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邪神再び
213 魔王vs邪神
しおりを挟む二百十三話 魔王vs邪神
漆黒の渦に閉じ込められている邪神以外の皆が驚く。
「ちょ、ちょっと何してるにゃああああ!!!」
「そうだぞナタリー! アンネだってモニカとーー…いやいや!! こんな時に何やってるんだ!!」
ミーナとアンネが私ーー…もとい今は魔王の前に来て抗議。顔を真っ赤に染めている。
しかし魔王はそれを無視。
ツクヨミの唇から自分の唇をゆっくりと離していく。
「ーー…この魔力……魔王ーー…様?」
ツクヨミが小さく呟く。
『だからそう言ってるだろうツクヨミ。ーー…いや、我らが最終兵器よ』
「ーー……!!!」
ツクヨミの目が大きく開く。
それと同時にツクヨミの体に変化が起こる、ツクヨミの体がスゥッと薄くなり髪の色が紫から白銀へ変色。そしてそれは私ーー…魔王の体にゆっくりと入っていった。
するとーー…
ドクンッ!!
激しい鼓動を胸で感じる。
それは体の奥底から湧き上がるような強大な力。それでいてまるで静かな夜に月を見上げている時に感じる安らぎも込み上げてくる。
こーー…これは??
『これが我が最終兵器ツクヨミによる大幅なパワーアップ……【カグヤ】だ』
「「ーー…カグヤ??」」
アンネとモニカが同時に首をかしげる。
「なんかわかんにゃいけど、ナタリー髪が長くなってるにゃ!!」
ミーナが私の頭を指差す。
今は自分で体を動かすことができないがーー…確かになんか視界の下の方に銀の長い髪がチラチラと写ってるようなーー…。。
『まさかーー…それはユニゾニア……ですか?』
ユニゾニア状態のイルレシオンが驚きの表情で魔王に問いかける。
『ふむ。我もこのお嬢さんの中からお主らのそのユニゾニアーー…とやらは見てはいたがどうであろうな。我は古代イルーナのことは全く知らないのでわからんのだ。ーー…ただ。。』
魔王はゆっくりと漆黒の渦に飲み込まれている邪神へと視線を向ける。
『たとえ弱体化していたとはいえ、そこを襲い我のシモベを襲ったことは断じて許さん!! やつには慈悲なき一撃を!!!』
魔王がそう叫ぶと足下にさらに巨大で強大な青白い魔法陣が出現。
そこから綺麗なーー…まるで月の光のようなまばゆい光が溢れでてくる。
『どうして邪神に攻撃が効かないか教えてやろう』
魔王は邪神を包む漆黒の渦を解除。
ボロボロの状態で虫の息状態の邪神の四肢を同じ青白い魔法陣を展開させて拘束する。
「やはり何かアンネたちの知らない秘密があるんだな。じゃないと【霊力】を持たない攻撃であんなにならないもんな!」
アンネがボロボロの邪神を指差しながら魔王に尋ねる。
『その通りだ。そしてこれがその答えとなる』
魔王が邪神へ向けて手をかざすと魔法陣から出る青白くも美しい光が邪神のもとへ。邪神の体全体を明るく照らし出す。
ーー…すると。。
「ーー…あ、あれ!!!」
ヒミコが邪神の胸のあたりを指差す。
「なんにゃなんにゃ!? ーー…あ!! なんかいるにゃ!!!」
ヒミコの指差す先ーー…邪神の胸のあたりに絆創膏ほどの大きさの小さなシルエットを発見。
それはまるで小さな邪神そのものだ。
そのミニ邪神の体から無数の糸のようなものが伸びていて、それが頭の先から足の先までくまなく張り巡らされている。
『あの小さな生き物が本体だ。そしてそこから無数に伸びている糸はあの体を動かすための伝達線。そして邪神はもともと霊体だったため、【霊力】を使った攻撃を受けるとその線を伝わってあの本体にもダメージが届いていたのだ』
「つまりなんなのにゃ? じゃあなんでナタリーの今の攻撃はダメージを与えられていたのにゃ?」
ミーナがはてなマークを頭上に浮かばせながら尋ねる。
『それは簡単だ。思い出してみよ。邪神との戦闘で誰1人、奴の胸を集中攻撃していなかっただけであろう』
「たーー…確かににゃ」
『だから答えは簡単。奴の潜む箇所をピンポイントで狙い続けていれば攻撃は通る』
魔王が邪神を見下しながら指を差す。
『ググーー…何故ダ!! 何故我ノ隠レ場所ガ分カッタ!!!』
邪神が悔しそうに吠える。
『簡単だ。我が魔王だからだ』
『グゥーー…ナラコレデドウダ!!!』
邪神は体を再び霧状に変化させ魔法陣の拘束から離脱。素早く周囲を動き回る。
ーー…しかし。
「クリスタルロック!!」
『シ…シマッタアアアアア!!!』
焦って冷静な判断が出来なくなっていたのか邪神はあっけなくアンネのクリスタルロックにより捕縛。どうやらあそこからは霊体のままでは脱出できないらしく邪神はアンネを睨みつけながら幽体モードを解除させる。
そこへすかさず魔王が魔法陣から出る光を邪神へ向けて照射。邪神本体の潜む正確な位置を皆に見せつける。
『よしハイエルフ。あれを解除せよ。そして皆聞け。このハイエルフがあのクリスタルロックを解除したと同時に一斉に攻撃を放つのだ』
魔王は冷静に皆に指示。覇王ミルキーポップを邪神へと向ける。
「「うん!」」
「「わかった!!」」
「んにゃあ!!」
『了解しました』
こうして皆それぞれの武器を構えて邪神へ体を向ける。
「ーー…じゃあクリスタルロック…解除するぞ」
アンネは皆を見渡しながら確認。
腕を水平に外側へ払い、クリスタルロックを解除させた。
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