貴方から逃げます

まる

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代償3

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 お義兄様の大きな手に顎を掴まれ、口づけから逃れる事が出来ない。それどころか、身動ぎするたびに肌襦袢は開けていく。

「――っんん!!」

 右手は縛られ、その上左手首はベッドに押し付けられ、組み敷かれている私に逃げ道なんてなかった。


 口内を蹂躙され続けるこの行為は、愛する人とする物なんじゃないの……?

 お母様に似た顔立ちの私を、お母様だと思って口づけているのだとしたら、あまりにも酷い……。


 少し唇が離れた時、私は大きく息を吸った。


「鼻で息を吸え」
「……もう……止めて」

 目を閉じると、涙が出て来た。
 お義兄様に少しでも優しさが残っていると思いたい。


「お母様と私は似ていても別人です……」
「的が外れてるな。そう言えば、俺が止めると思ったか?」
「お義兄様は――っ!?」

 私の顎を掴んでいた手が這うように下りてきて、肌襦袢の上から胸を撫でられた。

「やめ……」

 今、お義兄様が私に求めているものが世継ぎでないなら、こんな事をするのはおかしい!!

「――あっ」


 長い指先に、カリカリと執拗に乳首を擦られた。恐怖と同時に、何か別の感覚が湧き出てくる。

「まだ、襦袢の上から触っているだけなのに、随分と感度は良さそうだ」

 そう言って、強引に私の左手を胸まで持って行って、今までお義兄様が触っていた所に指を押し付けられた。

「乳首が固く立っている、なぜだか解るか?」

 そんな事を聞かれても、今まで胸がこんな風になった事はないし、解らない。

「まぁ、口にせずとも、感じるものだ。すぐに解る」

 お義兄様の顔が近付いてくる。これ以上、口づけされるのは嫌っ!!
 私が顔を背けていていると、首筋から耳まで舌先で舐められ耳朶を喰まれた。
 それで終わるのかと思ったら、今度はグチュっと水音がした。

「やっ――っっ」


 耳を舐めるなんておかしいっ

「っ……っ」

『嫌だ』と言いたいのに、それとは違う声が出てしまいそうになって、私は必死で堪えた。

 その間に、肌襦袢の紐をとかれていたのに気付かなかった。

 緩んだ肌襦袢の胸元を大きく広げて、そこをお義兄様がじっと見ている。

「見ないでっ……!!」

 恥ずかしい!もう嫌だ!!
 出て行くなんて言わなければ良かった。結婚の話なんてしなければ、こんな事にならなかったのに……っ。

 左腕で胸を覆って隠す私を見て、お義兄様は笑っている。

「隠す所はそこだけでいいのか?」

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