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#59.tokyo 現場
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2日後、マルセルとヨシムラは帰国のため沖縄を離れ、東京府中市にいた。マルセルの希望だった。片側1車線の小さな道路ー。道に沿うように、歩道には白い長い壁が続いている。
「この壁の内側は刑務所です」
ヨシムラが説明する。40年前、ここでモーリス警視たち実行犯グループは現金を奪い取った。現金輸送車が緩やかな曲線のカーブに差し掛かった時に襲ったと聞く。40年経った今、事件の痕跡などを示すものはもちろん残っていない。
モーリスとメグレを含む愚かな若者たちの過ち、それはここから全て始まった。
「ヨシムラ、もうフランスでも2月14日は過ぎたか?」
「ええ。もう2月15日も終わろうとしています」
「そうか」モーリスの退職日が終わった。彼の警察官人生とは何だったのだろうか。パリ警視庁に勤め、誇りを持ってパリの治安を守ると同時に、メグレの存在に怯えていたのだろうか。
ヒロシ・キリタニがパリに来なければー。
ナスリが沖縄へ行っていなければー。
ナスリがキリタニ殺害現場に残っていなければー。
ヨシムラという優秀な捜査官がインターポールに出向していなければー。
ヨシムラとアイコが繋がっていなければー。
そして何よりサクラという存在が事件に関して動いていなければー。
何か1つでも欠けていれば事件の真相に辿り着くことはなかった。同時に何か1つさえ欠けていてくれればモーリスはまだ生きていたのかもしれない。
何が正解だったのかー。
全ては「1本の糸」で繋がっていたのか。絡みあっていた糸は綺麗に解れたのかー。
正解はマルセルにわからなかった。
パリに戻ればしばらく関係各所への説明に追われることになるだろう。
振り返るとあっという間だった。今でも思うのは最後のメグレの一言は純粋な思いだったのだろうか・・・。
「マルセル警部」
「どうした?」ヨシムラの呼びかけにマルセルは顔を向けた。
「今回の件は辛く、受け入れがたいことがあまりにも多すぎました。それでも・・・」
「それでも?」
「私はあなたと一緒に仕事が出来て本当に良かったと思います」
ヨシムラの言葉が、言いようのない悲しみに包まれたマルセルを救ってくれた。
「私もだ、ヨシムラ。本当にありがとう」
「この壁の内側は刑務所です」
ヨシムラが説明する。40年前、ここでモーリス警視たち実行犯グループは現金を奪い取った。現金輸送車が緩やかな曲線のカーブに差し掛かった時に襲ったと聞く。40年経った今、事件の痕跡などを示すものはもちろん残っていない。
モーリスとメグレを含む愚かな若者たちの過ち、それはここから全て始まった。
「ヨシムラ、もうフランスでも2月14日は過ぎたか?」
「ええ。もう2月15日も終わろうとしています」
「そうか」モーリスの退職日が終わった。彼の警察官人生とは何だったのだろうか。パリ警視庁に勤め、誇りを持ってパリの治安を守ると同時に、メグレの存在に怯えていたのだろうか。
ヒロシ・キリタニがパリに来なければー。
ナスリが沖縄へ行っていなければー。
ナスリがキリタニ殺害現場に残っていなければー。
ヨシムラという優秀な捜査官がインターポールに出向していなければー。
ヨシムラとアイコが繋がっていなければー。
そして何よりサクラという存在が事件に関して動いていなければー。
何か1つでも欠けていれば事件の真相に辿り着くことはなかった。同時に何か1つさえ欠けていてくれればモーリスはまだ生きていたのかもしれない。
何が正解だったのかー。
全ては「1本の糸」で繋がっていたのか。絡みあっていた糸は綺麗に解れたのかー。
正解はマルセルにわからなかった。
パリに戻ればしばらく関係各所への説明に追われることになるだろう。
振り返るとあっという間だった。今でも思うのは最後のメグレの一言は純粋な思いだったのだろうか・・・。
「マルセル警部」
「どうした?」ヨシムラの呼びかけにマルセルは顔を向けた。
「今回の件は辛く、受け入れがたいことがあまりにも多すぎました。それでも・・・」
「それでも?」
「私はあなたと一緒に仕事が出来て本当に良かったと思います」
ヨシムラの言葉が、言いようのない悲しみに包まれたマルセルを救ってくれた。
「私もだ、ヨシムラ。本当にありがとう」
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