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第1章「俺と"あの子"と4人の魔女」
鬼武雷洲
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誤って料理を黒焦げにしてしまう、というのは料理初心者にはありがちな失敗である。俺は料理は専門外なので詳しいことは分からないのだが、どうやら食材が不完全燃焼を起こし、水分が失われて炭化する、というのが原因らしい。
「はい、コレ大河くんの分のオムライスね。どうぞ召し上がれ」
--それはそうと、千春さんから『ご飯できたよー』という呼び出しを受け、1階に降りて食卓に着席した俺の目の前には、謎の漆黒の球体が皿の上に乗せられていた。
「え、千春さん? その......オムライスってこんなに黒かったっけ?」
生憎(あいにく)、黄色いオムライスしか知らない俺は、テーブルを挟んで真正面に座っている千春さんに向けて、おそるおそる問いかけてみる。
「うーん......まあ、世の中には黒いオムライスもあるんじゃない? レシピ通りに作ったし、食べられるとは思うよ?」
「......なるほど」
え、ちょっと待って。なんで千春さんはそんなに自信満々なの。
いや、黒いんだぞ。オムライスが真っ黒なんだぞ。魔界の朝食みたいな見た目してんだぞ。もう真っ黒焦げとかそういうレベルじゃないんだぞ。コレ、絶対レシピ通りになってないだろ。
「ん、どうしたの大河くん? 食べないの? 早く食べないと冷めちゃうよ?」
「あ、うん......そうだね」
うむ、確かに千春さんの言う通り、早く食べないと料理が冷めてしまうというのは事実だ。それは間違いない。
でも、なんというか、その......コレを食べるという行為を俺の本能が拒否している。もう脳が全力でアラートを鳴らしている。俺の第六感が『コレ食ったら死ぬぞ』と言っている。
だが、しかし。『せっかく千春さんが作ってくれた料理を食べない』という選択肢は選べない、というのもまた事実である。
一応俺も男だ。自分のために頑張ってくれた女の子の料理を拒絶する、なんてことはできない。
つまり、結論。俺はこのオムライス、もとい鬼武雷洲(おむらいす)を食べるしかない。
というわけで男岩崎、いきます。
「よ、よーし......じゃあ、いただきます......」
「うん、召し上がれ」
千春さんの期待の眼差しを感じつつ、右手に持ったスプーンを黒の塊に突っ込み、割って中を確認してみる。すると、これまた真っ黒に染められた米粒の軍勢が鬼武雷洲の中から現れた。
まさかのブラックinブラック。どう調理すればこうなるのだろうか。
......ま、まあ、食ってみないと味は分からないからな。まだ絶望するのは早い。千春さんはレシピ通り作ったって言ってたし、もしかしたら味は絶品かもしれないじゃあないか。
そう。何事も見た目で判断してはいけないのだ。
見た目ヤンキーな奴が実は優しかったりするように。第一印象最悪だったヤツが、話してみたら意外と良いヤツだったりするように。見た目が鬼武雷洲でも、味はちゃんとオムライスになってるかもしれない。とにかく今は、そう信じてスプーンを口にブチ込むしかないのだ。
--えぇい、ままよ!!
覚悟を決めた俺は、思い切ってスプーンにかぶりついた。
「......」
「え、えっと......大河くん? 味はどうかな?」
「......」
「そ、その......黙ってないで何か言ってもらえると嬉しいんだけど......」
「............ふがっ」
「ん、どうしたの? 大丈夫、大河くん......って、え!? 大河くん白目剥いてる!? ていうか泡吹いてる!? ちょっと大河くん!! 意識をしっかり!! ねぇ、大河くん!! 大河くーん!!!」
秒で意識が飛んだ。
「はい、コレ大河くんの分のオムライスね。どうぞ召し上がれ」
--それはそうと、千春さんから『ご飯できたよー』という呼び出しを受け、1階に降りて食卓に着席した俺の目の前には、謎の漆黒の球体が皿の上に乗せられていた。
「え、千春さん? その......オムライスってこんなに黒かったっけ?」
生憎(あいにく)、黄色いオムライスしか知らない俺は、テーブルを挟んで真正面に座っている千春さんに向けて、おそるおそる問いかけてみる。
「うーん......まあ、世の中には黒いオムライスもあるんじゃない? レシピ通りに作ったし、食べられるとは思うよ?」
「......なるほど」
え、ちょっと待って。なんで千春さんはそんなに自信満々なの。
いや、黒いんだぞ。オムライスが真っ黒なんだぞ。魔界の朝食みたいな見た目してんだぞ。もう真っ黒焦げとかそういうレベルじゃないんだぞ。コレ、絶対レシピ通りになってないだろ。
「ん、どうしたの大河くん? 食べないの? 早く食べないと冷めちゃうよ?」
「あ、うん......そうだね」
うむ、確かに千春さんの言う通り、早く食べないと料理が冷めてしまうというのは事実だ。それは間違いない。
でも、なんというか、その......コレを食べるという行為を俺の本能が拒否している。もう脳が全力でアラートを鳴らしている。俺の第六感が『コレ食ったら死ぬぞ』と言っている。
だが、しかし。『せっかく千春さんが作ってくれた料理を食べない』という選択肢は選べない、というのもまた事実である。
一応俺も男だ。自分のために頑張ってくれた女の子の料理を拒絶する、なんてことはできない。
つまり、結論。俺はこのオムライス、もとい鬼武雷洲(おむらいす)を食べるしかない。
というわけで男岩崎、いきます。
「よ、よーし......じゃあ、いただきます......」
「うん、召し上がれ」
千春さんの期待の眼差しを感じつつ、右手に持ったスプーンを黒の塊に突っ込み、割って中を確認してみる。すると、これまた真っ黒に染められた米粒の軍勢が鬼武雷洲の中から現れた。
まさかのブラックinブラック。どう調理すればこうなるのだろうか。
......ま、まあ、食ってみないと味は分からないからな。まだ絶望するのは早い。千春さんはレシピ通り作ったって言ってたし、もしかしたら味は絶品かもしれないじゃあないか。
そう。何事も見た目で判断してはいけないのだ。
見た目ヤンキーな奴が実は優しかったりするように。第一印象最悪だったヤツが、話してみたら意外と良いヤツだったりするように。見た目が鬼武雷洲でも、味はちゃんとオムライスになってるかもしれない。とにかく今は、そう信じてスプーンを口にブチ込むしかないのだ。
--えぇい、ままよ!!
覚悟を決めた俺は、思い切ってスプーンにかぶりついた。
「......」
「え、えっと......大河くん? 味はどうかな?」
「......」
「そ、その......黙ってないで何か言ってもらえると嬉しいんだけど......」
「............ふがっ」
「ん、どうしたの? 大丈夫、大河くん......って、え!? 大河くん白目剥いてる!? ていうか泡吹いてる!? ちょっと大河くん!! 意識をしっかり!! ねぇ、大河くん!! 大河くーん!!!」
秒で意識が飛んだ。
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