流れる川

連鎖

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宿場町

マネキン③

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 店の入口はガラス製の扉で、
 その横にあるショーケースも、透明なガラスで出来ていて、
 その中に、全裸で精巧な女性型の人形が飾られていた。

 店内に入ると、目に留まるのは色々な場所に置かれた姿見と、
 入口に飾られた形とは違う、様々な形の精巧な人形が並んでいるという、
 とても不思議な光景が広がっていた。

 そんな店でも、人の営みに見えるのは、
 煌々に灯った照明の明るさと、店員だと言っている小柄な男だけで、
 エリカもマネキンの店と説明されていたので、仕方が無いと諦めていた。

 もちろん、普通の感情を持った人が店に訪れたら、
 入口にあった、ガラス張りのショーケースにあった一体と、
 店の奥に置いてある、大小さまざまな人形も全裸なので、
 人によっては墓所。人によっては極楽浄土。人によっては。。。

 普通の人には、ただ気持ち悪い場所に見えるのだが、
 目的のある人が訪れると、どの人形も手入れが行き届いているらしく、
 折れたり、曲がったり、へこんだり、壊れたり、無くなったり、
 汚れたり、くすんだり、シミさえも無いことに驚いていた。

「じゃあ、見た事も無いだろうが、あの部屋に入って。。」

(早く洗え。。早く綺麗になって。。この子達の仲間に。。アァ。。)

 ガラスが大好きなのか、曇りや汚れが無い世界が好きなのか、
 入口にあったショーケースのような、
 全面ガラス張りで、中が透けて見えている個室を指さしていた。

「パタパタ。。あれでしょ?知っているから、ちょっと待ってて。。」
「あっ。。ああ。」

(知っている?何を知っているんだ?あの街の名前。。あの?)

 たしかに、この男も教育を受けているし、
 庶民から見れば、色々と持っている方だが、
 女が話した街の名前は、聞いた事が無かったので気になっていたが、
 そのことに関しては、遠すぎる街なので教えて貰えないと諦めていた。

 しかし、この女がシャワーブースの事や使い方まで知っているので、

 何処かでは普通?この女が嘘をついている?実は自分だけ知らない?

 もしかして、彼女が自分以上の持つものでは無いかと疑い始めていた。

 この世界で唯一の法、持つものは持たないものを。。。

「ブチブチ。。バサン。。ガチャ。。」

 彼が思っていたのは、何処か遠くの知らない街で裕福な家庭で育ち、
 綺麗な容姿を見初められて、気まぐれでこの近くに転移させられたが、
 その容姿と違って、力が無い事に気づいた男に見つかってしまい、
 メスの仕事という、オスを楽しませる行為をしていた。

 もちろん、そういう行為が普通だという環境に育っていなかったので、
 その奉仕というメスの仕事をするのが嫌で、その場所から逃げ出し、
 この店にたどり着いたが。。。という、良く起こる事だと思っていた。

 たしかに、遠くの街だからといっても、教育を受けているのなら、
 ギルドに行って頼めば、何かしらの手助けを受けられるのは常識だが、
 田舎者で何も知らない女が、男が説明するまでも無く店の奥に向かい、
 言われた通りにガラス張りの部屋に入り、
 シャワーを浴び始めている事は、とても気になっていた。

「キュ。。ジャァアア。。ジャアァアアア。」「熱くないかぁ?」

(もう少し。。もうちょっと。。ふうぅう。。見えねぇえ。)

 最初は、この女の事を疑っていたが、
 持つものであれば、何かしら別の目的があるハズだし、
 そういう女なら、この男に頼る事など考えられなかったので、
 ガラス張りの部屋で、全裸になった女の魅力的な姿に抗え無くて、
 舐めるような距離まで近づき、透明な壁に顔を押し付けていた。

 しかし、暖かい湯気が立ちのぼるガラス張りの部屋は、
 強烈な熱いシャワーを出したせいで、曇って中が覗けなくなっていた。

「じゃァァアア。。フゥぅぅ。。くちゅ。。くちゅくちゅ。うっ。。」
「おい、傷でも。。」

 エリカも温められた水が、
 頭から身体の表面を伝って、足先へと流れていく心地良さと、
 身体にまとわりつく、色々な事を思い出しているのか、
 お湯を手ですくい、身体を擦るように押し付けて洗う度に、
 刺激を求めている敏感な場所に、指を這わせ、かき混ぜ、押し潰し、
 捻り、またかき混ぜ、触り、塗りつけ、穴をまた激しくかき混ぜていた。

「(チュプ。。ペチャペチャ。)うぅウン。」

 それだけでは物足りない女は、男から見える頭の方に手を持っていき、
 顔にザーメンを出されて、まとわりついた思いを楽しむように、
 そこに手を当てて、拭うように全体に触れたあとは、
 こびりついて残っていた物なのか、その時に感じた思いなのか、
 その拭った手を口に持っていき、指を一本ずつ美味しそうに舐めていた。

「ガタン。。お。。おい!」
「(ウフフフ)スミマセェエン。じゃァァアア(今は)大丈夫です。」

 男が襲ってくるのを待っているし、久しぶりのシャワーを浴びた身体は、
 心地良い刺激に溶けだし、全身を包み込むように広がっていた。

「バチャン(グネグネ)じゃァ。バジャン。ァアア。うぅうう。
 ジャァァ。(ググぐううう。。)バジャンバジャン。(クニクニ)」

 さっきの指を舐めている顔など、男からも見えていたが、
 次に始めたのは、巨大な胸への行為なので、曇った壁が邪魔をしていた。

 男からは、よく見えていないが、
 両手で持ち上げても重い肉塊を、両手で揉むようにマッサージをし、
 そのまま持ち上げ、何かを思い出しているのか、
 突き出すように前方に引っ張ると、そのまま離していた。

 そうやって彼女が胸に触る度に、前後左右に肉塊が暴れるので、
 胸に当たったシャワーは、大きな水飛沫を上げて壁に当たり、
 その刺激に反応した敏感な先端を、
 指先で優しく潰し、揉み、引っ張り、捻り、自分の指や手で慰めていた。

「ジャ。。ジュルジュル。ジャジャぁあ。ベロベロ。ジュジュるぅう。」
「バン。。おい。。何をしている!今。。バンバン。。おい、何を!!」

 二人の距離は、ガラス張りの壁が一枚しか無く、
 男が耳を押し付けて聞いたり、顔を押し付けて覗こうとしているのに、
 この場所で、自慰行為をする女などいないはずだが、
 水飛沫が断続的に聞こえる間に、妖艶な声や不思議な音が聞こえてきた。

 その音は、喘ぎ声にも聞こえるし、
 我慢しているようにも、叫んでいるようにも聞こえていた。
 しかも、何処か濡れた場所を、かき混ぜて、触っているようにも、
 吸ったり、かんだり、舐めているようにも聞こえていた。

 音だけではなく、影でしか見えないが、
 よく見ていると、脚の間に手を持っていき、
 男たちに汚されていた場所から、何かを掻き出す動きまでしていた。

「す。。ジャァア。すみません。もう。。うぅうん。くちゅ。ジャァア。」
「バン。。大丈夫なのか?」
「すみません。おくぅう。ううん。ハァァ。汚された。じゃァァアア。」

(そうか。。今も疼いているんだな。ハアハア。この女。。今も。。)

 喘ぎ声は、水飛沫のせいで途切れ途切れにしか聞こえないが、
 透けて見える手が、その場所を一生懸命触っているので、
 男達に玩具にされ、疼く身体を自分の手で慰めている事は、
 この男が鈍感であっても、分かりやすかった。

「大丈夫か?(俺が慰めてあげてもいいんだぞ!)」
「ジャァアア。よく聞こ。。ジャァア。えません。。ジャッ。。フウゥ。」

「キコキコ。。終わったかぁ?キコキコ。。もう綺麗になったかぁあ?」

(これで綺麗になった。アハハハ。この女は、俺の物。俺がァアアア。)

 外側も曇っていたし、
 内側にも、モウモウとした水煙が立ち込めて見えていなかったが、
 少しでも早く彼女を見たい男が、一生懸命水滴を手で拭っていた。

「は。。。はい。。き。。。きれ。。い。。き。。。。。」
「大丈夫かぁぁ。アハハ。」「(はっ)。。。」

 さっきまでは、彼女の意識もハッキリしていたが、
 周りの水煙のように意識が混濁し、
 今では声も出せなくなって、動く事も出来なくなっていた。

「ガン。。アハハハ。。じゃあぁあ、女神様との約束通り、
 今からお前は、俺の物!俺様の物だからなぁ。いやぁ。最高だァ。
 一生、俺の物になるんだからなぁ。さあ、楽しませてくれよォ。」
「ポタ。。ポタポタ。。。。」

 今でも意識があるように見える精巧に出来た人形は、
 少し前の時のように、男から身体を隠そうとも、
 ついさっきののように、堂々と見せようともせずに、
 シャワーを浴び終わって、一息ついた顔で止まっていた。

(いい身体。。惚れ惚れするほどに完璧な皮膚に造形。さいこぉおお。)

「ぐにゅ。。最高だよ!。。くちゅくちゅ。。いいねぇ。
 奥まで洗ったのかな?これから、何回だって。この女なら何百人だって。
 ずっと綺麗なままで、永遠に生きていけるんだよぉお。
 ジュルジュル。ハァ。素晴らしい。これで、君は永遠に慣れたんだぁあ。
 一生美しままで、このまま永遠に暮らすんだよ。あはは。」

 この男が最初に触ったのは、巨大な胸で、
 掴む度に指がめり込んでいく、マシュマロのような柔らかさと、
 手を離すと、元に戻ろうとする強い張りが、
 巨大で重そうな胸が、重力に負けないように上向きに支えていた。

 背が高く、ムッチリとした太ももの間には、
 綺麗に合わさった膨らみが、処女なのかと見間違うが、
 指先で左右に押し広げると、ピンク色の潤んだ肉ヒダが男を誘い、
 肉ヒダをかき分けた先には、別の生き物と思ってしまいそうな穴が、
 マネキンになった女の意志を無視して、ウネウネと蠢いていた。

「チュル。。ジュルジュル。。ハァァ。。」

(なんていい味なんだ。最高だァ。味に匂いまで、
 香水のように舌に絡みつき、何度飲んでも飽きない極上の蜜。)

 もちろん、その蠢く姿を見て我慢が出来なくなった男が、
 会った時から考えていた事を始めていた。

 その事は、膣口に口をつけて直接愛液を飲む事で、
 彼女の身体から流れ出す蜜の味は、
 最初だけは、他の男達が入れた残滓が混ざっているように感じていたが、
 そんな気持ちを忘れさせる位に、極上な味と匂いで男の気持ちを誘い、
 今では、もっと欲しいと、もっと飲ませろと強く吸っていた。

「ピクッ。。。」

「あはは、これから、ずっと。これから一生。ぺろぺろ。ペロペロ。
 ずずずずぅう。ふぅう。一生。僕のもの。君は、僕のものだよ。」

 全裸の女を、こうやって好きにする事などいつもの事だし、
 数え切れない程の女を、人形に変えて客に送り出していた。

 いつもなら飽きるか、次の行為を楽しんでいたはずだが、
 漂う匂いがそうさせるのか、この女神がそうさせてしまうのか、
 周りにいる、動かない観客からの凍った視線を浴びながら、
 男の行為が止まることなど無く、女性器に吸い付き、
 舐め、触り、またすすり、溢れ出す愛液を飲み欲していた。

「レロレロ。そういえば、君の名前。なんという名前かなァァぁ。ビュウ
 ペロペロ。君の事を聞いていなかったね。ちゅるちゅる。ハァ。いい。
 ずずずず。はぁ。いい、なんて美味しいんだァ。ハァハァ。。べろべろ。
 びゅびゅう。ハア。ずずず。べろべろ。いいよぉ。もっと。もっとぉ。」

(完璧?。。永遠?。。不滅?。。。。。もっと。。もっと、讃え。)

 この女に狂っているのか、会う前から狂っていたのか、
 それとも、生まれた時から狂っているのか、
 目の前にいる自分が妄想できる最高の人形に歓喜し、のめり込んでいた。

 もちろん、彼女を舐めているだけで何時も絶頂を味わっているし、
 射精しても、肉棒がしおれたりしないので、
 舐める事をやめようとも、ここから口を離そうとも思えなかった。

「ハアハア。べろべろ。。ジュルジュル。。グイグイ。。」

(敬い。。賛美し。。。祈りを捧げ。。自分を?全てを。。。あぁあ。。)

 一方的に祈りを捧げ、相手の気持ちなど考えずに願い、
 今まで探していた物に、会えたような気がしていた。

 もちろん今は、この女性に少しでも近づきたくて、一瞬も離れたくなく、
 しかし、いつか必ず別れる日が来ると、恐怖すら感じていた。

(女神様。私の女神様。。私の願いを聞いてください!。わたしの願い。)

 腰を押し付け、重なり合うように身体を合わせて、
 自分が与えられない、永遠を求めて女神に祈っていた。

 可哀想なこの男は、持たざる者の中で、持つ事が出来そうな物達に、
 与えられるかもしれない、持てるかもしれない時間の猶予を与え、
 しかも、周りに生まれた持たない物達にも、微かな希望を与えていた。

 もちろん、あの場所に繋がり、祈り、それでも与えられなかったので、
 この男の乾いた心は、周りの祈りを受け続けて壊れていったが、
 人を助け続けた奇跡なのか、この女の気まぐれなのか、
 これ以上の祈りを受けなくていいと、許される事になった。

「イイわよぉぉ!じゃあ、アレを貰うわね。ウフフ。」「。。?」

 この男が許される時が訪れ、
 凍ったように動かない人形が話し出し、心に喜びの歌を流していた。

(ありがとうございます。女神様。はあぁ。私もこれで。。これで遂に。)

 多くの人に生きる希望を与え、幸福の種を周りに蒔き、
 救済してきた男の、願いと祈りが女神に届いていた。

「様は、いらないかなぁ。アハハハ。。エリカでいいからね。ウフフ。」
「エリカ。。さ。。」「ぶっブぅううう。エリカかぁ。エリカチャンね。」

「エリカ。。ちゃん?」

(女神様?本当に女神様なのですか?叶えられますか?本当に?)

