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リリアンとクロ(正義の味方)
先輩②
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「じゃあ、教えてよ!」「ちょっと、ちょっと耳をかして!」「はい。」
「(いいかい?。。そ。。そこは、特別な人しか入れないんだ!)」
もちろん、こういう子にマトモな返事をしても逆ギレされるか、
最悪は泣き叫ばれでもしたら、完全に会社の査定が下がってしまう。
残った選択肢は、彼女が気に入る選択肢を演じて、
そのまま気持ちよく帰ってもらい、
次に見かけても相手をしないブラックリストに載せる事にしていた。
「うぽっぉ。」
(やったぁあ。やっぱり、あるんだ!あるんだよ。クロぉおおお。)
(ハイハイ。良かったネェ。アハァ、ハハハァア。。まあ、いいや。)
面接を受けてもいないのに、仲間に会ってもいないのに、
何故か自分が正義の味方になって、
悪?をギッタギッタにしている自分を妄想してしまい、
つい理々杏は、意味不明の雄叫びを上げていた。
「キョロキョロ
(しィイイイ。静かに聞いて!敵に聞かれる。落ちついて!)」
「すっ。。。(すみません。大丈夫です。)」
「(いいかい!敵に気づかれないように、注意して話すんだよ!)」
「(は。。はい、すみませんでした。)」
「(この事は、全てトップシークレットだ。)」「(シークレット?)」
「その文字も、君のような特別な人をスカウトする為に。」「とっ。。」
「もうわかっただろ?そこに書かれた場所を敵に知られたら。。」
この男も屈んで話すのも、
小声で伝えることさえも面倒くさく感じたらしく、
途中からは、普通のトーンで立ったまま、
昔楽しんでいた戦隊番組のセリフを、適当に並べて説明していた。
「あっ。ぺこぺこ。すみません。私、すみません。ペコ。ごめんなさい。」
(わ。。私。。大丈夫かなぁ。クロぉお。これで。。ここが襲われたり?)
(アハハ。。そうだよねぇ。リリィが悪いんじゃないかなぁ。アハハハ。)
(そんなぁああ。それじゃ私、私ってぇええ。本当にィい。マズイぃ。)
ぺこぺこと小さな子供が、
大人に謝っている姿が、通りを通っていく車には丸見えだった。
「あっ。。。ああ、なんだ。今回は大丈夫だ。。周りに敵が居ないことは、
おっ。。オレの第六感で確認済みだ。。。だが、わかっているな!」
(俺ってすげぇえ。よし、このまま。このままいくぞ。これでいい。)
あまりにも脅しすぎたとわかったらしく、
必死に謝ってくる彼女の事が気の毒になった男は、
素直に助け舟を出していた。
「えっ。。。あ。。あなたも。。だ。。だいろっかん。」
(クロ。。仲間よ。仲間だって!)(ハァァ。良かった。良かったねぇ。)
昔助け出された?取り憑いた時に彼女が混乱しないように、
自分は第六感という特別な力で、理々杏が覚醒した結果だという、
ステキな設定を信じて貰っていた。
そんな設定の事など知らない男が、クロと同じく適当に言っただけだが、
彼女は、自分以外にも同じ人がいるという、
何処か安心した気持ちが、心を落ち着かせていた。
「しィイイイ。。静かに!」
(ハァ。。ここまでイタイ子なんだなぁ。
大きくなれば美人なのになぁ。早く現実に戻ってくれよ。頼むからな。)
子役で昔から教育されたような、細かい違和感や抑揚も無く、
自然に答えて、自然に表情を変えてくる女の子に焦りながらも、
この子が演じている演目に素直に乗っかっていた。
「すみません。」
「まあ、今回は知らなかったからいいが、
これ以降は、外で気楽に俺に声をかけるなよ!仕事中も多いからね。」
「ウソ。。」「外では。。いいかい?」「はっ。。ハイ。。先輩。」
「だから、忘れるんだ。この話が終わったら、二人は他人だからね。」
