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リリアンとクロ(正義の味方)
蹂躙③
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巨大なユーマの頭が、リリアンの下半身を覆い隠すように止まっていた。
「ぎゃっぎゃ。。ギャッッが。」
その頭は、まるで時を超えるかのような速さでリリアンに迫り、
大きな口を開けて彼女の豊満な胸に抱きつくはずだったが、
ユーマにとって何かが足りなかったらしく、不思議な声をあげていた。
その不思議な鳴き声をあげている理由は、
先端が突き刺さり、口いっぱいに広がる生暖かい体液を感じなかった。
牙がくい込み、顎を絞める度に変わっていく心地よい叫びがなかった。
顎が全て閉じて、熱い獲物が冷たい屍に代わる瞬間がなかった。
その全てを与えてくれる、楽しい玩具がいないと戸惑っていた。
「もうチョット。もうちょっとよぉ。あっあぁあ。もうチョットぉおお。」
戸惑っている観客とユーマの事を無視して、
上半身がどこかに消えて、巨大な頭が自分を覆い隠しているのに、
その近くから、楽しそうな話し声が聞こえてきた。
「理々杏?りりあん、なのか?大丈夫なのか?本当に生きているのか?」
その楽しそうな声は、理々杏が出しているように聞こえるが、
博士には、彼女が下半身だけで話しているように見えて戸惑っていた。
「いやぁあん見えちゃっているわぁあ。アハハ。もぉお。エッチぃい。」
(クロ。見えちゃっている。早く隠して、早く隠すのおおぉおぉ!!)
観客が心配する声は、リリアンにも理々杏にだって聞こえているが、
本人たちは状況が見えていないらしく、
二人とも下半身に感じる空気の冷たさだけを気にしていた。
もちろん理々杏が感じているのは、ユーマが消えたと思ったら、
背を思い切り反らして、腰が逆方向に曲がって痛い事と、
何故かは、よく分からないが、
鳩尾辺りの皮膚が、引き裂かれそうに痛い事と、
両肩付近に感じる巨大な重りが、大きく揺れている事と、
ミニスカート姿のまま、
両膝を開いてリンボーダンスを踊っているかのように、
お尻からへそ下辺りにまで感じる冷たい夜風と、
太腿の合わせ目に感じる熱い汗の流れ、
そして、濡れたショーツの凍えるような冷たさが、彼女を困らせていた。
(アハハハハハ。いやぁ。。丸見えだったね。ごめえぇえん。)
リリアンにとって、巨大な生き物が持つことのない、
姿が消えるほどに早い攻撃など、特に気にする事でもなく、
檻と沼に囲まれて、逃げ場のない状況などは普通のことだったのか、
冷静に相手の牙を避けるために、両膝を広げて折りたたみ、
ブリッチをするように身体を逸らして、その攻撃を避けていた。
そのユーマの攻撃を避けている彼女の格好は、
可愛らしいチェック柄のスカートが、腰あたりまでめくれ上がり、
色っぽい太ももと、タンガのようになっているショーツが見えて、
中央で切り裂かれていた上着も、境目から左右に広がっていた。
しかし、釣鐘型の大きな乳房が、
身体のラインに沿って左右に広がっていたので、
広がった乳房の谷間や、その先につながる膨らみは見えているが、
皮膚が薄くなって、ピンク色に染まっている部分は隠されていた。
「それじゃぁ、いくわよぉおお。せぇえぇえのおぉおお。グルぅうン。。」
相手の攻撃を、リンボーダンスのように両膝を広げて避けていた彼女は、
そのまま頭を下げていき、身体を後ろに回転させていた。
「ぶぅうん。。ドゴン。」「ギリギリィ。。いいい。。バギィイん。。」
彼女の身体が回転すると、ユーマの顎に膝が当たったらしく、
最初はリリアンの動きに抵抗していたが、
頭が前に飛び出して、首が伸びきって弱くなった場所から、
