187 / 244
目的の地へ!
187 魔王の意志・メッセージ
しおりを挟む百八十七話 魔王の意志・メッセージ
「じゃあ言うね」
「うん」
ヤヨイは深呼吸して息を整えた後目をつぶり、ゆっくりと口を開いた。
「ーー…もともと我は…この世界から身を引こうとしていた身。別に我を…弱体化させた君を…恨んではいない。ーー…ツクヨミを…拾ってくれて……感謝している」
途切れ途切れになりながらもヤヨイは集中しながら言葉を口にしていく。
「そして君には頼みが…ある。…それは、邪神の…殲滅。しかしそれは…ツクヨミ1人では…成し得ない。我の…力を多少なりとも引き継いだ…君の力が必要…となる。」
「ーー…それはどういうこと?」
私の問いかけにヤヨイは首を振る。
「その…私はメッセージを読み上げているだけなので質問は出来かねます」
「なるほど…」
ヤヨイは再び集中。魔王の声に耳を傾ける。
「ーー…我の力を…最大限に活かしたい…のならば、ツクヨミ…に口づけを。彼女は…闇の力の…限界を超えさせる…最終兵器」
「「え!!??」」
私とウルゼッタが同時に驚きの声をあげる。
「あの…魔王からの言葉は以上です」
ヤヨイが少し顔を赤らめながら目を開け、私たちを見上げる。
「えええ、終わり!?」
「まさかのメッセージでしたわね」
私とウルゼッタは顔を見合わす。
「そういやツクヨミって魔王さんたちの最終兵器だとは言ってたけど、まさかそういう意味での最終兵器だったんだね」
「えぇ。あれだけ強いのですから、戦闘能力においての最終兵器だとばかり思っていましたわ。しかしその力を引き出す方法がツクヨミさんとのキスだなんて……」
ウルゼッタが自身の下唇に指を当てながら呟く。
「あぁああああ、でもなぁああああ」
私は頭を抱えながらしゃがみこむ。
「どうしましたの?」
「いや、私が今キスしたい相手ってウルゼッタなんだよなーー」
少し上目遣いでウルゼッタを見上げる。
「あら、ナタリーったら甘えん坊さんですわね。ていうかツクヨミさんとキスをするのは邪神と戦う時でしょう? 何も今すぐするわけではないのですよ」
「そうなんだけどー。私は今ウルゼッタとキスしたいの」
「まぁまぁ。では今からヤヨイさんにビギナーオナニー教えますし、その時にでもキスいたしましょうか」
「うん!!」
それからウルゼッタはヤヨイに【ビギナーオナニー】を伝授。ヤヨイはその快楽に酔いしれ、その途中で私はウルゼッタと何度かキス。最高の瞬間を味わった後、ここ…隠り世の空間からヤマタイ国へと繋ぐ時空の歪む輪っかに向かって飛び込んだ。
◆◇◆◇
「あ、もうどこに行ってたの? サボりなんて卑怯よ」
触手を自在に操りながら木材を運搬していたツクヨミが私たちの姿を見つけ声をかける。
「ちょっとね。それよりヒミコちゃんは?」
「ヒミコならミーナと一緒にあっちで土を耕しているわ」
「ん?」
ツクヨミの指差す方向に目を向けるとー…
「えええええええええ!!??」
それは強烈な光景。
畑を作っているのだろうがその方法が斬新すぎる。
「いっけええーーー!!!!」
ヒミコが【風神雷神の扇】で竜巻を発生させ周囲を一層。そこから雷が大地にバチバチと轟音を伴いながら落ちる。
落雷した箇所に大きなクレーターがいくつも出来ていく。
そこにイルレシオンが防御型機械人形の結界を周囲に展開。舞い上がった土は結界に弾き返されて全てクレーターの中へと落ちていく。
「じゃあ次はミーナのお仕事にゃああー!!!」
その上からミーナがメイスで地面を固めるように打ち付けていた。
「ーー…なんともまぁすごい…」
「それに一見派手なだけに見えますが、理にかなってるところが凄いですわね」
ウルゼッタが興味津々でその光景を眺めている。
「どういうこと?」
「風で表面の不純なものを巻き上げてますし、雷には大地を活性化させる力があるらしいですわよ。それを上から軽く固めれば…それはそれは素晴らしい畑の完成ではありません?」
「ーー…なんでそんなことまで知ってるの?」
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる