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メイデスの森へ!

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 百七十四話  どんなイメージ


 『まぁエルフの里も無事じゃったようだし、どうするか? そこの新生ハイエルフよ』

 
 ナルテュがアンネに問う。

 
 「どうするってー…どういうことだ?」

 『ともに来るか? どうせここにいてもエルフたちの迫害に会うだけじゃ。』

 
 アンネはしばらく考え込み、静かに顔を上げる。


 「アンネはまだこの里の姫だ。皆に決めてもらいたい」


 アンネはナルテュとペヤンティーナを交互に見る。

 
 「ペヤンティーナ、エルフたちに施したシールドを解いてやってくれ。ナルテュもガルフを自由にさせてあげてくれ」


 『いいのー?』

 『襲われるやもしれぬぞ』


 「その時は気兼ねなくこの里を出るさ」



 ◆◇◆◇



 「アンネはまだ、この里の姫だと思っている。皆はどうだ」


 解放されたエルフとガルフの前に立ったアンネが皆に問いかける。


 『なんのつもりだアンネひーー…ハイエルフ』

 「アンネはこの里が好きだ。ずっと守っていきたいと考えている」


 「「「ーー……」」」


 エルフたちは静かにアンネを見つめる。
 
 
 「まぁでもあれよね、確かにアンネがこのエルフたちのことを思ってないのなら拘束を解く必要なんてなかったものね」

 「ちょっとツクヨミ、静かにして!」

 
 私はツクヨミの口に【ローリングちゅーぱー】を突っ込んで幼児化させ、口を押さえ込む。


 『しかしハイエルフの言葉だ。そう簡単に信じれるわけがなかろう』

 
 ガルフがアンネに詰め寄る。


 「ガルフ。だったらアンネを殺すか?」

 『ーー…なに?』


 アンネは静かにガルフの前に近づき、両手を広げる。

 
 『な…なんの真似だ』

 「ガルフ、お前とは付き合いが長い。お前が信じてくれないのなら、アンネも諦めがつく」


 ガルフはアンネの気迫に押されたのか一歩後ろに下がる。


 「皆はどうだ。今回の機械人形襲撃時ー…アンネは頼りにならなかったか? 皆の心の支えにならなかったか?」


 その言葉にエルフたちは全員口を紡ぐ。
 

 「ーー…しかし、、アンネ様…はハイエルフな訳で…」

 「そ、そうです。ハイエルフはエルフの里に災いをー…」


 「それは本心で言ってますの?」


 エルフたちにそう言い放ったのはウルゼッタ。堂々とした佇まいでアンネの隣に立つ。


 「ーー…人間」

 「まったく、口下手なお姫様ですわね。そんなのでは今後、皆に舐められますわよ」


 そう言って優しく微笑むと、再び凛とした表情に切り替えたウルゼッタがアンネの前へ。


 「みなさん、もしここでアンネさんを見限ったとしましょう。では考えてみてください? もし今後先ほどのような襲撃が起こった場合、誰が先頭に立つのですか?」


 「そ…それは、、新しい姫がー…」

 「それは誰でしょうか教えてください。アンネさんのように里の一大事でも決して怯まず気丈に振る舞えるー…そんな心強い姫候補がいるというのでしょうか」

 「ーー……」


 エルフが目を逸らす。


 ーー…かっこいいよウルゼッタぁ。。


 「ーー…それに、これは私が直接聞いたわけではないのですが、邪神は配下にメイデスの森を支配しておけと命令していたらしいですわよ。ということは近いうちにまたこのようなことが起きるかもってことですわよね」


 ウルゼッタの言葉に皆がざわつきだす。


 「ーー…となれば、答えは決まっているのではなくて?」


 ウルゼッタがアンネを前に押し出し、エルフたちを睨みつける。


 「エルフの里に災いが起きるとかー…そういう自分の都合に合わないからという浅はかな考えは捨てなさいな!!」


 周りが一瞬ビクつく。


 「私は知っておりますわ。そうやって自分たちのことばかり考えた結果、破滅の道へしか進めなくなった国をー…。あなた方はどうなのです? 今までこのアンネさんに救われたと感じたことのない方がいるのなら反対しても文句はないでしょう。しかし今まで1回でもアンネさんに助けられた方・救われた方は今一度自分の心に正直になることをお勧めしますわ」


 ウルゼッタは皆に一礼した後、アンネの肩をポンと軽く叩いて私のところに戻ってくる。

 
 「ウルゼッタ、あなたそんな真面目な話もできたのね」

 
 幼児化したツクヨミが話しかける。
 そっか。ウルゼッタのあんな真面目な演説シーン、私しか見たことないんだっけ。


 「ーー…一体私をどんな風に見てたのか気になりますわ」

 「性に敏感なおてんば少女かちら」



 「ツクヨミさん…この一件が終わったら個人的に話しましょうか」

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