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二人の日常
痴話喧嘩①
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夏目が助手席で腕を組んで目をつぶっているのは、
朝早くまで働いていたので、疲れて眠ってくれていれば良かったが、
実際には怒っていて、
その目とまぶたの動きからも、眠っていないことが分かりやすかった。
その気持ちを、少しでも不快にさせないように、少しでもなだめようと、
ゆっくり、ゆらさないように優しく海斗は車を走らせていた。
それでも、ダッシュボードに両方を載せていた夏目の真っ白な生脚は、
ゆっくり、ゆっくり、左右に、じわじわ、じわじわと、開いていった。
(あ。。。。おお、見えそう。。もう少し。。あっ。あと少し。
なっちゃん。見えそうですって。見えちゃうますよぉ。見えるって!)
いつもの全身を隠す洋服なので、普通に椅子に座っていれば大丈夫だが、
慌てて服を着ていたのか、いつも着ているインナーキャミソールや、
面倒くさい時にしか着ないTシャツさえも着ていなかったので、
どうしても、さっき見てしまった映像が海斗の心にチラついていた。
夏目の服装で目立つのは、肩や乳房の周りに透けている赤い紐の影と、
遮る物が無く丸見えな乳房の一部分が、ツンと布を持ち上げている姿と、
身体が軽く揺れる度に、胸の辺りや腕の周りに出来るシワが変わり、
その乳房が、どういう大きさで、どういう向きで、どういう形になって、
布の内側で、どうなってオスを誘っているかを見せていた。
下半身のショーツは白く、服とは同系色なので透けてはいないが、
太ももの付け根に見えている、黒い陰毛の影が、
さっき写真で確認していた、女性器の谷間と膨らみを思い出してしまい、
布の先でイケナイ場所が、丸出しになっていると海斗に知らせていた。
その姿を見ながら車を走らせていると、どうしても動く足が気になり、
最初は、スカートの裾から足首だけが出ていたが、
そのスカートに隠された奥が気になったのか、
海斗は少しだけ車線変更を増やして、左右に夏目を揺らしていた。
(綺麗だよなぁ。はぁぁ。なっちゃん。かわいいぃい。もうちょい。
もうちょい、もうちょっと、もう少し。うぅうう。もう。ふ。ふふぅ。)
横揺れが大きくなったせいなのか、夏目の足がだんだんと開き始めて、
綺麗なふくらはぎとスネが出てきた時には、色々とドキドキしたが、
良く考えると、周りの人に夏目の生脚を見せて走っていると気づき、
横を走っていく、追い越していく、車の視線が気になり始めていた。
そうして今では、握りこぶし二つ分ぐらいは足が広がり、
綺麗な生脚が、膝丈スカートになったワンピースから飛び出していた。
(怒られた時に逃げられなかったら、どうするんですか?)
(そうだなぁ。息を殺して、出来るだけ刺激を与えるな。
人間には生理現象がある。それまでは、ステイ。ステイだぞ。
絶対に触るな。少しも刺激を与えるな。息さえも止める感じにしていろ。
視線はチラチラ、心配するように見るのはいいが、
絶対にじっと見続けるなよ。それが出来るのは、
俺みたいな上級者だけだからな。じっと相手を見るな!)
(ししょぉお。見えちゃいます。見えちゃいますってぇ。見えますよぉお。
中身まで見えてしまいます。ししょぉお。どうすればいいんですかぁ。)
スカートの裾が膝を抜けると、脚の大部分がすぐに露出してしまい、
綺麗な太ももの約半分が、ワンピースの裾から飛び出したので、
夏目に直してもらおうと声をかけたが、
「なつ。。」
「うるさい!ダマレぇええ。わたしは寝ているんだよ!うるせぇえ!」
やっぱり彼女は起きていたらしく、
すぐに不機嫌そうに怒鳴って返事を返してきたので、
脚の付け根まで見えそうになっているスカートの裾を、
夏目に直して貰うのを諦めていた。
。
限界までスカートが捲れてしまった今では、
少しでも気付かれないように、交通量の少ない車線や、大きな車の影や、
止まることの少ない道や、混んでいない車線を選んで走っているが、
「プッ。プッ。」
トラックなどの大きな車からは、上から覗かれているのか、
クラクションを鳴らされたり、手を振って合図してくる人もいて、
それを、夏目に気づかれないか心配だった。
周囲の視線が夏目に集まる理由は、
木陰などの暗い場所ではフロントガラスに映って、海斗にも見えていた。
そのガラスに映し出される夏目の姿は、
ダッシュボードに足をかけたまま脚を広げているため、
真っ白なオープンショーツがはっきりと見え、
さっき写真で見た光景が、ガラスに映り込んでいた。
(見られてる。あの男にも。。あのおばさんにも。
あの子供にだって、あっ。撮影した。夏目さんを撮っている。
また楽しんでいる。見られている。また。アイツも。見ている。見てる。
誰かに送っている?載せている?ばらまいている?拡散された!)
