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一体俺はどう言い返せばいいのだろうか――。
真に受ける方も、受ける方だ、と思いながらも、赤くなる顔を止められず、隠すように、
「可愛いは余計だろ」
と、言いながら、青木から顔を背け、TVの方を向いた。
「悪い、悪い」
笑いを含んだ謝罪の言葉に、ますます、顔が見れなくなってしまった。
こんなに、意識してどうするんだ。
頭を抱えたくなる気持ちを抑え込み、気分を変えるために席を立った。
「なんかつまむか?」
「ああ、いいね。何か作るか?」
作る!?
その言葉に思わず青木をふり返った。
「な、何?どうした?びっくりしたような顔だな」
「そりゃ、青木って作れんの?」
「簡単なものならね」
「すげぇーな。実家だろ?」
そういうと、なんだか照れたような、恥ずかしいような顔をしながら
「好きなんだよ」
と、ボソッという声が聞こえた。
意外な答えに、じーっと青木を見ていると、席を立ち俺の顔の前に手をかざしてきた。
「そんなにじっと見んなよ。照れる」
俺は、その、目かくしをされた青木の手の感触に、
照れた。
イヤイヤ、青木だ――。
男だ――。
そうは頭で分かっていても、その青木のテノールの声が甘く聞こえ、俺の顔を包む手が優しく感じてしまう。
俺の目を隠していた手が、そのまま頬を撫でるように滑りながら離れていった。
青木は俺に背を向けると、何事もなかったように冷蔵庫の方へと足を向けた。
「開けていいか?」
と、聞かれ、俺は「ああ」と、気の抜けた答えを返した。
開けた所で入っているのは飲み物とつまみばかりだが……。
「なんもないだろ?」
「ホントだ、佐藤、つまみって何を出すつもりだったんだよ?」
冷蔵庫や冷凍庫の引き出しを開けながら青木が俺に聞いた。
俺は、冷蔵庫の前にある棚へ行き、ピーナッツやら、いかの燻製焼きやらを出すと、佐藤の前に差し出した。
「これだよ」
それをみて、佐藤は笑った。
佐藤につられ、俺も笑った。
真に受ける方も、受ける方だ、と思いながらも、赤くなる顔を止められず、隠すように、
「可愛いは余計だろ」
と、言いながら、青木から顔を背け、TVの方を向いた。
「悪い、悪い」
笑いを含んだ謝罪の言葉に、ますます、顔が見れなくなってしまった。
こんなに、意識してどうするんだ。
頭を抱えたくなる気持ちを抑え込み、気分を変えるために席を立った。
「なんかつまむか?」
「ああ、いいね。何か作るか?」
作る!?
その言葉に思わず青木をふり返った。
「な、何?どうした?びっくりしたような顔だな」
「そりゃ、青木って作れんの?」
「簡単なものならね」
「すげぇーな。実家だろ?」
そういうと、なんだか照れたような、恥ずかしいような顔をしながら
「好きなんだよ」
と、ボソッという声が聞こえた。
意外な答えに、じーっと青木を見ていると、席を立ち俺の顔の前に手をかざしてきた。
「そんなにじっと見んなよ。照れる」
俺は、その、目かくしをされた青木の手の感触に、
照れた。
イヤイヤ、青木だ――。
男だ――。
そうは頭で分かっていても、その青木のテノールの声が甘く聞こえ、俺の顔を包む手が優しく感じてしまう。
俺の目を隠していた手が、そのまま頬を撫でるように滑りながら離れていった。
青木は俺に背を向けると、何事もなかったように冷蔵庫の方へと足を向けた。
「開けていいか?」
と、聞かれ、俺は「ああ」と、気の抜けた答えを返した。
開けた所で入っているのは飲み物とつまみばかりだが……。
「なんもないだろ?」
「ホントだ、佐藤、つまみって何を出すつもりだったんだよ?」
冷蔵庫や冷凍庫の引き出しを開けながら青木が俺に聞いた。
俺は、冷蔵庫の前にある棚へ行き、ピーナッツやら、いかの燻製焼きやらを出すと、佐藤の前に差し出した。
「これだよ」
それをみて、佐藤は笑った。
佐藤につられ、俺も笑った。
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