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46 後ろではJK【挿絵有】
しおりを挟む四十六話 後ろではJK
ファミレスに向かってる最中、「そういえばさ」と多田がオレに話を振ってくる。
「今日は裕太兄ちゃん来ないの?」
「さっき連絡したら、仮病使ってでも早く仕事終わらせて来るってさ」
「へぇー、裕太兄ちゃん大人って感じだねー」
ちなみに三好と小畑は先に帰ってしまったとのこと。 なんでも小畑がラブカツがどんなものか知りたくなったらしく、三好を連れて本屋さんに行ったんだとさ。
ーー……いや、アニメを見ろよアニメを。
しばらくしてファミレスについたオレたちはそこでドリンクを注文。
「そういや多田は今日は何時まで話せるんだ?」
「んー、一応塾が始まるまでかな」
「なるほどな、おけ」
工藤が到着するまでの間、雑談に花を咲かせることにした。
◆◇◆◇
「ーー……あ、ママから電話だ。 ちょっとゴメンね」
話が盛り上がっている途中で多田のスマートフォンが着信。 多田がスマートフォンを耳に当てながら席を離れる。
ーー……てか工藤いつ来るんだよ。 まぁ仕事だから仕方ないけど、帰れそうにないのなら今日はお開きか?
オレは工藤から連絡が来ていないか改めてメールの受信ボックスを確認し、その後表示されている時刻を見て「はぁ……」とため息をつく。
とりあえず後どれくらいで到着予定かだけでも教えてほしいものだ。
オレはそれをそっくりそのままメールで文章に起こして工藤に送信……返信が来るのを今か今かと待ちわびていたのだが……
「えー! まだ告ってないのー!? 早くした方がいいよー!」
ーー……ん?
何やら後ろの席の方から楽しそうな声が聞こえて来る。
窓越しに見てみると、どうやら制服的にJK……女子高生のようだ。
ファミレスで恋バナですか。 いいですね。
やることもないオレはその話に聞き耳を立てることにした。
「え、てかゆーちゃんアレ使ってないの!?」
ギャルっぽい感じの金髪が黒髪ショートカットの子に前のめりになりながら話しかけている。
「いやいや、使うわけないでしょ! この前だって弟に見つかって焦ったんだから。 引き出しに入れてるよ」
何が見つかったんだろう……エロ本かな?
いや、でもそれなら『使う』って言葉はおかしいか。
オレは勝手の脳内で『アレ』の正体を考えることに。 そして今後の会話にヒントが隠されているかもしれないと先ほどよりも集中して耳を傾けた。
「だったらほら、またあげるからこれ持って告白しな! それでそのまま愛を育んじゃいなよ。 はい、これ」
何かを渡してるようなので窓の反射越しに視線を集中させていると、その手にはコンパクトサイズで正方形の袋に詰められたなにか。
ていうか最近見たことあるぞ、アレは……
いやアレってアレかよ!!!
そう、男性用防御アイテム……通称ゴム!!
まったく……最近のJKはビッチなのか!? だからネット犯罪にも巻き込まれやすいんだよこのやろう。
そんなことを平気でする今時のビッチJKの顔はどんな感じなのだろう。 気になったオレは物を床に落とすフリをしてさりげなく視線を向ける。
そして視界に移った人物にオレは我が目を疑った。
「ーー……!?!?!?!?」
オレの瞳に映ったもの。 それは金髪ギャルJKの後ろ姿と、その対面に座っていた黒髪ショートカットのJK……
オレの姉・福田優香!!!!
動揺したオレはすぐに席へと姿を隠す。
ーー……え? え? なんだなんだ??
アレは……あのコンパクトな正方形の袋は保健の授業でもらったんじゃないのか!?
オレの脳内がグチャグチャになっていくのが分かる。
「これは……聞くしかない」
オレはスマートフォンを取り出し電話帳を開くと、そこから優香の電話番号をタップ。 電話をかけてすぐに呼び出し音を切る。
「ーー……あれ、弟からだ。 なんだろう……ちょっと電話かけ直して来るね」
「あいよーん」
優香がスマートフォンを片手に女子トイレの方へと向かう。
オレはそんな優香の姿が見えなくなったのを確認すると、すぐさまスマートフォンをマナーモードに変更しポケットの中へ。
後ろの席に座っていたギャルっぽいJKの肩を叩いた。
「ん? 君、どうしたのー?」
金髪ギャルJKがストローを咥えながらオレに視線を向ける。
うおぉ美人だ……それにJKにもなるとストロー咥えるだけでめちゃめちゃ色っぽいな。
一瞬見惚れてしまうも、優香のことが気になりすぎているオレの心はすぐに現実に戻り早速本題に入る。
「オレ、さっきトイレに向かった福田優香の弟……ダイキです」
「ほへぇー弟くん? でもなんで? さっきゆーちゃん、君から電話かかってきたって行ってあっち行ったけど」
「ちょっと……聞きたいことがありまして」
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