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目的の地へ!

187 魔王の意志・メッセージ

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 百八十七話  魔王の意志・メッセージ


 「じゃあ言うね」

 「うん」


 ヤヨイは深呼吸して息を整えた後目をつぶり、ゆっくりと口を開いた。


 「ーー…もともと我は…この世界から身を引こうとしていた身。別に我を…弱体化させた君を…恨んではいない。ーー…ツクヨミを…拾ってくれて……感謝している」


 途切れ途切れになりながらもヤヨイは集中しながら言葉を口にしていく。


 「そして君には頼みが…ある。…それは、邪神の…殲滅。しかしそれは…ツクヨミ1人では…成し得ない。我の…力を多少なりとも引き継いだ…君の力が必要…となる。」


 「ーー…それはどういうこと?」


 私の問いかけにヤヨイは首を振る。


 「その…私はメッセージを読み上げているだけなので質問は出来かねます」

 「なるほど…」


 ヤヨイは再び集中。魔王の声に耳を傾ける。


 「ーー…我の力を…最大限に活かしたい…のならば、ツクヨミ…に口づけを。彼女は…闇の力の…限界を超えさせる…最終兵器」


 「「え!!??」」


 私とウルゼッタが同時に驚きの声をあげる。


 「あの…魔王からの言葉は以上です」


 ヤヨイが少し顔を赤らめながら目を開け、私たちを見上げる。


 「えええ、終わり!?」

 「まさかのメッセージでしたわね」


 私とウルゼッタは顔を見合わす。


 「そういやツクヨミって魔王さんたちの最終兵器だとは言ってたけど、まさかそういう意味での最終兵器だったんだね」

 「えぇ。あれだけ強いのですから、戦闘能力においての最終兵器だとばかり思っていましたわ。しかしその力を引き出す方法がツクヨミさんとのキスだなんて……」


 ウルゼッタが自身の下唇に指を当てながら呟く。


 「あぁああああ、でもなぁああああ」

 
 私は頭を抱えながらしゃがみこむ。


 「どうしましたの?」

 「いや、私が今キスしたい相手ってウルゼッタなんだよなーー」

 
 少し上目遣いでウルゼッタを見上げる。



 「あら、ナタリーったら甘えん坊さんですわね。ていうかツクヨミさんとキスをするのは邪神と戦う時でしょう? 何も今すぐするわけではないのですよ」

 「そうなんだけどー。私は今ウルゼッタとキスしたいの」

 「まぁまぁ。では今からヤヨイさんにビギナーオナニー教えますし、その時にでもキスいたしましょうか」

 「うん!!」



 それからウルゼッタはヤヨイに【ビギナーオナニー】を伝授。ヤヨイはその快楽に酔いしれ、その途中で私はウルゼッタと何度かキス。最高の瞬間を味わった後、ここ…隠り世の空間からヤマタイ国へと繋ぐ時空の歪む輪っかに向かって飛び込んだ。



 ◆◇◆◇



 「あ、もうどこに行ってたの? サボりなんて卑怯よ」


 触手を自在に操りながら木材を運搬していたツクヨミが私たちの姿を見つけ声をかける。


 「ちょっとね。それよりヒミコちゃんは?」

 「ヒミコならミーナと一緒にあっちで土を耕しているわ」

 「ん?」


 ツクヨミの指差す方向に目を向けるとー…


 「えええええええええ!!??」


 それは強烈な光景。


 畑を作っているのだろうがその方法が斬新すぎる。


 「いっけええーーー!!!!」


 ヒミコが【風神雷神の扇】で竜巻を発生させ周囲を一層。そこから雷が大地にバチバチと轟音を伴いながら落ちる。
 落雷した箇所に大きなクレーターがいくつも出来ていく。
 そこにイルレシオンが防御型機械人形の結界を周囲に展開。舞い上がった土は結界に弾き返されて全てクレーターの中へと落ちていく。


 「じゃあ次はミーナのお仕事にゃああー!!!」


 その上からミーナがメイスで地面を固めるように打ち付けていた。



 「ーー…なんともまぁすごい…」

 「それに一見派手なだけに見えますが、理にかなってるところが凄いですわね」


 ウルゼッタが興味津々でその光景を眺めている。


 「どういうこと?」


 「風で表面の不純なものを巻き上げてますし、雷には大地を活性化させる力があるらしいですわよ。それを上から軽く固めれば…それはそれは素晴らしい畑の完成ではありません?」




 「ーー…なんでそんなことまで知ってるの?」

 
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