「すっ。。すみません。すみません。先輩!!」
(クロ。先輩。。先輩だってよ。)(良かったネェ。リリィ。ハァ。)
「じゃあ、本題だが。。そこに書いてある番号に連絡をするんだ!」
「ば。。番号?0120。。」「しィイイイ。。」「ごぼごぼ。」
突然声に出して読み出した声に驚いた男が、
彼女の口を覆うように手をかざして、話すのを止めさせていた。
「シークレット!声に出しちゃダメって言っただろ!」「コクコク。」
「そこに連絡してから、相手の人と話すんだ!」「すみません。先輩。」
(また。失敗だよォ。クロぉお。)(アハハハハハ。大丈夫。大丈夫。)
「もういいね。それじゃぁ。続きは、連絡係に聞いてくれ。
コツコツ。。コツコツ。コツコツコツ。ウィィイン。。ガチャン。」
(フリーダイヤル?凄い設定だなぁ。へぇ。最近の子供らしいよなァ。)
もう二度と会うことなど無いであろう子供に背を向けて、
警備員の男は建物の中に入って行った。
「ガサガサ。。ここの数字でいいんですか?えっ。。先輩!」「。。。」
(いい子に育つんだよ。みんな、そういう妄想しながら育つんだからね。)
建物の中から、とても可哀想な子供を見つめて男は笑っていた。
「ハァ。。。れえんらくぅう。。これって?これって、せんぱぁああい。」
(クロぉおおお。。これって、何の番号だと思う?何かなぁ。)
(なんだろうねぇ。そんな事よりも、お腹も空いたし何か食べない?)
連絡しろとは言われたが、その方法を教えてくれない先輩は、
自分に試練を与えているのか、ビルの中に消えたので、
この番号の事を知らない理々杏は、素直に悩んでいた。
「ぐぅうう。お腹も空いたなァ。。うぅぅぅ。ひもじいよぉお。ひっ。」
(クロぉお。お腹も空いたァあ。リリ。お腹すいちゃったァ。)
(何か食べられるものねぇ。。そうだ。管理人さんにだよ!)
(むうりぃいい。足が痛いしぃい。ここから帰ったら、夜中だよぉ。)
(じゃあ、いつものようにしか無いよ?)(えぇえぇ。はぁああ。)
ビルを見上げてため息をついた理々杏は、
最近覚えた無料タクシーの使い方を、思い出していた。
先輩②
「(いいかい?。。そ。。そこは、特別な人しか入れないんだ!)」
もちろん、こういう子にマトモな返事をしても逆ギレされるか、
最悪は泣き叫ばれでもしたら、完全に会社の査定が下がってしまう。
残った選択肢は、彼女が気に入る選択肢を演じて、
そのまま気持ちよく帰ってもらい、
次に見かけても相手をしないブラックリストに載せる事にしていた。
「うぽっぉ。」
(やったぁあ。やっぱり、あるんだ!あるんだよ。クロぉおおお。)
(ハイハイ。良かったネェ。アハァ、ハハハァア。。まあ、いいや。)
面接を受けてもいないのに、仲間に会ってもいないのに、
何故か自分が正義の味方になって、
悪?をギッタギッタにしている自分を妄想してしまい、
つい理々杏は、意味不明の雄叫びを上げていた。
「キョロキョロ
(しィイイイ。静かに聞いて!敵に聞かれる。落ちついて!)」
「すっ。。。(すみません。大丈夫です。)」
「(いいかい!敵に気づかれないように、注意して話すんだよ!)」
「(は。。はい、すみませんでした。)」
「(この事は、全てトップシークレットだ。)」「(シークレット?)」
「その文字も、君のような特別な人をスカウトする為に。」「とっ。。」
「もうわかっただろ?そこに書かれた場所を敵に知られたら。。」
この男も屈んで話すのも、
小声で伝えることさえも面倒くさく感じたらしく、
途中からは、普通のトーンで立ったまま、
昔楽しんでいた戦隊番組のセリフを、適当に並べて説明していた。
「あっ。ぺこぺこ。すみません。私、すみません。ペコ。ごめんなさい。」
(わ。。私。。大丈夫かなぁ。クロぉお。これで。。ここが襲われたり?)
