誰とでも寝る黒ギャルビッチな彼女が僕の『彼女』になるまで

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第二話

買い物は官能的なのか6

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 どう収拾つけろつって言うんだ。
 姉の振りをしていた女性が自らを彼女と名乗り、本物の妹がやってきた。
 外国人も大歓喜の『楠 林檎──参戦っ!!』って感じ。

「入ろうか、真一くん」
「入ろうよ、おにぃ」

 両手に花とはこの事をいうのだろうか。
 今の俺にとって、彼女達は奴隷の動きを封じる重たい鉄球でしかない。
 最早、一切の拒絶は許されず天使という名の悪魔によってランジェリーショップへと引き摺り込まれていった。

 ウキウキで下着を選ぶ女子2名を横目に、店内の中央に置いてあった椅子に腰掛け頭を抱え、身を小さくし、丸まった。

「……なにやってんの、真一くん」
「あれ、言ってなかったっけ? 実は俺、小石の王様なんだ」
「小石の……王様?」
「もう少し人間として生きたかったが、小石王国の小石姫から呼び出しがあってな。小石に戻らないといけなくなった。急なことで済まないが、もう人と会話もままならなく──」
「へぇ、おにぃは私を置いて小石王国に帰っちゃうんだぁ~」
「はッ、ち、違うんだ林檎!!」
「顔を上げたな、真一くん」
「──ッ、しまった……」

 くそ、罠か……兄としての使命感をうまく利用されてしまった。

「流石、お兄ちゃんの扱いはお手の物ってわけね」
「おにぃ、忘れたの? 私達が小石王国を追放されたあの日のこと!!」
「え、林檎ちゃん……?」
「そうだったな……俺たちは、いつの日か宝石になる事を夢見て、小石姫の作った鉱石固定法に対し反旗を翻した」

 そうだ、俺は砂利の群勢率いて全力で戦った、だけど。

「でも、そのせいで多くの仲間を失った。今更国に帰ってこいなんて、都合良過ぎるよ」
「林檎の言う通りだ。皆んなの為にも戦い続けないと。茜さんもそう思うだろ?」
「え、ぁ、あ、あぁ!! 林檎ちゃんの兄として、戦わないと!」

 ふっ、まさか妹に教えられるとはな。
 気が付かない内に大きくなりやがって。
 兄として、誇らしいぜ。

「だからさ、おにぃ。人間としてもっと頑張らないと駄目だよね?」
「そうだな、俺は……まだ人間として生きる!!」
「ということで、夏希さん、どうぞ」
「──なに!?」
「なるほど、じゃあ私の質問にもしーっかりと答えてもらおうかなぁ!!」

 しまった。ダブルトラップだったか。
 気が付けば更に深く、逃げ場のないところまで引っ張られた。
 茜さんは背中に隠していた二つの下着セットを俺に突き付け問い掛けてくる。

「どっちが、いい?」
「ぐッ……」

 一つは真っ赤で派手なレース付のドスケベな物。もう一つは対象的に白く飾りっ気のないシンプルな物。
 どちらがいいか、服屋の時にも同じ質問をされ、答えた。
 でも、今俺が選ぶのは下着。
 必然的に彼女の裸を想像しなくてはならない。

「さぁ、さぁ、さぁ!!」

 前屈みになり詰め寄って来る茜さん。
 首の下、服の隙間から小麦色の肌と大きな二つの巨峰が視界を埋め尽くす。
 こ、この身体に似合う下着……かぁ!!
 適当に言うか?
 ……それだけは駄目だ。
 女の子の下着を選ぶんだぞ。
 いい加減な発言はできない。

「ちょ、ちょっとまってくれ……」

 赤にレースの下着を付けた茜さん。
 彼女の明るい性格と相まって、とてつもなく情熱的な姿になるだろう。

『楠、やっぱり私で興奮してたんだな。今までの仕返し、たっぷりしてやるから』

 視線を合わせ、舌舐めずり。
 俺の身体を押し倒すと、茜さんは初めて出会った時のように上に覆いかぶさり、右手を下半身へと這い寄らせて──ん?
 
 あれ、思いの外興奮しない……?
 あの日、勃起はしなかったけど間違いなく興奮していた。なんなら帰ってから抜いた。

 でも、今はどうだろう。
 襲われるというシチュエーションはある意味、奥手な童貞には理想的だ。
 その筈なのに、全然興奮しない。いや、そっちの方が助かるんだけどさ。

 ならもう一つは、白の素っ気ない下着。
 褐色の肌とは対照的な純白の布が彼女の恥部を隠す。
 俺は多分、そんな茜さんに釘付けにされゆっくりと近付いていく。

『楠……やっぱり、興奮してたんだな……今までの仕返し、たっぷりしてやるから……』

 生唾を飲み込む音が部屋に反響した。
 俺は滑らかな彼女の背中に腕を伸ばし、背中のホックを外す。
 白鳥の羽の如く、ふわりと地面に落ちた下着。眼前には──

「──ッッ!!!!」
「うわ、どうしたのおにぃ!? 急に鼻を抑えて」

 しまった。鼻血が出そうになった。

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