流れる川

連鎖

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ウリュウ

開門①

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 少し前に遊んだ街とは違い、大きな街の列にエリカは並んでいた。

 この街は、人と獣の区分けを太い木で囲むのではなく、
 魔法使いが時間をかけて作成した高い壁で囲まれ、
 その壁をくり抜いた門まで続く列が、見えないほど先まで続いていた。

「(せんぱーーーああい、まだかなぁあ。)」「みゃみゃみゃまま。」

 その列が長く続いても、すぐに並ぶのが終わればいいのだが、
 そんなことはなく時間は過ぎていき、この強い日差しと、
 木陰もない平坦な地面からの照り返しを受けていた。

 その熱気が容赦なく周りの温度を上昇させ、
 暇を持て余していた彼女と黒猫との奇妙な会話が増えていた。

「(ひまぁああ)」「みゃみゃ。みゃみゃみゃ。」
「ヒマヒマァ。」「みゃみゃ。」

「ウフフ。ぶるん。」「ご。」「いいですよォ。アハハハ。」「チラッ。」

 エリカは、猫と楽しそうに話す少し奇妙な状況と目立つ格好のせいで、
 周りの人達から見られたり声をかけられたりしていた。

 その周りにいた人が彼女に興味を持ったのは、
 薄く透けるような生地のチューブトップワンピースが、
 まるで全裸で歩いているかのように見えたのと、
 そのスカート丈が股下ギリギリしかなく、
 日に焼けていない妖艶でムッチリとした太ももが露わになって、
 観客の前に晒されていた。

「グイイ。パタパタ。ハァアア。熱いですねぇ。ほんっとうにぃ。」
「そうですねぇ。ジィい。」「あはは、あちいよなぁ。ほっ。ん。」

 振り返って近くで覗いている観客は、
 隠すことなど出来ない程に小さく透けたショーツを股からチラつかせて、
 巨大な乳房を支える高級そうな刺繍の入ったブラジャーが、
 服から透けている姿を見ていた。

 流石にその格好だと、彼女も不味いとでも思っているのか、
 真っ黒なロングコートのフードを目深に被っているので、
 顔はよく見えないし、背中側からは何をしているかわからなかった。

 しかし、コートの前を閉めていないので、
 彼女達より前に並んでいる人達には、
 巨大な乳房がブラジャーに支えられて前に張り出している姿や、
 そこから続く腹部が綺麗に凹んでいる姿まで見えていた。

 もちろん、その先など。。。

「アツいですねぇ。パタパタ。」「そうでしょう。フウぅ。」「アチい。」

 流石に前のボタンを外しているだけなので、
 お尻は見えていないが、身体を前から見る事が出来る人からは、
 彼女がついさっきしたみたいな、冷たい風を身体に取り込もうとして、
 指先で服のヘリを引っ張り、残った手で仰いでいる姿は見えていた。

 細かく説明すると、まず彼女は下半身が熱いらしく、
 スカートの裾を引いて仰いでいたので、
 ショーツは履いているが、割れ目が透けてくい込んだ姿を見せていた。
 
 続いて上半身も熱いらしく、同じように胸元を広げていたので、
 豪華な刺繍のブラジャーが支えている、
 真っ白で盛り上がった胸の膨らみが見えていた。

(ヤッパリぃいい。マイルズの従者とかぁあ。仲間?。。違うかなぁ。
 愛人。。。うふふ。愛人がいいかなぁあああ。それならぁあ。
 フリーパスよねぇ。それならぁあ。この面倒な事もぉお。)

「グいぃ。スリスリ。ハァアア。あっ。うぅうん。そっ。そう。」

 彼女が妄想しているのは、周りからの熱い視線を浴びながら、
 変態男に連れられている愛人の姿だった。

 その子は、服もほとんど着ていないような格好で街を歩かされ、
 身体が火照るとすぐに、彼が顔や身体を覗いたり触ったりして、
 彼女が必死に恥ずかしながら嫌がる反応や、
 快感に流されていく姿を見て楽しんでいた。

