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邪神再び
212 鍵はキス!
しおりを挟む二百十二話 鍵はキス!
「えええええ!! キ、キス!?」
私は分かりやすく同様。尻餅をつきながらも後ろへ下がり魔王から距離をとる。
『なんでそんなに驚いているのか』
「だだだってキスじゃん!! 私ウルゼッタ以外とキスまだしたことないのに!!」
『ウルゼッターー…というのはお嬢さんの仲間のあの金髪のお姫様のことか』
「ーー…え、知ってるの?」
私はゆっくりと魔王の目を見つめる。
『知ってるも何も我は君の心の中に居たんだ。話してる内容もその時の心情も手に取るように聞こえてくるからな』
「ええええ、そうなの!?」
『あぁ。だからお嬢さん、君がそのウルゼッタ嬢のことを好ーー…』
「うわあああああ!! わかった! キスするからそれ以上言わなくていいよおおお!!!」
私は半ば投げやり気味に魔王の手の甲にキス。
その瞬間私と魔王の体に光が宿りーー……
「ーー…え、何これ」
『よし、ではまず我が精神の優先権をもらうぞ。お嬢さんも目を通してその様子を見ることができるから、とくと我の力を目に焼き付けーー…そして心に刻むがいい!!』
魔王が私に叫ぶと視界がどんどん真っ白になっていき再び私の意識が一瞬途切れた。
◆◇◆◇
目を開けると不思議な感覚。
私は自分の目で見ているはずなのに体が勝手に動く。
『え!! 何これ!!!』
『これは精神を私に預けている状態ーー…全てが終われば戻してやるからそのまま見ていろ』
魔王の声が脳に直接語りかけてくる。
試しに体を動かそうと試みても全く動かすことも叶わなかったので私は魔王の言うままに身を委ねることにした。
『ーー…貴様。。ヨクモ…!!』
邪神が私ーー…といっても今は魔王の支配している私を睨みつける。
ていうか霧状態からすぐに邪神モードに戻れるんだーー…すごいなぁ。
「ナタリー! 無事だったか!」
「大丈夫!?」
アンネとモニカが私のもとへ駆け寄る。
この時間の間にツクヨミたちも合流したらしい。各自戦闘態勢をとって邪神に向けてとっていた。
「うにゃああ!! ナタリー倒れてたから死んでたと思ってたのにゃああ!!」
ミーナが戦闘態勢を解き、パタパタと私のもとへ。背中を数回叩く。
しかし私はミーナに声をかけることも叶わない。
しかし代わりにーー…
『あぁ。今はお前たちの知るナタリーはいない』
私の口からドスのきいた声が発せられる。
「「ーーー……!?!?!?!」」
皆反応は同じ。目を大きく見開いてこちらを凝視している。
『ふん、ツクヨミよ。久しぶりだな』
魔王がツクヨミに顔を向け優しく声をかける。
「ーー…なに言ってるのナタリー。ほんの少し前まで一緒にいたじゃない。頭打っておかしくなったのかしら?」
『ふふ…その捻くれた思考…懐かしいな。ならばこれならどうだ』
魔王は足下にドス黒くも巨大な魔法陣を展開。
そこからおびただしいほどの瘴気が出現しあたり一面を覆い尽くす。これは邪神の出していたそれとは量も迫力も全く違う。
これにはツクヨミも驚愕。口をパクパクさせながらそのとめどなく溢れでてくる瘴気を指差していた。
「ナタリー……それ……!」
『だからナタリーではないと言っているだろう、我はーー…』
魔王が自分の正体を明かそうとしたところで邪神が大きく羽を羽ばたかせて勢いよく襲いかかってくる。
『グハハ!!! 隙ヲ見セタナ愚カナル魔王ヨ!! ココデ死ネェ!!!』
邪神が手に力を込めると指先から再び鋭い爪がグインと伸びる。
ーー…え、え!? 危ないんじゃないの!?
しかし焦る私をよそに魔王は冷静沈着。左手を前に突き出しそれを受け止める。
『ふむ…流石の防御力といったところか。少し痺れるくらいだな』
その瞬間私のスキル【毒針】が発動。邪神の頭上に無数の毒針が出現する。
ーー…でもあれ、まったく効かなかったから意味ないんだけど。
すると魔王は別の魔法陣を展開。覇王ミルキーポップを氷モードへ。そのまま毒針に向かって【苺吹雪】を浴びせる。
ーー…!!
冷気を浴びたことにより毒針に氷が付着。その分硬さも強度も増した毒針が完成してそのまま邪神へと降り注ぐ。
『ーー…!! グ…グガアアアアア!!!!』
邪神の身体中に凍てついた毒針がグサグサと音を立てながら刺さっていく。
しかし魔王の攻撃は終わらない。
『ここからは我の技もお見舞いしてやろう』
そう言うと魔王は覇王ミルキーポップを前にかざして漆黒の魔法陣を発動。
すると覇王ミルキーポップの先端ーー…赤い果実のような部分が黒いダイヤのようなものに変わる。
そしてーー…
『宵闇の力を思い知れ』
覇王ミルキーポップを中心に黒い渦が発生。それが勢いよく邪神のもとへと伸びて邪神の体全身を包み込む。
『そこの巫女ーー…いや、女王の側近よ。霊力の鎖を放つ準備をしておけ』
魔王がヤヨイに話しかける。
「あ…は、はい!」
『ツクヨミはこちらへ』
ツクヨミは魔王に言われるがまま私ーー…もとい魔王のもとへ。
「えっと……よくわからないけど…ナタリーじゃないのね?」
『あぁ。写真を倒したあとでじっくりと教えてやろう』
そう言うと魔王はツクヨミの肩を掴みグッと顔を近づける。
そしてーー…
ーー…チュッ
魔王はツクヨミの唇に優しくキスをしたのだった。
うわああああああああ!!!!
「「えええええええ!!???」」
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