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みさき(運命)
温泉旅館①
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夜も更け、街の灯りがほとんどない深い森の道を、
美咲は助手席から、運転する佐々木の真剣な横顔を見つめながら、
心の中で不安が募っていくのを感じていた。
心配そうな彼女を見て「まだ残業は続くぞ」と佐々木が楽しげに言い、
美咲は「はい、社長」と表面上は笑みを浮かべて応じたが、
どこへ向かっているのか分からないまま、車が森の夜道を走り続ける。
時刻はすでに遅く、
明日の仕事に影響が出るかもしれないと美咲は心配だったが、
今は佐々木の言う「残業」に従うしかなかった。
それ以上に気になっていたのは、自分の服装だった。
美咲の姿は、黒いスーツに身を包んだ男装の麗人そのものだった。
彼女の顔は佐々木の要望通り、
冷ややかさを感じさせるメイクが施されて、
アイシャドウはグレーがかったダークブラウンで、
目元にシャープな陰影を生み出し、切れ長の目を演出し。
目と同じく唇には、淡いベージュ系のリップがのせられており、
血色を抑えたマットな質感と陶器のように白く整えられた肌が、
冷淡で妖艶な雰囲気を際立たせている。
肩ぐらいの長さでウェブが掛かったアッシュブラウンの髪は、
軽く引っ張られて、きつめのポニーテールにまとめられ、
冷たくつり上がった目と妖艶な唇の印象を強めていた。
そんな彼女が着ているのは、
細身の黒いスーツに黒いネクタイ、黒のローファー。
ジャケットの内側に着た体にフィットした白シャツは、
窮屈そうに胸元が膨らんで、女性らしいラインを魅せ、
黒のネクタイが沿って曲がることで、胸の大きさを強調する。
同じくスラックスも体に密着し、丸みを帯びた綺麗なラインを目立たせ、
美咲が背を伸ばして歩くたびに、お尻が前後に動いている姿を晒した。
しかし、その姿以上に二人だけが知る秘密も隠されていた。
彼女が身につけている白いレースの下着は大胆なデザインで、
普段ならあえて見せたくない部分を強調するもの。
それはシャツ越しで見えないはずなのに、
美咲の身体にシャツがフィットしているため、
胸の形と共にそのシルエットがうっすらと浮かび上がり、
佐々木が胸に触れるたび、敏感な部分が反応しているのがわかる。
会社の社有車に乗り込んだときから、
佐々木は「脚は開きっぱなしで浅く座れ」と助手席の美咲に命令し、
彼に「やめてください」と言えない彼女は、その通りに座っている。
その格好は、デニムワンピースの時や下着姿の時と同じだが、
その時には生脚を撫でる程度だった行為が、
スラックスで隠されて、今では直接ではないとでも言いたいらしく、
大胆に太腿の付け根まで佐々木が揉んでくる。
もちろん、そこに触れてくれば「ヤメて下さい」と美咲も言えたが、
佐々木が触るたびに、ファスナーが当たっているような気がして、
彼ではなく「硬い金属相手に感じるのか?」と言われそうで、
恥ずかしさと戸惑いで、意識しすぎな彼女の身体が熱くなっていた。
もちろん、社有車の中で二人っきりの静寂の中、
「社長…ヤメて下さい…」と言いながら楽しめる程に余裕は無く、
美咲は心の中で抵抗しつつ、顔を真っ赤に染めながら、
オリモノが出ないように必死に下腹部を締め。
しかし、嬉しそうに触れながら、
こちらを見つめる佐々木の視線に耐え続けていると、
「早く…もうすぐ…社長…社長…もう少し先を…もっと…もう…」
という禁断の感情が、彼女の中で膨れ上がっていくのを感じ、
必死に下唇を噛み締めて、
その思いを口に出さないように美咲は耐えていた。
。
