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第一章『格闘家編』
おやすみまでつながりっぱなし♡ おはようから戦いへ
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「はぁ……ッ♡ はぁ……ッ♡」
どれくらい時間が経っただろう。
まだ朝までは遠いが、夜になってから続けていたエナジードレインのセックスは、六回目に全ての力を受け取り終わった。
全身汗だくで弱々しく僕の腕に転がったアルカは、クール寄りの美貌を崩しきり、性格に近い子供っぽさが完全に露出している。
反則的な可愛らしさに頭を撫でると、閉じていた瞼をぴくっと揺らし、開いてくる。
「……どうですか、力のほうは」
「死ぬ前には到底届かないけど、負ける気はしないかな」
「そうですか、えへへ。よかったです」
全て素直に返すと、アルカも素直に答えてくる。
抱きしめながら頭を撫で、愛おしさを全身で受け止める。
完全復活には及ばないが、一歩近づいた力では、抱き寄せる力も加減しないと彼女を壊してしまいそうだ。
僕のそんな心配を読み解いたのか、彼女は顔を上げて告げる。
「私、自分が思っていたより脆くないかもしれません。こんなに激しくしても、疲れるだけですから」
「でも無理はして欲しくないよ」
「鍛えるようなものですよ。いつか完全復活した時も、受け止められるように」
腕を僕の身体に回して、抱きしめ返してくるアルカ。
下腹部を逸物に擦り付け、足を自然に絡めてくる。
「ダメだよ、折角ネロと戦うために貰った力なんだから」
「なら、疲れないようにゆっくりやりましょうよ。ただ繋がって、イくかどうかなんて気にしないで、眠ってしまいそうなほど優しく」
甘く、どこか理にかなったような提案で、誑かそうとしてくるアルカ。
頭では無理があると思いつつ、逸物は肯定している。
何より、一つ磨きのかかったアルカの蠱惑的魅力に抗えず、再び繋がる。
「ぁ……♡ は、ぁ……♡ ゆっくり奥まで入ってくるのも、形がわかって……♡」
興奮と微睡の中、徐々に遠のく意識と共に、互いに静かに腰を振る。
「ぁ……ふ、ぁ……♡ じんじん、痺れるみたいで……♡ これも、いいですね……♡」
「すごく、幸せに眠れそう」
「です、ね……♡ ぁ、は……っ♡ 奥、こりゅ、って……♡ んぁ……っ♡」
上がっていく互いの体温が、心身を癒していく。
「ぁ……♡ ぅぁ……♡ んぅ……♡」
意識が睡眠に沈んでいくと共に、アルカの小さな喘ぎ声も遠のいていく。
元々どんな音より奏で甲斐のある声は、子守唄のように染み込んでくる。
「……ッ♡ い、くぅ……ッ♡」
びゅる、びゅ、く……。
アルカが絶頂し、続いて射精する。
ほぼそれと同時に、僕達は繋がったまま、微睡の中についた。
*
永遠の微睡にも思えた夜を超え、朝を迎え目覚める。
小さなベッドに抱き合って収まる僕とアルカ。
繋がったまま寝ていたが、いつの間にか抜けていたようだ。
彼女を起こさないよう、腕枕を解き身を起こし、ベッドから這い出す。
宿にあった共用のシャワーは使わず、昨日のうちに準備しておいた桶の水とタオルで、汗ばんだ身を清め、服を着る。
「行ってくるね」
返事は無い。よく眠っているようだ。
音を立てないよう扉を開け、彼女を置いて部屋を後にした。
*
街の中心にある、他の建物よりわずかに豪華な建物。
城というにはみすぼらしいこの場所が、オーガの国を治めるネロ達の活動拠点。
そしてアルカのいない時間、ネロに指定されたプライベート闘技場の場所だ。
言われたとおりに建物をぐるりと回りながら観察していると、よく見なければわからない、しかし気づくとあまりにも違和感のある場所に、地下へ潜る階段があった。
「地下闘技場かぁ」
ベタすぎるというか、それでもロマンがあるというか、とにかく地下に潜っていく。
暗闇を少し進むと、階段の両端に自動的に松明がともっていく。
「……ベタだなぁ」
これからオーガの命運を賭けた決闘だというのに、気が緩んでしまう。
