二人っきりで雑談したかったんだけどねー」
李々さんが、さらりと僕への嫌味を吐きながら溜め息をつく。とりあえず、僕が邪魔者なのは痛いほど分かりました。
「花鶯さまから、葉月さまをお呼びするように仰せつかったの」
「菜飯はまだ戻ってないそうね」
「そうなの。それで仕方なく、李々がお出迎えにきたっていうわけ」
(仕方なくですか……)
営業スマイルでも、毒を盛り込むのは変わらないらしい。羽虫だからだろうか。
「ところで葉月さま」
「はい?」
「もう少し桜ちゃんから距離を取ってくださいませ。そのままでは、腕を伸ばせば爪が触れてしまいますから」
(えぇ……)
爪が触れるのも駄目らしい。
爪なんか、これまでにもう何回も触れている。僕、羽虫確定じゃん。
「無視していいわよ、葉月。なんなら、巫女の権限で縛り上げても構わないわ」
「あ、それはいいです」
「えー。どうせ縛り上げられるなら、桜ちゃんにされる方が良いなぁ」
「私にはそんな権限も趣味もないから。いいから早く案内しなさい」
「はぁ……仕方ないなぁ。こちらでこざいます」
李々さんは溜め息をつくも、すぐさま愛らしい笑顔に切り替えて歩き始めた。とりあえず、僕も彼女の後に続くことに――――
「あ、いたいたー!」
背後から聞こえた声に、僕たちは足を止めた。
鹿男君が手をぶんぶん振りながら、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「はぁ……はぁ……」
あちこち走り回ったのか、立ち止まるなり息を整え始めた。よく動き回る彼だが、今日はいつもに増して慌ただしい。
「どうしたの? そんな汗だくになって」
そんな彼を前に、桜さんは特に顔色をかえることなく口を開いた。
「それが、彩雲確保に手こずっちゃって」
「はぁ……懲りずにまた逃げ出したのね」
桜さんが眉間に皺を寄せて、溜め息をついた。
「そうなんだよ。用意した肉はもう平らげちゃったし、三郎さんがますます怖くなるしで、もうてんてこ舞いだよ」
「全く……あの餌代のせいでこっちは切り詰めないといけないのに」
「もういっそ毒でも混入させたら?」
「さすがに殺処分は駄目だよ李々ちゃん!」
「まぁ殺処分はないにしても、いざとなれば薬を盛るくらいはするつもりよ」
「さすが桜ちゃん! ていうかわたしに盛って!! めちゃくちゃにして!!」
「あ、そっか。桜ちゃんって薬師だよね……って、李々ちゃん?」
そして彩雲君は、もはや当たり前のように獣扱いされていた。しかも薬を盛る方向に話が進んでいる。まぁ、無理もないかもしれない。
「それで桜ちゃん、今、大丈夫?」
「えぇ。お館様をお送りしているだけだし、李々もいるから問題ないわ」
「ありがとう! 助かるよ!」
「え、待って! 李々も――」
「あんたは駄目よ」
桜さんの一言で、李々さんの愛らしい顔が絶望に染まった。
「そんなぁ! 李々だって従者なんだよ!?」
「あんたの仕事は、葉月様を花鶯様の所までご案内することでしょう?」
「うぅ……じゃあ、案内が終わったら速攻でそっちに行くから!!」
「はいはい」
桜さんがぽんぽんと、今にも泣きそうな李々さんの頭を撫でる。
なぜか今生の別れみたいな雰囲気だ。桜さんは慣れているのかもしれないけど、僕と鹿男君は二人して困惑するほかなかった。
とりわけ、桜さんを引っこ抜いた鹿男君が困り果てていた。
「李々ちゃん、なんかごめんね」
「絶対に許さない」
「えぇっ?」
「お前なんか、胃が引っ繰り返るまでのたうち回って死ねばいい……」
仕舞いには呪詛を吐き出した李々さんを前に、鹿男君は素直におろおろしていた。彼には少し毒が強すぎるんじゃないだろうか。
「気にしなくていいから行くわよ」
「あ、うん!」
桜さんが真顔で歩き出す。瘴気を放つ李々さんには慣れっこなのだろう。
それに続こうとした鹿男君が、チラリとこちらを振り返った。
瘴気を放つ李々さんが気になっている様子だけど、彩雲君の確保を優先したのだろう。すぐに前を向いて桜さんの背を追った。
桜さんの背中が遠ざかっていく。仕事だと分かっていても、ちょっと寂しい。
「…………」
「…………」
しかも、瘴気を放っている人と二人きりというオマケ付きだ。
「あの……」
「では、ご案内致します」
「へ?」
思わず変な声を出してしまった。
何事もなかったかのように、李々さんが微笑みを携えていたのだ。
「こちらです」
「あ、はい」
(早く終わらせたいんだろうな……)
これ以上怨念を募らせたくないので、ひとまず黙ってついていくことにした。
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