組み木細工のハマッタ部分を、無理やり外したような音が響いていた。
「。。グッ。。グギギャァアアアア。」
ユーマもリリアンからの攻撃を受けて混乱していたが、
獲物に向かって自分が近づいていることに気づいたようで、
頭が身体から外れて自由になり、刹那しか残っていない命を燃やして、
彼女に喰らいつこうと顎を大きく広げていた。
「しつこいのは、嫌われちゃうぞぉおぉぉぉお!」
ユーマのような化け物を倒せるのなら、この女も化け物らしく、
外れた大きな頭が顎を広げて落ちてくるのに、
冷静にバク転を途中でやめて地面に両手をつけると、
「グウゥウ。あはははっ。。飛んでけぇええ。。ブン。どごぉおん。」
ネックスプリングをするように、両腕をたたみ、両膝をまげて、
落ちてくるユーマの頭を足裏で受け止めてから、
思い切り身体を伸ばし、空に向かって頭を打ち上げていた。
(うぅう。言ってからやってよォ。もぉ気持ち悪いぃいい。くろぉおお。)
(あはは、ごめぇえん。もうしないから、ごめんよぉ。)
理々杏だってバク転はできるが、
今回のは、いつもと違う動きが途中から入ったせいなのか、
色々と身体が引っ張られ、皮が伸びる感触と痛みに戸惑っているらしく、
これをする時には、やる前に言って欲しいと同居人に頼んでいた。
「理々杏?大丈夫。だいじょうぶ?大丈夫だったのか!」
ユーマの頭が消えて理々杏の身体が見えてくると、
やっと状況をつかめた観客が、安心した声で話しかけてきた。
「スタッ。。あっあははは、あははは。いやったああぁ。あはははは。
そおらぁあ。飛んでけぇえぇええ。」
とても楽しそうに笑っているリリアンはいいのだが、
全裸の上からジャケットを着たような格好で、
バク宙をし始めたと思ったら、途中でやめて跳ね起きたので、
さっきまでギリギリ先端部分を隠していた上着がズレてしまい、
大きな乳房全体が服の外に出てしまっていた。
同じ行動をしたミニスカートは、めくれるというより、
お腹を隠す腹巻きのような姿に変わり、綺麗なお尻と、
濡れて貼り付いたショーツが丸見えになっていた。
その姿は、全て録画されているはずだし、
ユーマを初めて倒した記録なので、
何度も再生されたり分析されるのは、確実に起こる未来だった。
そのことを知っているのか、最初から気にしていないのか、
リリアンのとても嬉しそうな笑い声が公園に響いていた。
「びしゃぁああああ。。びしゃしゃやぁあ。ドサン。。ガラ。。ガラン。」
そんな彼女と同じく、ユーマも生き物であったらしく、
首が外れた場所から、突然蛇口を開いたホースの先端のように、
踊るように体液が吹き出し、リリアンの全身を濡らしていた。
(生ぬるいシャワーって感じ?)
(ふぅうん。リリィってそうなんだ。もう少し強いよ。打たせ湯かもね。)
(打たせ湯って?)(温泉に、そういう設備が有るんだよ。)
(温泉?でも、お金は?)(お給料が貰えるし、大丈夫かなぁぁぁ。)
(温泉もいいよね。でも、そ。うだった。そうなのよおぉォ。
お。。おきゅうりょぉおお。そうよ。おかぁあねえぇええええ。)
巨大な生物からの威圧がなくなり、安心しているのはいいが、
普通の人間なら、体液が身体にまとわりつくなど気持ちが悪く、
嫌悪感と忌避感で吐きそうになったり、
大声を出して逃げ出したりするはずだが、
その二人が話しているのは、いつもの日常生活のことだった。
「博士ぇええ。倒しました。倒しましたよぉおお。
これで、試験は合格でいいですかァァァァ?これでいいですかァ。」
(どうなったの?何がどうなったの?)(終わっちゃった。。。ね。)
今の状況は、彼女にとって全て予定通りだったのだろう。
上半身は、上着の中央部分が裂けて乳房の膨らみが飛び出し、
下半身は、大人の妖艶な生脚にチェックのミニスカート姿で、
左手を腰に当て、右手は夜空に向けてピースサインを掲げ、