もちろん、その姿が乗用車からは見えないと思いたかったが、
トラックなどの車高の高い車からは覗けると思えるし、
運悪く横断歩道の一番前に止まってしまえば、
歩行者がスマホを向けたり、複数で騒いでいたりするので、
最後までめくれ上がったワンピースの裾が、
脚の付け根や、その奥さえも剥き出しにしていると分かっていた。
そんな事が何回も起こって、SNSで拡散されたのか、
信号待ちで待っている自分達の車に、走って近づいて撮影した人が、
スマホで撮影した映像を、興味深そうに覗きこんでいるので、
その行動を見て、自分もとスマホを向ける周りの人達や、
撮影後にもわざわざ車を近づけて、動画や直接覗こうとする人を見ると、
なぜか、その事を夏目に指摘する気持ちも薄れはじめて、
ただ、心の隅に芽生えた何かの気持ちに反応している息子に驚いていた。
。
覗かれ、指摘され、驚かれ、笑われ、撮影され、投稿され、見下され、
性別も年齢さえも関係なく見せている状況に、
海斗の息子も、何度も膨らみ、吐き出し、縮み、楽しんでいると、
「パパパパァあァアア。」「あっ。。。すみません。ブロロ。」
今度は信号待ちで停車していたことを忘れて、
周りの反応に気を取られていたようで、
突然背後から鳴り響くクラクション音が、海斗を現実に引き戻していた。
そんな大きな音に夏目も反応したのか、
「ウッさいわねぇえ。カイト。何をやっているのよ!ちゃんとして!!」
それとも山崎が言っていた生理現象なのだろうか、
少しも相手をしてくれなかった夏目が、外を向いたまま声を掛けてきた。
「すみません。夏目さん。」
「あぁああ。もお。もぉおお。どうなのよ?どうだった!
どう思っていた?どう思っていたかを、ちゃんと説明しなさい!」
夏目としても、いつまで怒っていても何も変わらないし、
海斗が困っていることも理解しているので、自分から話し始めていた。
もちろん自分が年上で、全て我慢しなくてはいけないとも思っているし、
旅行に行く前に我慢すると決めていたはずだが、
今回の出来事で海斗の気持ちがわからなくなり、
戸惑って黙ることしかできなかった。
「なんの事ですか?」
「私が、オマンコを丸出しにして、それを色々な人に覗かれて、
どう思ったかって聞いたのよ!
それとも全裸が良かった!なら脱ごうか?全部見せたら満足なの!!!」
(しっしょぉおおお。何を言っているか分かりませぇえん。なぜぇえ。)
(でも話すようになったら、どうすればいいですか?どうするんですか?)
(相手から声をかけてくれば大丈夫だ。もうすぐ仲直りが出来るぞ。
次は、まずは謝れ。意味がわからなくてもいい、まずは謝ればいいんだ。
あとはいつもと一緒だ。わかっているよな。)
(いつもっって、いつもッて、なんですかぁ。いみがわかりませぇえん。)
(おい、そろそろ覚えろよ。愛してる。可愛い。綺麗。素敵。美しい。
もちろん、無駄に謝るのはダメだぞ。
全部自分が悪いと言いながら、精一杯、誠心誠意謝るんだ。
お前はそれでいいから。上級者は違うが、お前はそれでいいから謝れ!)
「まずは、夏目さん。本当にごめんなさい。
運転中だから、そっちを向けなくて、ごめんなさい。
それでも、謝ります。僕が悪かったです。ごめんなさい。
僕が悪かったです。本当にごめんなさい。とっても、ごめんなさい。」
「何を謝っているの?なんの事?。な。。に。。を?何を謝っているの?」
「投げつけて来た、服の事だよね?」
「そうよ。それぇええ。その事も、あるわねぇぇぇ。そうよねぇえ。」
ついさっきまでは、目をつぶってこちらを向いてくれなかった夏目が、
顔を真っ赤にし、目を見開いて海斗に顔を向けてきた。
「僕はいいと思って選んだんだ。僕は似合うと思って選んだけど、
僕は、その服が好きだったんだけど、夏目さんは嫌だったの?」
「中に入っていたのは制服よ。わ。。。た。しは、
私は、いっ。。いくつ。。いくつだと。思ったァああァ!ハアハア。」
自分が服を突き返した後、
海斗が落ち込んでいることに夏目も気づいていた。
もちろん、すぐに抱きついて、全てを許してあげるから、
これでいいよと、言いそうになる気持ちを必死に押さえつけながら、
うわずった声で海斗に気持ちをぶつけていた。
「すごく可愛い夏目さんには、とても似合うと思いました。」
「あんなの着て外に出ろって?
はあはあ。あんな格好でよ、カイト!。はあはあ。あの。。アノ服を?」
「にあうと。。。。」
似合うと思って選んだ服が、夏目が怒っている理由だと言われて、
理由がわからず戸惑ってしまい、怒っている彼女をただ見つめていた。
「かいと?途中で客でも取らせたいと思っていたの?お金を稼げとでも?
フゥううう。楽しい旅行中に誰か知らない人に犯して貰って、
お金でも稼ごうと思っていたんでしょ?アルバイトも、そういう意味?」
「ち。。違います。」
何故か海斗が服を選んだだけで、
夏目が身体を使ってお金を稼ぐ話になっていたらしく、
普通に生活してきた彼は、意味がわからないと戸惑っていた。
「ハアハア。写真も、どうせ宣材写真じゃなく、ふっ。。ふうぞく。
客を取るための風俗パネルに、置いておくんでしょうがぁぁあ!!!」
「えっ。。。」
素直な気持ちを押さえつけているためか、つい息が荒くなり、
言葉も乱暴に投げ捨てるように声を荒げ、
海斗に言いたくないことまで口に出してしまっていた。
海斗も夏目が勘違いしている理由がわかったのは良かったが、
「ごめんなさい。誤解させてしまって、ごめんなさい。
写真は、仕事に使う宣材写真です。ごめんなさい。
制服は、いつもお尻の事を気にしている夏目さんが、
少しでも気分を良くしてもらうために選びました。ごめんなさい。
ほかの洋服は、夏目さんが言っていた通りに、
パツパツとか、丸見えしか無かったんです。ごめんなさい。
それは、夏目さんに着てもらいたく無かったんです。
本当に、ごめんなさい。」
「えっ。。。」
素直に説明している海斗の顔を見ているだけで、
乾いた心が満たされて嬉しい気持ちが膨れて、
自分の勘違いで怒っていた事がわかり、
今まで考えてきた事が恥ずかしくなって、顔が真っ赤になっていた。
「あと、これは僕の希望なんですが、
学生時代の夏目さんを見たかったんです。
学生時代の夏目さんと、一緒にいられなかった事が悔しくて、
せめて、その時の服を着た姿だけでも見たかったんです。」
運転をして前を向いているので、一瞬だけしかこちらを見なかったが、
海斗はとてもはずかしそうで、彼の顔も真っ赤に染まっていた。
「。。。。。」「僕って、やっぱりおかしいですか?」
「そんな。。」
着て欲しいと渡された服は、極端にコスプレ寄りではなく、
普通の制服によった物だったので、夏目も気になっていたが、
その理由が、それを着て風俗で働けという、ゲスの願望ではなく、
昔の夏目を思い出したいだけだと聞いて、全身が喜びに包まれていた。
「夏目さんが嫌がる事なのに、昔の夏目さんを、
昔の君を、直接見てみたかったから、ボクは制服を選びました!」
今度の声は、必死に叫んでいるように、力強く夏目を撃ち抜いていた。
「昔の、わ。。たし?」
「本当に、ごめんなさい。
夏目さんが嫌がるような格好だとは、少しも思わなかったんだ。
自分の希望だけを押し付けて、それを着せようとした僕を、