 エリカの事を、どのように表現すればいいのか困ってしまうが、
 神々しいほどに輝く光から発せられた言葉が、
 俗悪で堕落した色合いを帯びている事に、この男も戸惑っていた。

「うふふふふ。じゃあ、与えてあげるから、そこに寝て!
 もちろん上を向いてよ。君は何もしなくていいのよ。なぁアンにもね。」

「はい、女神様。。ぺた。。」「めがみってぇ。モォおお。まあイイわ。」

(冷たい。。これで俺も。。これで。。あの時を。。。)

 この男に魔法をかけられた者たちは、
 全身が麻痺して、記憶さえも曖昧な人形に変わり、
 メンテナンスをすれば、不滅の身体を謳歌出来たし、
 生きる事を放棄して、壊れたりしなければ、
 この男が死なない限り、永遠にその時から先に進む事はなかった。

「ハアハア。。女神様。。お願いします。。ハアハア。ビキビキビキ。」

 残念な事に、この男の願いを叶える人には会えなかったし、
 永遠に続く世界を、歩きたいと思える新しい人形にも会えなかった。

 しかし、初めて離したくないと思えた人形にも会え、
 何故、この声を女神と思えたのか、
 何故、この人形となら永遠を生きたいと願ったのか、
 床に全裸のまま横たわる男の肉棒が、
 全身の血液を集めたように浅黒く染まり、
 皮膚の表面には、はち切れそうな血管が浮き出ていた。

「さァ。。いくわよ。。君は何もしない。ただ見ているだけでいいわぁ!」

「うぅぅ。」「アハハハ、もう。。声も出なくなったみたいね。アハハ。」

 ゆかに横たわる男の肉棒に、暖かい蜜壷が絡みつくと、
 この男がしていた事と同じように、彼の全身が痺れ動かなくなり、
 フワフワとただよって。。そして。。

「。」「目だけは残してあげるから、ゆっくり、ゆっくり楽しんでね。」

 身体など無理だし、首を動かすことも出来ない、
 瞼を閉じることも出来ないのだから、目も見えなくなりそうだが、
 その感覚さえもなく、ただ目の前に巨大な胸がフラフラと揺れ、
 腰から先が、蕩け出すような感覚の中にいた。

「とっても気持ちいいワヨォオオォオ。アハハハ。。グチュグチュ。」

 目を閉じる事も出来ないので、
 気持ちよさそうに笑っている女神が、楽しそうに自分を見ていた。

「アァアン。。いいわァあ。。トォオッテモ。。グチュチュウ。」

 彼も身体から、心から何かを絞り取られているような気もするが、
 今まで感じたことの無い、最高の快感が襲っていた。

「。」
「さあ、もう少しで。もう少しヨォオオ。。もう少しでね。ウフフフ。
 君が欲しかった。君が恋い焦がれていた世界に連れて行ってあげるね。」

「ウフフフフ。。」「アハァハハハァア。。アハ。」「ウフゥゥウ。。」

 周りの音など聞こえていないのだが、
 頭に直接響いてくる音が、何度も頭の中を反響して、
 沢山の人が、覗き込んで笑っているような声が聞こえているし、
 女神の声だけが、正気を保つ糸のように心に絡みついていた。

「。」「おかえり。。。」

 フワフワと、何処かで漂っているのだろうか、
 自分は何になったのか、何であったかさえも覚えていない、
 ただ心地よい世界に包まれていた。

(温かく心地よい水に包まれていく。。溶けだしていく。。
 全てが消え、覚えているのは、。。○○。。ごめん。。。俺をの。。。)

 。

「スルスル。。あはは、やっと貰っちゃった。ふぅう。長かったァアア。」

 真っ赤なレースのタンガショーツを履いた事で、
 エリカの目的が達成出来たらしく、
 とても満足そうな顔で、腰に手を当てて笑っていた。

「ガチャン。。びゅゥウウウ。。さむっ。。ぶる。。ブルブル。。」

 深夜という時間も終わり初め、暖かい部屋から出て来たエリカは、
 震える身体を押さえながら、早く部屋に戻ろうと歩き出していた。
 

 マネキン③
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