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第1章「俺と"あの子"と4人の魔女」
ファーストトラップ
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「ふぅ......やっと落ち着けるぜ......」
『二日酔いで体調が悪い』というのを理由にして魔女たちの手から逃れることに成功した俺は、ようやくシェアハウス2階の自室に到着。手荷物を全て床に置き、自分のベッドにダイブする。
ちなみに2階には廊下に沿って6つの部屋が一列に並んで存在しており、廊下の最奥、つまり一番端の部屋が俺の自室となっている。芦屋さん曰く、部屋の並びは廊下の奥から順に『俺→リサ→芦屋さん→舞華→千春さん→沙耶』となっているそうだ。
また、各部屋の扉はオートロックとなっており、専用の鍵を持っていないと部屋を開けることができないらしい。まあ、つまり魔女から夜這いをされる心配は無いというわけだな。
いや、これはマジで助かった。正直隣の部屋があのギャルということもあって、少し心配だったからな。とりあえず寝込みを襲われることは無さそうで安心したわ。
まあ、それはそれとして、だ。
なんか.......俺の部屋の再現度がエグいんだけど。マジで実家の部屋がそのまま移ってきたみたいな感じなんだけど。テレビの位置もクローゼットの位置もベッドの位置も、なにもかもがマジでそのまんまなんですけど。
え、岩崎家の人間優秀過ぎない? 俺って昨日まで普通に自分の家に居たんだぜ? ってことは、つまり一晩のうちに俺の私物を全部移動させて、なおかつ家具の配置まで完璧にしたってことだろ? いや、凄すぎだろ、お前ら。ジェバ◯ニかよ。一晩でここまでやられたら逆に引くわ。
「はぁ......もう昼の12時か......」
ベッドに寝そべったまま、枕元に置いているスマホに手を伸ばして時刻を確認。既に午前中が終わっていることに気づく。
「一体これから俺はどうすればいいんだ......」
いや、マジで明日からどうすればいいんだろ。ほんと勘弁してよ。急展開過ぎるんだよ。
二日酔いの状態で目が覚めたら全然知らない場所に居て。しかも毛布の中には小さい女の子が居て。なんかよく分からないままその子と一緒に暮らすことになって。しかもその子以外にも女の子が4人居て。さらに5人中4人は俺を謀ろうとしている魔女で......って、こんなのどう考えたって夢としか思えないだろ。
夢だったとしても悪趣味過ぎる。ハニートラップ対策なんて余計なお世話なんだよ。親父も爺も勝手なことしやがって。俺はハニートラップに引っかかるほどバカじゃねぇっつーの。
「......寝るか」
このまま生産性の無い思考をしていても時間の無駄だろうからな。二日酔いで体調も万全じゃ無いし、ここは1度睡眠をとって頭をスッキリさせた方がいいだろう。今後の方針を考えるのはそれからだ。
「よし、じゃあおやすみ......」
そして俺は仰向けになり、そっと目を閉じた。
♦︎
「......ハッ!!」
やべぇ、完全に寝過ぎた。うわ、外めっちゃ暗いじゃん。こりゃ完全に夜だな。つーか、今何時なんだ......?
と、そんなことを考えつつ、俺は眠気眼《ねむけまなこ》をこすりながら、頭のすぐ横に置いているスマホへと手を伸ばす。
手を伸ばした......はずだったのだが。
「あれ、なんか身体が重い......」
さっきまでは寝ボケていて気付いていなかったけど、なんか身体が重くて動きづらい。あとは、なんか、こう、腹部のあたりになにか柔らかいものが当たっているような気が......って、アレ? デジャブかな? なんか今朝も似たようなことがあったような......
「って、やっぱり毛布の中に誰か居るじゃねぇか!!」
芦屋さんか!? また芦屋さんなのか!? でもこの部屋ってオートロックのはずだよな!? え、じゃあもしかして、ゆ、ゆゆ幽霊!?
などどテンパりまくっていた時だった。
「んぁー、よく寝た......お、大河ぁー。やっと起きたのかぁー......」
突如毛布の中から聞こえてきた誰かの声。それと同時に、俺の腹に掛けられていた毛布が急浮上し始める。
そして、毛布の中から俺の目の前に現れたのは--
「やっほー♪ 遊びに来ちゃったっ♪」
下着姿の金髪ギャルだった。
「へ!? な、なんでリサがここに!? つーか、ここってオートロックだよな!? どうやって入ったんだよ! あとなんで服着てないの!?」
「まあまあ、落ち着けって。そんなに一気に質問されても答えらんないからさっ」
半裸姿のギャルは俺の腹に跨《またが》り、こちらを見下ろしながら言った。
「いや、これが落ち着いていられる状況かよ! マジで何してんの!?」
「ふふっ、大河ったらウブで可愛いんだから。ほらほら、もっとアタシの身体を見てもいいんだぞ?」
「......」
ふむふむ、なかなか形が整ってる胸じゃないか。下着が上も下も紫色というのもなかなかエロくて唆《そそ》られる。お腹周りはくびれていて、尻は大きすぎず、しかしその柔らかさはこうして密着していることでダイレクトに伝わってくる。ほう、素晴らしいスタイルをしているじゃないか、って今はそんなことを考えてる場合じゃねぇぇ!!!
「あ、あのー、リサはどうやって部屋に入ったのかな? 鍵がかかってたはずなんだけど?」
「あ、鍵? なんかテキトーに針金でピッキングしてたら開いたよ」
なんというガバガバセキュリティ。
「え、えっと......じゃあどうして服も着ずに俺の部屋に来たのかな?」
「え、だからさっきも言ったじゃん。遊びに来たんだって」
「あ、あはは......あ、遊びね......」
なるほど。リサは半裸で俺の部屋に遊びに来たのか。なーんだ、夜這いしに来たわけじゃなかったんだぁ。(錯乱)
「そうそう、アタシは遊びに来たんだよ......まあ、遊びって言っても夜の遊びなんだケド」
「ふ、ふーん......」
うんうん、いいよね、夜の遊び。はっはーん、さては今から俺と徹夜でゲームでもするつもりだな?(現実逃避)
「ほら、触ってもいいよ。今朝もチラチラ見てたじゃん。ふふふ、何のために脱いだと思ってんの?」
「っ!!」
いよいよ雲行きが怪しくなってまいりました。
「いやー、リサさん? ほら、俺たちってそういう関係になってないじゃん? それに今日はまだシェアハウス初日だ。だ、だから今日はリサもこの辺で自分の部屋に戻った方が......」
「そんな固いこと言うなって。ほら、こうしてやる」
するとリサは突然俺の右手を掴み......
「えいっ」
そのまま俺の右腕を谷間に突っ込んだ。
「アンタは固いこと言ってないで、アタシの柔らかい部分を触っとけばいいんだって。あは、なんかウマいこと言っちゃった?」
「な、ななな......!」
「ほら、アタシの心臓ドキドキ鳴ってるよ。触ってるんだから大河にも分かるよな......?」
おい、いきなり甘えた感じの表情になるのやめろよ。可愛いじゃねぇか。てかお前髪サラサラだな。めっちゃ綺麗な金髪じゃん。あ、やべ、なんかメチャメチャドキドキしてきた。
つーか、谷間の感触がヤバすぎる。今朝もリサから胸を押しつけられはしたけど、やっぱ直接触れるってのは、手に伝わってくる暖かさとか、柔らかさが段違いだな。さらにリサの身体からほのかに漂ってくる汗のにおいと、清汗剤のにおいが混ざったような、そんななんとも言えない香りも相まって、今この瞬間、俺の理性は弾《はじ》け飛びそうに......