許してください。本当にごめんなさい。夏目さん。。。ごめんなさい。」
今度は、相手の揺れた気持ちを押さえつけるように、
強く、ただ力強く、夏目の心を縛り付けていた。
「こんなオバサンなのよ?」
「夏目さんは、いつも可愛くて、綺麗で、とても素敵な女性です。」
「こんな格好は、私に似合わないわ。」
「可愛くて綺麗な夏目さんに、似合わない訳がありません。」
「恥ずかしいわ。」
「着てもらうのはダメでも。僕に見せる事。。。。さえも、ダメですか?」
最後は、君だけが僕の宝物。
君の全てが欲しいという、戒めの言葉を呟いていた。
もちろん、このすがりつく目が好きで付き合ったと言ってもいい、
「いや。そんなこと。。。」
すごくガッカリして寂しそうな顔で、
すがりついてくるように見てくる彼の頼みを、断ることは出来なかった。
「じゃあ、着替えて貰えますか?」「えっ。。。。。」「ダメ?」
顔を真っ赤にして、体をモジモジと動かしながら、
相手の顔も見る事が出来ないのか、
「ふ。。。。。ふたりっきりなら。」
俯いて唇を尖らせながら、何かを待っているように呟いていた。
「僕が夏目さんの、制服姿を見てもいいですか?」
もちろん、ボクとい鎖を強く夏目に放っていた。
「えっ。。。。。あっ。。はっ。。。。。。はい。」
ここまで来てしまえば、なんでも了承しそうだが、
夏目は、制服を着て見せている自分を想像しながら、
顔を真っ赤にして、ただ頭を上下に振って海斗の希望に答えていた。
「うれしい。。ありがとう。夏目さん。」「そ。。。。。そうなの?」
嬉しいなどという気持ちを確認しようと、
顔を海斗に向けて、相手の顔を確認してしまった。
「すっごく、嬉しいです。愛しています。夏目さん。ありがとう。」
そのあと夏目が目にしたのは、
海斗の天然の、女ったらしの笑顔をハッキリ見てしまっていた。
その笑顔と、昔の自分までも欲しいと言われてしまえば、
もお、大好き。大好きと、頭の中を何度も駆け巡っていた。
「もぉぉぉぉぉ。また。私の勘違い?ハァァ。またぁああ。
もう、さっきも顔が真っ赤になるぐらい、恥ずかしかったのよ。
もぉぉぉぉぉ、見られちゃったじゃないのぉお。恥ずかしかったぁああ。
はァァ。多分撮影されちゃったわぁああ。
今では、ネットに並んでいるわねぇえええ。ハァ。沢山見られているわ。
恥ずかしぃ。もぉおお。はぁぁ。沢山見られちゃったぁ。恥ずかしい。」
その気持ちをごまかすように、海斗に顔を向けて悪態をついて、
必死に海斗に甘え、抱きしめて。。このまま、私を奪ってほしい。
もちろん、強く唇を奪って欲しいと誘っていた。
本当はここで車を路肩にでも停めて、夏目をひと押しすればいいのだが、
「でも、最初に僕が見ているんだから大丈夫ですよ。
最初に見たのは僕だからぁああ。アハ、ははハハハ。僕でしたぁああ!」
残念な海斗らしく、照れながら夏目が欲しい気持ちとは違う、
砕けた笑顔を見せていた。
「えっ。。。そっ。そうよ。あなたがいけないんじゃない!あなたよォ。
カイトぉおお。全部あんたが悪いんじゃないの。そうよ。そうよぉ。」
「違います。シャッチョうが選んだのが悪いんですよ。しゃちょうです。」
「うるっさい。うるっさいぃいィイイイ。
もういい。もういいから黙って!もう、話は終わりィい。終わりいぃ。」
自分の気持ちが理解されなかったことにガッカリしたが、
ただの痴話喧嘩のような、いつもの会話を海斗とした後は、
今度は素直に足を下ろし、お腹の上で腕を組んで、また目を閉じて、
さっきとは違い、嬉しそうに笑いながら眠りに入っていた。
痴話喧嘩①
朝早くまで働いていたので、疲れて眠ってくれていれば良かったが、
実際には怒っていて、
その目とまぶたの動きからも、眠っていないことが分かりやすかった。
その気持ちを、少しでも不快にさせないように、少しでもなだめようと、
ゆっくり、ゆらさないように優しく海斗は車を走らせていた。
それでも、ダッシュボードに両方を載せていた夏目の真っ白な生脚は、
ゆっくり、ゆっくり、左右に、じわじわ、じわじわと、開いていった。
(あ。。。。おお、見えそう。。もう少し。。あっ。あと少し。
なっちゃん。見えそうですって。見えちゃうますよぉ。見えるって!)
