9 / 12
「最後の晩餐」最後のSEX。
しおりを挟む潮風が気持ち良かった。
春先。
陽が沈んでいく。
横浜。山下公園。
Mimiと手を繋いで歩いていた。
マリンタワーが見える。
公園のシンボルとなっている氷川丸。
湾を出入りする船。
夕闇に点滅するカラフルな灯り。
穏やかな波の音が聞こえた。
横浜が好きだった・・・・ってか、とにかく落ち着いた。
東京に出てきて、
一番落ち着いた場所。
いちばんシックリきた場所が「横浜」だった。
海の近くで育ったからな。
やっぱり、「海」ってのが落ち着くんだろう。
東京暮らしは楽しかった。
ネオン輝く「都会暮らし」
日々刺激的。
しかし、
なんだか、
心が疲弊していくんだった。
自分でも気づかなかったんだけど、
道路。
コンクリート。
「土」「緑」に包まれることのない生活は、
なんだか、疲弊していくんだった。
なんだか、心がささくれていくんだった。
時間があれば、
よく、横浜に来た。
海に来た。
高校時代の「虐め」
学校サボっての行先も「海」だった。
・・・・そして、
「YAZAWA」が好きだった。
・・・・物語。
まだ、そこまで描いていないけれど、
丁度、そのくだりが始まるところで止まっているけれど・・・・
「虐め」から、
なんとか、
踏みとどまって卒業を果たした。
そして、
東京に来たのは、
「YAZAWA」の影響。
自叙伝。
「成り上がり」が大きかった。
そして、
横浜と言えば「YAZAWA」のホームタウンだった。
Mimiと手を繋いで、信号を渡る。
目の前。
「ホテル・ニューグランド」
YAZAWAの中で、大好きな曲。
・・・・ここがそうなのか、
ここが舞台になってるってことなのか・・・・・!!!???
初めて目にした時の衝撃ったらなかった。
「歌詞」だけの世界。
実際に存在するなんて思いもしなかったからな。
大好きだった曲。
憧れた、
曲の舞台がそこにあった。・・・・・・まさか、実在するとは思わなかった。
以来、
一度は泊まってみたいと思っていた。
今日の宿泊先だ。
そのホテルを、Mimiとの最後の夜に選んだ。
ボクにとっては、
一世一代の「散財」だった。
食事。
当ホテルが発祥だという「シーフードドリア」
これまた、ここが発祥だという「プリンアラモード」を堪能する。
ボクにとっては、
憧れの舞台、
憧れの歴史の中での時間だった。
・・・・しかも、Mimiの顔を見ながらの食事。
Mimiは、
いつもよりもフォーマルな衣装だった。
ボクも、
ネクタイこそしなかったけれど、トラッドな服装でカッコつけていた。
なんとも素敵な・・・・どこかの映画で観たようなシーンだ。
今のボクの、
精一杯の「背伸び」をしていた。
ゆっくりと時間をかけて「最後の晩餐」を楽しんだ。
・・・・やがて、
部屋へと戻った。
・・・見つめ合う。
すぐに舌が絡まる。
そのままベッドに倒れ込んでいった。
ふたりきりになりたかった。
いつだってふたりきりになりたかった。
「KISSしたかった」
「SEXしたかった」
だから、
いつも、
部屋に入れば、すぐに抱き合った。
シャワーを浴びるのももどかしかった。
まずは、
抱き合い、
絡まり合い、
「愛」を確認したかった。
Mimiは、すぐに「ひとつ」になることを望んだ。
まずは、体内にボクを収め、
そこから安心したように舌を絡め、指を絡め・・・・全てを絡めることを望んだ。
・・・・今から、
最後の夜が始まる。
明日、
Mimiは、マレーシアに帰る。
・・・・・もう、
会えないんだった。
これまで、
毎日のように感じていたMimi
もう、感じる事ができないんだった。
触ることができなくなる。
触れることができなくなるんだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる