上 下
32 / 70

BULLET-31:食事をしよう

しおりを挟む
 □■□

「ふぅ、終わったわね。」

 横たわるタカ少女の頭に乗っかって戦況を見ていたもふぃがつぶやいた。

「なんだか魔獣が強くなっている感じでしたわ。
 これも魔獣大王の影響、なのでしょうね。」

 そんな事を考えながらも、それは置いておいて、

「ルゥーア、まんまるを人型にしなさいな。」

 ルゥーアに声を掛けた。

「まんまるさん、いいです、ほぉ?」

 確認したあと、

人型ヒューマノイド形態モード、ほぉ。」

 ルゥーアが言うと、

「なったで、どうするんや?」

 人型になったまんまるが声を掛けてきた。

「とりあえず、食事にしますわ。
 ルゥーア、食料はどれくらいありますの?」

 もふぃに問われ、

「実は、残り少ないんです、ほぉ。」

 答えたルゥーアが背負っていた可愛らしい小さなリュックから食料を取り出し始めた。

 □■□

 ルゥーアが下ろしたリュックの口を開き、手を突っ込んだ。

 リュックは一般的な収納容量(小)の空間魔法がほどこされている。
 容量はだいたいLサイズのキャリーバッグ10個分くらい?
 から取り出した食料は、

・なんか硬そうなパン:5個
・でっかい肉団子:2個

 だけだった。

「え、これだけなの?」

 その量を見て、もふぃがあきれ声を発した。

ルゥーアあなた、この量でどこまだ行く気だったのよ?」

「うう、それは、ほぉ。。」

 言葉をつまらせるルゥーアに変わって、

「そんなん追々おいおいでええやん。
 で、なんで食事すんの?」

 まんまるが声を掛けた。

まんまるあなたの補給に決まってるじゃないの。
 このままだと魔力切れで機能停止するわよ。」

「なんやて!?」

 まんまるが驚きの声を漏らした。

 □■□

 なにやら重大な事を言われた。
 魔力切れがどうとか、機能停止がどうとか。
 それってヤバい事なのではと感じ、

「なんやて!?」

 驚きの声が漏れた。

「機能停止、ってどゆこと?」

 聞き返す真丸まんまるに、

弾丸たまが作れなくなる、とか。
 人型になれなくなる、とか。
 まぁ、いろいろね。」

 もふぃがさらっと返してきた。

「うせやん!?」

 真丸まんまるが声をふるわせながら、ルゥーアが出したパンを1つ手にとって、

 がぶっ

 かじりついたら、

「か、かったぁ!?」

 すごく硬かった。
 涙目で口からパンを放した真丸まんまるに、

「ああ、まんまるさん、そのまま食べたらダメなんです、ほぉ。」

 泉の方に行っていたルゥーアが大慌てで声を掛けてきた。

「準備するから少し待ってほしいです、ほぉ。」

 そう言って泉からんできた水をリュックから出した鍋に入れ、火を起こして熱し始めた。
 水が沸騰してきたらでっかい肉団子を鍋に入れて、ほぐしていった。
 しばらくぐつぐつさせていたら、肉団子汁が出来上がった。

 それをうつわにすくい入れ、

「パンをこれにひたして、やわらかくしてから食べるのです、ほぉ。」

 言いながら真丸まんまるに渡してくれた。

「おおきに。」

 受け取った真丸まんまるは、パンをしっかりひたしてやわらかくなったのを確認して、

 かぷっ

 食べた。

「あれ?なんの味もせえへん?」

 戸惑いの声を漏らした。

「え、そんなはずはないです、ほぉ。」

 そう言ってひと口食べたルゥーアが、

「おおお、おいしいです、ほぉ。」

 至福の表情で感想をべた。
 ルゥーアがすごく美味おいしいそうに食べるのを見て、

 かぷっ

 もうひと口食べてみたが、

「無味無臭やな。
 これがなんで美味うまいんや?
 味覚がちゃうんか?」

 やっぱり味がしなかった。
 その時、

「ああ、そうだったわ。」

 もふぃが何かを思い出したようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

処理中です...