「崩壊の街」ボクは不倫に落ちた。

ポンポコポーン

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「貴女の初めてをもらう」敗者の宣告。

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街は通勤ラッシュの喧騒だ。

新宿、伊勢丹の前をプリウスで走り抜ける。片道4車線の道路。・・・日本で指折りの運転の難しい区間だと思っている。
あらかじめ目的地に応じて車線を決めておかないと、いきなりの右折車線、左折車線の出現に右往左往することになる。

信号で止まる。
プリウスのエンジンが停止する。

静かな車内に「SHAKATAK」が流れている。

「ゲーリー・ムーア」「上妻宏光」・・・・好きな音楽には、どこか根を詰めたものが多い。
朝には、もっと軽い、ライトな音楽を聴きたい時がある。

「SHAKATAK」のベスト盤が発売されていた。
衝動買いのように買った。

まだ子供だった時の大人気ドラマの音楽だ。

若かった 明石家さんま と 大竹しのぶ の軽妙で・・・それでいて、どこか切ない・・・・それでも、人生を前向きに描いたラブストーリーだった。

明石家さんま の関西弁で身近な日常感を演出しながら、バックに流れる東京の風景・・・・そして、流れる「SHAKATAK」の音楽で、みごとに都会的なラブストーリーに仕上がっていた。

なんとなく・・・なんとなく、「東京」で、関西弁で走り回る 明石家さんま に自分を・・・いや、ボクだけじゃなく、関西人なら、みんなが、明石家さんま に自分を投影していたんじゃないかと思う。

今でこそ「関西弁」はメジャーになった。
しかし、ボクが東京に出て来た頃は、まだ、市民権を得た言葉ってわけじゃなかった。
どこか「ガサツ」で「騒々しい」・・・そして「怖い」、そんな言葉の代名詞だった。

・・・・まぁ、ボクの場合は、純粋な「関西弁」ってわけじゃないけどな。


・・・・いずれにしても、ドラマをスタイリッシュに、清涼感のあるものにしてたのは「SHAKATAK」の音楽の力が大きいと思う。

そのスタイリッシュさ、清涼感は、朝の通勤風景にはもってこいの音楽だった。


伊勢丹を通過して、西口、高層ビル群を駆け抜ける。
国会議事堂を中心とした、都心ど真ん中の運転も難しいけど、高層ビル群を縫うように走る新宿副都心の運転も相当に難しい。


朝一番で客先に向かっていた。

繰り返す朝の風景だ。


「カズくんおはよー
カズくんが大好き過ぎる~今日もお仕事がんばってね」


運転の合間にメールを送る。
メールには真っ赤なハートのスタンプが押されていた。
都内を、首都高を、ビルを、車をすり抜け客先へ向かう。


「お疲れ様・・・
私もカズくんだけが大好きだよ
寂しかったけど・・・メールきたから元気になった~」


メールのラリーが続く。

・・・亜貴と繋がっていたい。
いつだって繋がっていたかった。
片時も離れたくなかった。

頭の中には亜貴のことしかなかった。
身体は東京の大都会にあって・・・渋滞の中でも・・・客先でも・・・プレゼンの最中でも・・・ボクの中身は・・・心は、宮城県の亜貴のもとにあった。


「うん・・・話したい・・・会いたい・・・声が聞きたい・・・ギュっとしたい・・・Kissしたい・・・カズくんと・・・したい 声が聞きた~い」


「うん・・・したい・・・って・・・エッチしたいよ カズくん大好き」


「キュンとした・・・カズくんとエッチして・・・狂いたい・・・おかしくなりたい・・・メールでも恥ずかしいんだよ・・・メール見られそうで・・・ハートつけたらダメ(笑)」


