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21 王手!?
しおりを挟む二十一話 王手!?
1日も早い西園寺攻略を決意したオレは放課後のご褒美……三好たちのいじめを我慢して自ら西園寺のもとへ出向いた。 もちろん少し準備をしてからな。
ぶっちゃけうまくいけば明日には終わる……運よ、オレに味方してくれよ。
いつも通り西園寺を取り巻く女子グループから心地よいいじめを受けた後、オレは1人図工室前の女子トイレに。
奥の扉を開くと便座に座った三好がウトウトと眠りかけていた。
「おい起きろ三好」
「えっ……あ、おかえり」
オレの声に少し驚いたのか三好は体をビクンと反応。 「あ、終わったんだ。 お疲れ様」と便座からゆっくり立ち上がった。
「どうだった福田、ちゃんと録れてた?」
「もちろん。 あとはもう少し時間が経ってから罠を回収する」
「うん」
「じゃあとりあえずその時間まで暇だし……オレ踏んどく?」
オレは便座に座り込むと、自分の股部分に三好の足を持ってセット。
するとどうだろう、三好も「まぁそうだね、私も結構眠かったから運動したかった気分だったかも」とは言っていたのだが……
「ーー……もしかしてさ、福田って変態なの?」
三好がなんとも言えなさそうな呆れた視線をオレに向けてくるではないか。
「ん? 変態だったらどうするんだ?」
「いや……どうもしないけどさぁ」
「お前もオレをいじめなくなったらクラスのみんなから不思議に思われるんだろ?」
「……うん」
「じゃあいいじゃん。 かかとの方は押し込むような感覚で、かつ優しめでよろしく」
「……変態」
はい変態ですありがとうございます!!
こうしてオレは至福の時間を味わいながら17時を迎えた。
◆◇◆◇
「ーー……そろそろだな。 ちょっくら行ってくるぞ」
「うん」
オレは再び三好を女子トイレに待たせてあの現場へ。 そう……西園寺が1人で自撮り写真を取っていたあの階段だ。
三好を連れてきても良かったんだけど、もし見つかりそうになったときに隠れるリスクもでかいからな。
オレは周囲を慎重に見渡しながら少しずつ目的地へ。
ーー……うん、ここらへんにはもう誰もいないようだ。
「さぁ、西園寺希ちゃん。 君の運命が決まるゼェー?」
オレは階段の踊り場に設置されていた消火器の後ろに手を伸ばし、あらかじめ仕掛けておいた三好のスマートフォンを取り出す。
ふふふ……ここに隠して動画を回していたとは誰も気づくまい。
オレはすぐに三好のスマートフォンを起動。 早送りをしながら西園寺が今日、オレをいじめた後に1人で自撮り写真を撮っていないかを確認した。
そして気になる結果は………
「イェス!!!!」
オレがこれを取りに来る30分前、西園寺はここに来てスカートをたくし上げたりして自撮りをしている。
ここまで鮮明に映っていれば何も言い逃れはできないだろう。
オレはそのデータを自分のスマートフォンに転送。
西園寺のシーンだけを編集して切り取り保存したのだった。
◆◇◆◇
翌日の放課後。
オレは西園寺の取り巻きを一瞬で掌握。 そいつを使い、西園寺1人を空き教室に呼び出す。
「何の用? もしかして今更いじめるのやめてほしいなんて言わないよね」
オレはその質問を華麗にスルー。 無言で動画を見せつけた。
もちろん内容は決まってるだろ、あの西園寺の自撮りシーンだニヤァ!!!
「ーー……! そ、それどうしたの?」
少し動揺しながらも西園寺がスマートフォンを指差す。
「さぁ」
「盗撮はれっきとした犯罪……先生やパパに言いつけてやるんだから」
おいおい声が震えているぞ西園寺。 それにそんなことでオレが怖気付くと思ったのか?
甘い……甘すぎるぜ。
オレはそんな西園寺の脅迫に笑顔で「どうぞー?」と答えた。
「な、なんで? 怒られるのが怖くないの? 早く消しなさいよ」
「消したって無意味だぞ。 だってこれ、オレが撮ったやつじゃないし」
「どういうこと? じゃあ誰?」
「それは言えないなぁー」
オレはスマートフォンをポケットにしまい、ワザとらしく口笛を吹く。
西園寺はおそらくこのオレが有利な位置にいることが気に食わなかったんだろうな。 おそらくは苦肉の策…「そ、それでもあなたがその動画を持ってることに変わりはないじゃない。 待ってて、今から先生に言いにいくんだから。 村本くんのように後悔するのね」と気丈に振る舞いながらオレに背を向けた。
「いいけど、じゃあその間にオレはこの動画をネットにアップしようかな。 在籍学校名と名前も添えて」
「なっ……!! そんなことしていいと思ってるの!?」
おーおー、ついにそのクールの仮面が剥がれてきたな。
顔を真っ赤にしてオレに詰め寄ってきたりして……先生にチクりに行くんじゃなかったのか?