何かを探すような仕草で、夜空に向かって笑いかけていた。
もちろん理々杏にも今までのことが全て見えているし、
彼女も試験が終わったことに感謝しているのだが、
これによって変化した世界については、少しも理解していなかった。
「ああ。。おぉお。。。」
子供のような無邪気な声で叫ばれてしまい、驚いているが、
少しは理解している博士の気持ちは、
驚きと困惑、世界を壊す、全てを作り直されてしまうような衝撃と、
今まで対処もできなかった自然現象のような存在を、
目の前に引きずり出してやったという達成感と、
その対処がこれからも可能だと証明できてしまった戸惑いと、
これから起こるであろう、朧げに見えた未来に恐怖さえ感じていた。
「りりアァアン。ありがとォオオオ。りりアァアアん。ありがっとぉお。」
それでも、博士としての根本を形作る、全てを知りたいという欲求は、
全身を焦がされても、全てを失っても構わないと叫んでいた。
「。。。。どごーぉぉおん。グラグラ。。ガギガギ。。。ガギ。。」
そんな博士の叫びに反応したのか、
リリアンに蹴り上げられた頭は、クルクルと回りながら空中を飛び回り、
首の外れた場所から、大量の体液を空に撒き散らしていた。
その後に起こった現象は、頭を無くした身体は崩れ落ち、
空を舞っていた頭も、重力に負けて地上に落下するという、
ごく当たり前な、世界の理と同じ動きをしていた。
「ザァっアア。ウフフフ。さあ、コレでオシマイ。ザアァアア。うふふ。」
(勝ったの?勝ったんだよねぇえ。)(さぁ。アハハハハ。そうかなぁ。)
リリアンは、さっきまで水中にいたかのように全身が濡れていた。
その理由は、
ユーマの首から吹き出した体液が、つなぎ目から噴水のように吹き出し、
彼女の美しさを賛美する歌のように、まとわりついていた。
それだけではなく、
頭から飛び散った体液が、空に撒き散らされながらも重力に負けて、
彼女の強さを賞賛する拍手のように、音を立てて降り注いでいた。
「ボト。。ボトボト。。。ぽた。。。ポタ。。。ポ。。。。」
そのどちらも、リリアンの身体に辿り着くと、
雫のように集まろうとするが、世の理に負けて滑り落ち、
肌の表面に雨だれ跡だけを残して、服や地面に染み込んで消えていった。
その染み込むまでの時間は、
ユーマが持っていた命の灯火が、最後の役目を果たしているかのように、
月の光が反射し、彼女の美しさを彩る宝石のように、今も輝いていた。
「り。。。。り。あん。」
誰の声だったのだろうか、彼女を呼ぶ声が世界を満たしていた。
その声を出していた相手のことを、彼女は知っているのだろうか。
その問いに対する答えは笑顔だった。
彼女の顔は楽しそうにも、嬉しそうにも見えるが、
しかし、目は笑っていないし、
口も笑っているように曲がっているだけで、
全体として、リリアンの顔が醜く歪んでいるだけだった。
「。。。」
博士は、彼女の妖艶な身体を滑り落ちる液体を見ていた。
少し前まで動いていた生物を生かすために必要なものだと、
それを浴びて喜んでいる彼女の姿に、観客は戸惑っていた。
もちろん、恐怖していた。ただ逃げ出したい、忘れたいと思っていた。
今まで出来なかった状況を覆す化け物が、目の前に誕生したのだから。。
理々杏は、もちろん喜んでいた。
(くろぉおお。ヤッタァア。やったよぉお。)(そうだね。リリ。)
襲ってきた相手を排除して、お金が貰えると思っている理々杏と、
体液が目に入っているはずなのに、
目を閉じずに妖艶な笑みを浮かべたまま、腕を組んでいるリリアンは、
敵を見ながら、楽しそうに笑っていた。
「(さあ、これからも楽しませてね。ウフフフ。)」
その声は誰に届けたいのだろうか、
声はとても小さく聞こえる人がいないもので、
ただ身体を雨で濡らしている妖艶な女の、