というのはもちろん冗談だ。うんうん、分かってる分かってる。これは全部リサの策略だ。騙されたりはしないさ。
--やべぇ、初めておっぱい触っちゃった。
フン、俺が魔女の罠になんてハマるわけがないじゃないか。なんてったって、俺は東大生なんだぞ。俺の頭脳をもってすれば、この状況を切り抜けることなんて容易いことだぜ。
--おっぱい最高。
「ふふ♪ 大河もドキドキしてる?」
「お、おいリサ......これはちょっとさすがにヤバいだろ......」
「ねぇ、大河がアタシのことを好きって言ってくれたら、『続き』をさせてあげてもいいケド......どう?」
リサは頬を紅潮させ、妖艶な笑みを浮かべながら俺を見下ろす。
「お、俺は......」
耐えろ。耐えろ俺。
「お、俺は......!」
確かに童貞を捨てる絶好のチャンスではある。しかも相手は甘い香りを漂わせているスタイル抜群の金髪ギャルだ。ぶっちゃけ今も理性を保つので精一杯だし、心臓もバックバックだよ。
でも......でも......!
--俺は1000万払ってまで童貞を捨てるほどバカじゃねぇんだよ!
「大河?」
「......頼むリサ、部屋に戻ってくれ」
「......」
よ、よし、言ってやったぞ。
べ、別に後悔なんてしてないんだからな。いや、ほんとほんと。後悔なんて1ミリくらいしかしてないから。ちょっと惜しかったなー、とか全然思ってないから。
と、自分自身に向けて謎の言い訳をしていた時だった。
「ちぇっ、童貞相手だし、ちょっと触らせとけば告白してくると思ったのになぁー。やっぱ簡単にはいかなかったかぁー」
そう言いながら俺の右腕を胸元から離し、こちらに背を向けてベッドから降り始めたリサ。その声は先ほどまでの甘い口調とは打って変わって、ぶっきらぼうなものになっている。
あ、あれ? まさかとは思うけど......これってもしかして......
「な、なぁ、リサ、お前って......」
確信に近い疑念を抱いた俺は、部屋の床に脱ぎ散らかされた服を拾い集め始めているリサの背中に向かって語りかける。
すると、俺の声に反応した彼女は衣服を手に持ったままこちらを振り向き、飄々《ひょうひょう》とした表情でこう言い放った。
「あー、うん。アタシは魔女だよ。もう隠すのも面倒だし言っとくね」
「......」
いや、カミングアウトするの早過ぎだろ。
『二日酔いで体調が悪い』というのを理由にして魔女たちの手から逃れることに成功した俺は、ようやくシェアハウス2階の自室に到着。手荷物を全て床に置き、自分のベッドにダイブする。
ちなみに2階には廊下に沿って6つの部屋が一列に並んで存在しており、廊下の最奥、つまり一番端の部屋が俺の自室となっている。芦屋さん曰く、部屋の並びは廊下の奥から順に『俺→リサ→芦屋さん→舞華→千春さん→沙耶』となっているそうだ。
また、各部屋の扉はオートロックとなっており、専用の鍵を持っていないと部屋を開けることができないらしい。まあ、つまり魔女から夜這いをされる心配は無いというわけだな。
いや、これはマジで助かった。正直隣の部屋があのギャルということもあって、少し心配だったからな。とりあえず寝込みを襲われることは無さそうで安心したわ。
まあ、それはそれとして、だ。
なんか.......俺の部屋の再現度がエグいんだけど。マジで実家の部屋がそのまま移ってきたみたいな感じなんだけど。テレビの位置もクローゼットの位置もベッドの位置も、なにもかもがマジでそのまんまなんですけど。
え、岩崎家の人間優秀過ぎない? 俺って昨日まで普通に自分の家に居たんだぜ? ってことは、つまり一晩のうちに俺の私物を全部移動させて、なおかつ家具の配置まで完璧にしたってことだろ? いや、凄すぎだろ、お前ら。ジェバ◯ニかよ。一晩でここまでやられたら逆に引くわ。
「はぁ......もう昼の12時か......」
ベッドに寝そべったまま、枕元に置いているスマホに手を伸ばして時刻を確認。既に午前中が終わっていることに気づく。
「一体これから俺はどうすればいいんだ......」
いや、マジで明日からどうすればいいんだろ。ほんと勘弁してよ。急展開過ぎるんだよ。
二日酔いの状態で目が覚めたら全然知らない場所に居て。しかも毛布の中には小さい女の子が居て。なんかよく分からないままその子と一緒に暮らすことになって。しかもその子以外にも女の子が4人居て。さらに5人中4人は俺を謀ろうとしている魔女で......って、こんなのどう考えたって夢としか思えないだろ。
夢だったとしても悪趣味過ぎる。ハニートラップ対策なんて余計なお世話なんだよ。親父も爺も勝手なことしやがって。俺はハニートラップに引っかかるほどバカじゃねぇっつーの。
「......寝るか」
このまま生産性の無い思考をしていても時間の無駄だろうからな。二日酔いで体調も万全じゃ無いし、ここは1度睡眠をとって頭をスッキリさせた方がいいだろう。今後の方針を考えるのはそれからだ。
「よし、じゃあおやすみ......」
そして俺は仰向けになり、そっと目を閉じた。
♦︎
「......ハッ!!」
やべぇ、完全に寝過ぎた。うわ、外めっちゃ暗いじゃん。こりゃ完全に夜だな。つーか、今何時なんだ......?