(アハハハ。。いやぁ。。コレじゃ。一緒。アレェ。そういえば。。
 うぅうん。。そっかァあ。じゃあ。。やっぱり、罪人。。そうよ。
 大きな街の牢屋に護送されていくのおぉ。ゲへへへ。。グフフフ。)

「くっちゅう。。はぁ。。はっ。。ハァアア。。くちゅ。。イヤァ。」

 続けて考え始めたのは、
 逃げられないように、魔法の詠唱まで阻害されている罪人だった。

 彼女は口にはボールギャグを咥えさせられて、
 小汚いボロ切れで目隠しをされ、後ろ手に紐で縛られていた。

 彼女を連れた衛兵は、それでも足りないと感じたのか、
 その罪人に服も何もかも着させないで、首輪まで付けさせていた。

「ぶぶぅう。ぶぶぅぶぅうう。」

 もちろん、今は衛兵が馬車の御者をしているので、
 幌もない荷台に載せられた彼女の首から伸びた鎖は、
 動けないほどに短くされて荷台に繋がれていた。

 そんな格好をした彼女は、絶対に逃げ出すことはできないし、
 もし誰かに見られていたとしても、身体を隠すことさえ出来なかった。

「ハアハア。。ぶぶっ。。ぶぶぶぅう。。ぐちゅぐちゅ。ふうぅう。
 あっ。。ああぁああ。。ん。ハアハア。我慢。。グググ。。ぐね。」
「みぎゃぁあああ。。ミャッミャァアアア。」

 先輩は、彼女が夜中にするのなら気にしないし、
 部屋でなら好きにすればいいと思っていた。

 素直にいうと、見ていない場所なら好きにしてくれという感じだった。

 しかし、大勢の人が見ている前で、
 お腹あたりまで服を捲り上げて下半身を触り、胸元から内側へ手を入れ、
 激しく胸を揉んでいるエリカを見て焦っていた。

 確かに彼女はフードを深くかぶっているので、前方からしか見えないが、
 音と匂いに気付いた人々が何が起こっているか確認しようと、
 真っ直ぐ綺麗に並んでいた列が蛇行する蛇のように変わったので、
 エリカが注目されていることは明らかだった。

「ぐねぐね。。ハアハア。。。ハアハア。。だめぇえ。いやぁ。イヤよ。

 わ。。私は、何もしていない。。何もしていません。絶対に違うんです。
 ぐちゅ。くちゅ。ハアハア。違うんです。私じゃないんですぅう。

 違うんですぅ。。わたしはああああ。。ぐちゅぐちゅ。いやぁああお。」

(み。。みられてるぅう。。ハアハア。馬車の荷台で、私は全裸。。
 声も出せない。何人にも覗かれている。ハアハア。でも慰められない。)

 護送中の罪人なのだから、首輪からつながった鎖で固定され、
 腕など動かせないように、後ろ手で縛られていた。

 エリカは、直接触ることが出来ないもどかしい気持ちを再現しようと、
 最初だけ太もも同士を引き寄せるように動かしながら、
 敏感な場所に刺激を与えていた。

 もちろん、大きな街の周りには平原のような荒野が続いているし、
 そんな場所で全裸で喘ぎ声を出しながら運ばれていく罪人を、
 荷台の上で愛液の匂いを垂れ流している自分を、
 周りに集まった人達が食い入るように見ていた。

「ハアハア。モォオオ。フウフウ。」

 そんな妄想を楽しみ、周りから感じていた違和感が組み合わさると、
 とうとう我慢できなくなったエリカは、ショーツの脇からも手を入れ、
 びちゃびちゃになっている女性器を指でこすり、

