「崩壊の街」ボクは不倫に落ちた。

ポンポコポーン

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「友達はいない」名古屋までノン給油。

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東京に友人はいない。

・・・時間を持て余していた。
だからといって積極的な趣味もない。

なんとなくブログを始めた。

遠くに住む、数少ない友人に対して、

「とりあえず生きてる」

そう伝えるためだった。


観葉植物を育てていたりする。

なんとなく部屋の中に「花」が欲しい。

花を活けてると部屋の空気が違う。

天然の「空気清浄機」・・・・空気の成分ではなく・・・なんというか、空気の質が違う気がする。

面白いのは、同じ「花」でも置き場所によって、ぜんぜん元気が違うことだ。
花の種類を変えてみても同じ・・・・ってことは、その場所の「気」のようなものがあるんだろう・・・・まぁ、温度とか、湿度、風通しなんかによっても違うんだろうけど・・・


いずれにしろ、それで、よく切花を買っていた。
それが高じて、自分で育てるようになった。
・・・その方が安いからだ。

切花の安いのが198円とか・・・それで2週間くらいもつ・・・2週間しかもたない。
枯れる都度に買えば、けっこーな金額になる。

それで、鉢植えを育てるようになった。

・・・そのうちに「多肉植物」も育てるようになった。

「多肉植物」は、なんだかブームのようになってしまい、リアル世界で話題に上ることも増えてきた。

仕事で知り合って、雑談してる時に多肉植物の話で盛り上がるってなこともよくあった。

仕事はチームワークだ。人間関係だ。
やっぱり仲がいいほうが仕事はしやすい。
それで「飲み」に行ったり、サッカーしたり色々するわけだ。

意外と「多肉」を育ててるってヒトが多くて・・・あるいは、奥さんがやってるとか・・・


植物を育てるのには、ちょっとしたコツの積み重ねが重要だったりする。

ブームに乗っかるようにホームエンターで「多肉」に手を出したヒトはみんな苦労していた。
・・・縁日で買った「ヒヨコ」のようになってる場合が多かった。

そんな時に、ボクが「多肉」を育てていると知ると、ちょっとした相談を受けるようなことがよくあった。

だいたい悩み、躓くところは同じだったりする。

簡単な「HOW TO」がわかればいいだけの話だ。

だったら、ということでブログの内容を「植物の育て方」にシフトしていった。
言葉、会話で説明するより、写真、図解で説明したほうがわかりやすい。

リアル世界で、そんな話が出たときに
「・・・・あ、それ、ブログのこの部分で書いてありますよ。良かったら参考にしてください」


やっていたのはアメーバ―ブログ。

アメーバ―ブログ内では仮想現実の世界があった。

「ピグ」という、自分の分身、アバターを作ることができ・・・・作る時には「顔」・・・輪郭、眉毛、目、鼻、口・・・と作っていく。
洋服も選べた。靴も、時計とかの小物も。

なんと部屋まで与えられ、しかも、模様替えまでできた。

和風の部屋にしてみたり、ハイセンスなデザイナーズマンション風に仕上げることもできた。

部屋だけじゃなくて、街があって、川があって、公園があって・・・・日本の観光地が網羅されていた・・・・北海道、京都・・・・いや、日本だけじゃなくアメリカすらあった。


自分の分身である「ピグ」で、アメリカにひとっ飛びして、ラスベガスのカジノで遊ぶ・・・そんな芸当すらできた。



ブログの参加ジャンルは「植物」・・・・その中で「多肉」を扱ってる人がまだ少なく、ランキングではもうすぐ100位を切るくらいまでになっていた。

ジャンルへの参加人数が3000人とかだったので、100位といえば、そこそこの、ちゃんとしたブログという扱いだった。

なので、リアル世界だけじゃなくブログでも相談を受けるようになったりしていた。

メールで受けてメールのやり取り・・・・よっか、やっぱり会話のほうが話が早い。
・・・だからといって、いきなり電話ってわけにもいかない。
ブログからだと、相手がどんなヒトだか、わかんないからなぁ・・・

そんな時も「ピグ」で話したりしていた。


ホントに、ピグの部屋にいきなりやってきて
「教えてください!」
みたいなことも増えてきた。

どんどんブログ読者も増えていき、フォロワーも増えていった。



フロントガラスから見える埼玉・・・17号線は今日も渋滞だ。
片道4車線の道路はノロノロと動いていた。

仕事は車移動だ。
活動エリアは広範囲にわたっている。
東京を拠点として関東全域。名古屋、大阪にも得意先がある。
特に名古屋には月1回は必ず顔を出す。往復すれば1,000kmにもなる距離だ。
高速代も、ガソリン代もバカにならない。

そんなことで、減税効果、補助金も大きい「プリウス」に買い換えたばっかりだ。
今まで乗っていた車の3倍ってな燃費だった。

・・・・なんと、名古屋なら「ノン給油」で往復ができた。
高速上で給油しなくてすんだ。

高速上のガソリンは高い。
SAで給油しなくていいだけでも助かる。

さらに、燃費が3倍なんて・・・

・・・・ってことは、ガソリン代が1/3。
浮いたガソリン代で「プリウス」のローンが払えた。
・・・なんて、素晴らしい車なんだ。


仕事はオフイス、店舗の設計だ。

なんだかんだで持ち運びの道具が多い。

サイズを計ったり、天井裏を覗いたり、もぐったり・・・・
脚立がいるし、ヘルメットも必需品だ。

車移動じゃないと持ち運べない。



ダッシュボードの時計が15時に近い。

コンビニの駐車場に車を入れた。


缶コーヒーを買って、PCを立ち上げる。

ブログを立ち上げ、ピグの部屋に入る。

代々木公園へと向かった。

・・・・・彼女はいた。

秋の公園のベンチにひとり座っていた。
凛として、そこにいた。

「こんにちは」

声をかける。

「こんにちは」

立ち上がってお辞儀をされた。
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