「崩壊の街」ボクは不倫に落ちた。

ポンポコポーン

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「透明人間だった」自爆テロをくらう。

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中学生のある時。
毎日目が合う女の子がいた。

・・・気がつくと彼女がボクを見ていた。

彼女はクラスでも人気の女の子だった。・・・もちろんテニス部。
たぶん、どこの学校も、テニス部というのは人気女子が集まるんだろう。

ボクはドキドキしてしまった。

・・・・ひょっとして・・・ひょっとするのか???

ある時、下駄箱に手紙が入っていた。


「好きな人はいるんですか?」


・・・・これが、これが、噂に聞く「下駄箱の手紙か!!!???」

初めての経験で、すっかり舞い上がった。

・・・・当然、いつも目が合うテニス部女子を思い出した。
あまりにタイミングができすぎていた。

すっかり、あのテニス部女子だと思い込んだ。

返事に、テニス部女子が好きだと書いた。

ボクは気を効かせたつもりで書いた。
ボクの本当に好きな女の子は他にいた。
テニス部女子のことはなんとも思っていなかった。

・・・・ならば、そんなウソをつく必要はない。その通りだ。
しかし、学校の人気者女子に好かれて悪い気がするはずはない・・・もちろんテニス部女子が可愛いとは思っている。

ボクは、容姿で女の子を好きになることはない・・・ボクが好きになるのは・・・なんだか、ちょっと変わったというか・・・言葉は悪いけど、マニアックな女の子が多かった。
だから「学校No1美少女」なんて娘を好きなることはなかった。

・・・しかし、それは予防線を張ってる意味もある。

「学校美少女No1」に恋したとて、そんなものは成就するはずがない。・・・そんなのはテレビで見るアイドルに恋するのと同じだ。・・・1%も成就する可能性のない恋など不毛なだけだ。
テレビで見るアイドルならまだしも、リアルな身近なアイドルに恋をすれば「失恋」の可能性しかありえない。

「それは嫌だ」

そんな予防線から「学校美少女No1」とかの女の子を避けていたのかもしれない。

・・・・だから、もし、手紙の主が「テニス部女子」であったなら、スクールカースト最上位のテニス部女子と付きあえるのであれば、それは嬉しいに決まっている。
ボクは、舞い上がって「ボクも君が好きだ」の意味を込めて返事をした。
・・・つまらん見栄からのウソだった。


・・・・しかし、オチは最悪だった。

手紙を入れてきたのは、全く別の女の子だった。
・・・ただ、その女子とテニス部女子が仲が良く、相談に乗っていたのだった。
それでチラチラとボクを見ていたってわけだった。

すぐにクラス全体に知れ渡った。・・・少なくとも女子には全員もれなく。


・・・ボクがテニス部女子を好きだと。


とんだ濡れ衣のようなものだった。
だからといって釈明するわけにもいかず、ボクはただ沈黙した。
ひたすら嵐が収まるのを待った。

・・・・告白してきた女子と付きあわないのか・・・??

告白してきたのはお化けのような女子だった。
学校でひとりはいる「クソブス」って女だった。
・・・誰が呼んだか「ワカメちゃんカットゴリラ」・・・確かに的確な表現だった。

さっきも言ったが、恋愛は相手を選ぶ。
必ず、同じカーストの中で相手を選ぶ。・・・成功、成就する可能性を無意識で選ぶからだ。
恋愛で、見果てぬ夢を追う生徒はいない。

・・・ボクは、学校イチの「クソブス」に成就する可能性があると判断された生徒だったわけだ。

しかも、どこでどう話が転がったのか・・・
ボクは「テニス部女子」が好きで「クソブス」を振った。
という話になっていた。


・・・そして、フラれたクソブスが可愛そう・・・


ん?・・・なんでそうなる?

まるで自爆テロにあったようなボクには、それ以来「針の筵」の日々が待っていた。

ボクは、透明人間に徹した。
嵐の治まるのをひたすら待った。必死で耐えた。


学年が変わって、嵐も沈静化していった・・・
・・・そこに、また、前回と同じように目と目が合う女の子が登場する・・・しかもまた「テニス部女子」だった。
その「テニス部女子」は、やたらとボクに優しかった。嵐の中を必死に耐えてきた中で、ボクには彼女が女神に見えた。
懐くようにボクは恋をした。
いくつかの段階を経て、ボクは彼女の気持ちを確かめたと思った。

前回の轍は踏むまい・・・何度も何度も確かめた・・・つもりだった。


一世一代の告白をした。


あっさりとフラれた。
・・・全ては、たんなる彼女の優しさでしかなかった。
嵐の中の学校生活を送っているボクへのいたわりでしかなかった。勘違いでしかなかった。

・・・・しかも、さらに激しいオチがついた・・・

すぐに彼女は、野球部のエースと交際を始めてしまった。

そのタイミングの良さに、ボクのドン・キホーテぶりが際立った。

・・・ボクは、また透明人間に戻った・・・
しかし、今度は、戻らせてくれなかった。

「身の程知らずの阿呆」として、徹底的な虐めを喰らってしまった。
これで、女子だけでなく男子も敵に回してしまった。
しかも、学校を牛耳る「野球部」と「テニス部」が見事にタッグを組んでいた。

スクールカーストの華麗なる人々のやる「虐め」に、その他大勢のエキストラは従わざるを得ない・・・・いや、人間は、自分より下のカーストを喜んで見下す。

虐める。

虐げる。

その行為が自らのアイデンティティだ。


・・・・毎日繰り返される牢獄に、よくよく自分が「最下層」なんだと思い知らされた。
心の奥底に刻まれた。

ボクの恋愛偏差値は低い。
あまりに嫌な経験を繰り返した。
自分の容姿、全てにコンプレックスを抱いた。


・・・・そのボクに組み敷かれて、スクールカースト最上位だったろう亜貴が鳴き声を上げていた・・・

「鳴き貌」すらが美しかった・・・


「東日本大震災」


極限状況の中。
命ギリギリの日々の中。

夢のような出来事が起こってしまったんだった・・・


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