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◇第1章
【24】リーシェの考察 - 違和感
しおりを挟む最終的に集まった情報をまとめると、想定よりもよくない状況だということが発覚した。
まず、レスタ村はデジオラスが住んでいる北部の深い森にかなり近い位置する村の一つだった。そしてデジオラスは封印されたような痕跡などは一切なく、森を破壊しつくした後も錯乱状態が続き、目に見えるものを破壊し続けていった先にたまたまレスタ村があったようだった。さらに、記事に載っていた重傷者の病状が悪化し、結果的にレスタ村から死者が数名出た。
ではヒロインと殿下はそのときどこで何をしていたのかというと――――二人は原作通り、近くの町にいた。
ならばどうしてこんな事件が起こってしまったのか?
原因はシンプルだった。
単に、ヒロインがその「不穏な気配」に気づかなかったのだ。
このイベントは「光属性を持っているヒロインが不穏な気配を感じ、殿下に一緒に森を見に行ってくれないかと話す」ことによって始まる。つまり起因となる行動がなかったため、イベントが発生しなかったのだ。
ヒロインは確かに特別な力を持っているが、思い返してみると五回目の人生での彼女はそれまでのどの人生の彼女よりも幾分か魔物に対する察知能力が劣っていたように思えた。言い換えれば「光属性の能力」が多少劣っているように感じられたのだ。
ではなぜヒロインの能力が適切なレベルまで育っていなかったのか……その原因が何かを特定することは不可能だったが、私にはどうしても「悪役令嬢がヒロインと友達になってしまったから」というふうにしか思えなかった。
私が彼女と友達になれば、当然誰も彼女を虐げなくなる。なぜなら学園にいる誰しもが、現在この国唯一の公爵令嬢である私を敵に回すような真似は極力避けたいからだ。
決してよいことであるとは言えないが、ヒロインは女生徒からいじめられることによって攻略対象たちとの絆がより深まり、さらには魔力のコントロールやその制度を高める練習、そして希少なためあまり研究が進んでいない光属性への新たな理解へと自ら辿りつく。
しかしながら私と友情を深めていたルナはいじめられなくなり、攻略対象たちと絆を深める時間が著しく減ってしまった。
エルヴィス殿下を一番好いていたように見えたが、結局はあの頃も何だかんだ彼女のオオカミのことが気になっていたように思えた。
その後、唐突に無理心中を迫ってきた義弟によって六回目の人生へと移行したわけだが、そのときの私はかなり困惑していた。
自分が本来の「リーシェ・クランシュタイン」として機能していなかったから、ヒロインが行うはずだった行動をとれなかったのではないか……と。
悪女にならないためにヒロインと仲を深めていたが、その選択が本来あるべきヒロインの成長を邪魔してしまい、結果被害が拡大してしまった可能性は否めなかった。
そう考え、六回目の人生のスタート時、七歳のころまで戻った私は原作をあまり変えない方がいいのではと思っていた。
そのため六回目はできるだけ原作からかけ離れすぎないようにしていた。言い換えれば、ある程度本来の物語のままの悪女路線を辿って生きていたのだ。すると今度は学園入学直後にエルヴィス殿下の手によって突然毒殺されてしまった。
それにより、また異変に気づいた。本来の物語のままの悪女路線を辿っていたのに、入学直後に殿下によって殺されてしまったという点だ。通常であれば一回目の死同様、魔王討伐の前に断罪され、牢獄に閉じ込められているところをルナに憑いているオオカミに襲われて命を落とすはずだ。
にも関わらず、私は唐突に殿下の手によって六回目の人生を終えた……何が起こっているのかは全くわからなかったが、このままではいけないと思い七回目から前回まではヒロインの動向も探りながら原作を変えつつ行動する方向にシフトした。
七回目は思いっきりかけ離れたところで様子を伺ってみようとして結果事故死、八回目はヒロインを攻略対象とくっつけようとしすぎたゆえに嫉妬に狂ったオオカミに殺され、前回は回帰後にノインが話してくれた通りだ。
いずれも直接的な死因はヒロインによるものではないが、やはり原作から逸脱した行動をとっているとヒロインが解決するはずだったイベントが放置されていたり、原作にない突発的な問題が起きることが多かった。
まあ、原作の流れを変えているのだから原作にない新たな事件や問題が起こるのはある程度仕方ないことだと思うのだけれど……。
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