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リリアンとクロ(正義の味方)
蹂躙①
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さっきまでは、自信がなさそうにひざを抱えていた女が、
幾重にも巻かれた鎖から解き放されたように、堂々と立ち上がっていた。
「貰うよ!」
その後に続いたリリアンの声は、周囲に舞台の幕開けを告げ、
目の前で立ちはだかる驚異との戦いに、
命を賭ける覚悟を示しているように響いていた。
「ガサッ。」
ユーマはその声に反応し、何か気になるものがあるように見えた。
その声を発した女は、今生まれたばかりなのか、
それとも高みから見下ろしていたのか、
その周囲に広がった声と共に、どこからか漂ってきた暗い色が、
この世界に混ざり合い、澱んだ違和感を生じさせているようだった。
(えっ。。何よこれ。クロ?どうなったの?私。。。ちがう!えっ?)
理々杏は、自分で声を出していないのに、
頭に声が響いてきたことに驚いていた。
その声を聞かれてしまったらしく、ユーマがこちらを向いてきたので、
襲われないように口を塞ごうと、
いつもの様に身体を動かそうとしていた。
しかし、いつもなら自分が意志を持った時には身体が動き出し、
すぐにその動きを辞めることができたのに、
今回は自分が思ったように動けないことに戸惑っていた。
「ブンブン。。ふぅ。。久しぶり。久しぶりの。。ブブン。ブブン。」
(ごめんね。リリ。ちょっと我慢していて、すぐに終わらせるからさ!)
(クロ?どうして。私って、どうなっているの?よく見えないんだけど。)
彼女も、外の世界は見えてはいるのだ。
いまも何時もよりも少し高い位置から、
さっきまで見上げたユーマを見ているが、
いくら考えても、いくら必死に身体を動かそうとしても、
その意思がかき消されているようで、少しも身体が動かなかった。
そのことを同居人に説明したいのだが、戸惑っている理々杏は、
ただ見えないという言葉しか、口から出すことが出来なかった。
(大丈夫。スグだよ!すぐに終わらせてあげるから安心して、
ちょっと待っててくれればいいよ。)
その言葉は、この状況が何時ものことで軽く答えているような、
久しぶりのことで何かを思い出そうとしているのか、
クロが猫と言っているなら、
人間の身体を自由に動かせるわけがないのに、
少しの焦りも、恐怖も、憔悴さえもなく、ただ落ち着いて答えていた。
やっぱり、昔のことを思い出すような感情なのか、
それとも、最近もそうだったので諦めているのか、
腕を前後に振ってバランスを確かめたり、
片足立ちになって、持ち上げた足の脛を盾にするように膝を折り畳み、
その足の膝下だけを器用に動かして、牽制した後に蹴り上げてみたり、
腰から脚全体を動かし、目線より上に脚を大きく振り上げていた。
もちろん理々杏は何もしていないが、
いつものように身体が勝手に動いていくことだけを感じていた。
「(デカ)。。。」
周りから覗いている観客が見ているのは、
大きく柔らかい大人の胸が、邪魔な上着のボタンを引き裂くように揺れ、
脂肪がたっぷり詰まった女の尻が、スカートからはみ出す姿を見ていた。
「こうだっけ?グルン。。ブンブゥウン。いいねぇ。これ、これぇえ。」
その後のリリアンは、左足を前に出して踏み切った後、
身体を後ろへ傾けながら右脚を前に蹴り出し、
そのまま左足を軸に身体を横に回転させ、
右足が鎌のように空気を断ち切っていた。
こんな動きなどすれば、
下半身を隠すのを諦めたスカートが傘のように広がり、
布が邪魔だと、大きな胸で上着が引き伸ばされていた。
「でも、痛いわねぇえ。。バサン。。グイッ。。ブチイイイイ。ぶるん。。
ぐい。ビチ。ビチぃ。ズルズル。。ポイ。。ぶるん。ブルるん。」
(何をしているのかなぁ?)(ちょっとね。すぐに終わるよ。うふっ。)
理々杏の胸は、成長途中の真っ平らだが、
リリアンの胸は大人としても大きい方なので、
彼女がつけていたブラなどは身体に食い込み、
乳房を包んで支えることすら出来なかった。
「ウフフフ。アハハハハハ!。。こうだっけ?こんな感じかなぁ。」
(下品じゃ。。)(理々杏ってバレるとまずいでしょ?下品?あはは。)
また、上着などもパツパツで、ボタンホールの穴が伸びきっているか、
止め糸など弱い場所から引き千切れていた。
「ふぅう。。まあ、これでいいか。ブンブン。バサーん。ブルブルん。
いいねぇえ。アハハ。これだよ。これぇええ。ブンブン。ぶるるん。」
(ちょっと、ブラって高い。。高いのよクロ。ちょっとやめてぇえ。)
(ごめんね。胸が痛くて外しちゃった。アハハ。今は、ノーブラかなぁ。)
(のーぶら。。もおぉ。。ノーブラってさぁ。。のーぶらぁぁ。)
(大丈夫。ぜんぜん大丈夫だよぉオ。アハハハハハ。)
同居人としては、上着など全て脱いで、上半身裸で戦っても良かったが、
そんなことをすれば、理々杏が怒り出してしまう可能性があったので、
白シャツとジャケットの中心を、手刀で切り裂き肌を露出させ、
胸元に手を入れてブラジャーを力任せに引っ張り、
背中の止め具と肩ひもを引きちぎり、そのまま地面に投げ捨てていた。
理々杏も、ブラをしている時の独特な苦しみが開放されたので、
音と一緒に、それを外されたのはわかっていたが、
制服の中心が切り裂かれたおかげで、胸が苦しくない事など、
生まれた時から平らな彼女は、気づいていなかった。
「スルスル。グイグイ。ブンブン。コッチはこれでいけるかなぁ。
これでもいいかな。ブンブン。いいよ。これこれぇえ。」
(しょ。。ショーツはダメよ。。ブラはいいけど。。やめてね。)
(こっちは形を変えただけだよ。リリにもわかったでしょ?)
(カァアア。。あの。。うんっと。。えっと。。。(うぅウン。。ハイ))
理々杏とリリアンのお尻は、大きさ自体はあまり変わっていなく、
垂れ下がったお尻が、引き締まったように上向きになった変化だった。
ただし、足を動かす際に邪魔になる部分をお尻の谷間に食い込ませ、
おへそ辺りまで隠していたショーツを、
腰骨より下に引き下げるだけで、下半身はそのままでよかった。
ただし、理々杏の心は、
リリアンが脚を大きく動かすたびに感じる冷たい風の心地よさや、
ショーツの食い込み部分に感じる痛みとは異なる刺激、
そして周囲から見られているという、
恥ずかしさとも異なる感情が混ざり合っていた。
それは、隠したいのか、見せたいのか、
よく分からないイケナイ気持ちや、自分で覚めさせることができない、
モヤモヤとした感情が膨らんでいた。
「さあ、おいでェ、ボウヤ。うふふ。」「ギシャァア。ギシャァア。」
ユーマも動物としての勘なのか、
準備をしている獲物に襲いかかる事もせずに待っていた。
その理由は、さっきまで感じていた感覚とは異なる何かを感じたようで、
リリアンの方に身体を向けて警戒していた。
その格好は、中肢と後肢で身体を支え、
前肢を畳んで反らすように身体を持ち上げ、
リリアンの倍以上の高さから見下ろすと、
「お前は、今から獲物だ」と嬉しそうな雄叫びを上げていた。
リリアンも、今では170cmを超えるモデル体型をしているが、
相手の顔が自分の数倍大きく、身体を反って立っているので、
胸部の付け根辺りが、彼女の視線の高さになっていた。
理々杏としては、大型トラックが自分の目の前に立ち塞がり、
エンジンを空焚きして、今から轢き殺そうとしているように感じていた。
(クロ。。大丈夫?本っ当に大丈夫なの?)(ウフフ。)
理々杏が今まで感じていた不安の気持ちを同居人に漏らしていたが、
その返事は、楽しそうに笑っている彼女の笑い声だった。
「理々杏。。逃げてもいいんだぞ?」
周りの観客は、