と、そんなことを考えつつ、俺は眠気眼《ねむけまなこ》をこすりながら、頭のすぐ横に置いているスマホへと手を伸ばす。
手を伸ばした......はずだったのだが。
「あれ、なんか身体が重い......」
さっきまでは寝ボケていて気付いていなかったけど、なんか身体が重くて動きづらい。あとは、なんか、こう、腹部のあたりになにか柔らかいものが当たっているような気が......って、アレ? デジャブかな? なんか今朝も似たようなことがあったような......
「って、やっぱり毛布の中に誰か居るじゃねぇか!!」
芦屋さんか!? また芦屋さんなのか!? でもこの部屋ってオートロックのはずだよな!? え、じゃあもしかして、ゆ、ゆゆ幽霊!?
などどテンパりまくっていた時だった。
「んぁー、よく寝た......お、大河ぁー。やっと起きたのかぁー......」
突如毛布の中から聞こえてきた誰かの声。それと同時に、俺の腹に掛けられていた毛布が急浮上し始める。
そして、毛布の中から俺の目の前に現れたのは--
「やっほー♪ 遊びに来ちゃったっ♪」
下着姿の金髪ギャルだった。
「へ!? な、なんでリサがここに!? つーか、ここってオートロックだよな!? どうやって入ったんだよ! あとなんで服着てないの!?」
「まあまあ、落ち着けって。そんなに一気に質問されても答えらんないからさっ」
半裸姿のギャルは俺の腹に跨《またが》り、こちらを見下ろしながら言った。
「いや、これが落ち着いていられる状況かよ! マジで何してんの!?」
「ふふっ、大河ったらウブで可愛いんだから。ほらほら、もっとアタシの身体を見てもいいんだぞ?」
「......」
ふむふむ、なかなか形が整ってる胸じゃないか。下着が上も下も紫色というのもなかなかエロくて唆《そそ》られる。お腹周りはくびれていて、尻は大きすぎず、しかしその柔らかさはこうして密着していることでダイレクトに伝わってくる。ほう、素晴らしいスタイルをしているじゃないか、って今はそんなことを考えてる場合じゃねぇぇ!!!
「あ、あのー、リサはどうやって部屋に入ったのかな? 鍵がかかってたはずなんだけど?」
「あ、鍵? なんかテキトーに針金でピッキングしてたら開いたよ」
なんというガバガバセキュリティ。
「え、えっと......じゃあどうして服も着ずに俺の部屋に来たのかな?」
「え、だからさっきも言ったじゃん。遊びに来たんだって」
「あ、あはは......あ、遊びね......」
なるほど。リサは半裸で俺の部屋に遊びに来たのか。なーんだ、夜這いしに来たわけじゃなかったんだぁ。(錯乱)
「そうそう、アタシは遊びに来たんだよ......まあ、遊びって言っても夜の遊びなんだケド」
「ふ、ふーん......」
うんうん、いいよね、夜の遊び。はっはーん、さては今から俺と徹夜でゲームでもするつもりだな?(現実逃避)
「ほら、触ってもいいよ。今朝もチラチラ見てたじゃん。ふふふ、何のために脱いだと思ってんの?」
「っ!!」
いよいよ雲行きが怪しくなってまいりました。
「いやー、リサさん? ほら、俺たちってそういう関係になってないじゃん? それに今日はまだシェアハウス初日だ。だ、だから今日はリサもこの辺で自分の部屋に戻った方が......」
「そんな固いこと言うなって。ほら、こうしてやる」
するとリサは突然俺の右手を掴み......