メールでは、真っ赤なハートが乱舞していた。

・・・今日は夕方に横浜で会議が入ってる・・・声が聞けないかも・・・


「え~ガマンできな~い 電話できるときメールして・・・」


・・・亜貴が欲しかった。
メールだけじゃ、声だけじゃガマンができない・・・

会いたい。
欲しい・・・・

メールで亜貴を責めた。


「メールでキュンとさせないでー
今ね・・・ピグのお手紙読んだよ ありがとう
カズくんとメールできるだけで幸せ~って思うんだよ」


そか・・・亜貴はメールだけで幸せなのか・・・


「あ~イジワル言ってる~~
メールしてるだけでも・・・幸せって思えるくらい大好きってことでしょ~カズくん・・・分かってるくせに~」


・・・じゃあ、会うだけでいいんだ・・・


「もぉ~会って・・・カズくんのオモチャにしてほしい・・・
って・・・メールでも恥ずかしい」


・・・いいんだね・・・オモチャにするよ・・・


「カズくん・・・会いた~い 触りた~い ギュってしてもらいたーい エッチした~い」

「ごめんね
洗濯干してて・・・そのままになっちゃったカズくん許してね・・・私もKissしたいよ」


メールで繋がるだけで身体が疼いた。
メールの文字だけで硬くなる・・・・

亜貴の艶めかしく蠢く躰を思い出す・・・匂い・・・味・・・熱さ・・・蠢き・・・そして鳴き声・・・

頭の芯が熱くなる・・・
抑えられない。
メールで・・・文字で責め立てた・・・・


「うん・・・ずっとカズくんだけのものだよ
お口でいっぱいしてあげるね」

「カズくん・・・キュンとする・・・お口でイっていいよ
奥でいっぱい出していいよ」



SEXの「箍」が外れてしまっていた。
亜貴を抱くことばかりを考えた。

これほど、身が狂う・・・身を捩る快楽は初めてだった。

これほどまでに相手を求めたのは初めての事だった。

・・・・それは、亜貴も同じだったんだろう。



「どうして、初めてがカズくんじゃなかったんだろう・・・カズくんが初めてならよかった・・・」



亜貴が言った。

お互いが同じ気持ちだった。

お互いの「初めて」は、ふたりのためにあるはずだったんだ・・・・

互いにとっての「初めて」が、自分でなかったことが悔しかった・・・苦しかった・・・互いに過去を後悔した。



横浜。
夕方の会議が終わった。

コンビニの駐車場にプリウスを入れる。・・・・陽が暮れてきている。
亜貴が子供を迎えに行くにはまだ時間がある。

電話する。

・・・繋がった。亜貴の甘い声が耳に響く。


東京の天気はいいよ・・・・そっちはどう?

・・・こっちも天気いいよ・・・
ガットの張りが弱くなってきた・・・新しいラケットにしようかな・・・


・・・・落ち着く。
亜貴の声が落ち着く。満たされていく。
亜貴不足だった身体に、亜貴が染みわたっていく。


「あーきぃー愛してるってば・・・すっごく愛してる」

「愛してるよ・・・カズくん愛してる・・・すごーく愛してる・・・」


亜貴の声に熱を感じていた。艶を聴き取っていた。

つとめて普通の話をしていた。
天気・・・ラケット・・・そして、ニュース。

それでも欲情していた。
亜貴と普通の会話をしながら欲情していた。


昼間、身体に・・・下腹部に甘い疼きを感じながらメールしていた。・・・我慢できずに亜貴を責めていた。

・・・・今、亜貴の声から甘い吐息を感じていた。疼いていたのはボクだけじゃない。亜貴も同じだったんだろう。


「欲しいんでしょ・・・・?」

「うん・・・」


普通の会話をしていても欲情した・・・何をしていても欲情した。
亜貴を抱くことばかり考えていた。
亜貴の躰に押し入ることばかりを考えていた。
すぐに衣服をヒン剥き、ジーンズを剥ぎ取り、美しい脚を拡げて掻き抱きたかった。

