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拳士揺心

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「もちろん、お前だ、レック!」
「あッ……!」

 俺が選んだのは、赤髪の拳士。
 自ら丁寧に、じっくりと下ごしらえをした女だ。
 腕で抱き寄せると、胡坐の目に座らせる。
 今までにないほど彼女の表情は喜びに満ちていた。
 細い腰、指先をゆっくりと這寄らせ、背後から彼女の乳房を摘まむ。

「ふ、ぁッ、ぁぁっ!!♡」

 少し触っただけなのにこの反応。
 小さい身体は俺の身体にすっぽりと収まり、その中で震えている。
 ここでもう一度、ステータスを確認してみよう。

 ===========

 身長:143
 体重:36
 バスト:AA
 好感度:30
 経験人数:1人
 自慰回数:0回
 淫乱度:70%
 開発箇所:乳首・陰部
 性感帯:乳首
 性癖:無し
 経験プレイ:通常・連続絶頂・凌辱
 妊娠回数:無し
 備考:性交を運動と認識
 最大絶頂回数:20回 

 ===========

「えッ!?」
「ぁ、んんッ……ぁ、へ?♡ ど、どうかしたのかぁ?」
「い、いや、気にするな」

 感度上昇させた状態での絶頂の禁止。
 悶死していてもおかしくない状況を長時間味わったんだぞ。
 それなのに、淫乱度70%ってどういうことだ!?
 もう絶頂のことしか考えられない筈だ。
 好感度30というのも気になる。
 俺に許しを請い、擦り寄ってきているのに。
 状況とステータスがまるで一致していないじゃないか。
 一体どういうことだ──

「そうか、アンタ、得意だったもんね、そういうの」
「──ひッ!?」

 視線を下ろすと、さっきまで蕩けていた顔がはっきりとしていた。
 にやりと笑うレック。こいつ、まだ正気だ。
 ということはカットルも──不味い、メメが無防備だ!
 そう思い、メメに視線を向けようとすると膝に座っているレックが俺の頬を掴み言う。

「安心していい、カットルは完全に堕ちてる。昔からアイツは色に弱いからね」
「……じゃあ、敵はお前だけってことか……」
「そういうことね」

 完全に懐に入り込まれて……入れてしまった。
 淫魔の力を使ってもう一度、いや、駄目だ。
 もう彼女に能力は知られてしまっている。
 拳士に同じ技は二度通じない。
 きっともう、対策を考えているだろう。

「アンタの能力はまだ未熟、思考から実行まで1秒の隙がある」
「その隙に俺を殺せるってことか」
「夢の支配権はアンタにあるわけじゃないんでしょ?」
「……」
「沈黙もまた答え、駆け引きが弱いね」

 メメはこの状況に気が付いていない。
 自分が選ばれなかったことを嘆いているカットルと突いて遊んでいた。
 どうする、殺ろうと思えば一瞬だろう。
 一瞬……つまり、レックは俺達を殺る気はない?

「何が目的だ? レック」
「いい線いってる。早くエッチしないのか?」
「……堕ちてないだろう」
「だから?」
「だからって……わかんない奴だな、お前は」
「ははッ、エッチの良さに気が付いたのは本当だよ?」
「……」
「ガキの事になると、本当に慎重だね。そこで、私から質問だ」
「質問?」
「アンタの目的は、なんだ?」 
「そんなこと、わざわざ聞く必要があるのか。決まっている、俺は──」

 俺は、勇者に復讐をしたい。
 自らを追放した、憎き敵に……メメと、一緒に。
 あれ、それだと俺は。
 レックの質問は、簡単で、俺の答えは明確なはずだった。
 けれど、今は素直に答えることができない。
 だって、メメはこの二人を許したのだ。
 追放どころではない、殺された相手でさえ。

「くく、だろうね。アンタは答えることができない」
「……」
「目的も、今自分が何をすればいいかすら見失っている」
「笑うか?」
「いいや、ケイオス。アンタの優柔不断なところは知ってるからね」
「昔から、そうだったものな」
「あぁ、だからこそ、私は少しばかり揺れている」
「揺れる?」
「どうする、ケイオスよ?」

 俺の心の中に渦巻く奇妙な感情。
 レックの問いかけに対し、明確な答えは提示できずにいた。
 とはいえ、今懐に彼女を収めているのはちゃんと以外の何物でもない。
 殺す気がない、と分かればやることだけは明確だ。

「決まってる、お前がなんと言おうが、身体の開発が進んでいることは間違いないからな」
「そうか、なら満足させろよ?」
「わざわざ言われずとも!!」
「ん──ぁ、はッ、ぁッ……ぁぁああ!!♡」

 胸に添えていた指先を再び躍動させる。
 硬くなった乳首を摘まみ、キュッとひねるとレックは歓喜の声を上げる。
 
 
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