出張のススメ

小さく生きてる

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はじめに

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私は、疑問に思うことがある。
出張中のサラリーマンは自由で楽しそうに見えること。
私は、出張が嫌いである。
だからこそ、周りをみて余計なことを考えるのである。


今の会社は新卒で入社した。
経理の仕事がしたくて、簿記会計のスキルを磨いた。
全国あまたの支店があったが、本部の経理課に配属されて8年目になる。
ほぼ一日、書類と伝票とパソコンしか見ない仕事だが、私の性に合った最高の仕事だ。
余計なことは話さずに済むし、集中していると時間が早く進む。
生徒の成績表を付ける学校の先生のようにも思える。
月次、4半期、年次と業務量がかさむタイミングは決まっている。
この一連の流れは四季のようであり、波のある単純作業に退屈することもない。
私はそんな仕事が性に合っていた。


変化は、今年の4月に起こった。
経理課の上司が変わった。
コンサルタント系会社の出身で、役職付きで入社してきたようだ。
前の上司は経理課の叩き上げであったが、重役の癪に障ったのか、
地方支店の営業課に移った。酷な話であった。

課内の担当者との挨拶にも慣れた頃、上司は私に地方出張を命じた。
出張の目的は「地方支店の経理課について作業効率化を実施せよ」とのこと。

「監査」の仕事であった。

「監査」と訊くと、本部から偉そうに来て好き勝手言う人間を想像してしまう。
向える側は、これまでの職場のやり方、コミュニティを乱さぬように対応する。
向う側は、それを見透かした上で改善されるかわからぬ指摘をして虚しく去るだけだ。
私の印象では、LOSE-LOSEな仕事。とても性に合いそうにない。


上司の変化によって、私の性は疑問を問いかけ始めた。
周りのサラリーマンは、出張というものをどう乗りこなして、どう楽しんでいるのか。
これから記載するのは、「出張観察記録」である。
あわよくば、何か新しい発見に期待している。
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