何度も快楽に流されそうになったが、
それを抑え込むように、美咲が必死に耐え続けていると、
「着いたぞ」と佐々木が言い、車が止まった。
美咲は言われた通りにドアを開けて車から降りると、
目の前に広がった光景に息を呑んだ。
そこには、周囲に人気のない小さな古びた温泉旅館が立っていた。
その外観はあまりにもみすぼらしく、
修繕がされていない壁は所々剥がれ、屋根の瓦もいくつか落ちて、
もちろん、車がここに停まったのだから、
ここで「秘書の仕事」をさせられるのは理解できた。
「まさか…やっぱり…」
と、特殊なビデオ映像で見たことがあるような仕事を、
ここでするのではないかという、
漠然とした恐怖が心を満たし、美咲は旅館を呆然と見つめていた。
「ここが最後だ。頑張れよ。バシィ」と佐々木が軽く美咲の肩を叩く。
その言葉には、どこか意地悪さが滲んでいて、
笑みを浮かべたままの顔が、美咲の不安を一層募らせる。
「私、こんなところで何をするの…?」と心の奥で呟くが、
その感情は、無情にも暗い森の中に消えてしまい、
美咲は、今後の展開に胸が締め付けられる思いを抱えながら、
旅館へと足を進めた。
二人が旅館の建物に入ると、薄暗い廊下を進んだ先で、
佐々木の古い知り合いらしい仲居が出迎え、
四十代後半と思われる若い中年の女が、
髪をきっちりまとめ、古風な着物を着た姿が印象的だった。
仲居は美咲に目を向け、満面の笑みを浮かべてこう言った。
「社長さん。今回の秘書さんは極上ですね。流石は佐々木様です。
さあ、早く行って下さい。皆さん首を長くしてお待ちですよ。ヒヒヒ。」
その言葉の意味を考えている美咲は、
何が「極上?」なのか、何を「待っている?」のかを考えてみたが、
この旅館を見た時に感じた「やっぱり…」という気持ちが膨らんで、
心臓はドキドキと高鳴り、不安が波のように押し寄せる。
その不安感から逃げ出したくなるような心境だったが、
仲居の無邪気でどこか邪悪な笑顔に逃げることさえ忘れてしまい、
佐々木が、自分の腰を強く抱き寄せる安心感に、
美咲はいつの間にか彼に身を任せ、大広間へと足を踏み入れた。
二人が大広間に入ると、古びた畳の香りが漂い、
広々とした空間が目の前に広がり、
壁に掛けられた古い掛け軸が、この旅館の歴史を静かに物語っていた。
その古い大広間の中央に、長机が連なって並べられ、
左右には、男たちが座布団の上に並んで座って二人を見ている。
もちろん、二人が部屋に入ってくると、
「社長、待ってましたよ」「美咲ちゃん、早くお酌して」「美人だな!」
「こんな子に…」「本当にいいのか?」「佐々木、羨ましいなァ」
男たちは皆、美咲を見て喜び、酔った浴衣姿のまま楽しそうに談笑し、
時折、美咲の方を振り返り、隣の人と小声で何かを相談し合い、
そのあとに嫌な笑い声を上げる。
そんな男たちの視線を感じながら、
美咲は何とも言えない気まずさと戸惑いを覚え、
今後の展開への不安が渦巻いていた。
その時に佐々木が「お前たち、待たせていないよな!」
と大声で周りを威圧し、
まるで「これは俺の女だ」と見せつけるように強く腰を抱き寄せてきた。
「佐々木さん…」と、美咲は彼の力強さに少し安心し、さらに身を任せた。
すると、慌てた男たちがガヤガヤと「待っていません!」と応える。
一段と美咲は刺すような視線を受け続けながらも、
奥の上座に座り始めた佐々木の隣に座ろうとした時、
「美咲、前で自己紹介しろ」と、佐々木が睨むような顔で命じてきた。
「自己紹介…何を話せばいいの?どうすれば…」
と、美咲は戸惑い、呆然と彼を見つめたが、
佐々木は「何でもいいだろ」と、目線で舞台を示して美咲を促す。
その視線は怖く、このままでは彼に嫌われてしまいそうで、