 穴に指を複数本。。いや手まで。。

「もっぉおおっとぉ。いやぁああ。ハアハア。え。。冤罪です。違っ。。
 ぐぐぐ。ぐちゅ。ぐちゅぅぅぅぅ。ぐちゅ。ハアハア。もっ。。」

 さっきまでの、ボールギャグで声を出せない、
 後ろ手で縛られて手を使えない事だって忘れていた。

「びしィイイイイ。」「いぎゃぁぁぁ。だからァああ。あ゙アアアッ?」
「みゃみゃみゃーにゅみゃ。みみゃみゃあ。ミャッミャァアアア。」

 何時からだろう。自分を見る視線が薄くなったのも気づいていたし、
 先輩が何を話していたのかも、何を言いたいのかもわかっていたが、
 もし自分が立ち止まっても、
 列の横をすり抜けて先に行ってもらえばいいと思っていた。

 エリカは目を閉じて目隠しの妄想だけを続けていたが、
 先輩に言われて目を開けて周りを確認すると、
 なぜか自分の前にあった門まで続く人の列は消えていたが、
 後ろに並んでいた人達は、彼女を避けて前に出ようとはしていなかった。

「アハハハ。。ごめんなさぁあいぃいい。すぐに移動しますねぇ。
 アハハハ。。いやぁ。ほんとうに。。。ごめぇええん。ビュン。」

 エリカの後ろに並んでいた人たちも急いでいた。

 しかし、男か女か、あるいは異形の者かもしれないが、
 真っ黒な不気味なコートを着て、
 何かの言葉を呟きながら意味不明な奇声を上げて彼らを遮っている者は、
 恐怖の対象でしかなかった。

 その奇声を正面から受けていた人たちは、
 突然一つの生き物のように列が蛇行し始め、
 凍ったような顔で、その奇妙な儀式を見つめていた。

 その光景を大きな背中越しに見ていたため、
 彼らは動くことができず、儀式を多くの人が見ているにもかかわらず、
 誰も行為をやめさせようとしなかった。

 その儀式の影響なのか、
 門番が大声で呼ぶまで誰も動こうとしなかったし、
 呼ばれて動いた後も、驚愕した顔で何度も振り返る人ばかりだった。

 その顔を見て、儀式を見ることが怖くなった人たちは、
 進まない道でその儀式が終わるのを、背中を見ながら待ち続けていた。

 。

 明らかに諦めたような顔をした門番が、二人を交互に見ていた。

「こんにちはぁああ。アハハハ。いやぁ。。エリカです。
 カチン。。カードこれでぇえ、これが、使役の先輩ですねぇえ。」

「ミャッ。。」「ペコ。。はい、ありがとうございます。」

「パサっ。お忙しい中すみません。ぶるん。よろしくお願いします。」

(ウフフ。おどろくぅぅぅ。アハハハ。
 いやぁ。大有名な、わ。。た。。しぃいい。アハハハハ。)

 エリカが目深にかぶったフードを手で外すと、
 彼女はとても満足そうな笑顔を浮かべて、
 少し困った顔をした門番に笑いかけていた。

「はい、こちらでカードを確認します。少しだけお待ちください。」

 この男は最初から気づいていたのか、
 女神と同じ顔をした女が突然目の前に現れているのに、
 特に慌てた様子もなく普通に返事を返していた。

(はぁ。。やっぱり、そうでしょうねぇ。。そうですよ。ギルドにも。。)

 列に並んであんなに騒ぎを起こせば、すぐに連絡が入っているし、
 もちろん、数日前から、今朝もエリカが街に訪れることが分かっていた。

 彼女のカードを見なくても、
 こんなに暑い日に真っ黒なロングコートを着て道の途中で仁王立ちし、
 並んでいる人を止める事が人が、一人しかいないことも知っているし、
 本人は忘れているだろうが、この街にエリカが来たこともあるので、
 この光景はいつもの事だった。

 もちろん、この男も、こんな仕事をする理由など無いと思っているが、
 彼女のカードを何かの箱に差し入れて画面を確認していた。

「ええっと。。エリカさんですね。はい、ようこそウリュウへ。
 お疲れ様です。全ての確認は、終わりました。
 どーぞ、街へお入り下さい。特に連絡などは、ありません。」

