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稽古見学で
しおりを挟む稽古前なだけあり
ネット越しに見える道場内は神妙な雰囲気だった
「道場に入る前に詳注意ね!」
袴姿の沢谷さんに細々と言われる
規律を守るには確かに大切だけど大袈裟な感じがした
「みんな!そしたらいい?声でアピールよ!」
沢谷さんがそう言うと近くの新入生からどんどん道場に突撃させる
「こ、こんにちわ!」
声がつまりそうになる新入生
道場の神妙な雰囲気にはなんとも不釣り合いだ
イエヤスと目が自然とあうと
オレがまず道場へ入る
「こんちわ!」
適度なボリュームで歯切れよく挨拶をする
なんとも気持ちがいい風が通った
「ッッシャャア!!!」
矢声が飛び交う中
下座にぎゅうぎゅうに座る
こんなうるさかったら喋ったってばれやしないのに
空気を呼んで練習を見守る
浜永さんの合図がかかる
道場内は一気に稽古の準備になった
練習用のビニ的から稽古用の紙的に代わる
均等につけられた的
ライトアップの電光
自分の鼓動が高まってくる
テンションが上がってきてる自分に気づいた
最後の一人が矢取り道を駆けて安土から帰ってくると
道場は息もつけない静けさ
2人の人物が神棚の前に出て礼拝が始まる
1人は坂井さんだった
ー「稽古の始まりはかっこいい。それで主将に立候補したぐらいだ」ー
袴姿でドシッとしたオーラを纏う坂井さん
主将の号令で稽古が始まった
かっこよさを感じなかった新入生は一人もいなかったに違いない
「新入生お疲れ様~」
稽古が終わると沢谷さんは一目散でオレ達を道場の外に呼んだ
「だいぶ弓道部のことわかってもらえたんじゃないかな!入部希望の子はまた道場に来てね!」
沢谷さんは総まくりたてると矢取りに行ってしまった
すると交代するように浜永さんが道場から出てきた
「来てくれたんだな」
「この間は楽しかったです」
「鏑木さんなんだけど、実験長引いて休みだってさ」
ごめんなと付け加えた
「オレは会うことないですけど…」
食事会の時に浜永さんには入らないと伝えていた
オレなりの誠意だった
「やっぱ入んないのか~?めっちゃ可愛がってやんのにな!」
浜永さんはオレの頭を掴むと髪の毛をぐしゃぐしゃにした
「最初から友達の付き合いだったんで~」
軽くヘラッとオレは笑った
「まあでも同じ学科だし過去レポとか欲しければやるから」
胴着からペンと紙を取り出すとメアドを浜永さんは書いて渡してくれた
「この前渡しとけばよかったんだけど」
またなと言って浜永さんは練習に戻っていった
稽古見学の帰り道でイエヤスがとんでもないことを言ってきた
「え!入部しないの!?」
「すごい声出すじゃん、苦手なんだ」
「こんな振り回しといて?!」
「でも祐希だって入らないんだし」
「ま、まあな!」
何個か目をつけたサークルがあってそれのどれかに入るらしい
オレはなんでか窮屈な気持ちになっていた
家に帰ってもその感じは消えない
ベットに仰向けになりながら
なんでオレが気にしてるんだと考える
イエヤスは新歓期なんてそんなもんだと言った
だけどあんなに親切にしてもらったのに
ぐるぐると繰り返し考えてしまう
「あ!メール!」
思わず声に出た
オレは思いきって浜永さんにはメールすることにした
紙切れでいかにも無くしそうだと思って
道場出た後に手帳で挟んだ
だから鞄から手帳を取り出したところまでは覚えている
ただしまった記憶がない
裏付けるように鞄の中には手帳が見当たらなかった
「まじか!」
オレはどうもあろうことか
入部する気もなくタダ飯を頂いた弓道部の荷物棚に置いてきてしまったようだ
ネット越しに見える道場内は神妙な雰囲気だった
「道場に入る前に詳注意ね!」
袴姿の沢谷さんに細々と言われる
規律を守るには確かに大切だけど大袈裟な感じがした
「みんな!そしたらいい?声でアピールよ!」
沢谷さんがそう言うと近くの新入生からどんどん道場に突撃させる
「こ、こんにちわ!」
声がつまりそうになる新入生
道場の神妙な雰囲気にはなんとも不釣り合いだ
イエヤスと目が自然とあうと
オレがまず道場へ入る
「こんちわ!」
適度なボリュームで歯切れよく挨拶をする
なんとも気持ちがいい風が通った
「ッッシャャア!!!」
矢声が飛び交う中
下座にぎゅうぎゅうに座る
こんなうるさかったら喋ったってばれやしないのに
空気を呼んで練習を見守る
浜永さんの合図がかかる
道場内は一気に稽古の準備になった
練習用のビニ的から稽古用の紙的に代わる
均等につけられた的
ライトアップの電光
自分の鼓動が高まってくる
テンションが上がってきてる自分に気づいた
最後の一人が矢取り道を駆けて安土から帰ってくると
道場は息もつけない静けさ
2人の人物が神棚の前に出て礼拝が始まる
1人は坂井さんだった
ー「稽古の始まりはかっこいい。それで主将に立候補したぐらいだ」ー
袴姿でドシッとしたオーラを纏う坂井さん
主将の号令で稽古が始まった
かっこよさを感じなかった新入生は一人もいなかったに違いない
「新入生お疲れ様~」
稽古が終わると沢谷さんは一目散でオレ達を道場の外に呼んだ
「だいぶ弓道部のことわかってもらえたんじゃないかな!入部希望の子はまた道場に来てね!」
沢谷さんは総まくりたてると矢取りに行ってしまった
すると交代するように浜永さんが道場から出てきた
「来てくれたんだな」
「この間は楽しかったです」
「鏑木さんなんだけど、実験長引いて休みだってさ」
ごめんなと付け加えた
「オレは会うことないですけど…」
食事会の時に浜永さんには入らないと伝えていた
オレなりの誠意だった
「やっぱ入んないのか~?めっちゃ可愛がってやんのにな!」
浜永さんはオレの頭を掴むと髪の毛をぐしゃぐしゃにした
「最初から友達の付き合いだったんで~」
軽くヘラッとオレは笑った
「まあでも同じ学科だし過去レポとか欲しければやるから」
胴着からペンと紙を取り出すとメアドを浜永さんは書いて渡してくれた
「この前渡しとけばよかったんだけど」
またなと言って浜永さんは練習に戻っていった
稽古見学の帰り道でイエヤスがとんでもないことを言ってきた
「え!入部しないの!?」
「すごい声出すじゃん、苦手なんだ」
「こんな振り回しといて?!」
「でも祐希だって入らないんだし」
「ま、まあな!」
何個か目をつけたサークルがあってそれのどれかに入るらしい
オレはなんでか窮屈な気持ちになっていた
家に帰ってもその感じは消えない
ベットに仰向けになりながら
なんでオレが気にしてるんだと考える
イエヤスは新歓期なんてそんなもんだと言った
だけどあんなに親切にしてもらったのに
ぐるぐると繰り返し考えてしまう
「あ!メール!」
思わず声に出た
オレは思いきって浜永さんにはメールすることにした
紙切れでいかにも無くしそうだと思って
道場出た後に手帳で挟んだ
だから鞄から手帳を取り出したところまでは覚えている
ただしまった記憶がない
裏付けるように鞄の中には手帳が見当たらなかった
「まじか!」
オレはどうもあろうことか
入部する気もなくタダ飯を頂いた弓道部の荷物棚に置いてきてしまったようだ
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