楽しみが少し増えた瞬間を伝える音だったことは、
彼だけは理解できていた。
蹂躙③
「ぎゃっぎゃ。。ギャッッが。」
その頭は、まるで時を超えるかのような速さでリリアンに迫り、
大きな口を開けて彼女の豊満な胸に抱きつくはずだったが、
ユーマにとって何かが足りなかったらしく、不思議な声をあげていた。
その不思議な鳴き声をあげている理由は、
先端が突き刺さり、口いっぱいに広がる生暖かい体液を感じなかった。
牙がくい込み、顎を絞める度に変わっていく心地よい叫びがなかった。
顎が全て閉じて、熱い獲物が冷たい屍に代わる瞬間がなかった。
その全てを与えてくれる、楽しい玩具がいないと戸惑っていた。
「もうチョット。もうちょっとよぉ。あっあぁあ。もうチョットぉおお。」
戸惑っている観客とユーマの事を無視して、
上半身がどこかに消えて、巨大な頭が自分を覆い隠しているのに、
その近くから、楽しそうな話し声が聞こえてきた。
「理々杏?りりあん、なのか?大丈夫なのか?本当に生きているのか?」
その楽しそうな声は、理々杏が出しているように聞こえるが、
博士には、彼女が下半身だけで話しているように見えて戸惑っていた。
「いやぁあん見えちゃっているわぁあ。アハハ。もぉお。エッチぃい。」
(クロ。見えちゃっている。早く隠して、早く隠すのおおぉおぉ!!)
観客が心配する声は、リリアンにも理々杏にだって聞こえているが、
本人たちは状況が見えていないらしく、
二人とも下半身に感じる空気の冷たさだけを気にしていた。
もちろん理々杏が感じているのは、ユーマが消えたと思ったら、
背を思い切り反らして、腰が逆方向に曲がって痛い事と、
何故かは、よく分からないが、
鳩尾辺りの皮膚が、引き裂かれそうに痛い事と、
両肩付近に感じる巨大な重りが、大きく揺れている事と、
ミニスカート姿のまま、
両膝を開いてリンボーダンスを踊っているかのように、
お尻からへそ下辺りにまで感じる冷たい夜風と、
太腿の合わせ目に感じる熱い汗の流れ、
そして、濡れたショーツの凍えるような冷たさが、彼女を困らせていた。
(アハハハハハ。いやぁ。。丸見えだったね。ごめえぇえん。)
リリアンにとって、巨大な生き物が持つことのない、
姿が消えるほどに早い攻撃など、特に気にする事でもなく、
檻と沼に囲まれて、逃げ場のない状況などは普通のことだったのか、
冷静に相手の牙を避けるために、両膝を広げて折りたたみ、
ブリッチをするように身体を逸らして、その攻撃を避けていた。
そのユーマの攻撃を避けている彼女の格好は、
可愛らしいチェック柄のスカートが、腰あたりまでめくれ上がり、
色っぽい太ももと、タンガのようになっているショーツが見えて、
中央で切り裂かれていた上着も、境目から左右に広がっていた。
しかし、釣鐘型の大きな乳房が、
身体のラインに沿って左右に広がっていたので、
広がった乳房の谷間や、その先につながる膨らみは見えているが、
皮膚が薄くなって、ピンク色に染まっている部分は隠されていた。
「それじゃぁ、いくわよぉおお。せぇえぇえのおぉおお。グルぅうン。。」
相手の攻撃を、リンボーダンスのように両膝を広げて避けていた彼女は、
そのまま頭を下げていき、身体を後ろに回転させていた。
「ぶぅうん。。ドゴン。」「ギリギリィ。。いいい。。バギィイん。。」
彼女の身体が回転すると、ユーマの顎に膝が当たったらしく、
最初はリリアンの動きに抵抗していたが、
頭が前に飛び出して、首が伸びきって弱くなった場所から、
組み木細工のハマッタ部分を、無理やり外したような音が響いていた。
「。。グッ。。グギギャァアアアア。」
ユーマもリリアンからの攻撃を受けて混乱していたが、
獲物に向かって自分が近づいていることに気づいたようで、
頭が身体から外れて自由になり、刹那しか残っていない命を燃やして、