いつもの全身を隠す洋服なので、普通に椅子に座っていれば大丈夫だが、
慌てて服を着ていたのか、いつも着ているインナーキャミソールや、
面倒くさい時にしか着ないTシャツさえも着ていなかったので、
どうしても、さっき見てしまった映像が海斗の心にチラついていた。
夏目の服装で目立つのは、肩や乳房の周りに透けている赤い紐の影と、
遮る物が無く丸見えな乳房の一部分が、ツンと布を持ち上げている姿と、
身体が軽く揺れる度に、胸の辺りや腕の周りに出来るシワが変わり、
その乳房が、どういう大きさで、どういう向きで、どういう形になって、
布の内側で、どうなってオスを誘っているかを見せていた。
下半身のショーツは白く、服とは同系色なので透けてはいないが、
太ももの付け根に見えている、黒い陰毛の影が、
さっき写真で確認していた、女性器の谷間と膨らみを思い出してしまい、
布の先でイケナイ場所が、丸出しになっていると海斗に知らせていた。
その姿を見ながら車を走らせていると、どうしても動く足が気になり、
最初は、スカートの裾から足首だけが出ていたが、
そのスカートに隠された奥が気になったのか、
海斗は少しだけ車線変更を増やして、左右に夏目を揺らしていた。
(綺麗だよなぁ。はぁぁ。なっちゃん。かわいいぃい。もうちょい。
もうちょい、もうちょっと、もう少し。うぅうう。もう。ふ。ふふぅ。)
横揺れが大きくなったせいなのか、夏目の足がだんだんと開き始めて、
綺麗なふくらはぎとスネが出てきた時には、色々とドキドキしたが、
良く考えると、周りの人に夏目の生脚を見せて走っていると気づき、
横を走っていく、追い越していく、車の視線が気になり始めていた。
そうして今では、握りこぶし二つ分ぐらいは足が広がり、
綺麗な生脚が、膝丈スカートになったワンピースから飛び出していた。
(怒られた時に逃げられなかったら、どうするんですか?)
(そうだなぁ。息を殺して、出来るだけ刺激を与えるな。
人間には生理現象がある。それまでは、ステイ。ステイだぞ。
絶対に触るな。少しも刺激を与えるな。息さえも止める感じにしていろ。
視線はチラチラ、心配するように見るのはいいが、
絶対にじっと見続けるなよ。それが出来るのは、
俺みたいな上級者だけだからな。じっと相手を見るな!)
(ししょぉお。見えちゃいます。見えちゃいますってぇ。見えますよぉお。
中身まで見えてしまいます。ししょぉお。どうすればいいんですかぁ。)
スカートの裾が膝を抜けると、脚の大部分がすぐに露出してしまい、
綺麗な太ももの約半分が、ワンピースの裾から飛び出したので、
夏目に直してもらおうと声をかけたが、
「なつ。。」
「うるさい!ダマレぇええ。わたしは寝ているんだよ!うるせぇえ!」
やっぱり彼女は起きていたらしく、
すぐに不機嫌そうに怒鳴って返事を返してきたので、
脚の付け根まで見えそうになっているスカートの裾を、
夏目に直して貰うのを諦めていた。
。
限界までスカートが捲れてしまった今では、
少しでも気付かれないように、交通量の少ない車線や、大きな車の影や、
止まることの少ない道や、混んでいない車線を選んで走っているが、
「プッ。プッ。」
トラックなどの大きな車からは、上から覗かれているのか、
クラクションを鳴らされたり、手を振って合図してくる人もいて、
それを、夏目に気づかれないか心配だった。
周囲の視線が夏目に集まる理由は、
木陰などの暗い場所ではフロントガラスに映って、海斗にも見えていた。
そのガラスに映し出される夏目の姿は、
ダッシュボードに足をかけたまま脚を広げているため、
真っ白なオープンショーツがはっきりと見え、
さっき写真で見た光景が、ガラスに映り込んでいた。
(見られてる。あの男にも。。あのおばさんにも。
あの子供にだって、あっ。撮影した。夏目さんを撮っている。
また楽しんでいる。見られている。また。アイツも。見ている。見てる。
誰かに送っている?載せている?ばらまいている?拡散された!)