人生で・・・
こんなにも欲情し、こんなにも欲情し続けることはなかった。
こんなにも求めたことはなかった。


「濡れてるんでしょ・・・・?」

「うん・・・すごいの・・・メールからダメだった・・・カズくんの声聞いたら、もうダメ・・・流れてくる・・・」

「流れるんだ・・・凄いな・・・ボクも亜貴の声聞いたらダメ・・・疼く・・・思い出してた・・・・亜貴のヤラシイ姿・・・・」

「ヤダ・・・もう・・・」

「亜貴が・・・お尻で鳴いたの・・・動けなくされて・・・舌這わされて・・・
・・・気持ち良かったんだよね・・・」

「うん・・・気持ち良かった・・・信じられなかった・・・・おかしくなった・・・壊れるって思った・・・」


耳から亜貴の匂いがした。
桜色の吐息が流れる。


亜貴は、これまでの人生で、後ろからの行為など許さなかったと言った。
動物の交尾の姿・・・そしてオスへの絶対服従の姿。


背行為。


・・・そんな屈辱的な姿勢をとりたくなかった。
そんな恥ずかしい姿をしたくなかった。
男の前で、そんな惨めな姿を見せられるわけがない。

・・・・これまでは、懇願されても泣いて拒否してきた。


その、屈辱の姿勢をとらせながら、亜貴を愛した。
尻を高く掲げさせ・・・脚を拡かせ・・・
女の快楽の源泉・・・「メス芯」を揉み解した・・・

・・・・そして、後の器官・・・排泄器官に指を這わせた。


逃げられない。

倒れさせない。

崩れさせない。


腹の下に枕を押し込み、亜貴の意志とは関係なく屈辱の姿勢をとらせ続けた。

亜貴の鳴き声が・・・亜貴の鳴き声のオクターブが、それまでより上がっていた・・・排泄器官をなぞる指の動きに支配されていた。

嫌悪の声じゃない。
悦楽の吐息だ。

人間の表には見せない部分・・・隠された部分は全てが性感帯だ。弱点だからこそ隠す。・・・・そして、誰からも愛されることはない。愛されることが少ない。


・・・だから、一生、性感帯であることにすら気がつかない。


脚の指・・・膝・・・脇・・・そして、排泄器官・・・それらは、思いもよらない性感の宝庫だ。

そして、これまでに愛されたことがないが故にガードの仕方がわからない。
ガードができず、無防備のまま愛される。
ガードに慣れた雌芯への責めより、無防備なアナルへの責めは鮮烈だ。

もちろん個人差はある。
心底の嫌悪感だけでしかない女性もいる。


・・・しかし、排泄器官をなぞる指で、亜貴という楽器は鳴いていた。
それまで以上に艶を湛え、さらなるオクターブ・・・高域の鳴き声を奏でていた。
これまでとは次元の異なった快楽を彷徨っていた。・・・鳴き声でわかった。

明かな悦楽の鳴き声、吐息を漏らしていた。

濡れそぼり、蜜で満たされた膣径に、ゆっくりと・・・・慎重に指を埋めていく・・・2本の指を侵入させていく・・・亜貴の身体が硬直し仰け反っていく・・・
2本の指で抽送を開始する。
膣径に、さらなる蜜がジワリジワリと染み出してくる。

・・・なお一層、滑らかに抽送を撃つ。

指を微かに曲げ、腹面を擦るように抽送していく。


亜貴の鳴き声にリズムが入る。


「悦楽の果て」


ハイウェイに乗った。・・・もう亜貴は降りられない。
このまま逝かされるだけだ。

突芯を揉みしだきながら・・・さらに、硬く、普段の倍以上に勃起し、硬くなった・・・包皮から顔を出した・・・剥き出しとなった部分を指で転がす・・・亜貴、自らの膣径から流れだす蜜がローションの代わりを果たす。

滑らかに・・・滑らかに・・・滑らかに、剥き出しとなった突芯を転がしていく。

亜貴の投げだされた両腕・・・両手に力が入っていく・・・・指がシーツを掴む・・・刻まれていくシーツの皺・・・・

ズルズルとシーツを引き寄せていく・・・


止めを打つ。


背行為。

高く掲げさせた尻。


無防備な排泄器官に舌を這わせる。


ハッとなる亜貴。
身体がひときわ硬直する。


・・・まさか・・・そんなところに舌を這わされるのか・・・


これまでにも散々に、膣口には舌を這わされてきた。・・・のみならず舌の侵入を許してきた。掻き回され、散々に逝かされもしてきた。
それでも、膣口はSEXで貫かれる場所だ。
舌で愛されることは、恥ずかしさが募るとはいえ、愛撫のひとつとして受け入れることはできる。

しかし、アナルはSEXをする場所ではなかった。

排泄器官であり、・・・人間にとって最も不潔な場所だ。
確かに、排泄器官というのであれば、これまでにも尿道への舌の愛撫は受けてきた。それによって、未知の快感を得てきたのは事実だ。

尿道に、尖らせた舌先で抽送を繰り返されるのは・・・全くの未知の快感だった。
尿道という細い細い路に、文字通り針を刺すように舌先が捻じ込まれる・・・身動きとれぬほどに脚を押し拡げられ、舌先を捻じ込まれ、抽送を与えられる・・・狭い路を強引に犯されるという、苦しみと快感の狭間で狂わされた。


・・・しかし、尿道とアナルでは違う。


その恥辱の度合いは全く違う。
尻を掲げさせられ、剥き出しとなったアナルを見られるのは、死に値するほどの恥ずかしさが込み上げる。

・・・さらに、そこに舌を這わされ・・・さらには侵入すらを試みてくる。


嫌だ・・・絶対に許すわけにはいかない。


侵入させまいと・・・舌を拒むためにヒクヒクと門を閉じる。


しかし、侵入を拒むためにアナルに力を入れれば、同時に膣径を締めつけることにもなってしまう・・・それは、中で掻き回される指の動きを、なお一層に強烈なものにする。
同時に、必然的に力が入った突芯への愛撫も鮮烈さを増す。
アナルへの防御は、更なる快楽を生む「諸刃の剣」となってしまう。