美咲は「はい、はいっ…」と慌てて返事をする。
もちろん、目の前には十人近い大人たちから注がれる視線で、
恐ろしくて全身が震え、喉も乾いているように感じたが、
「社長の秘書です…私は、秘書…」
と、必死に心を奮い立たせて、一段上がった舞台に美咲が立っていた。
男装の麗人のような美咲が舞台に立つと、
酔った男たちの視線が一斉に集中し、
彼女の顔は恥ずかしさでさらに熱くなる。
一段と頭が真っ白になり、何を言えばいいのか戸惑いながらも、
「は、はじめまして…私は、藤崎美咲です」
と、やっとの思いで言葉を絞り出した。
静まり返った大広間に美咲の小さな声が響き渡ると、
男たちはそれぞれの反応を見せながら、興味深そうに彼女を見つめる。
その瞬間、自分がこの場にいる意味をほんの少し理解したが、
何が待ち受けているのかは依然わからないし、
逃げることはできず、ただ全てを受け入れるしかなかった。
美咲の心臓は激しく鼓動し、
舞台の真ん中で、まるで主役として晒されているような錯覚に襲われ、
男たちの視線が、じりじりと彼女の身体を侵食するように感じられる。
浴衣姿の男たちは好奇心と期待に満ちた目で美咲を見つめ、
「スリーサイズは?」と一人が問いかけると、
続けて「初体験はいつ?」と下品な質問が飛び出した。
その声は次第にヤジと化し、美咲の心を締め付ける。
彼女は言葉が喉に詰まり、視線の圧力に耐えながら、
卑猥な視線や言葉の連続に心の中の不安が膨れ上がっていった。
「自慰行為は?」とさらに追い打ちをかけるような声が響き、
冗談めかしたその言葉に美咲の心は深く傷ついた。
男たちは嘲笑を交えながら、
赤面して震える美咲に容赦なく問いかけ続けるので、
美咲は返答を失い、喉が乾ききったまま言葉を出せなかった。
「脱げ!」と男たちの声が一斉に上がり、美咲の身体が一瞬で凍りついた。
心の奥底で「イヤ…逃げたい…怖い…やめて」と声なき叫びが響くが、
身体は硬直し、ただ呆然と立ち尽くすばかりで、
その羞恥と恐怖が彼女を満たし、
男たちの視線がまるで獲物を捕える網のように彼女を捉えて離さない。
彼女は何とか冷静を保とうと努めるが、心は混乱の渦に飲み込まれ、
「これは現実なのか?」と疑念が浮かび、気持ちが激しく揺れる。
その時、部屋から消えていた佐々木が浴衣姿で現れ、
美咲はまるで異様な状況の中に一筋の光を見つけたかのように感じた。
部屋に戻ってきた佐々木に、美咲が救いを求めるように顔を向けると、
彼は優しい眼差しで返し、穏やかな声で話し始める。
「アイツらは、お前が好きなだけだ。素直に答えればいい」
その言葉が、美咲の心にじわりと染み込んでいくと、
先ほどの混乱や恐れが嘘のように霧散していくのを感じる。
美咲は深呼吸をして心を落ち着け、
「スリーサイズは…93、66、85です」
と、どこか自信を感じさせる堂々とした口調で答える。
内心ではまだ恥ずかしさが残っていたが、佐々木の言葉が支えになり、
男たちの色々な視線すらも、全て好意的に受け入れる余裕が生まれ。
「初体験は…まだです」
と答えると、男たちが興奮したようにざわめきだし、
周囲にどんな影響を与えているのかを感じながら、
「自慰行為は…たまにします」と口にすると、
男たちの歓声が上がり、美咲はますます恥ずかしくなったが、
全裸を店員に見せた時と同じような、
心が解放されて、痺れるような甘い快感が体を駆け巡っている事に、
美咲はまだ感づいていない。
もちろん、佐々木が優しく見守っているのを感じているし、
そのおかげで男たちの反応を冷静に受け流せる余裕が生まれ、
彼に頼ることで心に安らぎが芽生えていった。
美咲は少しずつ本当の自分を受け入れ、声も次第に力強さを増し、
どんな質問にも堂々と答えられるようになって、
恐怖に打ち勝ちながら、自分への自信と余裕が少しずつ戻り始めていた。
温泉旅館①
美咲は助手席から、運転する佐々木の真剣な横顔を見つめながら、
心の中で不安が募っていくのを感じていた。
心配そうな彼女を見て「まだ残業は続くぞ」と佐々木が楽しげに言い、
美咲は「はい、社長」と表面上は笑みを浮かべて応じたが、
どこへ向かっているのか分からないまま、車が森の夜道を走り続ける。
時刻はすでに遅く、
明日の仕事に影響が出るかもしれないと美咲は心配だったが、
今は佐々木の言う「残業」に従うしかなかった。
それ以上に気になっていたのは、自分の服装だった。
美咲の姿は、黒いスーツに身を包んだ男装の麗人そのものだった。
彼女の顔は佐々木の要望通り、
冷ややかさを感じさせるメイクが施されて、
アイシャドウはグレーがかったダークブラウンで、
目元にシャープな陰影を生み出し、切れ長の目を演出し。
目と同じく唇には、淡いベージュ系のリップがのせられており、
血色を抑えたマットな質感と陶器のように白く整えられた肌が、
冷淡で妖艶な雰囲気を際立たせている。
肩ぐらいの長さでウェブが掛かったアッシュブラウンの髪は、
軽く引っ張られて、きつめのポニーテールにまとめられ、
冷たくつり上がった目と妖艶な唇の印象を強めていた。
そんな彼女が着ているのは、
細身の黒いスーツに黒いネクタイ、黒のローファー。
ジャケットの内側に着た体にフィットした白シャツは、
窮屈そうに胸元が膨らんで、女性らしいラインを魅せ、
黒のネクタイが沿って曲がることで、胸の大きさを強調する。
同じくスラックスも体に密着し、丸みを帯びた綺麗なラインを目立たせ、
美咲が背を伸ばして歩くたびに、お尻が前後に動いている姿を晒した。
しかし、その姿以上に二人だけが知る秘密も隠されていた。
彼女が身につけている白いレースの下着は大胆なデザインで、
普段ならあえて見せたくない部分を強調するもの。
それはシャツ越しで見えないはずなのに、
美咲の身体にシャツがフィットしているため、
胸の形と共にそのシルエットがうっすらと浮かび上がり、
佐々木が胸に触れるたび、敏感な部分が反応しているのがわかる。
会社の社有車に乗り込んだときから、
佐々木は「脚は開きっぱなしで浅く座れ」と助手席の美咲に命令し、
彼に「やめてください」と言えない彼女は、その通りに座っている。
その格好は、デニムワンピースの時や下着姿の時と同じだが、
その時には生脚を撫でる程度だった行為が、
スラックスで隠されて、今では直接ではないとでも言いたいらしく、
大胆に太腿の付け根まで佐々木が揉んでくる。
もちろん、そこに触れてくれば「ヤメて下さい」と美咲も言えたが、
佐々木が触るたびに、ファスナーが当たっているような気がして、
彼ではなく「硬い金属相手に感じるのか?」と言われそうで、
恥ずかしさと戸惑いで、意識しすぎな彼女の身体が熱くなっていた。
もちろん、社有車の中で二人っきりの静寂の中、
「社長…ヤメて下さい…」と言いながら楽しめる程に余裕は無く、
美咲は心の中で抵抗しつつ、顔を真っ赤に染めながら、
オリモノが出ないように必死に下腹部を締め。
しかし、嬉しそうに触れながら、
こちらを見つめる佐々木の視線に耐え続けていると、
「早く…もうすぐ…社長…社長…もう少し先を…もっと…もう…」
という禁断の感情が、彼女の中で膨れ上がっていくのを感じ、
必死に下唇を噛み締めて、
その思いを口に出さないように美咲は耐えていた。
。
何度も快楽に流されそうになったが、
それを抑え込むように、美咲が必死に耐え続けていると、
「着いたぞ」と佐々木が言い、車が止まった。
美咲は言われた通りにドアを開けて車から降りると、
目の前に広がった光景に息を呑んだ。
そこには、周囲に人気のない小さな古びた温泉旅館が立っていた。
その外観はあまりにもみすぼらしく、
修繕がされていない壁は所々剥がれ、屋根の瓦もいくつか落ちて、
もちろん、車がここに停まったのだから、
ここで「秘書の仕事」をさせられるのは理解できた。
「まさか…やっぱり…」
と、特殊なビデオ映像で見たことがあるような仕事を、
ここでするのではないかという、
漠然とした恐怖が心を満たし、美咲は旅館を呆然と見つめていた。
「ここが最後だ。頑張れよ。バシィ」と佐々木が軽く美咲の肩を叩く。
その言葉には、どこか意地悪さが滲んでいて、
笑みを浮かべたままの顔が、美咲の不安を一層募らせる。
「私、こんなところで何をするの…?」と心の奥で呟くが、
その感情は、無情にも暗い森の中に消えてしまい、
美咲は、今後の展開に胸が締め付けられる思いを抱えながら、
旅館へと足を進めた。
二人が旅館の建物に入ると、薄暗い廊下を進んだ先で、
佐々木の古い知り合いらしい仲居が出迎え、
四十代後半と思われる若い中年の女が、
髪をきっちりまとめ、古風な着物を着た姿が印象的だった。
仲居は美咲に目を向け、満面の笑みを浮かべてこう言った。
「社長さん。今回の秘書さんは極上ですね。流石は佐々木様です。
さあ、早く行って下さい。皆さん首を長くしてお待ちですよ。ヒヒヒ。」
その言葉の意味を考えている美咲は、
何が「極上?」なのか、何を「待っている?」のかを考えてみたが、
この旅館を見た時に感じた「やっぱり…」という気持ちが膨らんで、
心臓はドキドキと高鳴り、不安が波のように押し寄せる。
その不安感から逃げ出したくなるような心境だったが、
仲居の無邪気でどこか邪悪な笑顔に逃げることさえ忘れてしまい、
佐々木が、自分の腰を強く抱き寄せる安心感に、
美咲はいつの間にか彼に身を任せ、大広間へと足を踏み入れた。
二人が大広間に入ると、古びた畳の香りが漂い、
広々とした空間が目の前に広がり、
壁に掛けられた古い掛け軸が、この旅館の歴史を静かに物語っていた。
その古い大広間の中央に、長机が連なって並べられ、
左右には、男たちが座布団の上に並んで座って二人を見ている。
もちろん、二人が部屋に入ってくると、
「社長、待ってましたよ」「美咲ちゃん、早くお酌して」「美人だな!」
「こんな子に…」「本当にいいのか?」「佐々木、羨ましいなァ」
男たちは皆、美咲を見て喜び、酔った浴衣姿のまま楽しそうに談笑し、
時折、美咲の方を振り返り、隣の人と小声で何かを相談し合い、
そのあとに嫌な笑い声を上げる。
そんな男たちの視線を感じながら、
美咲は何とも言えない気まずさと戸惑いを覚え、
今後の展開への不安が渦巻いていた。
その時に佐々木が「お前たち、待たせていないよな!」
と大声で周りを威圧し、
まるで「これは俺の女だ」と見せつけるように強く腰を抱き寄せてきた。
「佐々木さん…」と、美咲は彼の力強さに少し安心し、さらに身を任せた。
すると、慌てた男たちがガヤガヤと「待っていません!」と応える。
一段と美咲は刺すような視線を受け続けながらも、
奥の上座に座り始めた佐々木の隣に座ろうとした時、
「美咲、前で自己紹介しろ」と、佐々木が睨むような顔で命じてきた。
「自己紹介…何を話せばいいの?どうすれば…」
と、美咲は戸惑い、呆然と彼を見つめたが、
佐々木は「何でもいいだろ」と、目線で舞台を示して美咲を促す。
その視線は怖く、このままでは彼に嫌われてしまいそうで、
美咲は「はい、はいっ…」と慌てて返事をする。
もちろん、目の前には十人近い大人たちから注がれる視線で、
恐ろしくて全身が震え、喉も乾いているように感じたが、
「社長の秘書です…私は、秘書…」