もちろん、その姿が乗用車からは見えないと思いたかったが、
トラックなどの車高の高い車からは覗けると思えるし、
運悪く横断歩道の一番前に止まってしまえば、
歩行者がスマホを向けたり、複数で騒いでいたりするので、
最後までめくれ上がったワンピースの裾が、
脚の付け根や、その奥さえも剥き出しにしていると分かっていた。
そんな事が何回も起こって、SNSで拡散されたのか、
信号待ちで待っている自分達の車に、走って近づいて撮影した人が、
スマホで撮影した映像を、興味深そうに覗きこんでいるので、
その行動を見て、自分もとスマホを向ける周りの人達や、
撮影後にもわざわざ車を近づけて、動画や直接覗こうとする人を見ると、
なぜか、その事を夏目に指摘する気持ちも薄れはじめて、
ただ、心の隅に芽生えた何かの気持ちに反応している息子に驚いていた。
。
覗かれ、指摘され、驚かれ、笑われ、撮影され、投稿され、見下され、
性別も年齢さえも関係なく見せている状況に、
海斗の息子も、何度も膨らみ、吐き出し、縮み、楽しんでいると、
「パパパパァあァアア。」「あっ。。。すみません。ブロロ。」
今度は信号待ちで停車していたことを忘れて、
周りの反応に気を取られていたようで、
突然背後から鳴り響くクラクション音が、海斗を現実に引き戻していた。
そんな大きな音に夏目も反応したのか、
「ウッさいわねぇえ。カイト。何をやっているのよ!ちゃんとして!!」
それとも山崎が言っていた生理現象なのだろうか、
少しも相手をしてくれなかった夏目が、外を向いたまま声を掛けてきた。
「すみません。夏目さん。」
「あぁああ。もお。もぉおお。どうなのよ?どうだった!
どう思っていた?どう思っていたかを、ちゃんと説明しなさい!」
夏目としても、いつまで怒っていても何も変わらないし、
海斗が困っていることも理解しているので、自分から話し始めていた。
もちろん自分が年上で、全て我慢しなくてはいけないとも思っているし、
旅行に行く前に我慢すると決めていたはずだが、
今回の出来事で海斗の気持ちがわからなくなり、
戸惑って黙ることしかできなかった。
「なんの事ですか?」
「私が、オマンコを丸出しにして、それを色々な人に覗かれて、
どう思ったかって聞いたのよ!
それとも全裸が良かった!なら脱ごうか?全部見せたら満足なの!!!」
(しっしょぉおおお。何を言っているか分かりませぇえん。なぜぇえ。)
(でも話すようになったら、どうすればいいですか?どうするんですか?)
(相手から声をかけてくれば大丈夫だ。もうすぐ仲直りが出来るぞ。
次は、まずは謝れ。意味がわからなくてもいい、まずは謝ればいいんだ。
あとはいつもと一緒だ。わかっているよな。)
(いつもっって、いつもッて、なんですかぁ。いみがわかりませぇえん。)
(おい、そろそろ覚えろよ。愛してる。可愛い。綺麗。素敵。美しい。
もちろん、無駄に謝るのはダメだぞ。
全部自分が悪いと言いながら、精一杯、誠心誠意謝るんだ。
お前はそれでいいから。上級者は違うが、お前はそれでいいから謝れ!)
