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38 開かれた性への興味【挿絵有】
しおりを挟む三十八話 開かれた【性への興味】
「そっか。 福田くん……イジメられるの好きなんだ」
オレの『いじめられるの大好きです』宣言を聞いた結城がエロ漫画とオレを交互に見る。
「まぁはい、そうです」
「でもさ、じゃあなんでイジめてきた人の名前とかノートに書いてたの?」
「そ、それはあれだよ。 あれはイジめられるのが嫌だった時に書いたもので、この漫画に出会ってからさっきみたいな気持ちが芽生えたんだよ」
苦し紛れの言い訳。
普通の大人なら見苦しいと思われるかもしれない内容だが、JSは違った。
「そう……なんだ。 すごいね福田くん」
結城が目を輝かせながらオレを見つめてくる。
「ーー……え、なんで?」
「だって、私はイジめられてばっかりでもう嫌だって思ってただけだったけど……福田くんはその嫌って気持ちを変えるために動いたんだもんね。 偉いよ」
あー、なるほどな。 オレは単なるエロ目的で読んでいただけなのに、結城はオレがイジメの辛さを克服するために読みだしたと解釈したのか。
まぁでもこのエロ漫画は先日前世の友・工藤がオレにくれただけのものであって偶然にも内容がイジメものだったってことだけ。 特にこの内容を選んでオレが買ったと言うわけでもないのだが……
今はこの結城の考えに乗らない手はない!!!
「そ、そうなんだよね。 【小学生 イジメ】で検索したら、偶然この漫画のこと知っちゃってさ、アハハハハ」
「そっか。 私、あんまりインターネットとかその、得意じゃないから。 そういう調べ方もあるんだね。 凄いな……」
ーー……おお、なんか上手く回避できたんだけど。
「ほんとすごいよ。 あとで私もちゃんと読んでいい……かな? 今は福田くんのおかげで全然イジメられなくなったけど……どんな内容か気になる」
「あーー、まぁ。 皆に内緒にしててくれるなら」
こうして朝食をとった後オレは結城と宿題をするという程で部屋へ。
部屋に戻るなり結城はオレの隣でエロ漫画を開く。
「ーー……」
「ーー……」
な、なんなんだこの緊張感はああああああああ!!
別にオレが結城に何をするってわけでもないのだが、オレの目の前では結城がオレの性癖の詰まったエロ漫画を所々小さく音読しながらページをめくっていく。
まさかJSと密室でエロ漫画を読むというイベントが発生するなんて……!!
オレはそんな神的シチュエーションに感謝しながらもこの夢のようなドエロ時間を堪能していたのだが、しばらくするとそれは地獄へと変わった。
「ねぇ福田くん、これどういう意味? 先走り……」
「えっ………!?」
「あ、あとこれなんて読むの? 二字熟語なのかな……漢字一文字の後に『起』って書いてるんだけど。 むっき? とうき? なに?」
「むむっ、これは……!」
「ねぇ、なんでこの子はこんなところで……外に出してって何を?」
「うわああああああああああああ!!!!」
小学生には難しい単語や表現・描写のオンパレード!
オレは言葉に気をつけながらも遠回しに……かつ誤魔化しつつ答えていたのだが、ついに脳がオーバーヒート。 このままでは理性が持たないと判断したオレがベッドに飛び込んだところでエロ漫画読書会は終了したのだった。
「ーー……福田くん、大丈夫? ごめんね、色々聞いちゃって」
オレがうつ伏せで固まっていると結城が申し訳なさそうにオレの顔を覗き込んでくる。
「ううん大丈夫。 オレも……まぁそのあんまり分かってないから」
「そうなんだ」
オレは結城から返されたエロ漫画を受け取ると、ゆっくりと立ち上がりそれを改めて引き出しの奥に隠す。
なんか隠してるところを見られるってのもなんかシュールだよな。
優香には絶対にバレないようにしようといつも以上に念入りに隠していると、後ろから結城が「でも……やっぱりその、エッチだったね」と恥ずかしそうに呟いた。
「え」
振り返ると結城が顔を赤らめモジモジしながらオレの方を見つめてきている。
「ゆ、結城さん?」
「私ね、エッチな本……生まれて初めて読んだよ。 あんな感じなんだ……なんかちょっと悪いことしたような気分だね」
結城が恥ずかしそうに指を弄りながら微笑む。
「そ、そうなんだ。 た、確かにそうだね、ちょっと後ろめたさはあるよね」
「福田くん……は、そういうこと好き……なんだよね」
「まぁその、オレも男子なわけで」
「私も読んでてあんまり分からなかったけど、ドキドキしちゃった。 今度私にも理解できそうな本あったらまた見せてほしいな……なんて」
ーー……!!!!
あまりの衝撃の言葉にオレの背後に雷が落ちる。
今の結城の発言……あれってもしかしてさっきのエロ漫画がきっかけで結城が【性への興味】という扉を開いた瞬間なのではないか!?
てことは実質結城の初体験にオレは濃厚に関わったわけだよな!??
エッチなことに興味を持った瞬間の女の子……これは興奮するぜえええええええ!!!!!
オレは一人でムラムラ興奮していると、結城が口元に指を当てながら「その……私がこういうエッチなのに興味あるって、誰にも言わないで……ね?」と少し心配そうな表情で尋ねてくる。
おいおい、愚問だぜ結城。
誰がこんなおいしいシチュエーションを他の人とシェアしようと思うんだよ。
オレだけが味わって楽しむんじゃあああああああ!!!!!
「もちろん! 誰にも言わない! 2人だけの秘密にしよう!!」
オレは爽やかな笑顔を結城に向けて親指を立てた。
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