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メイデスの森へ!
177 1人じゃない
しおりを挟む百七十七話 1人じゃない
気づけばもうエルフの里が目の前に。
ここまでイルレシオンの手を煩わせるような相手は1人たりともいなかったのだがー…。
『ーー…ここであなたが来ますか』
イルレシオンが前をゆっくりと見据える。
『もちろん。私もこの里の戦力なのだから』
目の前に立ちはだかるのはガルフ。虹色のたてがみを大きく揺らしながらイルレシオンを睨みつける。
『仮想とはいえこれも戦闘。引くなら今のうちだぞ』
『それはこちらのセリフです。主人様に勝利を』
◆◇◆◇
結果はイルレシオンの勝利。
攻撃型や防御型、暗殺型に爆発型ー…それらを巧みに使い分けながらじわじわと追い詰められたガルフは悔しそうな表情をしながらも降参。
私たちは里へと足を踏み入れた。
『あなたで最後です。アンネ』
イルレシオンが手を前にかざしてアンネに向ける。
「ーー…来い、機械人形よ」
アンネも戦闘の構えをとるー…その時だった。
「危ない!!!」
遠くからイルレシオンに向けて炎の弓矢が何本も勢いよく飛んできているのが私の視界に映る。
「苺吹雪!!!」
私は【苺吹雪】を発動しそれらを無効化。飛んできた方角へと走る。
するとそこにはーー…。
「ーー…あ」
そこにいたのはペヤンティーナからアダルト色のパンツを授かった幼いエルフ。弓を持たず、手を前にかざすだけでその周囲に炎の矢が出現する。
ーー…これがこの子のパンツのスキルなんだ。
「あれ…どこから氷が出てきたの? なんで私の矢がー…」
幼いエルフは首を傾げながらイルレシオンに視線を向けている。
この子にはやっぱり私は見えていないようだね。
うーーん、でもこんなちっちゃい子に攻撃できないしなぁ。
ここはーー…
「ごめんね」
私は一言かけてから彼女に【サキュバスの淫水】を噴射。
「ーー…!!??」
幼いエルフは頬を赤く染め、トロンとした表情になりながら茂みの奥へと消えていった。
「さてと、じゃあ早くイルレシオンのところに戻ってー…」
私はアンネとイルレシオンがにらみ合っていた場所へと戻る。
するとー…
「ーー…え?」
私の目の前にはクリスタルロックに閉じ込められているイルレシオン。しかしアンネの姿が見当たらない。
ーー…なんで??
絆創膏を剥がしてイルレシオンに聞いてみたいけど、その周りで座り込んだままイルレシオンを見ている戦闘不能のエルフたちの表情ー…なんだろう、その目には期待が込められているような。。
「あらあら、何捕まっているのイルレシオン」
警戒から動けずにいるとツクヨミたちが追いついて合流。イルレシオンを閉じ込めているクリスタルロックを軽く叩く。
「これどうちたの?」
『不覚にも捕まってしまいました。皆さんも気をつけてください』
「ーー…? 気をつけるって何からにゃ? 残るはアンネ1人だけだよにゃ?」
ミーナがメイスを地面に突き刺し、もたれながらイルレシオンに尋ねる。
『違います』
イルレシオンがミーナの言葉を否定。
「んん? どういうことなのにゃ?」
『敵は2人います』
そう言ってイルレシオンは周囲を注意深く見渡し出した。
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