と、必死に心を奮い立たせて、一段上がった舞台に美咲が立っていた。
男装の麗人のような美咲が舞台に立つと、
酔った男たちの視線が一斉に集中し、
彼女の顔は恥ずかしさでさらに熱くなる。
一段と頭が真っ白になり、何を言えばいいのか戸惑いながらも、
「は、はじめまして…私は、藤崎美咲です」
と、やっとの思いで言葉を絞り出した。
静まり返った大広間に美咲の小さな声が響き渡ると、
男たちはそれぞれの反応を見せながら、興味深そうに彼女を見つめる。
その瞬間、自分がこの場にいる意味をほんの少し理解したが、
何が待ち受けているのかは依然わからないし、
逃げることはできず、ただ全てを受け入れるしかなかった。
美咲の心臓は激しく鼓動し、
舞台の真ん中で、まるで主役として晒されているような錯覚に襲われ、
男たちの視線が、じりじりと彼女の身体を侵食するように感じられる。
浴衣姿の男たちは好奇心と期待に満ちた目で美咲を見つめ、
「スリーサイズは?」と一人が問いかけると、
続けて「初体験はいつ?」と下品な質問が飛び出した。
その声は次第にヤジと化し、美咲の心を締め付ける。
彼女は言葉が喉に詰まり、視線の圧力に耐えながら、
卑猥な視線や言葉の連続に心の中の不安が膨れ上がっていった。
「自慰行為は?」とさらに追い打ちをかけるような声が響き、
冗談めかしたその言葉に美咲の心は深く傷ついた。
男たちは嘲笑を交えながら、
赤面して震える美咲に容赦なく問いかけ続けるので、
美咲は返答を失い、喉が乾ききったまま言葉を出せなかった。
「脱げ!」と男たちの声が一斉に上がり、美咲の身体が一瞬で凍りついた。
心の奥底で「イヤ…逃げたい…怖い…やめて」と声なき叫びが響くが、
身体は硬直し、ただ呆然と立ち尽くすばかりで、
その羞恥と恐怖が彼女を満たし、
男たちの視線がまるで獲物を捕える網のように彼女を捉えて離さない。
彼女は何とか冷静を保とうと努めるが、心は混乱の渦に飲み込まれ、
「これは現実なのか?」と疑念が浮かび、気持ちが激しく揺れる。
その時、部屋から消えていた佐々木が浴衣姿で現れ、
美咲はまるで異様な状況の中に一筋の光を見つけたかのように感じた。
部屋に戻ってきた佐々木に、美咲が救いを求めるように顔を向けると、
彼は優しい眼差しで返し、穏やかな声で話し始める。
「アイツらは、お前が好きなだけだ。素直に答えればいい」
その言葉が、美咲の心にじわりと染み込んでいくと、
先ほどの混乱や恐れが嘘のように霧散していくのを感じる。
美咲は深呼吸をして心を落ち着け、
「スリーサイズは…93、66、85です」
と、どこか自信を感じさせる堂々とした口調で答える。
内心ではまだ恥ずかしさが残っていたが、佐々木の言葉が支えになり、
男たちの色々な視線すらも、全て好意的に受け入れる余裕が生まれ。
「初体験は…まだです」
と答えると、男たちが興奮したようにざわめきだし、
周囲にどんな影響を与えているのかを感じながら、
「自慰行為は…たまにします」と口にすると、
男たちの歓声が上がり、美咲はますます恥ずかしくなったが、
全裸を店員に見せた時と同じような、
心が解放されて、痺れるような甘い快感が体を駆け巡っている事に、
美咲はまだ感づいていない。
もちろん、佐々木が優しく見守っているのを感じているし、
そのおかげで男たちの反応を冷静に受け流せる余裕が生まれ、
彼に頼ることで心に安らぎが芽生えていった。
美咲は少しずつ本当の自分を受け入れ、声も次第に力強さを増し、
どんな質問にも堂々と答えられるようになって、
恐怖に打ち勝ちながら、自分への自信と余裕が少しずつ戻り始めていた。
温泉旅館①
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