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邪神再び

195 神上昇

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 百九十五話  神上昇


 「うわぁ…!」


 ヤヨイが果実をかじると果実が光り、その形を変えていく。


 果実アイテムってランダムだと思ってワクワクしてたけど、ナルテュが人を選んでるって言ってたから逆にどんなアイテムを選んだのか…そういうところが気になっていく。
 私はヤヨイの手に持たれた形の変わりゆく果実に視線を集中させた。


 「ーー…え」


 ヤヨイが小さく声を漏らす。
 

 「おぉ…」

 
 ヤヨイが手にしていた果実アイテムーー…それは。。


 「首飾り…?」


 首にかける紐の中心に…なんだろうーー…雨の雫みたいな形をしたガラス…なのかな。緑色をしていてかなり綺麗だ。


 「ナタリーさん、これは…なに?」


 ヤヨイが首飾りを私に見せながら見上げる。


 「いや…私にはちょっと…。ほら、装備してみなよ」


 私はヤヨイから首飾りを受け取ると、それを首にかけてあげる。


 「うわ、ヤヨイちゃん似合ってるよ」

 「綺麗…。これがアイテムだなんて考えられない」


 ヤヨイは緑の雫型ネックレスを見つめた後、自らのステータス画面を表示させた。


 
 ●ヤヨイ
 【レベル】45
 【装備】玄武の勾玉
 【数値】攻:150 防:2000 霊攻:1000 霊防:2000
 【スキル】退魔・御守


 「「ーー…玄武の勾玉??」」


 私とヤヨイは揃って首をかしげ、その詳細を表示させた。


 ●【玄武の勾玉】異界で守護を司る神の力が込められた勾玉。神の力により防御関係の数値が神上昇する。※


 「うわ…ほんとだ。防御系の数値がすごい上がってる!!」


 私はヤヨイのステータス数値を指差す。


 「あのナタリーさん、これなに?」

 「ん?」


 ヤヨイが指差す先ーー…それは【玄武の勾玉】の説明文の最後。『※』が付いている。


 「おぉー。よく見つけたねヤヨイちゃん、私はまったく気づかなかったよ」


 ーー…だって【魔獣契約】の時も見落としてたもんね。


 私はその『※』をタップする。


 ※一度だけ使用可能の神業あり:使用者が強く願えば玄武の力により、その玄武が存在する世界へ転移することができる。集団で使用する場合、1人を残した全員の出身世界での記憶が抹消される。


 「なにその凄い技ーー!!!」


 言ったらあれだよね、運が良ければ争いのない平和な世界に転移できるかもしれないってことだもんね! ーー…記憶が消えるのは嫌だけど。


 「ーー…一度だけ、別の世界に転移。。」


 ヤヨイが【玄武の勾玉】を握りしめながら小さく呟く。


 「え、もしかして今から転移しちゃう感じ!?」

 「あ、いえ。流石にそれは。私1人だけで異界に行く勇気なんてないから……」


 ーー…ってことは複数人なら考えてるってこと?


 「でも異界かぁ。夢があってちょっといいよね。もし邪神倒しきれなくて殺されそうになったら私も連れてってもらおうかな」

 「それはいいけどいいの?」

 「ーー…え?」

 「だってこの世界で出来たーー…ナタリーさんの仲間の記憶も消えちゃうんだよ?」

 「あ、そっか」


 そうなったらウルゼッタたちのことも忘れちゃうことになるのか。


 「ーー…やっぱ私はいいや。もしそうなっても私は置いてってね」


 ウルゼッタのことを忘れるなんて、世界が終わるのと同じだもんね。


 「さて、じゃあルーナに行っちゃおう!」

 「うん! 強い敵いたら、私がナタリーさん守るね!!」

 
 ヤヨイが頼り甲斐のある笑顔を私に向ける。


 「うん。じゃあ期待しちゃおうかな」


 私たちは再び転移の輪へと飛び込み、そこからルーナへと向かった。


 
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