彼女に喰らいつこうと顎を大きく広げていた。
「しつこいのは、嫌われちゃうぞぉおぉぉぉお!」
ユーマのような化け物を倒せるのなら、この女も化け物らしく、
外れた大きな頭が顎を広げて落ちてくるのに、
冷静にバク転を途中でやめて地面に両手をつけると、
「グウゥウ。あはははっ。。飛んでけぇええ。。ブン。どごぉおん。」
ネックスプリングをするように、両腕をたたみ、両膝をまげて、
落ちてくるユーマの頭を足裏で受け止めてから、
思い切り身体を伸ばし、空に向かって頭を打ち上げていた。
(うぅう。言ってからやってよォ。もぉ気持ち悪いぃいい。くろぉおお。)
(あはは、ごめぇえん。もうしないから、ごめんよぉ。)
理々杏だってバク転はできるが、
今回のは、いつもと違う動きが途中から入ったせいなのか、
色々と身体が引っ張られ、皮が伸びる感触と痛みに戸惑っているらしく、
これをする時には、やる前に言って欲しいと同居人に頼んでいた。
「理々杏?大丈夫。だいじょうぶ?大丈夫だったのか!」
ユーマの頭が消えて理々杏の身体が見えてくると、
やっと状況をつかめた観客が、安心した声で話しかけてきた。
「スタッ。。あっあははは、あははは。いやったああぁ。あはははは。
そおらぁあ。飛んでけぇえぇええ。」
とても楽しそうに笑っているリリアンはいいのだが、
全裸の上からジャケットを着たような格好で、
バク宙をし始めたと思ったら、途中でやめて跳ね起きたので、
さっきまでギリギリ先端部分を隠していた上着がズレてしまい、
大きな乳房全体が服の外に出てしまっていた。
同じ行動をしたミニスカートは、めくれるというより、
お腹を隠す腹巻きのような姿に変わり、綺麗なお尻と、
濡れて貼り付いたショーツが丸見えになっていた。
その姿は、全て録画されているはずだし、
ユーマを初めて倒した記録なので、
何度も再生されたり分析されるのは、確実に起こる未来だった。
そのことを知っているのか、最初から気にしていないのか、
リリアンのとても嬉しそうな笑い声が公園に響いていた。
「びしゃぁああああ。。びしゃしゃやぁあ。ドサン。。ガラ。。ガラン。」
そんな彼女と同じく、ユーマも生き物であったらしく、
首が外れた場所から、突然蛇口を開いたホースの先端のように、
踊るように体液が吹き出し、リリアンの全身を濡らしていた。
(生ぬるいシャワーって感じ?)
(ふぅうん。リリィってそうなんだ。もう少し強いよ。打たせ湯かもね。)
(打たせ湯って?)(温泉に、そういう設備が有るんだよ。)
(温泉?でも、お金は?)(お給料が貰えるし、大丈夫かなぁぁぁ。)
(温泉もいいよね。でも、そ。うだった。そうなのよおぉォ。
お。。おきゅうりょぉおお。そうよ。おかぁあねえぇええええ。)
巨大な生物からの威圧がなくなり、安心しているのはいいが、
普通の人間なら、体液が身体にまとわりつくなど気持ちが悪く、
嫌悪感と忌避感で吐きそうになったり、
大声を出して逃げ出したりするはずだが、
その二人が話しているのは、いつもの日常生活のことだった。
「博士ぇええ。倒しました。倒しましたよぉおお。
これで、試験は合格でいいですかァァァァ?これでいいですかァ。」
(どうなったの?何がどうなったの?)(終わっちゃった。。。ね。)
今の状況は、彼女にとって全て予定通りだったのだろう。
上半身は、上着の中央部分が裂けて乳房の膨らみが飛び出し、
下半身は、大人の妖艶な生脚にチェックのミニスカート姿で、
左手を腰に当て、右手は夜空に向けてピースサインを掲げ、
何かを探すような仕草で、夜空に向かって笑いかけていた。
もちろん理々杏にも今までのことが全て見えているし、
彼女も試験が終わったことに感謝しているのだが、
これによって変化した世界については、少しも理解していなかった。
「ああ。。おぉお。。。」