「まずは、夏目さん。本当にごめんなさい。
運転中だから、そっちを向けなくて、ごめんなさい。
それでも、謝ります。僕が悪かったです。ごめんなさい。
僕が悪かったです。本当にごめんなさい。とっても、ごめんなさい。」
「何を謝っているの?なんの事?。な。。に。。を?何を謝っているの?」
「投げつけて来た、服の事だよね?」
「そうよ。それぇええ。その事も、あるわねぇぇぇ。そうよねぇえ。」
ついさっきまでは、目をつぶってこちらを向いてくれなかった夏目が、
顔を真っ赤にし、目を見開いて海斗に顔を向けてきた。
「僕はいいと思って選んだんだ。僕は似合うと思って選んだけど、
僕は、その服が好きだったんだけど、夏目さんは嫌だったの?」
「中に入っていたのは制服よ。わ。。。た。しは、
私は、いっ。。いくつ。。いくつだと。思ったァああァ!ハアハア。」
自分が服を突き返した後、
海斗が落ち込んでいることに夏目も気づいていた。
もちろん、すぐに抱きついて、全てを許してあげるから、
これでいいよと、言いそうになる気持ちを必死に押さえつけながら、
うわずった声で海斗に気持ちをぶつけていた。
「すごく可愛い夏目さんには、とても似合うと思いました。」
「あんなの着て外に出ろって?
はあはあ。あんな格好でよ、カイト!。はあはあ。あの。。アノ服を?」
「にあうと。。。。」
似合うと思って選んだ服が、夏目が怒っている理由だと言われて、
理由がわからず戸惑ってしまい、怒っている彼女をただ見つめていた。
「かいと?途中で客でも取らせたいと思っていたの?お金を稼げとでも?
フゥううう。楽しい旅行中に誰か知らない人に犯して貰って、
お金でも稼ごうと思っていたんでしょ?アルバイトも、そういう意味?」
「ち。。違います。」
何故か海斗が服を選んだだけで、
夏目が身体を使ってお金を稼ぐ話になっていたらしく、
普通に生活してきた彼は、意味がわからないと戸惑っていた。
「ハアハア。写真も、どうせ宣材写真じゃなく、ふっ。。ふうぞく。
客を取るための風俗パネルに、置いておくんでしょうがぁぁあ!!!」
「えっ。。。」
素直な気持ちを押さえつけているためか、つい息が荒くなり、
言葉も乱暴に投げ捨てるように声を荒げ、
海斗に言いたくないことまで口に出してしまっていた。
海斗も夏目が勘違いしている理由がわかったのは良かったが、
「ごめんなさい。誤解させてしまって、ごめんなさい。
写真は、仕事に使う宣材写真です。ごめんなさい。
制服は、いつもお尻の事を気にしている夏目さんが、
少しでも気分を良くしてもらうために選びました。ごめんなさい。
ほかの洋服は、夏目さんが言っていた通りに、
パツパツとか、丸見えしか無かったんです。ごめんなさい。
それは、夏目さんに着てもらいたく無かったんです。
本当に、ごめんなさい。」
「えっ。。。」
素直に説明している海斗の顔を見ているだけで、
乾いた心が満たされて嬉しい気持ちが膨れて、
自分の勘違いで怒っていた事がわかり、
今まで考えてきた事が恥ずかしくなって、顔が真っ赤になっていた。
「あと、これは僕の希望なんですが、
学生時代の夏目さんを見たかったんです。
学生時代の夏目さんと、一緒にいられなかった事が悔しくて、
せめて、その時の服を着た姿だけでも見たかったんです。」
運転をして前を向いているので、一瞬だけしかこちらを見なかったが、
海斗はとてもはずかしそうで、彼の顔も真っ赤に染まっていた。
「。。。。。」「僕って、やっぱりおかしいですか?」
「そんな。。」
着て欲しいと渡された服は、極端にコスプレ寄りではなく、
普通の制服によった物だったので、夏目も気になっていたが、
その理由が、それを着て風俗で働けという、ゲスの願望ではなく、
昔の夏目を思い出したいだけだと聞いて、全身が喜びに包まれていた。
「夏目さんが嫌がる事なのに、昔の夏目さんを、
昔の君を、直接見てみたかったから、ボクは制服を選びました!」
今度の声は、必死に叫んでいるように、力強く夏目を撃ち抜いていた。
「昔の、わ。。たし?」
「本当に、ごめんなさい。
夏目さんが嫌がるような格好だとは、少しも思わなかったんだ。
自分の希望だけを押し付けて、それを着せようとした僕を、
許してください。本当にごめんなさい。夏目さん。。。ごめんなさい。」
今度は、相手の揺れた気持ちを押さえつけるように、
強く、ただ力強く、夏目の心を縛り付けていた。
「こんなオバサンなのよ?」
「夏目さんは、いつも可愛くて、綺麗で、とても素敵な女性です。」
「こんな格好は、私に似合わないわ。」
「可愛くて綺麗な夏目さんに、似合わない訳がありません。」
「恥ずかしいわ。」
「着てもらうのはダメでも。僕に見せる事。。。。さえも、ダメですか?」
最後は、君だけが僕の宝物。
君の全てが欲しいという、戒めの言葉を呟いていた。
もちろん、このすがりつく目が好きで付き合ったと言ってもいい、
「いや。そんなこと。。。」
すごくガッカリして寂しそうな顔で、
すがりついてくるように見てくる彼の頼みを、断ることは出来なかった。
「じゃあ、着替えて貰えますか?」「えっ。。。。。」「ダメ?」
顔を真っ赤にして、体をモジモジと動かしながら、
相手の顔も見る事が出来ないのか、
「ふ。。。。。ふたりっきりなら。」
俯いて唇を尖らせながら、何かを待っているように呟いていた。
「僕が夏目さんの、制服姿を見てもいいですか?」
もちろん、ボクとい鎖を強く夏目に放っていた。
「えっ。。。。。あっ。。はっ。。。。。。はい。」
ここまで来てしまえば、なんでも了承しそうだが、
夏目は、制服を着て見せている自分を想像しながら、
顔を真っ赤にして、ただ頭を上下に振って海斗の希望に答えていた。
「うれしい。。ありがとう。夏目さん。」「そ。。。。。そうなの?」
嬉しいなどという気持ちを確認しようと、
顔を海斗に向けて、相手の顔を確認してしまった。
「すっごく、嬉しいです。愛しています。夏目さん。ありがとう。」
そのあと夏目が目にしたのは、
海斗の天然の、女ったらしの笑顔をハッキリ見てしまっていた。
その笑顔と、昔の自分までも欲しいと言われてしまえば、
もお、大好き。大好きと、頭の中を何度も駆け巡っていた。
「もぉぉぉぉぉ。また。私の勘違い?ハァァ。またぁああ。
もう、さっきも顔が真っ赤になるぐらい、恥ずかしかったのよ。
もぉぉぉぉぉ、見られちゃったじゃないのぉお。恥ずかしかったぁああ。
はァァ。多分撮影されちゃったわぁああ。
今では、ネットに並んでいるわねぇえええ。ハァ。沢山見られているわ。
恥ずかしぃ。もぉおお。はぁぁ。沢山見られちゃったぁ。恥ずかしい。」
その気持ちをごまかすように、海斗に顔を向けて悪態をついて、
必死に海斗に甘え、抱きしめて。。このまま、私を奪ってほしい。
もちろん、強く唇を奪って欲しいと誘っていた。
本当はここで車を路肩にでも停めて、夏目をひと押しすればいいのだが、
「でも、最初に僕が見ているんだから大丈夫ですよ。
最初に見たのは僕だからぁああ。アハ、ははハハハ。僕でしたぁああ!」
残念な海斗らしく、照れながら夏目が欲しい気持ちとは違う、
砕けた笑顔を見せていた。
「えっ。。。そっ。そうよ。あなたがいけないんじゃない!あなたよォ。
カイトぉおお。全部あんたが悪いんじゃないの。そうよ。そうよぉ。」
「違います。シャッチョうが選んだのが悪いんですよ。しゃちょうです。」
「うるっさい。うるっさいぃいィイイイ。
もういい。もういいから黙って!もう、話は終わりィい。終わりいぃ。」
自分の気持ちが理解されなかったことにガッカリしたが、
ただの痴話喧嘩のような、いつもの会話を海斗とした後は、
今度は素直に足を下ろし、お腹の上で腕を組んで、また目を閉じて、
さっきとは違い、嬉しそうに笑いながら眠りに入っていた。
痴話喧嘩①
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