2本の指が滑らかに膣径を抽送する。・・・腹面を膣内で擦られる。・・・ここには、女躰最高の性感帯が秘められている。
さらに、敏感となった突芯を揉みしだかれ、剥き出しとなった突芯の突芯・・・亜貴の快楽の源泉を弾かれる。
アナルには舌が這わさられている・・・そこから未知の・・・これまでに経験したことのない甘い悦楽が沸上がる。


あまりの鮮烈さに息を吐く・・・


ついには、緩んだアナルに、蟻食となった「未知の快楽」に、舌先が捻じ込まれてくる・・・
柔らかく・・・それでいて硬い・・・尖った舌先がアナルに侵入を果たす。
固く閉ざされた・・・これまでの人生で愛されたことのない扉をこじ開け、舌が捻じ込まれてくる・・・・


・・・ついには、散々に、中を掻き回される・・・・


亜貴の絶叫。・・・明らかに、これまでとは種類の違う絶叫が響く。


逝った。

亜貴は逝った。
これまでとは違うステージで、亜貴は逝ってしまった。
躰を硬直させ、小さな痙攣すらさせ果てた。

果てた後も小さな痙攣は治まらなかった。
尻を掲げさせられたまま、戦慄いていた。
ブルブルと尻朶を震わせ、膣口は・・・まるで貝が蠢くばかりに収縮を繰り返していた。

・・・・そして、甘い蜜を太腿までに滴らせていた。



「・・・・亜貴・・・・」


声に嗜虐の焔が入っていた。
耳から、亜貴の甘い香りが立ち上る。


「亜貴の処女が欲しい・・・・こんど使う・・・亜貴の「初めて」をもらう・・・」


「うん・・・いい・・・カズくんにあげる・・・」



首都高速湾岸線。

プリウスのフロントガラス。外灯の明かりが後ろへと流れていく。

首都高は帰宅ラッシュの最中だ。多くの車両が走っている・・・・さらに、3車線の右から左から合流が成されてくる。
・・・そして分岐・・・・坂道・・・

長いストレート。トンネルに入っていく・・・


羽田空港。
首都高速の上の通路・・・・首都高の上、道路を横断する通路がある。
空港の敷地内だ。そこを飛行機が走る。

上空には着陸許可待ちの飛行機が周回している。


「首都高速道路」

この場所は、センスと度胸を持っている者が勝つ「道路」だ。


右に左へと、合流、分岐を繰り返す道路。

目的地へ向かう、的確な車線の選択。

周りの車との関係性を瞬時に判断し、瞬時に決断して走り抜けていく。

まごまごしていては、車線変更のひとつもさせてはもらえない。

周りの車は、全てが自分のために走っている。
誰も、手を差し伸べて、道を譲ってはくれない。・・・・そもそも、そんな余裕のある速度で走ってはいない。

みんながみんな、自分のことで精一杯の高速道路なのだ。



・・・・道路と同じだ。

この「東京」という都市自体が、センスと度胸を持っている者だけが勝つ場所なんだ。


・・・ボクは、この「東京」で負けた。
騙され、利用され・・・・そして、敗れ去った。
生きる屍となってしまった。


・・・・今更・・・もう、どうでもいい・・・

どうでもいい。亜貴が欲しい。亜貴さえいれば他に何もいらない・・・・


亜貴の「初めて」が欲しい。

それだけだ。



「痛くてもいいよ・・・カズくんが気持ちいいならガマンする・・・だから・・・イっていいよ」


「カズくん・・・もぉ~メールでキュンってさせるんだから・・・カズくん大好き すごく大好きなんだよ」


「カズくんに全部あげるから・・・
カズくんが欲しい・・・あ~キュンってする・・カズくん大好き」



・・・・亜貴の「初めて」をもらう。

旦那さんすら与えられなかった「初めて」をもらう。

亜貴の躰に「初めて」の刻印を刻み込む。

亜貴の躰に、ボクだけしか使わない、ボクだけしか愛さない聖域を刻む。

亜貴の人生に、決して消えることのない「禁断の刻印」を彫り付ける。


ふたりの誓いだった。

ふたりの願いだった。


人生をやり直す行為だったんだ。


ふたりが「初めて」を求めたんだ。



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