(アハハ。。そうだよねぇ。リリィが悪いんじゃないかなぁ。アハハハ。)
(そんなぁああ。それじゃ私、私ってぇええ。本当にィい。マズイぃ。)
ぺこぺこと小さな子供が、
大人に謝っている姿が、通りを通っていく車には丸見えだった。
「あっ。。。ああ、なんだ。今回は大丈夫だ。。周りに敵が居ないことは、
おっ。。オレの第六感で確認済みだ。。。だが、わかっているな!」
(俺ってすげぇえ。よし、このまま。このままいくぞ。これでいい。)
あまりにも脅しすぎたとわかったらしく、
必死に謝ってくる彼女の事が気の毒になった男は、
素直に助け舟を出していた。
「えっ。。。あ。。あなたも。。だ。。だいろっかん。」
(クロ。。仲間よ。仲間だって!)(ハァァ。良かった。良かったねぇ。)
昔助け出された?取り憑いた時に彼女が混乱しないように、
自分は第六感という特別な力で、理々杏が覚醒した結果だという、
ステキな設定を信じて貰っていた。
そんな設定の事など知らない男が、クロと同じく適当に言っただけだが、
彼女は、自分以外にも同じ人がいるという、
何処か安心した気持ちが、心を落ち着かせていた。
「しィイイイ。。静かに!」
(ハァ。。ここまでイタイ子なんだなぁ。
大きくなれば美人なのになぁ。早く現実に戻ってくれよ。頼むからな。)
子役で昔から教育されたような、細かい違和感や抑揚も無く、
自然に答えて、自然に表情を変えてくる女の子に焦りながらも、
この子が演じている演目に素直に乗っかっていた。
「すみません。」
「まあ、今回は知らなかったからいいが、
これ以降は、外で気楽に俺に声をかけるなよ!仕事中も多いからね。」
「ウソ。。」「外では。。いいかい?」「はっ。。ハイ。。先輩。」
「だから、忘れるんだ。この話が終わったら、二人は他人だからね。」
「すっ。。すみません。すみません。先輩!!」
(クロ。先輩。。先輩だってよ。)(良かったネェ。リリィ。ハァ。)
「じゃあ、本題だが。。そこに書いてある番号に連絡をするんだ!」
「ば。。番号?0120。。」「しィイイイ。。」「ごぼごぼ。」
突然声に出して読み出した声に驚いた男が、
彼女の口を覆うように手をかざして、話すのを止めさせていた。
「シークレット!声に出しちゃダメって言っただろ!」「コクコク。」
「そこに連絡してから、相手の人と話すんだ!」「すみません。先輩。」
(また。失敗だよォ。クロぉお。)(アハハハハハ。大丈夫。大丈夫。)
「もういいね。それじゃぁ。続きは、連絡係に聞いてくれ。
コツコツ。。コツコツ。コツコツコツ。ウィィイン。。ガチャン。」
(フリーダイヤル?凄い設定だなぁ。へぇ。最近の子供らしいよなァ。)
もう二度と会うことなど無いであろう子供に背を向けて、
警備員の男は建物の中に入って行った。
「ガサガサ。。ここの数字でいいんですか?えっ。。先輩!」「。。。」
(いい子に育つんだよ。みんな、そういう妄想しながら育つんだからね。)
建物の中から、とても可哀想な子供を見つめて男は笑っていた。
「ハァ。。。れえんらくぅう。。これって?これって、せんぱぁああい。」
(クロぉおおお。。これって、何の番号だと思う?何かなぁ。)
(なんだろうねぇ。そんな事よりも、お腹も空いたし何か食べない?)
連絡しろとは言われたが、その方法を教えてくれない先輩は、
自分に試練を与えているのか、ビルの中に消えたので、
この番号の事を知らない理々杏は、素直に悩んでいた。
「ぐぅうう。お腹も空いたなァ。。うぅぅぅ。ひもじいよぉお。ひっ。」
(クロぉお。お腹も空いたァあ。リリ。お腹すいちゃったァ。)
(何か食べられるものねぇ。。そうだ。管理人さんにだよ!)
(むうりぃいい。足が痛いしぃい。ここから帰ったら、夜中だよぉ。)
(じゃあ、いつものようにしか無いよ?)(えぇえぇ。はぁああ。)
ビルを見上げてため息をついた理々杏は、
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