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昇級試練!
92 膨れ上がる欲望
しおりを挟む九十二話 膨れ上がる欲望
「ねぇー。あんたさっき邪神って言ったわよねー。」
ツクヨミが突き刺すような冷たいトーンで悪魔に問いかける。
『邪神ー…ダト? 「様」ヲツケロ。』
悪魔がギロリとツクヨミを睨む。
あーあ、言っちゃった。
「あの…ツクヨミ?」
「ごめんねナタリー。早速正体バレちゃうのは申し訳ないんだけど、私これ我慢出来ないわー。」
ーー…ですよねぇ。
ていうかもうさっきから瘴気だだ漏れで、実行委員の人も流石に気づいちゃってると思うからもういいけどね。
「ーー…ということで。」
ツクヨミは悪魔の真下に魔法陣を展開。魔法陣が赤く光る。
「こー…これはアレですわ!!!」
察したウルゼッタが素早くそこから離れて距離をとる。
同時に魔法陣からはあの忌まわしき触手が勢いよく飛び出して上空にいる悪魔のもとへ。
『ーー……!!??』
気づいた悪魔が電流放射の標的を変更。下から迫り来る触手へと向ける。
電流を浴びた触手は電気が当たったところから黒く焦げて塵になっていくが、魔法陣からは次々と新しい触手が。
ーー…触手って何が弱点なんだろう。
やがて悪魔の足を捉えた触手はそのまま腹部・腕・胸・首へと順に巻きついていき、徐々に悪魔の自由を奪っていく。
『ナー…ナンダ!?』
触手の中でもがいている悪魔の前にはツクヨミ。
ツクヨミはゆっくりと悪魔に向けて手をかざしー……。
「邪神の関係者は死になさい。」
悪魔に向けて黒い球体を連射。
悪魔の電流攻撃まではいかないが、結構な爆発音が上空で鳴り響く。
「ーー…ツクヨミさんガチじゃないですか。」
戻ってきたウルゼッタが顔を青くしながら上空のツクヨミを見上げる。
「うんー…イベントの時はあそこまで殺気立ってなかったもんね。」
もう目がすごい怖い。
初めて見た時からクールな印象だったのに今は違う。
怒ったらこんなに怖いんだ……余計にあの時お漏らしした犯人私だって言えないやつじゃん。
決着がついたのだろう。上空から悪魔が落下。どさりと砂の上に落ちて大量の土煙が舞う。
しばらくしてツクヨミが悠々と着地。土煙の中をジッと見つめた。
そしてー…。
『ーー…グッ!!』
土煙の中から四つん這いになって立ち上がろうとする悪魔の姿が確認できた。
しかし力が入らず思い通りに動けない模様。
「これでおしまいね。」
ツクヨミがゆっくりと悪魔のもとへ。
さすが魔王さんの最終兵器。
邪神の手下とは強さの格がまるで違う。これだったら邪神もツクヨミ1人で倒せるんじゃない?
そんなことを考えながらツクヨミがあの悪魔にトドメを刺しに行くところを見守る。
そんな時だ。
「ーー……え!?」
突然私の目の前にステータス画面が開く。
●魔獣が契約可能状態です。服従させますか?
ーー…えええええ!!! こんな時に!!??
ていうかなんで今までこのメッセージ出てなかったんだろう。
私は急いでスキル【魔獣契約】の説明を読む。
●【魔獣契約】:瀕死の魔獣1体を対象に使用可能(1回のみ)。服従させ呼び出すことができる。
ーー…あ、そうだった。瀕死状態の魔獣が対象なんだった。
今までは基本瀕死にならない段階で倒してたから出なかったんだ。
理解した私は悪魔を見据える。
ーー…え、待って? あの悪魔を服従させたら私めっちゃ楽できそうじゃない?
あんな凄い電流流せるし空飛べるし。
だんだんと私の中で欲望が募っていく。
そしてー…。
「ツクヨミ、待って!!」
勝手に体が動き、気づけば私はツクヨミの手を後ろから引っ張っていた。
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