だらけた気持ちを占めるために頬を張り、階段を降り続けると、まるで外のように明るい光が差し込んできた。
「っ、ここは」
階段を抜け、光の下に出る。
ドームのようにくり抜かれたスタジアム。
本当に地下かと疑ってしまう明るさと広さ。
地面も細かな土で押し固められ、凹凸もない。
そしてその中心、太陽のように明るいスポットライトの下で、スタジアムを整備していたらしいネロがストレッチをしていた。
「ネロさん、おはようございます」
「お、来たかダーリンくん。待っていたよ」
呼び合って互いに近寄る。
しかし静かだから互いの声が届いただけで、歩み寄ろうとするとちょっと煩わしくなる程度の距離があった。
「ちょっと広すぎないですか?」
「私にとって唯一の趣味だからね。半分は抑止力のようになってしまっているけれど」
「趣味だけを続けるというのは、力を持つほど難しいですからね」
「ははっ、さすが学者くんは文言だね。せっかくだしこのままストレッチでも手伝ってくれ」
地面にぺたんと座り込むネロ、その背を押して筋を伸ばす。
ゆったりと呼吸をし、一切の焦りはない。
目に映るよりも大きい背中を前に、尋ねる。
「いいのですか、力を奪っても」
「私なりの慢心さ。少しでも戦いを楽しみたいからね」
やっぱりか。
思っていた通りの懸念が当たり、ため息を殺して続ける。
「いつからですか」
「一番最初は会った時だよ。キミがハニーと呼んでいた女の子は確かに、キミをアークス様と呼んでいたからね」
「騒ぎを聞いてあそこまで把握してるなら、僕達の会話も聞こえてましたよね」
「それだけなら同名の別人かもと考えたが、戦いの頼みや奇妙な疲労があったからな」
結果を言えば僕らの偽装など意味はなく、ネロには気づかれていたのだ。
最序盤で懸念留まりだったことで救われたが、もし容赦のない相手だったらあの時点で計画は頓挫していた。
だが、そうはならなかった。
というよりむしろ、最序盤を潜り抜けた時点で例えもっと偽装工作が杜撰でも、この場所には辿り着いていた。
背中をより強く押しながら、その背に感謝する。
「なんでネロさんみたいな人間が、勇者パーティなんかに参加したのかわからない」
「勇者と聖女様に選ばれたから、と言えば簡単だ。もっと明確な理由をつけるなら、自分が正しいと思いたかったから、かな」
「正しさ、ですか」
「明確な信念はなく、力だけはある。そんな不安を抱えられるほど、私は強くない」
僕に「ありがとう」と告げたネロは立ち上がると、尻の砂を払ってこちらに向き直る。
視線は鋭く、こちらをいつでも狩れそうだ。
同時に、人間らしい寂しさも宿っている。
「力は弱きものを助け、平和を保つためにある。そう教えられてキミ達、平和を乱す者との戦いに参加した」
「でも、ネロさん自身は誰も殺さなかったですよね」
「殺す必要なんてない。無力化して、自身の脅威さえ伝えれば。みんなそれを知らないから」
憂を帯びた表情は、戦争の中で僕らが流した血を思い出しているのだろうか。
脳筋で頑固、その側面に間違いはないだろうが、多角的に見た別側面はこんなにも博愛的で、自分の不器用さに嘆いている。
戦闘前だというのに漂う湿っぽさに、僕が言葉を出しあぐねていると、ネロは不敵に、不器用に笑った。
「でも勘違いしないでほしい。血が流れたことも、キミにも正義があったことも理解している。その上で私は、私の正義を疑っていない」
「……あの時、助けてもらったことは感謝しているよ。でも、お前のやっていることは弾圧だ」
「力は弱い者のために使わなければいけない、それをオーガ達は理解していない。だから教え込んでいるだけだ」
「最強の基準しかない物差しは、弱者の尺度を測りきれないようだね」
「なら正してみるといい、私の尺度を。気にしなくていいぞ、例えキミが負けても勇者には報告しない。他のオーガ達と同じように、力の使い方を教えてやる」
ゆらりと、まるで踊るように、ネロは拳を構える。
愛対する僕も慣れないファイティングポーズを取り、挑発を受け取る。
「逆に教えてあげるよ、力の強さなんてものは、簡単に歪む価値基準だって事を」
「——行くぞ」
ブツッ!
太い縄がちぎれるような音と共に、視界からネロが消える。
全身が総毛立つ感覚、自分にかけた感度強化は、第六感のように迫る危険を察知する。
頭上から振り下ろされる攻撃、ただ回避するだけでは余波に巻き込まれる。
最適な回避方法は。
答えがまとまるより早く、全身全霊で背後に跳躍する。
次の瞬間、まるで隕石のように、拳を真下に振り下ろしたネロが降ってくる。
「やるなッ!」
眼下でネロが声を張る。
アルカが集めてくれた力のおかげで、僕は闘技場の空中半分程度まで飛び上がっていた。
身体能力だけならば、死ぬ前の二割程度まで戻っているようだ。
だがそんな手応えも、ネロの拳が地面に衝突した瞬間、たち消える。
瞬きする暇もなかった。
地面に網目の亀裂が入り、クレーターのように抉れる。
空間を揺らす振動に、全身を焼かれるような痛みすら覚える。
天井からは雨のように細かな瓦礫が降り注ぐ。
整備されていた闘技場を一瞬で後輩させたネロは、クレーターの真ん中に立ち、拳についた砂利を吐息で飛ばして叫ぶ。
「逃げ切れると思うなよ、私の強さはキミの予想を凌駕するッ!」
彼女の慢心の声を聞き、地面に着地する。
僕の顔は戦慄と余裕の二律背反に、笑っていた。
ネロの強さは予想通りだ。
あとは僕が一切のミスをせず、全力を尽くすのみ。
どれくらい時間が経っただろう。
まだ朝までは遠いが、夜になってから続けていたエナジードレインのセックスは、六回目に全ての力を受け取り終わった。
全身汗だくで弱々しく僕の腕に転がったアルカは、クール寄りの美貌を崩しきり、性格に近い子供っぽさが完全に露出している。
反則的な可愛らしさに頭を撫でると、閉じていた瞼をぴくっと揺らし、開いてくる。
「……どうですか、力のほうは」
「死ぬ前には到底届かないけど、負ける気はしないかな」
「そうですか、えへへ。よかったです」
全て素直に返すと、アルカも素直に答えてくる。
抱きしめながら頭を撫で、愛おしさを全身で受け止める。
完全復活には及ばないが、一歩近づいた力では、抱き寄せる力も加減しないと彼女を壊してしまいそうだ。
僕のそんな心配を読み解いたのか、彼女は顔を上げて告げる。
「私、自分が思っていたより脆くないかもしれません。こんなに激しくしても、疲れるだけですから」
「でも無理はして欲しくないよ」
「鍛えるようなものですよ。いつか完全復活した時も、受け止められるように」
腕を僕の身体に回して、抱きしめ返してくるアルカ。
下腹部を逸物に擦り付け、足を自然に絡めてくる。
「ダメだよ、折角ネロと戦うために貰った力なんだから」
「なら、疲れないようにゆっくりやりましょうよ。ただ繋がって、イくかどうかなんて気にしないで、眠ってしまいそうなほど優しく」
甘く、どこか理にかなったような提案で、誑かそうとしてくるアルカ。
頭では無理があると思いつつ、逸物は肯定している。
何より、一つ磨きのかかったアルカの蠱惑的魅力に抗えず、再び繋がる。
「ぁ……♡ は、ぁ……♡ ゆっくり奥まで入ってくるのも、形がわかって……♡」
興奮と微睡の中、徐々に遠のく意識と共に、互いに静かに腰を振る。
「ぁ……ふ、ぁ……♡ じんじん、痺れるみたいで……♡ これも、いいですね……♡」
「すごく、幸せに眠れそう」
「です、ね……♡ ぁ、は……っ♡ 奥、こりゅ、って……♡ んぁ……っ♡」
上がっていく互いの体温が、心身を癒していく。
「ぁ……♡ ぅぁ……♡ んぅ……♡」
意識が睡眠に沈んでいくと共に、アルカの小さな喘ぎ声も遠のいていく。