ユーマからの覆いかぶさるような降り注ぐ捕食者の雄叫びは、
心が凍えるほどに恐ろしいはずだと感じていた。
しかし、目の前でその叫びを浴びているリリアンは、
矮小な蟻に対する時と同じように、
薄暗い気持ちが入った笑みを浮かべているので、観客は戸惑っていた。
「ふぅう。アハハハ。。さあ、おいで!お姉さんが遊んであげる。」
「ギュッギュアアア。ガチガチ。ギギャァア。」
ユーマの個体は見た目は蟻なのだが、
よく見ると、カマキリが狩りをしている時のように前肢を折りたたみ、
相手の隙を探しているように構えを取ったまま、
お前は獲物だと、大顎を鳴らして威嚇しているように見えた。
「ぶるん。ぶるん。コッチにおいでよ。怖くないわぁああ。大丈夫よぉ。
さあ、おいで!ウフフフ。。ブルン。。コレってぇ。ぶるるるん。
ここの蜜は、とおおぉおっても、アマァアイイわよォオ。うふ。」
ユーマはリリアンの頭上で顎を大きく動かし、威嚇音を出していた。
その大きく広げた顎だけでも、リリアンのか細い首は断ち切れそうだし、
威嚇音を聞くだけで、戦う意志など砕け散りそうな音だった。
そんな捕食者が獲物に与えてくる、
身体を覆い尽くすような威嚇音を聞いても、リリアンは怖くないのか、
彼女は手を広げてもこぼれ落ちそうな胸を支えるように持ち上げ、
それを交互に揺すって、早くこれを食べてみろと誘っていた。
「ガチガチ。。。ガチガチ。。ザクっ。ギシャァアア。。ビュゥウン。。」
敵も流石に相手がバカにしているのがわかったのか、
それとも、リリアンの胸から何かしらのフェロモンが漏れているのか、
直ぐに目の色を変えて、この愚かな獲物を捕食しようと動き始めていた。
最初は牽制だったのか、彼女から少し離れた地面に左前肢を突き刺し、
反対側の鎌を、思い切り振りかぶってからリリアンに振り下ろしてきた。
もちろん、このユーマでも、
片肢だけでも、人の身体など薄紙のように切り裂く事ができるし、
物理現象を無視して、世界を蹂躙するような力を持っていた。
そんな敵が、地面に突き刺さった肢を使って身体を引き寄せ、
残った肢が彼女に襲いかかるように振るわれたので、
二人以外は、何が起こったのか見えないほどの速度で、
彼女の命を刈り取ろうと、右腕の鎌が唸り声を上げて襲ってきた。
「ヒュン。。あはは、遅い。。。アハハ。もっと感じさせてぇえ。」
リリアンは、最初のフェイントに反応して軽く重心を寄せていた。
ユーマも、二足歩行の人間が重心を移動させた後に、
逆方向への動きが鈍ることを知っているようで、
その隙を突いた見えない攻撃が、彼女に襲いかかってきた。
その鎌は目にも映らない速度でリリアンに襲いかかったが、
彼女は相手の攻撃が見えていたようで、少しも慌てずに、
軽く足首を捻ってステップを踏むだけで、その鎌を巧みに避けていた。
「ザクンゥウン。。。ギギャ。。。。ブン。」
その目に見えない攻撃までが、全て囮だったようで、
両方の鎌が地面に突き刺さり、
ユーマの頭が、お辞儀をするように下がると、
人が何か考え事をしている時のように首を傾けていた。
人が首を傾けても大きな変化は無いが、
蟻の外形をしているユーマなので、
頭頂部に着いていた触覚が鞭のようにしなり、彼女に襲いかかって来た。
蹂躙①
幾重にも巻かれた鎖から解き放されたように、堂々と立ち上がっていた。
「貰うよ!」
その後に続いたリリアンの声は、周囲に舞台の幕開けを告げ、
目の前で立ちはだかる驚異との戦いに、
命を賭ける覚悟を示しているように響いていた。
「ガサッ。」
ユーマはその声に反応し、何か気になるものがあるように見えた。
その声を発した女は、今生まれたばかりなのか、
それとも高みから見下ろしていたのか、
その周囲に広がった声と共に、どこからか漂ってきた暗い色が、
この世界に混ざり合い、澱んだ違和感を生じさせているようだった。
(えっ。。何よこれ。クロ?どうなったの?私。。。ちがう!えっ?)
理々杏は、自分で声を出していないのに、
頭に声が響いてきたことに驚いていた。
その声を聞かれてしまったらしく、ユーマがこちらを向いてきたので、
襲われないように口を塞ごうと、
いつもの様に身体を動かそうとしていた。
しかし、いつもなら自分が意志を持った時には身体が動き出し、
すぐにその動きを辞めることができたのに、
今回は自分が思ったように動けないことに戸惑っていた。
「ブンブン。。ふぅ。。久しぶり。久しぶりの。。ブブン。ブブン。」
(ごめんね。リリ。ちょっと我慢していて、すぐに終わらせるからさ!)
(クロ?どうして。私って、どうなっているの?よく見えないんだけど。)
彼女も、外の世界は見えてはいるのだ。
いまも何時もよりも少し高い位置から、
さっきまで見上げたユーマを見ているが、
いくら考えても、いくら必死に身体を動かそうとしても、
その意思がかき消されているようで、少しも身体が動かなかった。
そのことを同居人に説明したいのだが、戸惑っている理々杏は、
ただ見えないという言葉しか、口から出すことが出来なかった。
(大丈夫。スグだよ!すぐに終わらせてあげるから安心して、
ちょっと待っててくれればいいよ。)
その言葉は、この状況が何時ものことで軽く答えているような、
久しぶりのことで何かを思い出そうとしているのか、
クロが猫と言っているなら、
人間の身体を自由に動かせるわけがないのに、
少しの焦りも、恐怖も、憔悴さえもなく、ただ落ち着いて答えていた。
やっぱり、昔のことを思い出すような感情なのか、
それとも、最近もそうだったので諦めているのか、
腕を前後に振ってバランスを確かめたり、
片足立ちになって、持ち上げた足の脛を盾にするように膝を折り畳み、
その足の膝下だけを器用に動かして、牽制した後に蹴り上げてみたり、
腰から脚全体を動かし、目線より上に脚を大きく振り上げていた。
もちろん理々杏は何もしていないが、
いつものように身体が勝手に動いていくことだけを感じていた。
「(デカ)。。。」
周りから覗いている観客が見ているのは、
大きく柔らかい大人の胸が、邪魔な上着のボタンを引き裂くように揺れ、
脂肪がたっぷり詰まった女の尻が、スカートからはみ出す姿を見ていた。
「こうだっけ?グルン。。ブンブゥウン。いいねぇ。これ、これぇえ。」
その後のリリアンは、左足を前に出して踏み切った後、
身体を後ろへ傾けながら右脚を前に蹴り出し、
そのまま左足を軸に身体を横に回転させ、
右足が鎌のように空気を断ち切っていた。
こんな動きなどすれば、
下半身を隠すのを諦めたスカートが傘のように広がり、
布が邪魔だと、大きな胸で上着が引き伸ばされていた。
「でも、痛いわねぇえ。。バサン。。グイッ。。ブチイイイイ。ぶるん。。
ぐい。ビチ。ビチぃ。ズルズル。。ポイ。。ぶるん。ブルるん。」
(何をしているのかなぁ?)(ちょっとね。すぐに終わるよ。うふっ。)
理々杏の胸は、成長途中の真っ平らだが、
リリアンの胸は大人としても大きい方なので、
彼女がつけていたブラなどは身体に食い込み、
乳房を包んで支えることすら出来なかった。
「ウフフフ。アハハハハハ!。。こうだっけ?こんな感じかなぁ。」
(下品じゃ。。)(理々杏ってバレるとまずいでしょ?下品?あはは。)
また、上着などもパツパツで、ボタンホールの穴が伸びきっているか、