 彼女に言うことなど何もないのだから、何もないと門番は言い、
 極端な話、彼女は門を通らずに自由に街に入っても問題はないので、
 彼女のカードを普通に返していた。

「え?いいの?」「はい、大丈夫ですよぉ。お入り下さい。」
「次の方。どーぞぉお。早く来てください。さぁ。早くどうぞぉ。」

 エリカは彼から何も反応がないことに驚き、
 門番はさっさと先に行って欲しいと優しく笑いかけ、
 次に並んでいた人は、少し遠くから彼女の顔を見て呆然としていた。

「もぉおおおう。ナンデヨォオ。ええ、わかったわよ。いいのよねぇ。
 もう、行っちゃうわよ!!本当に、行くからね。ほんっきよ、本気!」

 エリカは、何も無い事に不満があるし、
 折角露出オナニーで、身体が少しだけ温まっていたのに、
 部屋の奥へ連れていかれる事も、誰かに乱暴に触られる事さえ、
 もちろん、今すぐ身体検査だと、全裸になれと命令されてもいなかった。

 その状況が不満なので、少しむくれた顔をして理由を考えていた。

(なぜ?こーじゃないのぉおおお、

 ウエヘヘ、おま、おまえだけコッチだよ。
 おまえは、ここで、隅々までな。。嫌なら、ここで脱いでもらうがなぁ。

 そんな顔をして何かを隠しているンだよなぁ。
 そこのデカイ肉は、偽物で何かを隠しているんだろ?
 ほらほら、こんな柔らかくなってくぞ?これは、なんだ?グイイイ。

 穴もドンドン濡れているなァああ、中に何か入ってるからジャないのか?
 俺の敏感棒を奥まで入れて、スミズミまで確認だなぁああ。

 うはは。これよね。コレ。。これこれぇえええ。
 イヤァ。ダメぇえ。イヤぁあああ。アハハハハ。これよぉおお。)

「ニャニ。ニニャににや。ニャにゃニャァアアア。にゃにゃにゃあぁ 。」

「ああ、そうね。解ったわよ。わかりましたよぉお。わかっていますぅう。
 はいはい、解った。行きますよ。行きますぅう。
 報告だよね。ハイハイ。ほう。。ほおこ。。」

(あ゛ァアア、コートを脱いでない。。この身体を。。見せていない。
 それで、かァアア、うわぁあ。失敗。。しっぱいよぉお。
 もう一度!。そうよ。もう一度。。もういっかい。もう一度ぉお。)

 エリカは、身体を魅せたら状況が変わると期待していたが、
 既に彼女の後ろに並んでいた人たちが門に殺到していたし、
 もう一度、あの長い列の最後尾に並ぼうとは思えなかった。

「次の人ぉお。。早く来てください。。さぁ。。つぎぃい。」
「へっ。。うわっ。。」

(うわぁあ、ハァアア。人がいっぱい。。そんなに人がいたのぉお。
 あーあ、はぁ。。もお、暖かくなっているしぃい。熱いよねぇ。
 もう、コートは、いらないかなァアア。もう熱いしぃい。
 なら、前の宿屋みたいにぃい。。ウエヘヘ。エヘヘ。げへってへ。)

「エリカさん。何かありましたか?さあ。。次の方ァ。早くしてぇえ。」
「はいはい、行きますよ。行きますよ。行くってぇええ。」

(うわ、拝まれたぁ。ハァアア。ヤバ。アッチからも。。あっちもぉ。
 うーん、コート無しは駄目かな。ダメなのぉ。。)

 既に連絡が入っている人から見られているし、
 街に入って待っていた人や、さっき軽くフードを脱いだ時に見た人など、
 エリカを何処かの神霊でも見たかのような表情で見たり、
 何かと勘違いしているらしく、拝んできたりする人もいた。

(はぁ。。さっさと街から出ようかなぁ。でも、どこ?ギルドってサァ。
 報告に生存確認でもしたら、さっさと次にむかっちゃおぉおお。ハァ。)


 関門①
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