元々どんな音より奏で甲斐のある声は、子守唄のように染み込んでくる。
「……ッ♡ い、くぅ……ッ♡」
びゅる、びゅ、く……。
アルカが絶頂し、続いて射精する。
ほぼそれと同時に、僕達は繋がったまま、微睡の中についた。
*
永遠の微睡にも思えた夜を超え、朝を迎え目覚める。
小さなベッドに抱き合って収まる僕とアルカ。
繋がったまま寝ていたが、いつの間にか抜けていたようだ。
彼女を起こさないよう、腕枕を解き身を起こし、ベッドから這い出す。
宿にあった共用のシャワーは使わず、昨日のうちに準備しておいた桶の水とタオルで、汗ばんだ身を清め、服を着る。
「行ってくるね」
返事は無い。よく眠っているようだ。
音を立てないよう扉を開け、彼女を置いて部屋を後にした。
*
街の中心にある、他の建物よりわずかに豪華な建物。
城というにはみすぼらしいこの場所が、オーガの国を治めるネロ達の活動拠点。
そしてアルカのいない時間、ネロに指定されたプライベート闘技場の場所だ。
言われたとおりに建物をぐるりと回りながら観察していると、よく見なければわからない、しかし気づくとあまりにも違和感のある場所に、地下へ潜る階段があった。
「地下闘技場かぁ」
ベタすぎるというか、それでもロマンがあるというか、とにかく地下に潜っていく。
暗闇を少し進むと、階段の両端に自動的に松明がともっていく。
「……ベタだなぁ」
これからオーガの命運を賭けた決闘だというのに、気が緩んでしまう。
だらけた気持ちを占めるために頬を張り、階段を降り続けると、まるで外のように明るい光が差し込んできた。
「っ、ここは」
階段を抜け、光の下に出る。
ドームのようにくり抜かれたスタジアム。
本当に地下かと疑ってしまう明るさと広さ。
地面も細かな土で押し固められ、凹凸もない。
そしてその中心、太陽のように明るいスポットライトの下で、スタジアムを整備していたらしいネロがストレッチをしていた。
「ネロさん、おはようございます」
「お、来たかダーリンくん。待っていたよ」
呼び合って互いに近寄る。
しかし静かだから互いの声が届いただけで、歩み寄ろうとするとちょっと煩わしくなる程度の距離があった。
「ちょっと広すぎないですか?」
「私にとって唯一の趣味だからね。半分は抑止力のようになってしまっているけれど」
「趣味だけを続けるというのは、力を持つほど難しいですからね」
「ははっ、さすが学者くんは文言だね。せっかくだしこのままストレッチでも手伝ってくれ」
地面にぺたんと座り込むネロ、その背を押して筋を伸ばす。
ゆったりと呼吸をし、一切の焦りはない。
目に映るよりも大きい背中を前に、尋ねる。
「いいのですか、力を奪っても」
「私なりの慢心さ。少しでも戦いを楽しみたいからね」
やっぱりか。
思っていた通りの懸念が当たり、ため息を殺して続ける。
「いつからですか」
「一番最初は会った時だよ。キミがハニーと呼んでいた女の子は確かに、キミをアークス様と呼んでいたからね」
「騒ぎを聞いてあそこまで把握してるなら、僕達の会話も聞こえてましたよね」
「それだけなら同名の別人かもと考えたが、戦いの頼みや奇妙な疲労があったからな」
結果を言えば僕らの偽装など意味はなく、ネロには気づかれていたのだ。
最序盤で懸念留まりだったことで救われたが、もし容赦のない相手だったらあの時点で計画は頓挫していた。
だが、そうはならなかった。
というよりむしろ、最序盤を潜り抜けた時点で例えもっと偽装工作が杜撰でも、この場所には辿り着いていた。
背中をより強く押しながら、その背に感謝する。
「なんでネロさんみたいな人間が、勇者パーティなんかに参加したのかわからない」
「勇者と聖女様に選ばれたから、と言えば簡単だ。もっと明確な理由をつけるなら、自分が正しいと思いたかったから、かな」
「正しさ、ですか」
「明確な信念はなく、力だけはある。そんな不安を抱えられるほど、私は強くない」
僕に「ありがとう」と告げたネロは立ち上がると、尻の砂を払ってこちらに向き直る。
視線は鋭く、こちらをいつでも狩れそうだ。
同時に、人間らしい寂しさも宿っている。
「力は弱きものを助け、平和を保つためにある。そう教えられてキミ達、平和を乱す者との戦いに参加した」
「でも、ネロさん自身は誰も殺さなかったですよね」
「殺す必要なんてない。無力化して、自身の脅威さえ伝えれば。みんなそれを知らないから」
憂を帯びた表情は、戦争の中で僕らが流した血を思い出しているのだろうか。
脳筋で頑固、その側面に間違いはないだろうが、多角的に見た別側面はこんなにも博愛的で、自分の不器用さに嘆いている。
戦闘前だというのに漂う湿っぽさに、僕が言葉を出しあぐねていると、ネロは不敵に、不器用に笑った。
「でも勘違いしないでほしい。血が流れたことも、キミにも正義があったことも理解している。その上で私は、私の正義を疑っていない」
「……あの時、助けてもらったことは感謝しているよ。でも、お前のやっていることは弾圧だ」
「力は弱い者のために使わなければいけない、それをオーガ達は理解していない。だから教え込んでいるだけだ」
「最強の基準しかない物差しは、弱者の尺度を測りきれないようだね」
「なら正してみるといい、私の尺度を。気にしなくていいぞ、例えキミが負けても勇者には報告しない。他のオーガ達と同じように、力の使い方を教えてやる」
ゆらりと、まるで踊るように、ネロは拳を構える。
愛対する僕も慣れないファイティングポーズを取り、挑発を受け取る。
「逆に教えてあげるよ、力の強さなんてものは、簡単に歪む価値基準だって事を」
「——行くぞ」
ブツッ!
太い縄がちぎれるような音と共に、視界からネロが消える。
全身が総毛立つ感覚、自分にかけた感度強化は、第六感のように迫る危険を察知する。
頭上から振り下ろされる攻撃、ただ回避するだけでは余波に巻き込まれる。
最適な回避方法は。
答えがまとまるより早く、全身全霊で背後に跳躍する。
次の瞬間、まるで隕石のように、拳を真下に振り下ろしたネロが降ってくる。
「やるなッ!」
眼下でネロが声を張る。
アルカが集めてくれた力のおかげで、僕は闘技場の空中半分程度まで飛び上がっていた。
身体能力だけならば、死ぬ前の二割程度まで戻っているようだ。
だがそんな手応えも、ネロの拳が地面に衝突した瞬間、たち消える。
瞬きする暇もなかった。
地面に網目の亀裂が入り、クレーターのように抉れる。
空間を揺らす振動に、全身を焼かれるような痛みすら覚える。
天井からは雨のように細かな瓦礫が降り注ぐ。
整備されていた闘技場を一瞬で後輩させたネロは、クレーターの真ん中に立ち、拳についた砂利を吐息で飛ばして叫ぶ。
「逃げ切れると思うなよ、私の強さはキミの予想を凌駕するッ!」
彼女の慢心の声を聞き、地面に着地する。
僕の顔は戦慄と余裕の二律背反に、笑っていた。
ネロの強さは予想通りだ。
あとは僕が一切のミスをせず、全力を尽くすのみ。
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