116 / 244
調子のいいお嬢様
116 グレードアップ!
しおりを挟む百十六話 グレードアップ!
ミーナの投げた小瓶が勢いよく私のもとへ迫ってくる。
「ちょ、ちょっとそれは待ってー!!!」
そこまで距離が空いていなかったこともあり、小瓶は私に命中。中の液体も全て私の服にかかった。
「どどどどうしようウルゼッターー!!」
私は液体のかかった服に視線を下ろしながらウルゼッタに助けを請う。
何かよくわからない状態異常だったらウルゼッタの胸に絆創膏貼ってもらって【神の聖水】で治さないと…!!
「いや、まだナタリーに変化は見当たりませんわ! 安心してください!」
「でもなんか服全体に染みが広がってるんだけどー!!!」
染みが私の服全体にどんどん侵食していっている。手で払ってみても治る気配もない。
やがて全体に染み渡った服が突然光りだす。
「え、え、え、え!!??」
それと同時に私の目の前にステータス画面。
●成長水を浴びました。それにより成長水を浴びた装備品がグレードアップします。
「ーー…成長水?」
私はその単語をタップ。
●成長水:神界でも珍しい奇跡の水。浴びたものを強制的に成長させる。
「一体どうしましたの!?」
「よく分からないんだけど、私の装備が強制成長するっぽい!!」
そんなやりとりをしてる間に服の全体の光が徐々に治っていく。
自分的には着心地はあまり変わっていないのだがー…。
「な…ナタリー! 服がー…すごいことになってますわ!!」
「え?」
ゆっくり確認してみるとー…。
「ーー…おぉ。」
なんというかー…花が咲いたという表現があってるのかな。
以前の衣装よりも少し豪華になっていた。
ーー…魔王ミルキーポップにもツルが生えてる。
「ナタリー、それめちゃくちゃいいですわ。」
「確かに。私もこっちの方がいいかも。」
「ステータスも変わってるんですの?」
「ーー…どうだろ、ちょっと見てみるね。」
●ナタリー
【レベル】1
【装備】覇王ミルキーポップ(杖)・夢の蕾咲くメルヘン少女(セット衣装)・イチゴのネックレス・開門のパンツ
【数値】攻:1500 防:1500 魔攻:15000 魔防:15000
【スキル】ギフト(2)・毒針・ストロベリーマジック・ラブリーゾーン・門神招来・魔獣契約
「「ーー……。」」
ステータス画面を見た私とウルゼッタは言葉を失う。
「ーー…もうこれ基本負けなしではありませんの?」
「ー…かも。」
私は少し戸惑いながらもミーナを見つめー…。
「あの、なんか強くなったみたい。ありがとう。」
「ーー…!!??」
ミーナの顔が一気に赤く染まる。
「嘘! 嘘だ! ミーナそんなの信じないもん!」
ミーナは地面を強く蹴り、勢いをつけて私に突撃。手にしたメイスを力の限り振り下ろす。
ーー…が。
「ー…おっと。」
私は覇王ミルキーポップでそれを防御。
ーー…全然痛くない。
それとともに私の受け身スキル【毒針】が発動。ミーナの上空に無数の毒針が出現し、一斉に降り注いだ。
「ああああああああ!!!」
ステータス値が上昇したためか、以前よりも毒針の量が多い。
「ーー……。」
全身針だらけのミーナの動きが止まる。このままでは死ぬかもしれないと思った私は回復魔法【生命の泉】を発動させる。
すると再びステータス画面が。
●強制グレードアップした衣装【夢の蕾咲くメルヘン少女】が【覇王ミルキーポップ】と共鳴。その影響で習得していた魔法も強制グレードアップされました。
・【火炎弾】→【苺爆弾】※覇王ミルキーポップ装備限定
・【氷結弾】→【苺吹雪】※覇王ミルキーポップ装備限定
・【地獄の業火】→【終焉の焔】
・【生命の泉】→【天使の口づけ】
「ーー…うーん、てことはこれか。【天使の口づけ】!」
私は覇王ミルキーポップをミーナに向けて魔法を発動。
すると天から光り輝く大人の天使が降臨。優しくミーナに口づけをして姿を消した。
「ーー…ん、、。」
ミーナの唇を中心に毒針が消滅。体を侵食していた毒も綺麗に消えていく。
「これが…ナタリーの新魔法…ですか。」
ウルゼッタが目を輝かせながら私を見つめる。
「うん。それにもう能力低下デメリットないみたい。」
前みたいにステータス画面現れないし。
「一体何事だ!!!」
私たちの騒いでいた声が聞こえたのだろうー…見回りをしていた兵士が私たちのところへ駆け寄ってくる。
「あー、すみません。私が付いていながら。」
鑑定士が兵士に事の顛末を説明。
ミーナは駆けつけた兵士によって牢へと運び込まれていった。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる