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ー学生時代ー

新しい悩み 4

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「りお・・・」

「ちょっ・・・・仕事の話じゃないんですか?」

振り向いてあきおさんを睨みつける。
あきおさんはそんな私の顔はあえてみないでそのまま後ろから私を抱きしめたまま言った。
「ちょっとだけ・・・なかなか二人になられへんかったから・・・」

「このあいだ・・・電話したのに。。。」

「えっ?」

・・・はぁ。やっぱり気づいていなかったのか・・・・

「浜野さんとしゃべってたでしょ?あのとき。」

「え?あいさつして帰ったやん。」

「最初、みかけたからぐるっとまわってバス通りにでて公衆電話からここに電話したの。で、でなかったからわざと挨拶してとおって・・・またバス通りにいってもう一度電話したんだよ。でも出なかったから違う道とおって帰ってん。」

「うそ・・・」

「バックヤードの扉はあいてたから聞こえるかなと思ったんだけど。」

「・・・・ごめん。あの人つかまったら長いから。」

でも、いくらでも止めるチャンスはあったはず。あえて声かけたんだから。
今みたいに理由つけて断って帰ってもらうことできるやん。
まぁ、今は帰ってなくて総菜部長があいてしてるみたいだけど(笑)

もう終わったことはどうでもいいけれど、あの人をどうにかしないと夜に会うのが難しくなりそうで、ものすごくイヤだった。

「ごまかしていないとか言うんじゃなくてちゃんと拒否したほうがいいんちゃうの?」

水田さんの時と違って拒否していないところがムカついていたのでハッキリと言ってしまおうと思って言った。

あきおさんは黙ってしまったのでそのまま私は続けて言った。

「さっきね、出社したときにお昼休憩のパートさんたちが言ってたよ。『離婚調停も進んでないし、ヘンなオンナにからまれまくりで仕事も忙しくて彼女に会えてへんのちゃう?かわいそうやねぇ。』って。」

「え?それりおちゃんの目の前で言ってはったん?」

「ううん、事務所にはいろうとしたら聞こえてきたの。動揺しちゃって思わず入るのやめようかと思ったよ・・・」

おばちゃんたちの休憩時間は基本噂話だ。最近は浜本さんの噂で持ち切りみたいだし。家が近いから毎日のようにあきおさんの顔を見に来ているらしい。

「わかった。一応浜本さんはお客さんだから、どう対応しようか悩んでてん。ちょっと社長に完全拒否していいものか確認してみるわ。」

まぁ、仕方ないんかな・・・
もしばっさりと切ってなにかヘンなふうにあちこちに言われたとしても
ご近所さんは浜野さんのことわかってるから何も問題なさそうなんだけどなぁ。。。

「で、社長からってなにかあるの?」

本題があるのかどうか聞いておかないと。

「あ、そうそう。水田さんの件で話があるからこんどの本社の日、30分はやくこれないかって。」

「火曜日は時間余裕あるので大丈夫なので30分はやく行きますって伝えてください。」

なぁんだ。そんなことかと思ったかれど、私が深くこの話にかかわったことはこのお店の人は知らなかったのをすぐに思い出した。

「じゃあ、もうおります・・・」

レジに入る予定があったのでそろそろ行こうと立ち上がったところ、
右手をぐいっとあきおさんにひっぱられ、抱きしめられた。

「・・・ごめん、めっちゃ会いたかったのに、りおもそう思ってくれてたのに・・・」

抱きしめられた腕にさらにぎゅうっと力がはいる。

「あきおさん・・・・」

顔をあげると唇を奪われた。

・・・今、仕事中なのに・・・・

ふとそれが頭によぎったけれど、久しぶりに触れた唇に理性がとんだ。

あきおさんも同じだったのだろう。
重なった唇は軽く顔をふって開かされ、上唇を何度も食み、強く吸われる。
たまらなくなって舌を差し出すとそれを食べるように吸い、舌を絡めてきた。

あきおさんの右手は私の後頭部をしっかりホールドしたまま、貪るようにキスをした。

あきおさんの左手がするすると背中を降りてきたのだけれど
その瞬間に私は我に返った。
あきおさんの胸を軽く押してキスを中断した。

「ダメ・・・今仕事中だよ・・・」

あきおさんも胸を押されて我に返ったようだった。

「ごめん・・・」

私は ううん、と軽く頭を左右に振って軽く深呼吸をした。

扉の鍵を開けておかないと、そろそろ休憩の時間で誰かがあがってくるかもしれないと思い、扉に向かった。
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