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第20話 コラク草原

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「ただいまー、って! なんじゃこりゃあ!?」

「うわぁ~!! 結構いい感じじゃない!」

「ん、完璧に受付」

 あ、帰ってきた。

「お帰りなさい。それで、どうかなアリア? これなら、受付できそう?」

「……ええ、ええ! これなら、楽しくやれそうよ」

 アリアが嬉しそうに微笑む。

「よかったー、ちょっと心配だったんだよね。じゃあ、今日もお疲れさま。明日にはいい報告があるから、楽しみにしててね!」

「おう! 楽しみにしてるぜ!」

「一体何かしらね?」

「……楽しみ(わくわく)」

 そう言って、3人は自分の部屋に戻っていった。
 今日の晩御飯って、肉と野菜がいっぱい入ったポトフだっけ?

 この世界の冒険者は、あまり貯金をしないらしい。武具やアイテム、その日の食事代、酒代にとすぐさま使ってしまう。
 町の外に出てる時間も長いから、野外で食事を取るときは必ず保存食などの長持ちするもので食事を済ます。
 今までは3人もそんな感じだったが、ノーマルガチャから出てくる料理をだしてあげるとすごく喜んでくれた。
 ここではDPさえあれば、たくさんお腹いっぱい食べれるので、ぜひ3人には頑張ってほしい。


 さて、話は変わって。
 今日は、コラク草原の勢力図的なものを調べてみる。
 今、コラク草原はどんな感じなんだろう?


《 現在のコラク草原に存在する勢力は、トゥーリスの町を含める町が3ヶ所。村が5ヶ所。 》

《 モンスターは、個別で存在する者、沸いたりする者を除き、グレーウルフの群れが1つあります。 》

《 最後にあなたのダンジョンが存在しています。まだどこの勢力にも知られてはいません。 》


 へー。本当にモンスターは少ないのかー。
 それと、確かグレーウルフって、ウルフの進化系で、ノーマルガチャのレアモンスターだったはず。
 彼らには、是非とも僕のダンジョンに来てもらいたい。
 そして、ウルフみたいにもふもふを……!

 相真はこの3日間の間に、ボス部屋のウルフ達ともたくさんふれあった
 最初は、ダンジョンマスターの相真に遠慮していたウルフ達も、最後は幸せそうに尻尾を振って、一緒に寝る始末。
 こうして、ウルフ達も相真にめちゃくちゃ懐いたのだった。
 ウルフ達はスライム達のように、世界中のウルフとは思いを共有できないので前回のような自我を持ち始める者は出なかった。
 しかし、低いとはいえ。知能を持つウルフ達は着実と進化への道を歩いていた。

「町が3つ。1つは、3人が来たトゥーリスの町。もう1つは、そこから少し西へ移動するとあるレーヴの町。そして最後に、北西にある草原の入り口で、王都に唯一向かう馬車が出る、コラクの町」

 トゥーリスの町は、今度3人に教えてもらうとして。

 コラクの町だけど、この草原で最初の開拓村だったから、この名前がついたそう。
 まぁ、今は町まで大きくなったけれど。残り2つの町と規模はそこまで変わらない。
 ちょっと建物が都会よりって感じだ。

 レーヴの町は、ここから正反対――相真のダンジョンは東の端に存在している――にある一番西の町。
 近くに魔物が生息する森林がたくさんあって、森林や草原の外から来るモンスターを討伐する為に、多くの冒険者が滞在している町らしい。
 レーヴの町に、ここのダンジョンの噂を流せば。何パーティーかの冒険者が来てくれそうだ。

 ……よし。今日はここまでにしておこう。
 明日には、ちょっと重要な報告があるし、今日は体を休めなきゃ。
 スライム達とふれあってた時は、つい朝まで起きちゃってたから気をつけないと。
 寝る必要がないとはいえ、人だった頃を忘れない為にもちゃんと毎日寝よう。

 ふぅ……。それじゃあ、おやすみぃー。



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