止め糸など弱い場所から引き千切れていた。
「ふぅう。。まあ、これでいいか。ブンブン。バサーん。ブルブルん。
いいねぇえ。アハハ。これだよ。これぇええ。ブンブン。ぶるるん。」
(ちょっと、ブラって高い。。高いのよクロ。ちょっとやめてぇえ。)
(ごめんね。胸が痛くて外しちゃった。アハハ。今は、ノーブラかなぁ。)
(のーぶら。。もおぉ。。ノーブラってさぁ。。のーぶらぁぁ。)
(大丈夫。ぜんぜん大丈夫だよぉオ。アハハハハハ。)
同居人としては、上着など全て脱いで、上半身裸で戦っても良かったが、
そんなことをすれば、理々杏が怒り出してしまう可能性があったので、
白シャツとジャケットの中心を、手刀で切り裂き肌を露出させ、
胸元に手を入れてブラジャーを力任せに引っ張り、
背中の止め具と肩ひもを引きちぎり、そのまま地面に投げ捨てていた。
理々杏も、ブラをしている時の独特な苦しみが開放されたので、
音と一緒に、それを外されたのはわかっていたが、
制服の中心が切り裂かれたおかげで、胸が苦しくない事など、
生まれた時から平らな彼女は、気づいていなかった。
「スルスル。グイグイ。ブンブン。コッチはこれでいけるかなぁ。
これでもいいかな。ブンブン。いいよ。これこれぇえ。」
(しょ。。ショーツはダメよ。。ブラはいいけど。。やめてね。)
(こっちは形を変えただけだよ。リリにもわかったでしょ?)
(カァアア。。あの。。うんっと。。えっと。。。(うぅウン。。ハイ))
理々杏とリリアンのお尻は、大きさ自体はあまり変わっていなく、
垂れ下がったお尻が、引き締まったように上向きになった変化だった。
ただし、足を動かす際に邪魔になる部分をお尻の谷間に食い込ませ、
おへそ辺りまで隠していたショーツを、
腰骨より下に引き下げるだけで、下半身はそのままでよかった。
ただし、理々杏の心は、
リリアンが脚を大きく動かすたびに感じる冷たい風の心地よさや、
ショーツの食い込み部分に感じる痛みとは異なる刺激、
そして周囲から見られているという、
恥ずかしさとも異なる感情が混ざり合っていた。
それは、隠したいのか、見せたいのか、
よく分からないイケナイ気持ちや、自分で覚めさせることができない、
モヤモヤとした感情が膨らんでいた。
「さあ、おいでェ、ボウヤ。うふふ。」「ギシャァア。ギシャァア。」
ユーマも動物としての勘なのか、
準備をしている獲物に襲いかかる事もせずに待っていた。
その理由は、さっきまで感じていた感覚とは異なる何かを感じたようで、
リリアンの方に身体を向けて警戒していた。
その格好は、中肢と後肢で身体を支え、
前肢を畳んで反らすように身体を持ち上げ、
リリアンの倍以上の高さから見下ろすと、
「お前は、今から獲物だ」と嬉しそうな雄叫びを上げていた。
リリアンも、今では170cmを超えるモデル体型をしているが、
相手の顔が自分の数倍大きく、身体を反って立っているので、
胸部の付け根辺りが、彼女の視線の高さになっていた。
理々杏としては、大型トラックが自分の目の前に立ち塞がり、
エンジンを空焚きして、今から轢き殺そうとしているように感じていた。
(クロ。。大丈夫?本っ当に大丈夫なの?)(ウフフ。)
理々杏が今まで感じていた不安の気持ちを同居人に漏らしていたが、
その返事は、楽しそうに笑っている彼女の笑い声だった。
「理々杏。。逃げてもいいんだぞ?」
周りの観客は、