子供のような無邪気な声で叫ばれてしまい、驚いているが、
少しは理解している博士の気持ちは、
驚きと困惑、世界を壊す、全てを作り直されてしまうような衝撃と、
今まで対処もできなかった自然現象のような存在を、
目の前に引きずり出してやったという達成感と、
その対処がこれからも可能だと証明できてしまった戸惑いと、
これから起こるであろう、朧げに見えた未来に恐怖さえ感じていた。
「りりアァアン。ありがとォオオオ。りりアァアアん。ありがっとぉお。」
それでも、博士としての根本を形作る、全てを知りたいという欲求は、
全身を焦がされても、全てを失っても構わないと叫んでいた。
「。。。。どごーぉぉおん。グラグラ。。ガギガギ。。。ガギ。。」
そんな博士の叫びに反応したのか、
リリアンに蹴り上げられた頭は、クルクルと回りながら空中を飛び回り、
首の外れた場所から、大量の体液を空に撒き散らしていた。
その後に起こった現象は、頭を無くした身体は崩れ落ち、
空を舞っていた頭も、重力に負けて地上に落下するという、
ごく当たり前な、世界の理と同じ動きをしていた。
「ザァっアア。ウフフフ。さあ、コレでオシマイ。ザアァアア。うふふ。」
(勝ったの?勝ったんだよねぇえ。)(さぁ。アハハハハ。そうかなぁ。)
リリアンは、さっきまで水中にいたかのように全身が濡れていた。
その理由は、
ユーマの首から吹き出した体液が、つなぎ目から噴水のように吹き出し、
彼女の美しさを賛美する歌のように、まとわりついていた。
それだけではなく、
頭から飛び散った体液が、空に撒き散らされながらも重力に負けて、
彼女の強さを賞賛する拍手のように、音を立てて降り注いでいた。
「ボト。。ボトボト。。。ぽた。。。ポタ。。。ポ。。。。」
そのどちらも、リリアンの身体に辿り着くと、
雫のように集まろうとするが、世の理に負けて滑り落ち、
肌の表面に雨だれ跡だけを残して、服や地面に染み込んで消えていった。
その染み込むまでの時間は、
ユーマが持っていた命の灯火が、最後の役目を果たしているかのように、
月の光が反射し、彼女の美しさを彩る宝石のように、今も輝いていた。
「り。。。。り。あん。」
誰の声だったのだろうか、彼女を呼ぶ声が世界を満たしていた。
その声を出していた相手のことを、彼女は知っているのだろうか。
その問いに対する答えは笑顔だった。
彼女の顔は楽しそうにも、嬉しそうにも見えるが、
しかし、目は笑っていないし、
口も笑っているように曲がっているだけで、
全体として、リリアンの顔が醜く歪んでいるだけだった。
「。。。」
博士は、彼女の妖艶な身体を滑り落ちる液体を見ていた。
少し前まで動いていた生物を生かすために必要なものだと、
それを浴びて喜んでいる彼女の姿に、観客は戸惑っていた。
もちろん、恐怖していた。ただ逃げ出したい、忘れたいと思っていた。
今まで出来なかった状況を覆す化け物が、目の前に誕生したのだから。。
理々杏は、もちろん喜んでいた。
(くろぉおお。ヤッタァア。やったよぉお。)(そうだね。リリ。)
襲ってきた相手を排除して、お金が貰えると思っている理々杏と、
体液が目に入っているはずなのに、
目を閉じずに妖艶な笑みを浮かべたまま、腕を組んでいるリリアンは、
敵を見ながら、楽しそうに笑っていた。
「(さあ、これからも楽しませてね。ウフフフ。)」
その声は誰に届けたいのだろうか、
声はとても小さく聞こえる人がいないもので、
ただ身体を雨で濡らしている妖艶な女の、
楽しみが少し増えた瞬間を伝える音だったことは、
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蹂躙③
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