「ちょっと聞いてるの!? あなたがしようとしてることは犯罪だって言ってるの!! 悪いことは言わないからさっさとそれを……」
「犯罪ねー、まぁでもオレ小学生だし『知りませんでした』でどうにかなるだろ。 それよりも大変なのは西園寺……お前だ」
「わ、私!?」
「もしオレがデータを流すとそれは西園寺……お前が中学高校になっても永遠に残り続ける。 お前が自分でアップしていた写真を見てた人に見つかって襲われないといいね。 それに可愛い娘がこんなことやってたって知ったらパパやママはどう思うかなー」
「ーー……!!」
オレの言葉に西園寺の動きが止まる。
オレに掴みかかろうとしていた手を力なくストンと下ろし、全身を細かく震わせながら小さく口を開いた。
「……やめて」
「どうしようかなぁー」
「やめないと今後ずっと私を含めたみんなで福田くん……あなたを死ぬより辛い目に合わせるよ」
うーーん、まぁこれがこいつなりの、今できる最大の脅しなんだろうな。
西園寺は最後の手段と言わんばかりの表情でオレを睨みつける。
しかし……
「うーん、多分それは無理かな」
「ど、どうして?」
「よく考えてみろ。 なんでお前の取り巻きがいじめられっ子のオレの指示通りにお前を連れてきたか分かるか?」
そう口にすると西園寺の頭上にはてなマークが2・3個出現。
確かにこの状況で冷静な判断が小学生にできるわけない……仕方ねぇ、教えてやることにしよう。
「もう脅し済みなんだよ」
「!!??」
まさにトドメの一撃。 西園寺は驚愕の表情を浮かべながら1歩後ろへと下がる。
そう。 西園寺を呼びつける前、事前にオレは彼女を取り巻いていた女子たちを1人ずつ呼び出し、オレをいじめていた音声を聞かせて『今後逆らったらこれを職員室に持っていき親にもバラす』と脅していたのだ。
だからさっきのようにオレの命令通り、西園寺を連れてきたってわけだな。
さぁ、チェックメイトだ。
「さぁどうしようね、味方がいなければ助けを求めにいくこともできない」
おそらくはこれ以上自分に勝ち目はないと踏んだのだろう。 西園寺の瞳からは戦意が完全に消え、「ーー……どうすればいいの?」とオレに尋ねてくる。
そうだな、じゃあまずは……あれ、いっとくか。
「その自慢の足を存分にオレに見えるようにスカートをたくし上げながら、オレの指を舐めろ」
流石に脚を舐めさせる趣味はオレになかったことからオレは右手の人差し指を西園寺に突き出す。
「ーー……!!?? 何言ってるの!? そんなことできるわけ」
西園寺もそうなるとは予測してなかったんだろうな。
顔を真っ赤にしながら「どういうつもり!? 気持ち悪いんだけど……!」とオレを避難してくる。
しかしなぁ西園寺、もう今のお前に拒否権はないんだ。
「じゃあお前の人生はここで終わりだな。 ネットにアップするわ」
「わ、わかった! やる……やるから!!!」
ニヤァ!!!
西園寺が顔を赤らめながらスカートをたくし上げ、その美脚が露わになる。
三好よりも若干引き締まった色白の脚……もちろんパンツもよく見える。 絶景だ!
西園寺はそのまましゃがみ込むとオレの差し出した指先を唇で加え……
「噛んだりしたら……わかってるな」
「ふぁい」
オレはその様子を高みから1枚パシャリ。
「ーー……!!!」
「今後変な真似をしたら動画を流すだけじゃなく、今の写真を印刷して学校中にバラまくからそのつもりでいろ。あ、あと西園寺。 お前今日からオレの奴隷な」
「ふぁかり……まひた」
そしてオレは西園寺の耳元に顔を近づけ、最後はあの言葉で締めくくったのだった。
「でもお前にも立場がある。 別に今後もみんなの前ではオレに気丈に振る舞ってもらって構わない。 でももしオレの意志に反したことをしたら……賢いお前なら分かるよな」
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