ユーマからの覆いかぶさるような降り注ぐ捕食者の雄叫びは、
心が凍えるほどに恐ろしいはずだと感じていた。
しかし、目の前でその叫びを浴びているリリアンは、
矮小な蟻に対する時と同じように、
薄暗い気持ちが入った笑みを浮かべているので、観客は戸惑っていた。
「ふぅう。アハハハ。。さあ、おいで!お姉さんが遊んであげる。」
「ギュッギュアアア。ガチガチ。ギギャァア。」
ユーマの個体は見た目は蟻なのだが、
よく見ると、カマキリが狩りをしている時のように前肢を折りたたみ、
相手の隙を探しているように構えを取ったまま、
お前は獲物だと、大顎を鳴らして威嚇しているように見えた。
「ぶるん。ぶるん。コッチにおいでよ。怖くないわぁああ。大丈夫よぉ。
さあ、おいで!ウフフフ。。ブルン。。コレってぇ。ぶるるるん。
ここの蜜は、とおおぉおっても、アマァアイイわよォオ。うふ。」
ユーマはリリアンの頭上で顎を大きく動かし、威嚇音を出していた。
その大きく広げた顎だけでも、リリアンのか細い首は断ち切れそうだし、
威嚇音を聞くだけで、戦う意志など砕け散りそうな音だった。
そんな捕食者が獲物に与えてくる、
身体を覆い尽くすような威嚇音を聞いても、リリアンは怖くないのか、
彼女は手を広げてもこぼれ落ちそうな胸を支えるように持ち上げ、
それを交互に揺すって、早くこれを食べてみろと誘っていた。
「ガチガチ。。。ガチガチ。。ザクっ。ギシャァアア。。ビュゥウン。。」
敵も流石に相手がバカにしているのがわかったのか、
それとも、リリアンの胸から何かしらのフェロモンが漏れているのか、
直ぐに目の色を変えて、この愚かな獲物を捕食しようと動き始めていた。
最初は牽制だったのか、彼女から少し離れた地面に左前肢を突き刺し、
反対側の鎌を、思い切り振りかぶってからリリアンに振り下ろしてきた。
もちろん、このユーマでも、
片肢だけでも、人の身体など薄紙のように切り裂く事ができるし、
物理現象を無視して、世界を蹂躙するような力を持っていた。
そんな敵が、地面に突き刺さった肢を使って身体を引き寄せ、
残った肢が彼女に襲いかかるように振るわれたので、
二人以外は、何が起こったのか見えないほどの速度で、
彼女の命を刈り取ろうと、右腕の鎌が唸り声を上げて襲ってきた。
「ヒュン。。あはは、遅い。。。アハハ。もっと感じさせてぇえ。」
リリアンは、最初のフェイントに反応して軽く重心を寄せていた。
ユーマも、二足歩行の人間が重心を移動させた後に、
逆方向への動きが鈍ることを知っているようで、
その隙を突いた見えない攻撃が、彼女に襲いかかってきた。
その鎌は目にも映らない速度でリリアンに襲いかかったが、
彼女は相手の攻撃が見えていたようで、少しも慌てずに、
軽く足首を捻ってステップを踏むだけで、その鎌を巧みに避けていた。
「ザクンゥウン。。。ギギャ。。。。ブン。」
その目に見えない攻撃までが、全て囮だったようで、
両方の鎌が地面に突き刺さり、
ユーマの頭が、お辞儀をするように下がると、
人が何か考え事をしている時のように首を傾けていた。
人が首を傾けても大きな変化は無いが、
蟻の外形をしているユーマなので、
頭頂部に着いていた触覚が鞭のようにしなり、彼女に襲いかかって来た。
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