「えいっ」
そのまま俺の右腕を谷間に突っ込んだ。
「アンタは固いこと言ってないで、アタシの柔らかい部分を触っとけばいいんだって。あは、なんかウマいこと言っちゃった?」
「な、ななな......!」
「ほら、アタシの心臓ドキドキ鳴ってるよ。触ってるんだから大河にも分かるよな......?」
おい、いきなり甘えた感じの表情になるのやめろよ。可愛いじゃねぇか。てかお前髪サラサラだな。めっちゃ綺麗な金髪じゃん。あ、やべ、なんかメチャメチャドキドキしてきた。
つーか、谷間の感触がヤバすぎる。今朝もリサから胸を押しつけられはしたけど、やっぱ直接触れるってのは、手に伝わってくる暖かさとか、柔らかさが段違いだな。さらにリサの身体からほのかに漂ってくる汗のにおいと、清汗剤のにおいが混ざったような、そんななんとも言えない香りも相まって、今この瞬間、俺の理性は弾《はじ》け飛びそうに......
というのはもちろん冗談だ。うんうん、分かってる分かってる。これは全部リサの策略だ。騙されたりはしないさ。
--やべぇ、初めておっぱい触っちゃった。
フン、俺が魔女の罠になんてハマるわけがないじゃないか。なんてったって、俺は東大生なんだぞ。俺の頭脳をもってすれば、この状況を切り抜けることなんて容易いことだぜ。
--おっぱい最高。
「ふふ♪ 大河もドキドキしてる?」
「お、おいリサ......これはちょっとさすがにヤバいだろ......」
「ねぇ、大河がアタシのことを好きって言ってくれたら、『続き』をさせてあげてもいいケド......どう?」
リサは頬を紅潮させ、妖艶な笑みを浮かべながら俺を見下ろす。
「お、俺は......」
耐えろ。耐えろ俺。
「お、俺は......!」
確かに童貞を捨てる絶好のチャンスではある。しかも相手は甘い香りを漂わせているスタイル抜群の金髪ギャルだ。ぶっちゃけ今も理性を保つので精一杯だし、心臓もバックバックだよ。
でも......でも......!
--俺は1000万払ってまで童貞を捨てるほどバカじゃねぇんだよ!
「大河?」
「......頼むリサ、部屋に戻ってくれ」
「......」
よ、よし、言ってやったぞ。
べ、別に後悔なんてしてないんだからな。いや、ほんとほんと。後悔なんて1ミリくらいしかしてないから。ちょっと惜しかったなー、とか全然思ってないから。
と、自分自身に向けて謎の言い訳をしていた時だった。
「ちぇっ、童貞相手だし、ちょっと触らせとけば告白してくると思ったのになぁー。やっぱ簡単にはいかなかったかぁー」
そう言いながら俺の右腕を胸元から離し、こちらに背を向けてベッドから降り始めたリサ。その声は先ほどまでの甘い口調とは打って変わって、ぶっきらぼうなものになっている。
あ、あれ? まさかとは思うけど......これってもしかして......
「な、なぁ、リサ、お前って......」
確信に近い疑念を抱いた俺は、部屋の床に脱ぎ散らかされた服を拾い集め始めているリサの背中に向かって語りかける。
すると、俺の声に反応した彼女は衣服を手に持ったままこちらを振り向き、飄々《ひょうひょう》とした表情でこう言い放った。
「あー、うん。アタシは魔女だよ。もう隠すのも面倒だし言っとくね」
「......」
いや、カミングアウトするの早過ぎだろ。
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